外伝09♪~θ(^4^ )第四次香港+@
帰路×第二日

[今期首]
引当 670/負債 670
[今期中]
0900彩龍茶楼
茶(寿眉)
シイタケ入り排骨飯
エビ餃子 37HK$/400
1140[月巴][女馬]茶餐庁
[減-シ]魚鶏粒豆腐飯34HK$/500(900)
1215楽芝堂涼茶
甘四味8HK$
1330倫敦大酒楼
ハムとキャベツのお揚げ巻
蒲鉾ゆずXO醤 56.1HK$/400(1300)
1500華[女且]清湯[月南]
清湯牛筋35HK$/200(1500)
1600天天素食
髭餅
蓮[サ/容]棋子餅 11HK$/×300
1700快楽餅屋
鶏尾包
ロールケーキみたいなの
黄色がかったお餅みたいなの 10.5HK$/450(1950)

旅の終 近づくけれど 空振りし
 さて明日はついに帰国日。今日は終日を香港に投入できる唯一の日になります。
 多少は張り切って6時45分出発。まず目指したのは上還,永合成茶餐庁。
 明日最終日の早茶はやはり陸羽だろ?となるとここへは今日行っとくべきだろ?
 けれども人生,意気込みだけじゃあ,どーにもならんこともある。永合成は,行きと同じく無情なシャッターでした。なぜだあ!
 ついでに,潰しで行った海安珈琲室もやっぱりシャッター。こっちには貼り紙があるぞ,何何?「20日から中秋休み取ります」
 なるほど,旧習を重んじる香港島老街では,中秋前後は正月並みの感覚で過ごすわけか?ん?でも「23日再見」って…今日がその23日ですけども?
 こりゃあ…おそらく台風だな!?客足の鈍りを見込んでか,出勤を避けてか?
 そう言えば。月曜日なのに街中の人影は明らかにまばら。列車内にも立ち客がいないほどだったな。――これまた昨夜に続き貴重な光景です。
 ただ,そうであっても,今日一日しかない事実はどうせ変わらぬ。
 雨をドシャリと降らせては止んでを繰り返す疑念の雲が,天空覆い尽くす香港,7時半。これは上環を徘徊するのは危険だな。
 こうなってきた時には,むしろ今までやったことのない冒険的な行程を取った方がうまく行くことがある。これはさすがにわしも初めてだし,観光客は誰もやりそうもない偉業に挑むことにする。
 題して──[サ/全]湾線全16駅乗り尽くしツアー。
 またの名を,[サ/全]湾まで16駅座りっ放しの刑とも言いますな。何かやや自虐的な気分になってるな。
 というわけで朝からとても楽しいです。

意外だな 30分しか かからない
 楽しい時間は早く過ぎるもので,特に今朝はムチャクチャ楽しかったので,ほどなく[サ/全]湾着。8時5分。もっと乗ってたかったのになあ。
 しかしまあ…楽しい気分をさらに掻き立てるのは,この,なかなかシャレにならん豪雨。
 かなり不安ですが,一応走ってたので80番川龍村行きミニバスに乗る。乗客3人,明らかに地元民のお婆ちゃんと兄ちゃん。8時40分発車,雨は一時的に上がってる。
 いつもの山道をバスはうねりつつ登る。雨雲の連れてきた濃霧を抜けて村に出る。
 バス停から斜面を降りて瑞記茶楼へ。一階に円卓を囲む一団がいたので安心して入ろうとしたら──「今日はやってないよ」と手を降られた。
 いやあ楽しい1日になってます。
 仕方ない。仕方ないけど,バス停脇の2軒の早茶屋はちょっとなあ…と未練がましく覗いてたら,ここのお姉ちゃんがまた大層強引で…いつしか引っ張り込まれてしまってました。

