外伝09♪~θ(^2^ )川龍村探索編 第五日

 一昨年のイタリアで,ソリゾ (Soriso)という村を目指した。
 正確には,目指そうとした。
 ホテルが一軒あるだけの村なんだけど,このホテルに入ってるレストランが五つ星。シチュエーション的に実力のほどが知れる。しかし――。
 鉄道もバスも不明,現地でも情報がない。マップ買ってもどーも自信が持てん。
 最終日近くまであがいたが…諦めた。
 さて。
 今回の香港でも,どうしても訪ねたかった場所をまだ残してた。滞在半ば,5日目のこの時点でである。
 データ不足。イタリアと同じく地図も購入したが,場所がようやくわかっただけ。最寄りの駅からは直線距離で10km以上,高低差もありそうでなかなか歩くには厳しい。ただ,元々の紹介記事にミニバスがあるとは書いてある。
 店の名は瑞記茶館。
 初めて行くことになる田舎飲茶のお店です。

 具体に書くと,手持ちの情報は以下の3つだけ。
[1]最寄り駅は地下鉄の[サ/全](ツェン)湾
[2]所在地は[サ/全]湾市街の北方山間部にある川龍村
[3][サ/全]湾-川龍村間はミニバスが結んでるらしい。
 てことは――[サ/全]湾駅でミニバスの発車場所が見つかれば何とかなるはずです。
 朝6時50分,佐敦から地下鉄に乗車。終点まで12駅行く。香港でそんな長い列車移動をするとは思わなかった。
 足腰にズシンと疲れが溜まっておる。今回の旅行前,少し時間に追われた仕事内容で,通勤時のウォーキングを自転車に代えてたのが祟ってるみたい。あるいは,単にトシのせい?いずれにせよ――恐らく片道2時間歩くのは止めた方がよさそうです。
 葵芳駅の前で地上に出る。
 車内は出勤ラッシュってほどじゃない。落ち着いたエリアみたい。
 ケータイのアンテナは立たなくなった。
 ちなみに,この前の[サ/力/力力]景って駅から東[桶-木+シ])線ってのに乗り換えたら香港駅まで直行できるらしい。ホームは地下鉄ホームからすぐでした。

▲半裸の男の売る野菜ってどうよ?川龍街付近の市場にて。

 7時14分,[サ/全]湾に着く。
 それから後,10時前に[サ/全]湾市内で朝飯食うまでの間,メモも写真も残してない。
 市内地図表示を見ても手がかりなし。駅前は結構広くて,その上立体構造が一杯あった。バス案内みたいなもんはどこにも見つからず,インフォメみたいなとこもないし,人に尋ねても。
 うろつくうち,ミニバスの一部にそのニ文字を発見する。
 唯一の手掛かりじゃ!30分ほどそのミニバスを追っかけてたんだけど…この街の繁華街が川龍街という名前でした,要は駅前以外にそこもミニバス発着場になってたってだけ。
 おかげで駅前から川龍村ならぬ川龍街までのエリアの土地勘は出来てきた。良かった良かった。良かったが…疲れた。何か食お。
 川龍街近くの古めかしい雰囲気の冷室,蘭香茶餐廳に入る。
早餐 23HK$
 ふう…生き返る。
 川龍街は活気のある市場でした。生々しい生鮮品売り場の活況とともに,city walkなるショッピングモールも併設されてて賑わってました。
 いやあ,来て良かったなあ!ほぼ目的通り!
 調子に乗って飲茶もしちゃおう!ヤケ食いとも言う。川龍街から少し西の緑豊かな一角に見つけた青葉海鮮酒店へ。
香芹鶏飽[イ子]
香煎羅葡餅
 いやホント,来て良かったなあ!!ははは…ハア。
 さて。良かったことだし…帰りますか!
 駅の改札をくぐる直前に,最初にチェックした市内地図表示の前で,もちろん未練は全然ないんだけど,もう一度しげしげと舐め回して見る。
 …あれ?
 この,駅周辺のちっちゃなバスマークは…!?

