外伝06@猫空@(@_42_@) 4日目 (@_42_@)

 昨夜の喧騒も消え,まだ人通りもない西門メインストリート,7時35分。
 まずはタバコを吹かす。ちなみに現在はBoss Red。コーヒーではなくて,今見たらドイツのタバコでした。55元だったと思う。
 さてと,どこへ行こうかね?
 こんな行き当たりばったりしてたら,いつかはコケます。皆さん,旅行は計画的に,と当局は注意を呼びかけている。

 で結局,善導寺へ行った。
 華山市場内2階,華坑豆ジャン。
 おお!?1階まで続いてるこの行列がまさか…?
 想像を遥かに超える客数です。行列は2階のカウンターを先頭に階段を経て1階の戸外まで,約50人位。明日早起きして来るしかないな。
 その行列の道をそのまま南へ,[糸召]興南街という道から杭州南路に渡っていきながら歩いてみた。
 青島豆ジャン店というとこを発見。ボロボロの小さな店ながら,威勢のよさそうなオーラに惹かれて入店。
シェン豆ジャン20元
肉餅(猪)25元
 豆ジャンは,これまで食った記憶のそれと完全に違った。豆臭さを一番強く味わえるのはもちろんだが,油があまり加えてなくて,酸っぱさもあって極めてクリアにまとまってる。滋味深くも毎日食える味です。
「辣醤自己[イ古月]」(自分で味付けしてね)と紙切れが貼ってある赤いゲル液体瓶と一緒に出てきた──肉餅。こちらもシンプルで,味の落ち着いた胡麻餅の感。辣と胡椒はきいてるが,麻とシエン(痺れ辛さと塩辛さ)は自分で調整しろということか。肉汁も思いがけず少なくて赤身で食わす。生地もスカスカさがちょうどいい。
 全く。これだから油断ならない。たまたま見つけたわけだけど,こういうさりげない無名(かどうかそもそも知らない)の名店が,こんな感じでまだまだあるんだろうな。

 早起きしたつもりがかなり遅くなる。こんな寄り道してりゃ当たり前なんだけども,もう9時前になってんで!?
 とか言いながら台北牛乳大王を見かけて…お,そう言えば久しく入ってないよな!?と立ち寄ってしまう。
木瓜牛乳 70元
 懐かしい味です。
 久しぶりに飲んでも,やはりウマウマ!大阪とかには大分入ってきてるが,やっぱり何か違うぞ。シンプル過ぎてる旨さゆえなんだろか?
 ここは狭い店だったんで作るのが見えてた。──どー見ても…マンゴーと牛乳を単にジューサーにかけてるだけなんだけどなあ。素材に何かあるのか!?
 牛乳の質とか,何か微妙なバランスなんだろけど。まったりしてんのに全然後味が濁らず,それどころか清涼感がパッと広がるんである。
 日曜日の朝。なぜかご老人でいっぱいになってる牛乳大王。もうここも台北の景観の一部だな。

 てなわけで,やっと中正記念堂にたどり着きました。
 曇天。雨はいつ降ってもおかしくない雰囲気。
 さて盛園豆ジャンです。──再四訪で書きますが,実はここへの訪問は,残念にもこれが最後になりました。
シェンム豆ジャン23元
焼餅15元
 日曜日,10時前。すごい客足だったが何とか座れた。
 やっぱりスゴいわここ!
 豆ジャンは重厚で毎日食える味じゃないと思うけど,ジーンと染み渡る味覚。大豆の香りが深く広がる上に胡麻油とネギと,あと僅かに…かつお節か!?迫力に加えて複雑な味わいも付いて来る。まさに臓腑に染み渡る一品です。
 焼餅がまた…シンプルな味なのに全く飽きさせない。小麦の焼き味と白胡麻のプリミティヴと言っていい味わい。生地は,噛んでると意外にふるふると喉にほどける。ありがちな味に思えて,実は何にも例え難い。この焼餅って,中華圏の不思議なマイナーグルメです。