▲彩龍茶楼の飲茶

山肌に セルフ飲茶の ゆかしさよ
 9時ジャスト。右往左往してようやく朝飯にありつけたことになります。店名「彩龍茶楼」。
 お店の仕組みは瑞記と同じ。最初の部屋で,お茶をセルフで急須に淹れる。並んでる点心の皿から欲しいのを選んで,奥の食事スペースへ。
 座席は10席ほど。見た目は日本の田舎の定食屋そのもの,壁には5種類ほどの定食メニューまで掲げてあるのもまさにそう。さらに言えば──夜の一品料理がメインの店らしい。「京都骨」48元というのがムチャクチャ気になるけど,まあ何でも食わせまっせ屋ですかね。
 さてセルフで揃えた品々は
茶(寿眉)
シイタケ入り排骨飯
エビ餃子 37HK$
 うーむ。ありきたりの飲茶ネタだなあ。まあ代用だしなあ。さらに今日は空振りデーだしなあ。
 しかしながら──これが意外や意外と言っては失礼だけど…好かった。面白かったってゆーのかな。
 茶はかなりいい。この村の決まりなのか(そんな訳ないが),瑞記と同じく4種から寿眉を選んだけど…。
 美味い。最初は緑茶のようで,最後には紅茶になっていくあの変化も素晴らしい。
 でも野晒しになってる茶葉がそんな高品質とも思えないがなあ。水なんだろうか?
 小[口乞]のチョイスは瑞記ほどはないけど,たった今出来上がりました,という素直な形態は同じく好し。
 排骨飯の排骨もシイタケも極めてシンプル。蒸しただけです。
 しかしどうやってるのか?脂が抜けたホロホロの率直で強い肉質になってる。チキンかと間違えたほどです。技巧的なスパイス使いはまるで感じられないんだが…。シイタケも同種。
 さらにコレ…飯がスゴい!ふわりと蒸してあるのに,一粒一粒がきちんと引き立っている。噛むほどに溢れる複雑な甘味,むおんと香り立つ米香。これに微かに排骨とシイタケのシンプルな出汁が染み出てる。
 以前は,こんな飯をなぜ飲茶で出すのか分からなかったけど,今日確信した。畢竟,お茶に一番合うのは,美味しいご飯!ジャポニカが緑茶に合うように,インディカには中国茶,特にプーアルとか白茶とかにピタッと合う。あるいは,そういう炊き方があるみたいです。
 エビ餃子は,こうなるともちろん,だけど美味かった。エビのプリプリ感も日本だと感動的なレベル。
 なんだけど今日のコレは,何だろうか?皮の粉の歯応えを含む効果に魅せられた。
 つまり,海蠣煎に入ってた粉と同じ。広く言えば広島風お好み焼きに通ずる。粉の存在が具を格段に引き立て,かつまろやかにトロける味わいに変転させてる。
 今現在,日本人観光客が小[口乞]の代表だと思ってる小龍の粉包み系統の数々は,それが本質なのではないか?味わっている主体は粉,つまり小麦なのであって,それが具を生かしてる。「具がプリプリ~」という感覚は非常に片面的というか,片面にすら至っていない浅い味覚で…お握りやハンバーガーと同じなんだと思う。皮こそが本来食わせたい対象で,具はサブ。
 であるからこそ,全体として成立してる料理。そういう風に思えたわけです。

[サ/全]湾(チェンワン)に 昼飯食いて 空の笑む
 [サ/全]湾市内まで戻る。雨が上がってきた喜びに身をまかせて市街を歩き回っていると,[月巴][女馬]茶餐庁といういい感じの町食堂を見つけてしまう。11時半開店らしいので,ついでにもう一歩きしとくか,と市街地をグルッと回ってみる。
 ここの下町は普通っぽさがいい。いわゆる香港らしくはないけど,普通の東南アジアの町という風情がたまらない。
 少し中心を離れるとモールもいくつかある。外資ではイーオン,国内チェーンでは翡翠や銀龍が流れこんできてるみたい。この辺りまで足を伸ばすのは3年ぶりですが,前の印象とはまるで変わってきてます。
 中の一つには何と,丸亀うどんまでが入ってました。が,角地の一番いい場所なのにガラガラ。
 まあ粉モノの旨さでは漢民族は厳しいだろからな。
 11時40分。入店。
[減-シ]魚鶏粒豆腐飯34HK$