▲やっと見つけた!80番バス! ※左から地図リンク有

 地図上のバスのマークにはそれぞれ2桁番号が振ってあった。図内の主要スポットと並んで凡例欄に書いてあったから分かりにくかったんだが,それぞれの番号が図外の地名に対応してるらしい。
 つまり記してあるのは,おそらく――バスの路線番号と行き先,市内発車場所の3情報。
 川龍村は…?
 ある!
 番号は80!
 駆けるように向かったそのバスマーク表示場所は,兆和街L字角。
 え~!?ここ,今朝さんざん徘徊した場所の一つやん!駅から徒歩5分かからない,大通りを渡って入り込んだ場所。ミニバスばっかし発着してたコーナーで,それっぽかったから入念にチェックしたはずなんだが…。
 着いてみると。やっぱり!――バス停表示自体は特にない。ただグリーンのパンが,ちょっと荷降しで停めてます,みたいな何気なさで停車してるだけ。
 これは…分からんだろ?
 けど乗降口は,確かに符合する文字がある。80番,川龍村――この2つの符合しかないし,ミニバス利用は初めてなんだが,ここまで来たら乗るしかないじゃろ!
 席は後部9人と運ちゃんの隣1人。乗降口にはちゃんとメトロカードのタッチボードがあるから,とりあえずピコッとしとく。料金体系は不明だけど,手書き文字で5HK$と書いてあるからには,まあ一律料金なんでしょう。
 乗って5分ほどで発車。10時40分。
 街中を一回りする。[日/人T人]安街から回って沙[口且]道を東へ…と1分も経たずに方向も位置も全く分からなくなってます。とにかく,最終的には広い道に出て,おそらく北へ,ロータリーに入って八幡みたいな文字の方向へ入っていきます。
 大丈夫か?
 道はぐんぐん登る。マンションが多数立ち並ぶ。明らかな高級マンション。さっき駅前で見かけた無料シャトルバスの行き先名が掲げてある。
 そのエリアを抜けちゃうと,しかし一転。人家が極端に減り,アップダウンが激しくなる。道路名の表示は[サ/全]錦公路。
 だ…大丈夫か!?
 ちょいちょい客が乗っては降りる。乗客の服装,身ぶり,喋り方が一気に田舎臭くなる。もう風情はアジアのバス。運転手の隣のギアの上に座るおばはんまで登場してた。あそこ,アジアバスでは特等席なんだよな。
 客が叫ぶと運転手が左手で指3本を見せる。了解,止まりまっせ,のサインらしい。
 そ…そんなん知らんぞ!?わしは降りれるのか!?てゆーか,降りるバス停の名前は?マジで大丈夫か!?
 延々登る。街が一望。山裾から市街地までを埋めるマンションの列。けれど車窓すぐは,完全に…ジャングルやがな。
 突然。峠を越えた…みたい。迷う間もなく,バスが止まって全員降りてく。終点らしい。
 10時59分着…って,ここなのか?いーのか?
 バス停に駅名表示はない…どころか時刻表もない。待ってバスが来たら乗るってシステムらしい…ってそれはシステムになってなくね?

▲手前駐車場からのお店の外観

 集落の中へ下る道が左右に分かれてたんで,左の平坦な道を進む。
 材木置き場みたいな場所を過ぎると人家がなくなった。こりゃ違うでしょ。
 戻って右の細い急坂を下る。
 一見路地みたいなグニャグニャ道だけど,谷沿いの集落らしく,これがメインストリートらしい。ほどなく,目当ての漢字4文字が見えてきました。
 瑞記茶館
 よく着けたな,こんなんで。
 と…とにかく,昼飯になってしまった本日2度目の飲茶でまったり。
プーアル茶(ポット)
蓮とピーナッツの包子巻きみたいなの
ソーキの黒豆煮込みみたいなの
計28HK$
 半日潰して来た価値十分。香港で,こんな静謐な土地って…初めて来た。
 この幸運の滞在では,実はこれが最後じゃなかったが,それはまた後日の講釈。
 二階と屋外の席もある。駐車場の脇の席に,ヘルメットとポット,蒸篭を並べて食ってるつなぎを着込んだ男一人。バイクでツーリングしてきたんだろか?

▲80番ミニバス車内

 下界へ降りる。
 粗い時刻表らしきものも帰りには見つけた。バスの便は20分に1本ほどはあるみたい。
 帰りは土地勘があったから,行きと全然違って安心感どっぷり。駅前で下車して地下鉄にて東へ返す。
 [サ/刀/刀刀]景,LaiKingと読む駅で香港行きのエキスプレス鉄道に乗り換えてみる。
 ここから逆方向の西へ1駅行くと青衣。しかし各駅停車は空港には止まらずに終点東[シ桶-木]TungChungへ行く。生活列車と空港リムジンの併用路線らしい。
 東1駅で南昌。西鉄線の乗換駅だ。まだ地上を走ってる。
 2駅目奥運。オリンピックと読むらしいが…どゆこと?昔のアジアオリンピックの開催地か?
 3駅目,九龍。昨年,機場快線に乗った駅。
 地下に潜る。海峡の底と思われる。
 4駅目,終点香港。
 上環の有名店九記に初めて立ち寄ってみたが…。
上湯牛[月南]伊麺 29HK$
九記[ロ加][ロ里]汁 7HK$
 日本のガイドブックの「香港」ってのは,日本人に分かりやすいブランドの切り売り。それと実体との深度の差が,これほど大きな土地もないかも。
 向かいの勝香園も相変わらず超満員じゃ。