▲民族東路・丸林魯肉飯の魯肉飯(小),[月危]筍排骨湯など

 トイレを借りに地下鉄駅に降りたついでに,まっすぐ晴光市場を目指しちゃうことにしました。
 でもって民族東路,丸林魯肉飯。
魯肉飯(小)25元
[月危]筍排骨湯45元
 おかずは角煮と,イカとセロリの炒め。で,シメて165元になりました。
 ここの魯肉飯はやっぱりいい。分かりやすい味なのに尾を引いて離さない。ねっとり感は残るから砂糖も結構使ってるかもですが。
 筍と排骨,以前にも食った記憶があるけど,もちろんこの取り合わせに加えて八角か何かでそれをうまく繋いでるみたい。高貴な味わいです。

 中山国小から忠孝新生へ。
 八徳路を歩いて南京東路まで行くも,目指してた林東芳牛肉麺は発見できず。
 疲れた!一旦,西門に帰ろう。

▲西門辺りだったと記憶する。干記杏仁豆腐の雪玉[ン水][シ其][シ林]。
「蜂大珈琲」とも記録してるんだけど,写真には写ってない。別の店だった気もする。
 何か,ガラガラの店でとても客が来そうにない雰囲気…に注文してから気づいた時には最早遅かった…という苦めの記憶が残ってます。
 が!?その他に記憶も記録も残ってないのよね。
 きっと…よっぽど期待はずれだったか,よっぽど疲れてたんでしょうなあ。まあ色々あるのが旅ってもんさ,とロッテンマイヤーさんはそっと頭を撫でてくれました。

▲干[日軍][我鳥]肉店の滷肉飯と[我鳥]肉(各小)

 おそらく蜂大珈琲から宿に帰る道すがら,西門のくそ路地裏,美観園の前の道入っていきますと,何やら昼飯客で賑わってるお店を見つけました。14時過ぎの状況としては異様な客足と見た。
 ぶらりと入る。店名は干[日軍][我鳥]肉店。
滷肉飯(小)20元
[我鳥]肉(小)70元
小菜(胡瓜のキムチみたいなの)30元
と頼むと,おおっ!かなり充実のお膳になったやんけ!
 でもってお味もなかなかで──魯肉飯は独特の軽みあり。トロトロのそぼろみたいな味わいのものがご飯にバラっとさりげなくかけてあるだけだが,さりげなく味わい深い。脂身の軽みみたいなものが出てる。
 [我鳥]肉。なるほどこれがガチョウってもんなのか…と初めて分かった気がする。鶏肉の軽さはありながら脂身が独特の臭みを帯びてる。羊と同じでハマってしまう臭み──きっとこれがガチョウなんですね。
 単に茹でてあるように見えるけど,何か微かにハーブを使ってあるみたい。肉の下に敷いてある細切りは,長い針生姜でした。
 おそらく外した2軒の挽回をしたからでしょう,これでやっと宿に帰ってます。

 一寝入りした16時,大安から臨江街方向を目指してみる。
 前回だったろうか。滷味の鍋屋とスイーツ屋があったんだが──地図にマークがない状態だけど見つかるだろか?

▲名豊手工臭豆腐の鴨血麻辣臭豆腐

 臨江街近く・安和路59巷19号(安和郵局傍巷口)。
 スイーツ屋は見つからんかったけど,名豊手工臭豆腐を発見できました。
鴨血麻辣臭豆腐80元
 我ながら…よく見つかったなあ!自画自賛ですけど我が「土地の雰囲気」記憶,こりゃあほとんど超能力に近いぜよ!まあその位,この界隈は変わってないってことだが。
 変わってない。前回初訪時は午前中だったけど,今回も変わらず,店内無人。ホントに名店なのか!?繁忙時間帯は実はもっと遅いとか,わしの訪問時間がおかしいのか!?それとも何かわしが騙されてるのか!?
 注文しますと,オッサンが覚悟を求めてきた。「有点辣,可以[ロ馬]?」(少し辛いぞ,いいんだな!?)
 その,熊を素手で捻るのが毎朝の習慣みたいな強面で言われると。
 確かに前回もそんな記憶がある。しかも,確か前回はただの麻辣で、鴨血も入った最重量級は初めてじゃなかったか!?大丈夫なのか…!?
 …。
 この日はこんなんばっかしだけど,後の記録を残してない。ただ,こちらはムチャクチャ美味かった記憶はある。美味かったんだけど,口の中が爆発して大変な状態に陥った記憶も,またある。この爆発により,文章表現の暇が無くなったのではないか,というのが関係筋のおおよその推測である。