▲[月巴][女馬]茶餐庁の[減-シ]魚鶏粒豆腐飯

食堂的な あまりにも 食堂的な
 これはまた,非常に「普通のお母さんが作ってますよ」というお店です。次々にビジネスマンが訪れて,昼メシを詰め込んでいきます。
 何気ない味。
 例湯は,排骨を基底に効かせながら,味の中心はあくまでゴロゴロしてる蓮根。この2つが,泥臭いながら落ち着いた美しい味を成してます。
 豆腐も「醤油煮か?」と思ったほどさりげない。
 鶏粒というのはチキンの挽き肉らしい。ここから出た肉汁と,汁に溶け出てるらしい魚の塩干しの香り高い辛味,それからぶつ切りにした生姜のアクセント。チェーン店と違いどこか危なっかしい微妙なバランスを成す味覚だけど,その絶妙さに徐々に酔っていきます。
 で,この美しいバランスの中央には,もちろん豆腐。
 沖縄以上に固い豆腐からは,ムッと泥の臭いのしそうな大豆がある。それが,具のいずれもを図太いまでの懐の広さでしっかり受け止めていきます。
 こういう店はもうネイザンからは消えてくのでしょうか?

一口に 脳髄痺れん 涼茶かな
 12時15分。広州から癖になってる涼茶を一杯。楽芝堂涼茶といういかにもなお店にて。
甘四味 8HK$/碗
(大樽22元 小樽13元)
 ケチって碗にしといて良かった。倹約は身を助くる(違うか?)。
 この茶に「甘」なんて漢字を当てた奴,ちょっと表に出ろって感じ?
 ものすごい苦さです!心象風景的にははらわたをひっつかまえて校庭3周くらい引きずり回されてる感じ?
 綺麗なお姉ちゃんが売ってたんだけど,その顔でヒドいことするよなって感じ?(でも買ったのはあんただよって感じ?)

▲倫敦大酒楼の飲茶

旺角の 午後は倫敦 大酒楼
 間に合うか?[サ/全]湾で思いがけず長居してしまった。一気に九龍サイドに取ってかえして13時半,倫敦大酒楼に突入。
 3階エレベーターが開いた途端,ワンと襲い来る声の瘴気。ここは相変わらず賑やかというか五月蝿いというか,ちょっとは黙って食えんのかいお前ら!というか。
 この日に陣取った入り口奥のエリアは,顔馴染みの多いロケーションらしい。給仕さんたちが皆さんにこやかに談笑して行くんで…微笑ましいながら,ちょっと疎外感。
 さてワゴンが来た。旨そな点心は…と。一品目は
ハムとキャベツのお揚げ巻
 しまった!これ点心と言うには普通だぞ?と思って食ってくと,お揚げにハムの汁が染みこんできてなかなかに食わせます。それだけかと思ったら,何か甘い。野菜,おそらく春キャベツみたいなのの湯がいた時に出るあのナチュラルな甘味がバックにあり,それがハムの肉肉しい汁にマッチして…つまり鹿児島ラーメン的な甘辛さをお揚げに与えているようです。面白い一品でした。
 ニ品目。
蒲鉾ゆずXO醤 計56.1HK$
 あまりの意外性から,最初どうしても思い出せませんでした。中華で柚子なんて使うのか?今度蒲鉾に柚子醤油で食ってみよう。
 と思ったけど,どうもそう単純に真似できる味じゃなさそうです。蒲鉾の中に噛みにくい草,おそらくレモングラスみたいな香草が隠れてる。これがソースの中の柚子と複雑に絡む。同じ柑橘系ながら全く別系統の酸味が,清らかな蒲鉾魚肉味の後ろで交差してるこの味わい!──よく考えるもんだなと感心してしまいます。

