{=外伝13新加坡*5日目(帰路寄り道編)}

▲上海・愚園路辺りの緑地帯

5月6日(火)
〈PL〉
[前期末累計]
    /負債 418
[今期]
0200機内食500
0800万寿斎(虹口足球場)
三鮮饅頭200
葱油[テヘン+半]麺150(850)
0930富春小籠包(愚園路)
同名
肉湯400(1250)
1130CafeCosta(南京東路)
エスプレッソ
ティラミス250(1500)
1500機内食500(2000)
[今期計]
消費1800/収益2000
負債 200/
[今期末累計]
    /負債 218
〈/PL〉

 短時間の機内泊で朦朧としてますが…曙の上海に着きました。
 6時15分。上海浦東国際机場で一日交通[ト/下]を購入,2号線で人民広場,8号線乗換で虹口足球場まで。
 日本発は1430。1230空港入りを目指すなら正午前後には市内を後にすべきだろから,きっかり午前中だけの動きになります。
 0720空港発の2号線は段々ラッシュの様相を呈してます。この時間の人民広場…ちょっと怖そうですが,時間を優先すべきでしょう。
 世紀大道通過。

▲とある街頭の飾り立てモノ屋。漢民族らしいテイストのバカでかさ。

 8時ちょうど,虹口足球場駅へ。
 せわしなく通り過ぎる雑踏を過ぎれば,ふと郊外の静寂が息づく。そんな,上海にしては何とも奇異な触感を持つエリアです。
 少し歩いて万寿斎に入る。何年ぶりだか,とにかく久しぶりです。
三鮮饅頭200
葱油[テヘン+半]麺150(850)
 思いっきり早飯時にぶつかってしまった。チケット売りの爺さんの後ろ席。
 とりあえず[テヘン+半]麺は来た。葱油って部分は,確かにかかってるけど…これが何だ?みたいな普通のぶっかけです。醤油に唐辛子入れただけだろ?
 ただし…美味い。こんなんで何が,と自分でも不思議になるけど,どうも麺がムチャクチャに美味いんである。
 ここを粉もの屋と捉えるなら納得がいく。そういえば地元客はそばだけ食ってるような気がする。
 しかしとにかく寂しい碗です。早く饅湯が…来た来た!
 手を出しかけると給仕のオバチャンが大声で「不是[イノ一/小]的!!!」(お前のじゃねえよ)。
 ──こーゆー老舗ではこのタイプのオバチャンが「ワタシが法律なんだよ,文句あんのかよ」なことが多いけど,これはまた…なかなかの暴君ぶりだね。

▲富春小籠包(愚園路)の同名包子と肉湯

 絶好調に満員の3号線で曹楊路へ,11路に乗換えて蘇杭路へ。

 9時半,富春小籠包(愚園路)へ。
同名包子
肉湯400(1250)
 これは…正真正銘のハイレベルでした。
 皮のモチモチ感といい,肉の蒲鉾質と肉のバランスといい,肉汁の脂っこい中にもある上品さといい…文句つけようがない!
 加えて接客も中国としてはフレンドリー。万寿斎の後だからか身に染みる落ち着きがありました。
 エリアとしてもまさに下町風情。木漏れ日にうとうとしそうな空気です。意外に見逃してた界隈でした。

 やれやれ。
 鎮寧路の南の突き当たりの安いマッサージ屋は「二楼デコレーションド」とのことで看板だけ出して休業中。
 常熟路の飲茶店,避風糖も看板はあるのにこちらはビルごと改装中。
 中国のあちこちで改装がブームなのかよ?──って,間違いなくブームなんでしょうね。建設ラッシュというレベルじゃなくて,毎日のこの街が日ごとに脱皮を繰り返し,別の生物に変態していってるという感覚があります。
 南京西路にいつの間にか姿の見えなくなってた功徳林が,常熟路手前のふとした小径にまだ残ってました。思わずふらりと入りかけましたが…こういう,より普段の中国人に近づいていこうとする店または集団もあるにはあるわけです。彼らの決意をおもんばかって…場所はここにも記載しません。

▲CafeCosta(南京東路)でエスプレッソ&ティラミス

 空振りが続いて疲れてきた。南京東路でカフェのモードに入ってしまおう。11時半,いつもココだけどCafe Costa。
エスプレッソ
ティラミス250
(1500)
 いつもココなので…味わい的にどうこう書く気はなくて,ここでカップを握ってる段は,もはや日本に居るのと同じ虚脱した温室過保護状態です。
 ふわりとした気分の中で,ふと思い出した。
 先ほど,人民広場のプラットフォームで,なかなかの堂々たる農民顔の男に声をかけられました。「この…(とメモを示して)1号線中山北路はどの列車ですか?」と尋ねてくる。
 え…!?ええ~!!
 日本人に訊くなよ,日本人に!?しかも今朝着いて5時間経ってない奴なんですけど…。
 とは言え…と思い返せば。今回はやたらに道を訊かれてるな。ほぼ毎日じゃないか?いや,それも複数回じゃないか!?
 慌ててガイドをめくりつつ,農夫顔に,中山北路への列車と行き先表示の確認方法をそれでも何とかご教示しつつ,思い出しされた一件は──。
 確か一昨日です。座してつかの間の休息をいれてた地下鉄の列車内に,ドアが閉まるスレスレに,小柄な陰が転がり込んできました。やたらあたふたした風情の漢人メガネ女。車内の表示をあっちこち確認した末,わしの隣の席にどすんと座る。
 …そこ,「おもいやりシート」なんですけど。とか言わせる余裕も与えず,座るや否やこちらをキッと向き直る。「すみません!」
 だから観光客に聴くなよ!しかも中国語で?
「チャイナタウンのこのシアターはどこなんですか!?」え!?ええ~!?知らんがな!!「45分開演なんです」とすでに詰問口調ですけど。あと今,もう30分を回ってますけど。
 こちらを睨みつける視線に負けて急いでマップをめくる。与えうる限りの情報を開示した後,とにかく「加油!」と言っとく。
 その声を聞くか聞かないかのうちに扉が開けば,メガネ女は再び脱兎のごとく駆けて行ったのでした。
 旅の最後にこんな光景が浮かぶのは,シンガポールの,そういうハチャメチャに元気な慌ただしさ…いわば疾走感みたいなものからだったのかもしれません。

▲上海・愚園路から南側辺りのパティオっぽい景観