外伝09♪~θ(^4^ )第四次香港+@
帰路×第二日夜~最終日

[今期中間]
消費1800/収益1950
利益 150/
積立 520/負債 520
[今期中]
1940順徳人(佐敦)
椒[糸糸]腐乳通菜牛肉+白飯+本地生菜 66HK$/550(2500:▲30)
[今期末]
消費1800/収益2500
利益 650/
積立 130/利益 130

9月25日(星期二)
0645永合成茶餐庁(上環)
鼓汁排骨飯 48HK$/600
0740陸羽茶室(中環)
ポーレイ茶
馬来餅
海老焼売121HK$/400
1230機内食/500(1500)
2000大福うどん(博多駅)
ごぼう天うどん/400
[今期末]
消費1800/収益1900
積立 100/
積立 230(累計)/

鶏尾包(ジービーパオ) 香港パンの ここに有り
 帰国前日,香港中日の講釈を少し続けます。
 湾仔のこのパン屋は,初回に見つけて通いつめてきました。
 湾仔中心部からかなり外れた街角にふとある小さな店。客足の絶えることなく,しかし手際よく軽妙な手渡しの手際良さで行列が作ることもなく,常に気持ち良い緊張感を持つ香港らしい小店。本当の名店だと,いつも惚れ惚れします。
 ただ,このスピード感上,パンのチョイスはほぼ反射的に行わざるを得ません。
鶏尾包①
ロールケーキみたいなの②
黄色がかったお餅みたいなの③ 10.5HK$/450(2250)
 今回はいつものお店裏手の公園食いをせず,お行儀良く(?)宿で中国茶のアテにしました。
①鶏尾包:ここのはホント…出来損ないです。出来損ないでありながら,いやあるからこその独自の形を完成してるとこがスゴい。――ひょっとしたら,鶏尾包の初期形態こそがこれだったんでしょうか?
 明らかに平べったい生地に,等間隔にアンを点で落として山形食パン風に押さえる。おそらくそれだけ。ただそれだけの,給食に出してるんじゃないかと思うようなパンです。
 それだけでどうして…このクリアで繊細な生地と,アンの程よいジャリジャリ感と,ここまで完成されてしまえるのか?
 今回,ただ一食の鶏尾包になりましたけど,これ一個だけで十分です。香港パンここにあり!!
②ロールケーキ:ビックリしたけど,考えたら…そりゃ美味いわなあ!
 クリアで繊細なここのパンを蛋餅にしたら,そりゃまあ,こうなる。クリームはほとんど入ってなくて,ほとんどないがゆえにアクセントとして最高に生きてます。
 これらはまさに鶏尾と同じ構造なわけです。
 飲茶に出ても満足できるほど,シンプルに透明な味覚のケーキです。
 カステラみたいに甘過ぎず,チーズケーキみたいにとろけもしない,キチンと存在感のあるこの生地…これ何に例えようもない。快楽のロールケーキと呼ぶしかない。
 お餅。これは想像出来なかった。
 腸粉です。外皮はまさにあれで,それだけでも飲茶に出そうなピュアな水餅的な食感。それなのに,中に入ってるのは…ピーナッツ!しかも粗く砕いただけのクラッシュタイプです。ピーナッツクリームを意識しつつ,歯応えも残したということなんでしょうか?
 よってこれを併せて食しますと…水餅のQQな食感の中から,ピーナッツの歯応えと香りが湧き出てくる。ありそうでない味覚です。
 常に忙しく客が並ぶから観察してる暇がないんだけど,ここの挑戦心はスゴい。けどもさらに,その多様な形の中に,本来の自分たちのパンをきっちり埋め込んでしまえるパワー。これもまたスゴい。
 ここはせめて…次に来るまで残しといてほしいんですけどね。大陸中国人の皆様方。