黒衣街の スイーツ屋まで 消えている!?
 これは衝撃でした。ここは初回の香港からの付き合いで,かなり固定客もいたはずの店だし,ガイドブックにも時々登場する名店だったはずなのに。
 旺角の地下鉄と鉄道の間,かなりマイナーな一角です。そこに何が出来てたか?
 中国人民元専用両替所。
 今香港のあちこちに増殖してるこの窓口と,間違いを期待してかスイーツ屋が2軒出来てます。当然ガラッガラ。
 こういう「小さな宝石」店がチャイナマネーに抵抗できるはずもないわけですが,これを誰か又はどこかの組織が意図的にやってるとすれば…大陸中国の経済展開力に寒気のするような狡猾さを感じます。
 代わりってわけじゃないけど,薬坊(ドラッグストア)で北京牛黄解毒丸を見つけた。体に合うらしく毎回購入瓶数を増やしてます。今回は3瓶購入。ここは1瓶47元。

▲華[女且]清湯[月南]の清湯牛筋(米粉)

天后に トラムの過ぎる 牛[月南]や
 香港島に渡り天后の華[女且]清湯[月南]を再訪した頃には15時を少し回ってました。
清湯牛筋(米粉)35HK$/200(1500)
 前回心残りとなった牛筋を試しておこう。──と来店したんだけど,これはいかにも貧弱な見かけですね。
 しかし大正解!見た目は牛[月南]に劣るし看板メニューじゃないけど,はっきりと大正解!
 舌の上でほろりとこぼれる筋肉。
 なのに湯の中でほんのり醤の味を中に保ちつつ,口にとろけるのを待つコラーゲンの塊!
 それにも増して激賞したいのがスープ!珍しく化学調味料も鶏ガラパウダーも感じない自然な旨味に,複雑な塩味が染みてます。前回は味の強い牛[月南]にしたから感じにくかったんだろうが,これを味わうなら明らかにピーフンがいい!見た目にも,黄金色のスープ中に短いスプーンサイズのピーフンが泳いでるような,シンプルな美しさ。
 ここは確かに名店!おかげでメディア的にはもっと有名らしい隣の「大利」には,また入りそびれてしまいました。

南天下 トラムに揺られ 香港島
 16時15分。天后駅前の留仙街からトラムに乗車。おそらく湾[イ子]まで。二階まで満席で立つ場所もないけど,それでもやはりこの乗り物だけには乗っておきたいんであります。
 とか言ってたら,銅鑼湾で一番前の席を見事ゲット。いいぞ,やっぱり香港島トラムはいいぞ!!!
 銅鑼湾にそごうってあったっけ?目抜き通りです。これはすごい席だぞ!
 高架下のパンパン叩きおばさんは健在。2人営業中。
 太陽がやっと差して来た。
 湾仔東入り口のコニカ・ミノルタの看板が近付く。ここにも吉野家が開店。
 ここの百佳酒店って安そうでいいな。
 湾仔商業中心に恵康が開業してた。
 さてそろそろか?快楽餅屋の界隈はどの辺りだったか?足が覚えてるて思うが…。

まだあるか? 快楽餅屋 まだあるか?
 いつもこのパン屋にはハラハラする。思ったより西にあるからです。すぐ北の公園を目にしてやっと安心できる。好かった…ここはまだあった。
 17時丁度,快楽餅屋に至る。良かった。ここはまだあった!
鶏尾包
ロールケーキみたいなの
黄色がかったお餅みたいなの 10.5HK$/450(2250)
 ここのパンさえ食えば,香港は満足!何があってもいい,と思えてきます。
 旅の終わりが近づいてます。

(→2日目(続)夜と最終日の記録へ

▲昨夜の分までギンギラギンな最終夜のネイザンロード