初日
と考えたら頭に浮かんだのが――前回最終日に入って感激した[弓爾]敦粥麺家へ。確か歩いてすぐだったよな?記憶とカンを頼りに歩き回ると何とか見つかった。
朝から昼にはあんなに混雑してた店内が,夜の今はかなり空いてます。中華圏では粥は絶対的に早飯。ただし客がいるにはいるし,観光客ばっかでもなさそう。
腰花魚片粥 30HK$
油条 8HK$
「腰花」はピーナッツだが…どこ?来た粥を探るが,姿が見えない。歯応えもない。ただ香りだけがうっすらと溶けて薫ってる。
味のメインは痩肉と,白身魚(おそらく台湾で有名なあの魚)。が,それらも大して強い味にはなってない。豆腐のように,ただただ清らかな味。
粥のスープもやはりすごい。日本の味覚に慣れてしまったわしには,よくよく舌を尖らせないと見逃すほどの淡く清らかな味覚です。
これは…日本のダシよりもう一つ,下の震度で響いてくる味覚だ!!エビだろうか,何か米味をギラギラに煌めかせる,凄みのある乾物味が蠢いてる。
2日目
仁政街
[土申]記
皮蛋痩肉粥15
生鮮豆ジャン6
3時近いのに満席
さすがに美味い!つーかロンドン以上?淡く清く米の旨味が浮き上がる。痩肉すら邪魔なほどの清純感がある。ほとんど味がしないほどでちょっと今のわしには荷が重いほどだが…みんなこれを評価するほど舌が肥えてるのか?
豆ジャンも生々しいのに雑味なし。毎日自家製で作ってます,「絶無防腐剤」との表示。どーなってる?ホントにスゴい!
4日目
羅富記粥麺専家
三及第粥26
客少な!大丈夫か?さっき通った生記と大違い
ただ。やって来た粥はかなり美味いの。入ってるレバー,痩肉,肉団子もそれぞれイケるし…何が気に食わないんだ香港人?
とウマウマ気分で食ってるうちに――分かってきた。
ぽつり,ぽつりと客が増えていき,出る頃には8組ほどになった。耳を澄ますと…うち5組が日本人観光客?
「美味しい」味も理解できてきた。つまり,分かりやすい味なんだ。日本人的にはそれでも薄味はに違いない。けど,ロンドンとか[イ申]記の,無味に近いほどの儚い味覚に比べると,別のジャンルと言っていいようなクッキリした味。
肉由来の強さが表に出てて,つまり日本と似た考え方の出汁みたい。米そのものが汁に溶けた無味に近い甘味は――この強さが邪魔になって霞んでしまってる。
日本人がすんなり美味いと味わえる粥。――元々強い味だったから観光客が寄ってきたか,寄ってきた観光客に売れるように強い味に変化させられたのか,どちらかだろうけど――おそらく両方なんだと推測できるわけで。
おぼろに見えた事実は,2つ。
香港人の舌は,今のわしの標準よりもっと繊細だってこと。
それと。観光客の寄ってきてる店は,香港で真に美味い味じゃあないってこと。
さて。残り時間はたっぷり1週間。わしはどこまで行けるだろう?
6日目
生記粥品専家
魚[月南]猪潤粥36
何だそりゃあ?毎度ながら分からんくなったら一番分からんのをカンで頼む癖…止めたほーがいい?
レバーと白身魚の粥でした。
前回初日に魚丸食っただけだったんだが…今回はうっすらと銀河のような味が米粒の後ろに見えたような…。
レバーと白身の味わいはほのかに漂うが,その後ろに魚系の凄まじく透明な味覚がある。蝦の系統じゃない,魚だ。レバーも赤峰の緩い味覚だけがフワッと,しかし無限の複雑さを持って広がってる。
この無限さ,どーしてやろう?
7日目元郎[火包][イ丈]坊主Yuen Long Pau Cheung Square
国記粥品
馳名及第粥17
~なかなかスゴい!深みはまだわしに追いきれないほど。レバーとモツが入ってるが極めて薄い味つけ
蝦米腸7
~初めて注文したが,いい!ここはこれも自家製だという。ヌメッとした食感の中に蝦が微かに香る感じがいい
10日目
ロンドン粥麺家
鮮[魚完]魚片粥27
油条8
やはりここの粥は――多少は初日より分かった。舌を震撼させる味わいだ。貝柱か,何か乾物から複雑に出した,ムチャクチャに上品なスープが,米粒の芯まで染み通ってる。スープの味に痺れるってゆうより,このスープを味わえるようにしようとすれば舌の感度がその位にセンスィティヴにならざるを得ないというのが正しいんだと思います。
普通はどっぷり漬ける油条も,パリポリ感を残したまま粥をちょっと浸す感じでソースにして食うのが一番いいと思った。それだけで美味い。油条そのものも十分に美味いから!
魚はかなり細かくしてある。これもなかなかだが,魚そのものは生記のものかも知れん。
ただし,総合したらやっぱロンドンのもんだろう。卒業試験は65点ってとこか。まだまだこの味はわしにはギリギリだと感じた