▲順徳人の椒[糸糸]腐乳通菜牛肉+白飯+本地生菜

広州に 冠たる我ら 順徳人
 19時40分。佐敦の順徳人に進入。店名に題して「魚米至尊 魚湯米線至尊 順徳家郷小菜」。
 即ち定発(注文)せしは
椒[糸糸]腐乳通菜牛肉+白飯+本地生菜 66HK$/550(2800:▲330)
 疲れるので漢文もどきは止めるが…この時間のこの店に入れるとは思わなかった。出口すぐの浮き席で最悪ではあるけど,ここの食を今日のシメに出来るのはラッキーと申せましょう。
 しかも…参りましたお膳は野菜だらけ。こんなのを中国で食べれるのは,順徳感覚ならではだと思う。さながら中国のイタリアといったところか。
 腐乳は,やはり非常に微妙な調味料だ。野菜に使われるとそれがさらによく分かった。青梗菜への作用は,牛肉の方がもちろん強い。ただよく注意すれば,通常の野菜とは甘味が微妙に,しかし確実に違う。
 特に野菜の臭みの部分が,何と言うか臭みはそのままにマロみを帯び,酸っぱ旨くなってしまってる。
 牛肉もそう。よく見れば汁が白濁してるし,牛肉の野生味の角が丸いというか,素材はそのままにハムのような味わいになってる不思議な感覚。
 本当に味わうならやはり野菜だけで使うべきかもしれないけれど,実際の広東の食生活ではそんな露骨な使い方はしないようです。実に,裏方に徹するタイプの調味料らしい。
 もちろん,ご飯も生菜も文句なく美味い!何せ「魚米至尊」です。全く抵抗なく平らげてしまいました。ごちそうさまッス!
 おまけ。その夜,宿で見たテレビ局・翡翠台の予告。
科学番組「動物大爆発」
 最終夜,大草原に平和に暮らすライオンとかキリンとかが中国人の陰謀(?)の餌食となって,片っ端からチュドーン!!チュドーン!!と爆裂していく夢にうなされたことは言うまでもない。

▲永合成茶餐庁の鼓汁排骨飯

釜飯を 極めて香る 広東[イ子]
 早起きしたつもりだったけど入店は6時45分になった。永合成茶餐庁。
鼓汁排骨飯 48HK$/600
 仏の顔も三度まで…じゃなくて三度目の正直!だけど,ここじゃなけりゃ丼飯か何かに見えるメニューやね。
 客はまだ一人。
「要十五分好不好?」
 おばちゃんに言われる。うん,まだ何とかなる時間でしょう。「没問題」待ちます待ちます。
 ここで「モウマンタイ」(没問題の広東語読み)が出たらいいんだけど。広東語も少しは勉強したいなあ。
 言葉と言えば,廈門と広州では,例えば何か買って帰る時に「マンズ!」と言われる。「満足」の広東読みだと思うけど,何で店に満足されなきゃならんのか,用法が分からん。それと,この語法はなぜか香港ではあまり使われない。
 さて,[イ子][保/火]が来た。本格的な釜です。本場の[イ子][保/火],つまり釜飯は昨年の順徳以来です。
 う!美味い!!
 排骨が脂を程良く残してる。脂身の部分にはズルズルにならない程度の脂が香ばしく,赤身は出汁ガラにならない程度のスカスカした味わい。必要以上に気取らない,茶餐庁のスタンスも保ってます。
 煮付け時に付けてるらしい硬い味わいのままのニンニクが,香ばしく鼻孔を突く。
 これにブラックピーンズがしっかり効いてる。今まで鼓汁と言ってもほのかに香りを乗せるタイプばかりだったように思うけど,おそらく勢いを殺してない排骨と共鳴させるためだろう,表面はほとんど豆ご飯状態。
 排骨の脂と,そのニンニク臭い,それとこの黒豆が合わさる時,これが不思議にどっしり安定した味わいになる。
 そして――それらを載せた,若干の焦げ目のついたご飯。
 時間から言っても味からも,確実に炊きたて。
 具材の香りは微かに飯に染みているのみ。飲茶で出る炊き込みもこんなもんだから,広東のは日本みたいに調味料でベトベトに炊く醤油ご飯じゃなくて,香りのみを付けるものなんでしょう。これはおそらくは,米の種類から来る違いで,インディカの場合,サラサラ感と米そのものの香りを殺したくないからなんでしょう。
 もっとも,オバチャンが指導してくれた通り,ソースをかけて自分で混ぜくることで,さらに具材の旨味が飯に合わさるようです。これは,ひつまぶしよろしく,食べるに従い徐々にやって段階を楽しむのがベターみたい。
 本日最初の客だったみたいですが,続く地元の馴染み客は,やはり[女乃]茶とパン(ポリが多い)。[イ子][保/火]を朝から頼むのは一見のガイジン観光客だけなんだろか?認が高い。
 でも,それは覚悟の上。旨けりyanben朝からごっつあんでした。

