{=外伝13新加坡*4日目写真集1}

▲とある集合住宅の風景

▲最終日にやっと食べたYa Kun Kaya Toast(チャイナタウンコンプレックス)のKaya ToastとCopi

 驚いたことに,ここをなぜか記録してません。感動が大き過ぎたせいなのか,最終日のバタバタにまみれて失念したのか。
 店は狭くはないけどエスカレーターの下みたいなやや場末感漂うロケーション。とても何かがスペシャルとは思えない。普通なら立ち寄るはずもないのに,この前日に腰を降ろしてしまったのは,半ばは疲れからでしたが,あとの半ばは──このスペースのえもいわれぬ日常感でしょう。つかみどころなく,まったりと,何時間も前からそうしているかのような常連らしき人々が,店とも他の客とも言葉を交わすでもなく打ち捨てられている。そんなユルい空間。
 やってきたカヤトーストも,ただの食パン。薄くて小さな海外食パンが,三段重ねで少し焼いてある。そんないかにもみみっちい品が,皿にぽつり。
 期待すべくもなく,今回口にした数々の「シンガポール名物」と同様に「一応食っとく?」ほどの意識で口蓋に投げ込んだわけです。
 ──。
 以来,シンガポールに行く方には例外なく「カヤ」をお薦めしてます。
 微かに…とは言えカヤの強い味覚に拮抗するために相当量だと想像しますが,バターの香を背景にした「カヤ」が立ち上がり,薄いがゆえに焦げ味を帯びたトーストに心地良く絡んでいく。あのハーモニーの玄妙さは,一種美術品と言ってもいい美しさです。
 でも記録してませんでしたので…その本当の凄みは,またこの味に合う時により正解にお伝えするということで…取っておきたいと思います。

▲ToastBox士司工坊(空港)のKaya ToastとCopi

 22時20分。ToastBox士司工坊(空港)に腰をおろす。
Kaya Toast200
Copi50
 結局滞在中行ってないこのシンガの定番パン屋で,カヤとコピを試してみます。
 トーストはやはり小さくてカスカスな食パンを使用。これがシンガの市民が親しんでるパンの味らしい。
 中はカヤというよりバターがメイン。しかも塗るのではなくチーズみたいな切り身を挟んであります。カヤも確かに香るけれど極めて微妙。バタートーストにカヤを加えた感覚。
 ヤークンのと,どちらがメインストリームなのかは…今のところ分かりません。

▲とある緑地帯での風景

【レポ】カヤ(ジャム)
 卵とココナッツミルク,パンダンリーフ,砂糖から作られるシンガポールのジャム
(製法はなぜかネット上でヒットしない。)

§パンダンリーフ
[植物]アジア,アフリカ,環太平洋の熱帯地域で育つタコノキ科の植物
・タコノキは,日本でも沖縄や小笠原諸島などでも良くみることができるパイナップルのような実をつける植物
・パンダンリーフは「ニオイタコノキ」という別名も。
・高さ3~5mになるものもある。
・独特な甘い匂いの緑色の硬い葉っぱが印象的。根や幹のあたりには刺もある。・パンダンリーフは特別ケアをしなくても意外に簡単に育つ植物と言われる。
・レモングラスよりも葉っぱの幅が広い。
[利用法]東南アジアでは,その独特な香りと鮮やかな緑色を利用し,パンダンリーフの葉を入れてご飯を炊いたり,お菓子の色付けに使ったりする。
・味としてよりも香りを活かした使い方が一般的。煮ても硬くて食べにくい。
・「バイトゥーウイ」と呼ぶタイでは
①お茶にして飲む
②ガイ・ホー・バイトゥーイ:鶏肉をバイトゥーイで巻いてカラリと揚げる。
③カノムチャン:日本の「ういろう」のようなモチッとした食感のお菓子(緑色部分にバイトゥーイのしぼり汁を入れる)
④カノムパン・サンカヤー:フワフワ食感の蒸したパンにバイトゥーイを入れた緑色カスタードクリームをつける。
⑤ナムバイトゥーイ:タイスパや一般タイレストランに置かれているお茶。独特な香ばしい味がある。アイスが入ったグラスに注いで飲むことも。
※お菓子の名産地として知られるトラン県発のお菓子もパンダンリーフ入りが多い。
・「ランペ」と呼ぶスリランカでは,主にカレーを作る時に使用
[効能]ビタミンやアミノ酸が豊富。東南アジアでは一般的に「皮膚病」「消化不良」「腹痛」「発熱」「糖尿病」の他に不妊症にも効くとされる。
・主菜,デザートの香り付けや色付けのほか,冷蔵庫の消臭やゴキブリ避けにも使う。

▲とあるプラナカン風景