{=外伝13新加坡*4日目写真集2}

▲プラナカンな建物光景

▲花のあるプラナカンな建物光景

▲夜のシンガ街角その1

▲夜のシンガ街角その2

▲夜のシンガ街角その3

[レポ転載]シンガポール地元校を日本人は選ばない

■教育目的でのシンガポール移住:ジム・ロジャーズ氏
 最近のシンガポール界隈で「シンガポール進出や移住は節税目的でなく子供の教育目的だ」という”珍説”を唱える人も出てくるなど、一部でシンガポール教育が強引に脚光を浴びることがあります。(なぜ”珍説”かと言うと、大企業進出が終わっているシンガポールに今頃進出する企業は、国内売上中心のガラパゴス企業。それがシンガポールに現地法人を作ったり本社を移すだけでは、売上が日本にある以上日本の税制影響が強く、節税困難。節税で目立った効果が無い以上、移住目的が節税には最初から成らない)
 シンガポールへの教育目的移住で最も有名なのは投資家ジム・ロジャーズ氏。2007年に家族とともにニューヨークからシンガポールに移住。理由は娘が中国語を習得し、アジア文化への理解を深められるように。ニューヨーク時代から中国人ベビーシッターを雇い、中国語で話しかけてバイリンガルに育てています。移住地を中国にしなかったのは、公害がひどいことが理由。娘の進学先は、インターナショナルスクールでなく、地元校(ローカル校)のナンヤン・プライマリー・スクールです。地元校の中では名門校ですが、それでもクラスで唯一のアメリカ人です。
「1807年にロンドンに移住することはbrilliant(素晴らしい、明晰なこと)だった、1907年に米国に移住することはbrilliantだった、そして2007年にアジアに移住することが次のbrilliantだろう。」とジム・ロジャーズ氏は言っています。

AsiaX: トップインタビュー: ジム・ロジャーズ
プレジデントオンライン: シンガポールで密着――ジム・ロジャーズの24時間

■滅多にいないシンガポール地元校を選ぶ日本人/欧米人
 ところが、です。「やっぱりそういう時代よねぇ、シンガポールやロジャーズ氏はすごいよね」「地元校だとうまくいったら、日本語・英語・中国語のトリリンガル?!」と口で言う人は割りと多いですが、ジム・ロジャーズ氏の後に続いて地元校に進学する日本人/欧米人家族は少数派です。大半は日本人学校かインターナショナル校を選びます。地元校を選ぶのは、日本人や欧米人でもシンガポール人と結婚した家庭が大半です。その理由を4つ紹介します。
1. 学校を選べない
 欧米人の最大の理由がこれでしょう。
 シンガポールの学校は学区制ではありません。つまり住所と学校が1対1に対応していません。小学校の時点から国内の全学校に選抜を経て進学可能です。なので小学校の時点で地元校の中にもロジャース氏の娘が入学するような有名校があり、そこに入れるために教育熱心なシンガポール人の親は死に物狂いです。
 小学校入学時のため、入学選考には学力以外の要素が使われます。選考がフェーズごとに行われ、国民と永住者が優先して選択し、それでも空きがある最後のフェーズで初めて外国人が申し込むことができます。
 つまり、外国人は、国民と永住者が選び終わって、それでも定員を充足していない学校にしか入学できません。
 また、小学校入学後にシンガポール赴任などで移住し、小学校一年以降に申込では、定員に空きがある学校にしか申し込めません。
 小学校一年入学以前にシンガポールに居住し永住権を保持しておかないと、学校選択の余地が格段に落ちます。
 今のシンガポールでの永住権取得は、居住開始から永住権取得まで5年超かかるのが一般的になってきています。駐在員や現地採用者では赴任してすぐに永住権取得は困難で、学校選択に制約がでます。
 GIPという40億円以上の年間売上企業を持つ富裕層起業家が2億円をシンガポールに投資するスキームや、シンガポール人との結婚による配偶者スキームでは、移住前後での永住権取得も可能ですが、利用できる人は限定されています。