 佐敦駅構内でメジャーチェーン美心西餅へ寄る。まあサンプル収集。
鶏尾包4.5HK$
豆[女乃]1.5HK$
 そのまんまブラついてたら,結構この辺,クリーニング屋が一杯あるのに気づく。
 実は,悩んでたんである。香港雑居ビルホテルの難点は…洗濯物は部屋干ししか選択肢がないこと。そうでなくとも歩き回って汗だくだから,2ローテを過ぎるとどーしても雑菌臭がツーンと…かなり限界域。
 利用し易そうな「陽光洗衣便利店」って店で聞くと――Tシャツとジーンズで27HK$。24時間オープンで,洗うだけなら3時間?
 嘘でない証拠に,おばちゃんの後ろではバカでかい機械群がフル稼動中。
 明日使ってみよう。

 そろそろ夕暮れ。そのまま北へ歩く。
 油麻地で松記糖水店を見つける。今日[サ/全]湾で満席でフラレた店。油麻地分店との表示。
 疲れた。甘味で一息入れるか。
六宝湯園 16HK$
 その先,美都餐室もチェックするが…ここ,ガイドブックには常に載ってんのに,いつ通っても無人くん。今回も何となく見送って,何となくタン[イ子]雲南米線で晩飯。
過橋米線套餐 40HK$
 かなりの量だったんで迷ったが,デザートに義順牛[女乃]公司へ。
香滑加[口非][火敦]鮮[女乃] 23HK$
鮮[女乃]沖紅茶 20HK$
 この油麻地と佐敦の間のエリアはホントにワンダーランド。香港らしい多文化で猥雑なゾーン。
▲川龍村の路地裏

 はたと思い出す。
 明日の蓮香楼!蓋付き茶碗で茶を淹れる練習をせねば…!
 安いのがいい。皆さん日常生活ではアレ使ってるはずだから簡単に見つかるだろ…と思って佐敦まで歩きながら探したが,どうしても茶碗の店が見つからない。
 結局,意外にも佐敦の露店が一番品揃え良かった。おっさんと久しぶりに値切りまくり合戦して購入。40HK$円位だったか?
 となると次は茶葉。これも安い練習台を,と恵康wellcomeに入る。この大衆店,お茶パックは多種揃えてるのは前回確認してたけど,意外に茶葉は4種類程度。プーアル茶は楽しみを取っとくことにして,一番安くて少量のを購入。12HK$,永来香極品鉄観音200g。
 ついでに,新豊銀蝦醤112gと好味馬来沙[サ/田/田/一]濫[火局]鶏粉80gを購入。いずれも調味料で,この類もムチャクチャ多種置かれてる。
 帰りがけ,気になってたToast boxで持ち帰りトーストを注文。何か変な顔された。待ち時間にキョロキョロ観察してみたら,どうやら実態はシンガポール系の鶏飯専門店らしい。
 ピーナッツバターのトーストで,まあウマかったけど。
 出がけに「三徳素食店」の看板を見る。外売部だけここで営業してるらしい。
 へえ~と他を見回してたら,地下に「blt」ってスーパーを見つける。「better life together」の略で,看板では食生活改善を思想とする店らしい。入ってみる。
 ホントに品がいい。惣菜も充実。郊外野菜なんかのコーナーもある。24HK$のブルーベリー,3個9.90HK$のジョナゴールドを買ってみる。リンゴは添加物でヌルッとしたけど,それでも言っちゃあ悪いが恵○の生鮮食品売り場と格段の差。
 ネイザン通り側の出口から出たら,「Bread Talk」って良さそうなパン屋があったんで,もう明らかに買い過ぎだが…購入。
 こりゃ終わらん。宿の一階入り口隣にもYummy Yummy Baguette Expressってパケット屋が――よく見るとベトナミーゼサンドイッチと書いてある。
百吉原味包20HK$
百吉招牌法飽30HK$
 さらに裏手にはインドネシア料理屋。14:30~17:00定食27HK$。
 心を鬼にして2軒ともやり過ごして宿に帰ったが…だってもう食えんもん!

※後続者のために:川龍村へのミニバス乗り場はこのあたりです(~2019年現在)。