▲陸羽茶室の飲茶(ポーレイ茶,馬来餅,海老焼売)

最終日 陸羽へ急ぐ 朝ぼらけ
 速攻で中環,スタンレーストリートへ。この通りは入口を見つけ損ねると面倒だけど一気に行けた。
 7時40分到達。ここを外す訳にはいかぬ陸羽茶室。2階へ上がりこむ。
ポーレイ茶
馬来餅
海老焼売
 一緒に階段を上がったオバチャンが「マーレーカオ!」と唄ってたので――あの口についた節は既に一種の唄だと思う――座ると同時に一つ。となると今回は,何となくありきたりの品を攻めてみたくなった。変わり映えしない焼売も続いてゲット。
 初回から感激しっ放しのポーレイは…流石に見事!一煎目を捨てさせないことから考えて,茶葉プラス淹れ方にも奥義がありそう。トゲもクドミもなく,どこまでも柔らかく甘臭い黒い液体。
 さて点心。まず海老焼売から頂く。
 造りは,もう何もかも普通です。上部でクルクルと束ねられてる以外は皮も普通。具はネギ,豚肉ミンチ,むき身の海老,薬味に微かなニンニク。中華スパイスも,シェンツァイなど特殊な薬味も感じられない。要するに,日本での普通の餃子と何ら変わりばえのない素材です。
 それが…全く日本には有り得ない美味を構成する,この妙義!
 一体何が違うんだ?
 そこが結局は分からないまま酔っていたと言っていい。けれどあえて理解できたような気がした点を二,三挙げるなら――。
 皮が腸粉。うーむ,日本人が読んでも何のことか分からん表現だけど…確かにこの皮は腸粉と同じ,あるいはそれ以上の滑らかさと透明感を持ってます。それだけで食べれる餃子の皮,と言えば思想性の違いが伝わるだろか?
 ネギがシャキシャキ。今度は日本人しか分からんだろけど…妙な新鮮味があって,歯応えも香りも最高なネギなんであります。単に品質がいいと捉えるのが自然だけど,近場にそんな高品質の野菜があるとは聞かぬ。ならやはり加工法なのだろう。――というとこまでで,それがどんな方法かは考えつかぬ。
 上部に束ねた皮が,単なる飾りでなく,皮:具の比を押し上げる効果をもたらしてる。例えば,東北餃子の旨さは,皮の厚さ,つまり粉を明らかな主役とするところにある。陸羽のこの焼売は,皮は普通に見せながらも,この飾りの粉の分量で東北並みに小麦の主体度を上げてる。――つまり,順徳でも広州でも感じた「尊米粉攘夷」みたいな炭水化物至上の食生活感覚が,日本と同じレシピからここまで違う出力を導いてるんじゃないか?
 つまり,この日選んだ「陸羽にしてはベタな品」とは,畢竟,この尊米粉攘夷を最も反映した品だったわけです。それは,実は次のマーラーカオでもっと顕著でした。
「中華風蒸しカステラ」と訳されるマーラーカオ。実は国外でちゃんと食べるのは初めてでした。逆に言えば,国内で食ったものは,陸羽のとは…失礼ながら次元が違いました。
 口に入れた途端,口腔に満ちる苦く甘い不可思議な味覚。黒糖あるいはカラメルと小麦の焦げを融合させた香りと推測します。
 これが咀嚼するに従い,スカスカの生地が深々とした一種の苦味を発し始める。この時の味が──素晴らしいの一語。蒸し立てのマントウの小麦香と黒糖の焦げ香の後味なんだろうか?鼻孔をくすぐる至高のアロマ。
 それだけでポーレイがどんどん入る。黒い液体と黒いパンケーキの,かつて味わったことのない完璧なマリアージュ。
 陸羽の早茶。変わることなき至福の一時。

