▲信号機の「STOP」マークの手のひらに,ハートマークのいたずらシール
いたずらにしてもカワユイのが,何かヨロシイかと。
何だここは?
夕方,アフリカ系デップリおばちゃんにそそのかされてリトル・イタリーまで歩くことにしたわし,Centre st.から1ブロック東に入る。
と,一気に空気の質感が変転。
軽やかな胡弓の音。
公園は,賭け将棋やってる爺ちゃんだらけ?
…ってこれ,まるっきり中国本土の昼下がりの光景やん!?しかも,今の中国はもちろん台湾や香港でも珍しくなった,90年代以前の漢人世界ののびやかな社交風景。
Grand st.辺りの喧騒とは一風違うオーラ。リトル・イタリー南側のディープ・チャイナタウンとでも呼ぶべきエリアです。
永久に続きそうなゆったりとした口調のお喋りの音曲にほろ酔い気分になりながら徘徊した,NY漢人街深部でした。
サン・ジェンナーロ祭で賑わうリトル・イタリーを経由して,再三のGrand st.へ。
悦心餅屋って店を見かける。英語名Grand 1 Bakery。例によって全く通じ合わない語彙。
「餅屋」は少し古い感覚の「パン屋」っちゅう語感みたい。
外からはガラスケースが並ぶケーキ屋みたいな印象なんだが――自動ドアが開くと,わーん!とお喋りの音波が唸って来る。
慣れると割と心地好いこの音波は,経験済です。香港飲茶,しかもごく大衆的な店の,老若男女ニ百人程度が同時に喋った時の音波です。
なるほど,Grand st.辺りでもこーゆー場所に古い漢人空間を形造って,彼らは生存してるわけやね。
ただ,一見の観光客が入り込める雰囲気じゃないんで,ここでは
菜肉包 $2.50
鶏尾包 $0.75
蛋[テヘン+達] $0.75
を買って帰ります。
もう5時近い。
Dトレインで34st.へ…と思ったけど欲が出て乗り過ごした。42st.で降りて,タイムズスクエアってとこを一応通ってみといたろかなってことで。
まあ,タイムズスクエアやな。
で,タイムズスクエアだから,特に日韓中辺りの東アジア系はバリバリにハイセンスなお召し物でいらしてるんだが…わし,Tシャツに作業ズボンな上に,さっきの餅屋の包子がトドメになってムチャクチャ重いトートバックを肩に食い込ませてうろついてんですけど…旅行欲には,もとい,食欲には勝てまへんのです。
▲中華街の一元多店。つまり$1ショップ
「一元多」は「一元余り」ほどの意味だから,どの位一元を超えるのかが怖い。
ちなみに漢語の場合,バーツでもルピーでも訳す時には全て「元」。区別したい時は,例えば日本円だと「日元」。この自己中心の強引さ,いかにも中国的感覚やね。
さて…わし,NWKに帰れるんか?
という問題はあったんで,17時にはPENN駅に入ったんだけど…予想以上に身動きとれまへん。
バカでかい上に複数社が起点にしてるこの駅,どこが何の窓口でどの列車がどこ行くのか?まるで和気の清麻呂。あちこち聞きまくった挙げ句,とにかく今,Amtrak Ticketってコーナーの50人位の列に並んでますけど…。
流石に前には進んでるんだが,列車のチケット取るのにこう並ぶのは,共産主義真っ盛りだった頃の中国を思い出してとってもトラウマがチリチリ傷みますねん。
まあ要は…明日から,朝ニューアーク出る時に往復を買えばいいんだろな?
結果的に…Amtrak Ticketの窓口でオッサンに「ここ,ちゃうで。NJ Tranjitのチケットを買わなあかんねん」と丁寧に諭されまして,NJの方に行ったら自販機でそんなに並ぶこともなくチケット買えました。
▲NWKへ帰るNJTの待合室
中国はおろか,日本の都会からすると全然甘いけど,一応ラッシュじみた状況にはなる。
全員がモニターをまじまじと覗きこんでる。出発ホームのナンバーが発表され次第,ドッと静かに群集が動く様は,なかなか独特――初日は疲れました。
18時11分発の「NE CORR SEC EWR」って列車に乗れました。
ここまでの想像では…SEC:急行,EWR:ニューアーク国際空港,って意味?根拠は…ってゆーかそう考えたらウマく収まるってゆーか…カンとゆーか…適当です。前半部分は行き先を示してんだろが,きっと。いや正直,全く分かりませんです。
NJの列車進行方向よりちょっと右手に,えらく幻想的な残照が拝めます。
考えてみりゃ…地平線が見える初めてのアメリカやなあ。
日本にはない霞み方。温帯で海際で山のない土地…そう言えば,これまでなかったかも。直視できる太陽球。しかも日が落ちてもしばらく明るい。
結局帰りも30分かからずに着いてしまった。2駅。行きは3駅だったのになんで?
…街が広がってきたとこで,広い構内のエアボート駅の雰囲気を覚えてたら降り間違うことはないみたい。アナウンスがエアポートだって騒ぎ立ててもくれる。
明日も0630発で,今日と同じ0711発に乗ればいい。
NY PENNではクロークも見つけた。手荷物1つ$4.50。最終日はここにバックバックを預けることにすればよかろ。