 夜の帷も濃ゆくなり賑わい始めた臨江街を背に,タクシーで一気に台電大楼を目指してみた。
 125元かかった。地下鉄だと大回りになるけど,直接距離なら割と近いらしい。
 昨日に引き続き師大夜市を目指したわけだけど,昨日に引き続き…またまたどこで降りたか分からなくなってます。タクで「夜市まで!」って言うのも観光客っぽくてアレだし,夜のあの辺りで見当がつくほど土地勘もないし。
 えっと!?大きな道沿いなんだけど…どっちだろ?
 道を聴きまくって何とかたどり着いた記憶があるけど,着いてしたことは──。
 頂好も24時間オープンしてました。
 それからまた一之軒で甘味を購入。
手工麻[米署](黒糖紅豆)
抹茶[ン令]皮麻[米署]
芋頭[ン令]皮麻[米署]
布拉格蛋[米ソ/王/心]
養生豆ジャン蛋[米ソ/王/心]
計138元
 うーん。この夜,わしは何考えてたんでしょう?どうも意味のない歩き方をしており,こういうことをしてたら旅に深みは出ません。もう少し頑張りましょう。【38点】
 点数が低かったので落第を回避するため,ここにも行ってみました。

▲北港豆花の花生豆花30元

 おお!?超繊細な味やんか!!
 大豆味の豊さはさっきのメジャー店なんかと雲泥の差なのはもちろんだけど,それを香港みたいにストイックに「大豆。それだけ。文句言うな!」みたいに突き放すことがない。大豆味に,汁の微かな生姜の香と,ピーナッツのこれも柔らかな豆の味覚と歯ごたえがそっと寄り添うという暖かな味覚構造。このバランス,配役が誰もでしゃばらない硬派なドラマみたいないい味覚風景です。
 ──評価しないわけではありませんが,ありきたり。【42点】
 仕方ない。さっきの頂好Wellcomeにも突入してみようじゃないか!!
 さっき台電大楼の裏にもあった。明らかにスーパーのニッチ市場として台湾を狙い初めてる。松青や,今日初めて見た台湾地場のスーパーではこの内容には太刀打ちできまい。
 何と香港同様,EasyCardで買えた!
 買ったものはお土産系です。
牛頭牌沙茶醤 49元
真好家花椒 25
真好家牛肉滷包 49
真好家八角 53
林〇管全脂鮮乳 25
計 282元
 実はこのリストの最初,「沙茶醤」が2年後の福建料理旅行(廈門編)の端緒になって行ったのです。このいわゆるサテ・ソース,つまりインドネシア料理のエッセンスの中華化された味覚は,第五次韓国行きの外来食の現地化現象というテーマにも結びついて行くわけで──ってちょっと先生聞いてます!?
 ──分かったから。点はあげるからもう黙っててね。【52点】

 まだ及第点に至らないので,西門に帰ってからもう2軒行ってみました。これでどーじゃ?
「50年代創立」「滷味専売創始店」を謳う老天禄滷味。
 有名店です。今日もすげえ賑わいです。
猪脚筋 100元
海帯 20
豆干 20
 猪脚筋とか,この辺りは高くて大人気なんだけど,わしはやっぱり海帯(ワカメ)や豆干とかの安物の滷味の味に惹かれるなあ。
 もう一丁!休[門小芋園[女乃]茶(小)35元
 うーん…。珍珠[女乃]茶と変わらない…。小芋園って何だ?タピオカじゃなくて芋餅じゃないの?分からんぞ!ってゆーか,飲み物にこんなん入れたら飲みにくいだろ!?
 ──何か意味分かんなくなってきましたね。悪戦苦闘の努力は認めるというか,もう面倒くさいので【60点】
 よし,落第は免れた。人間最後は粘り勝ちである。書いとるこっちも何やっとんのか分からなくなってきたし,今日はこの位にしといてやる。