▲陸羽茶室の飲茶,再掲

帰国行 終(つい)も手荒く 朝ラッシュ
 8時50分,美林賓館を退房(チェックアウト)。
 さ…流石にこれは遅いだろう?
 9時,地下鉄ホームにたどり着くも,列車に乗れない。ラッシュを考えてなかった!4便見送ったけど,尖沙[ロ且]からは1便に2~3人しか新たには乗れない。どうも場所が悪いらしく,他の乗車口に並び直したが。
 金鐘まで東京並みのラッシュ。香港島中央部だから東京なら丸の内。なかなかもって中国の都会の通勤ラッシュは侮り難いぜよ。
 ぜいぜい。9時10分,エアボードエキスプレスにたどり着く。そうか…この列車の大きな欠陥を発見してしまった。さっき駅員に聞いたから間違いない。これは…陸羽でポーレイ茶2ポットをお代わりしてしまった現状では,死活問題である。
 車内にトイレがないのじゃ!

▲香港市街東方,人(わしだけ?)呼んで「墓だらけ山」。エキスプレスから一瞬だけ見えるこの隠れた(わしだけ?)名所を激写!

何だかだ しながら夕べの 博多入
 16時45分,福岡空港の地下鉄駅に降りていく。
 いやあフライトは快適でした。何とファーストクラス!購入はビジネスだったし,隣席も不審がってたから何らかのラッキーだろう。ただそこは中国,最後までなぜなのか説明はなかったけど…。
 この隣席の男,北京大学在籍,香港との交流で来てる「微電子」研究者。福岡の学会に出席するとのこと。
 日本人スチュワーデスが3人いたけど…こっちの口から日本語がスムーズに出ない。あまりにも中国語世界にどっぷり浸かり過ぎた10日間でした。
 いや~濃ゆかったなあ!
 少し時間が残った。博多でまったりして帰ろか。

博多駅 大福ごぼう天 うどん吸う
 大福うどん。最近,自分的に博多の味の代名詞みたいな存在になってます。れっきとしたチェーン店なんだが,何でこんなにコシがなく,何でこんなに染みるのか?この満足度,今回の「ニッポンお出迎え飯」に選んで大正解。
 箸を置きながら,機内食で出た醤油飯の味を思い返しました。
 醤油とは言え,大陸的な硬質さを備えた図太い飯粒。禅的に直線の味覚。
 一つ前の中国旅行,山笠直前に回った安徽省の味が近い。あの,ぶっとく大地に寝そべったような食感。
 それはある意味,今次最初に訪れた貴州の味に似る。が,貴州のはまた別の意味で──辛味の変幻のレベルで繊細で。
 繊細と言えば,もちろん今朝までの広東の舌の細やかさ。
 中華という料理の多彩ぶり。例えば「欧米料理」とか言うのと同程度にある意味ナンセンスな言い方です。
 そもそも〇〇料理なんて,食文化のアルゴリズムに過ぎないのか?手っ取り早く文化を理解するための類型なんて,所詮どこまで行っても多彩な現実とは一線を画してて。
 和食と言えるかどうか微妙な博多うどんの余韻に浸りつつ。