2. 英語力不足、学力不足
 日本人が地元校を選ばない最大の理由が英語力不足です。
 シンガポールの公用語の一つは英語です。地元校の授業は原則英語で行われます。
 両親共に日本人だと、日本語・英語・中国語のトリリンガルは相当厳しいです。英語は学校教育に期待するとして、日本語の補習が必要になります。日本語維持だけでも精一杯なので、母語が中国語・マレー語・タミル語の標準語以外だと、母語教育は免除を申請できるのですが、それでは地元校を選択する魅力に欠けると考える人もいます。
 欧米系家庭だと、英語力は問題なくとも、学力不足がネックです。
 シンガポール地元校は教育を大学卒業までシンガポールで完結するのであれば強力ですが、そうでもなければ「つめこみ教育は可哀想」「そこまでする意味があるのか」「他にすべきことがあるのでは」と考える日本人/欧米人の親は多いです。シンガポールには限定された期間のみを住む人が、日本人と欧米人では大半なのですから。

■シンガポールはどれぐらい教育レベルが高いのか
 シンガポールの地元校がどれぐらい教育レベルが高いかを、PISAとIBDPの指標を使って見てみます。
 PISAでシンガポール3位、日本5位、英国23位、米国29位
PISAという国際学習到達度調査があります。OECD加盟国の多くで義務教育の終了段階にある15歳の生徒を対象に、読解力、数学知識、科学知識、問題解決を調査したものです。
 PISA最新2012年度の結果は以下のようになっています。参加65カ国中の順位です。
数学化学読解
1位 上海(中国) 上海(中国) 上海(中国)
2位シンガポール 香港 香港
3位 香港 シンガポールシンガポール
7位 日本 4位 日本 4位 日本
26位 英国 20位 英国 23位 英国
36位 米国 28位 米国 24位 米国
52位 マレーシア 53位 マレーシア 59位 マレーシア
 とは言え、米英は国内でも教育格差が激しいです。日本の駐在員より欧米系駐在員は少数精鋭です。
 エリート家庭であることが多い欧米系インター校生徒の層を、母国のPISAで判定することは、実態との乖離があるでしょう。そこで次の指標を紹介します。IBDPです。
IBDP (国際バカロレア: ディプロマ)
 国際バカロレア (IB) という教育プログラムがあります。インターナショナル校の卒業生が、国際バカロレアの中でもディプロマ(DP)の課程を修了することで、大学入学資格を得ることができます。ディプロマ資格取得には、統一試験への合格が必要です。統一試験とあるように、ここで取得した成績は学校が変わっても同じグレードとして評価されています。なので学校が異なっても、点数を比べることが可能です。
 下記のアングロチャイニーズはシンガポールのトップ地元校、UWCSEAはシンガポールのトップインターナショナル校です。試験は45点満点です。
アングロチャイニーズ 41.54点
シンガポールローカル校平均 36.53点
UWCSEA 36.5点
世界平均 29.95点
 2013年にシンガポールでは、IBDPを975人が地元校から受験しています。世界平均が30点のところ、シンガポールの国としての平均は37点、合格率は97%。シンガポールでは45点満点が43人、32人の満点はアングロチャイニーズから。アングロチャイニーズは、総受験者457人で、平均42点という”狂ったような高得点”を叩き出す学校です。
 IBDPで卒業とする地元校は限られてるとはいえ、シンガポール地元校平均がトップのインター校と同等、地元トップ校にインター校トップでも遥か及ばないのです。UWCはとても優秀な学校です。試験のスコアで比べると、アングロチャイニーズがあまりにぶっ飛びすぎているため、こう見えるのです。

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[個人メモ]
現代において教育が大事なのは,今の社会の再生産の資材補給のためではない。そうではなくて,今の社会の破壊のためだ。そして,避けられぬその破壊の後に来る未来の創造は,彼らがいかなる資質であろうと,子どもたちの企画するところにしかありえないからだ。