外伝02-5중국집:《第五次準備》食のグローバル化概念集

韓国では中華料理屋・中華屋を主に「중국집」と言う。場合によっては「중식당」や「중식집」と言う場合もある。韓国では「중화~(中華~)」という単語をあまり使わない。中華料理は、主に「중국요리(中国料理)」というが、本場の味に近い高級の中華料理を提供するホテルなどでは「중화요리」という単語をよく使う。(略)
読み方:중국찝、chung-guk-tchip、チュングクチプ

중국집の意味:中華料理屋、中華屋さん、中華屋 _ 韓国語 Kpedia

■材料1:プサンナビ

釜山のグルメ・レストラン | プサンナビ

■材料2:韓国風中華

◇レポ2-1:グローバル化した韓国式中華料理

グローバル化した韓国式中華料理
・リッツア提唱「マクドナルド化」
=マクドナルド戦略の特徴である効率化,均一化,マニュアル化,メニューの予測可能性)を含む合理化→世界各地に文化として根づいていった
・食のグローバル化
 ⊃マクドナルド化
→ローカル化の過程から自由といえない
・前川:グローバル化とローカル化が同時進行で発生
=グローカリゼーション
・(グローバル化と同時進行で進行)
 食の「再現地化」
=リ・ローカル化(relocalization)

1「食の現地化」とは何か

・外来食の変遷などに着目した先行研究はほとんどない
・前川
:「日本独自の展開のなかで生まれたローカライズされたメニュー」としての「てりやきバーガー」が台湾や香港のメニューに定着
:その味が「またその土地の人たちの舌に合うように微妙に変化(ローカライズ)」
:「グローバリゼーションとそれに対するグローカリゼーションの一対の過程が入れ子的に複層的に存在」
・てりやきバーガー≠本稿で扱う韓国式中華料理
 ↓
本稿定義
:「現地化」
=現地の生活習慣との結びつきの意味を強調
:「再現地化」
=さらに別の地域(特に発祥地とされる地域)で現地化されること
:韓国式中華料理
=現在の韓国で「中華料理」とみなされている料理
ex.①チャヂャン麺(炸醤麺:ツァーチャンミェン):カラメルが入った黒い味噌「春醤(チュンヂャン)」で具材を炒めて麺にかけたもの
ex.②チャンポン(炒碼麺:チャオマーミェン):唐辛子を用いた赤いスープの麺
ex.③ウドン(大滷麺:タールーミェン):日本のタンメンに類似
ex.④酢豚(糖醋肉:タンツーロウ):甘酸っぱいソースを別途にかけて食べるもの
[周辺]
ex.⑤チャプチェ(炒肉:チャオロウ):韓国の家庭でよく作られるが中華のメニューにある。

2.韓国における中華料理の現地化

[1882]朝中商民水陸貿易章程
・これ以降,中華料理(清国料理)が市中に現われた(一般的認識)
[1900年代]ホットッ(胡餅)屋がソウルに確認
[同時期]チャヂャン麺が一九〇〇年代初めに労働者の間で人気
[1924]同中国そば屋
・中華料理店が高級料理店とファーストフード店に二分していたと考えられる。
・特に低賃金所得者のためのチャイニーズフーズもあった。
[1940-60]中華料理店は一般的でなく高級料理であったとの証言多し
[1962]深刻化する食糧問題を受け「節米運動」叫ばれる。
[1963]米食を制限する「米なしデー」開始
・麺類の供給も不足がち→中華料理店全体の30%が休業危機
[1970年代]チャヂャン麺が物価安定のための基本品目として価格規制の対象に
[1973]サルパプ(米飯)販売禁止令
←朴正煕政権時代の米不足のなかでの政策
・韓国料理店・日本料理店・西洋料理店などには禁止令が出なかったのに対し中華料理店だけが禁止の対象に
[1976]朴正煕による教育権と財産権の剥奪政策
→韓国人経営者による韓国式中華料理店が増加
[1990年代]韓国式中華料理が高級化
・三鮮料理の成立
(本来)ハコエビ(またはイセエビ),アワビ,高級ナマコの三つの高級海産物
ex.三鮮チャンポン
[1990年代中頃~後半]「イェンナル・チャヂャン(昔風チャヂャン麺)」,「ソン・チャヂャン(手打ちチャヂャン麺)」の専門店が多数出現
・無国籍料理での中華料理利用も
ex.「四川八宝菜」
  「四川テンダーサラダ」

3.海外移民とグローバル化した韓国式中華料理

(1)海外移民の歴史
・韓国の移民ブーム
(年間移民)約一万人
→1995年:16千人超
(海外移住者数)約670万人
(2)ハワイ・ホノルルの韓国式中華料理
・アメリカへの朝鮮系移民約208万人
→うち35千人がハワイ居住
(不法滞在者などを含めると6万人とも:ハワイ人口約120万人中約3~5%)
・2003年,ケアモク周辺に三軒の韓国式中華料理店あり
・朝鮮系移民のタウンページ『韓人録』:ホノルルに韓国式中華料理店が十数軒
・これら店舗には北方中華料理・北京料理・山東などと記載
→韓国華僑の故郷との関係が強調
・黒いソースのチャヂャン麺や赤いスープのチャンポンなどが出てくる。味は韓国のものと大きく変わらない。
・「韓国式中華料理」と説明を受けても,日本の旅行客は,単に「ハワイの中華料理」と捉えていくことになる。