外伝09♪~θ(^6^ )第六次香港
第六天観[土唐]の黄昏に[ロ加][ロガンダレ+里]猪肉[月南]飯の香の漂う 前編

[前期累計]
消費1800/収入2350
負債 550/
[前期累計]
    /負債1372
§
5月7日(木)
0700 永合成茶餐庁
肉片飯 58HK$,600
0840 蓮香楼
ソーメイ(寿眉)茶
腸粉(蝦)
馬来[米ソ/王/心]50HK$,300
1402 蛇王二
菊花会五蛇羹62HK$,200
1430 亜[土申]
珈琲O20
[ロ加]椰牛油吐司18
250
1740 連豊粉麺茶餐庁(牛頭角道)
[ロ加][ロガンダレ+里]牛[月南]飯58HK$,600
1805鶏[イ子]餅大王
鶏[イ子]餅25HK$,200
1857華姐清湯[月南]
清湯牛[月南]麺(加雲呑)35HK$,300
[今期累計]
消費1800/収入2450
負債 650/
[今期累計]
    /負債 722
§
→5月8日(金)

▲永合成茶餐庁の肉片飯

 汚ったねー牛丼!!
 …などと思ってしまいそうなこの物件は,かの永合成茶餐庁の釜飯であります。7時丁度の上環。
肉片飯 58HK$,600
 この露骨さは,沖縄の肉飯にも見える。確かに肉ともやしの丼ってとこは同じです。西日本の方ならば古い食堂にある「肉めし」を想像されるかもですが…もちろん永合成のこれは見かけだけで内実は全く別物。
 むっちゃ美味い!
 目の前に土鍋が置かれるやいなや,まず縁にソースを回し入れる。ここまではマスター済み。ほくほくのライスにソースの焦げ香が染みてます。この取り合わせだけでもう十分に食えるんですが,そこにシャキシャキのもやしが加わる…。歯応えのアクセントだけじゃなく,この丼唯一の豆臭い野菜香が既に完成された芳香の上にさらに降りかかります。
 しばらくすると──お焦げと,ややシナったもやしが,また別のハーモニーを見せてきます。この段階がどうやら醍醐味らしい。肉片の脂が微妙に絡まったもやしと,これらの汁が微妙に滲み入ったカリカリしたお焦げの苦甘さが時を追って際立ってまいります。──この粗い見かけにしてこの完成度!
 広東メシここにあり!わははは…と大笑したくなる(黙ってニヤついてましたけど)一膳であったのでした。

▲蓮香楼のソーメイ(寿眉)茶と腸粉(蝦)

 蓮香楼。8時40分。大笑いしてたら少し遅くなりましたがここを外すわけにはいかない。
ソーメイ(寿眉)茶
腸粉(蝦)
馬来[米ソ/王/心]50HK$,300
 ゴメンナサイ。広州で俗っぽくなってきたこの店をイメージしてしまってて,少しナメてかかってました。──飲茶ってのはローカル文化の一部。この場所のこの人びとに支えられた味は本質的に移出できないものなのかも。
 初めてソーメイを頼んでみましたが…好い!緑茶なのに日本茶とは全然違う,やや薬っぽい香はたまらないものがあるし,ちびちびやれば決して劣化する茶葉じゃないようです。
 腸粉は…これは改めて驚天。銀記のとは比べにくいほどぷよぷよで,ギリギリの弾力を保ちつつ,しかも程よく粘って素晴らしい口溶けです。この口に溶ける最後の段階でもたらされる,米の甘味って来たら,ちょっと筆舌に期しがたい。
 こうなると,あの軽い塩気のドス黒ソースがカラメルの如く,飴の如くに効いてきます。これはもう食事じゃない,別腹に収まるスイーツです。
 しばらく待った後「馬来カオ~」との売り子の気の抜けたような声。聞き逃すあるまじこの声を。というか,語音よりもこの気の抜けさず,小走りで確保することが出来ました。
 何だ~!?この切ない苦甘さは…!!
 しかもソーメイにバッチリ合う!完璧です!これはポーレイでは有り得ないマッチングだと思います。馬来カオのためにソーメイにしても間違いはない!
 口に入れた最初にはポロポロだった生地が,すぐに粘りを帯びて口に溶けてカラメルを帯びた苦みあるとろけた塊に転じてく,美しくも儚い味わい。この苦味を湛えた蒸し菓子の臭みと,ソーメイの,わし自身が先年まで嫌ってた独特の臭みが──どっちが主ということなく,寄せては返し,返しては寄せる,この臭みのオペラのような味覚を一体何と言うんだろう?
 最初にこれを頼んだ時に「変なカステラ」みたいに書いてた記憶があるけど,これを食べに来ても損はない味です。もう脱帽。何も考えずにトロけた早茶の蓮香でした。

▲同じく蓮香楼の馬来[米ソ/王/心]

機利文新街(英語名Gilmans),美香村茶荘。09時45分。
白牡丹1/4斤
 ついにみつけたこの道を…って何で再発見できなかったのかが不思議だけど良かった良かった。永吉路の一つ西,中環[立占]からは東。皇后大道ラインより南,地鉄ラインより北。
 喜びの余りCappuccino(その数軒左隣)でエスプレッソをば飲めり。──ここのエスプレッソ,有名になってきたカップリングとかより断然美味い!

 上還のRelaxで全身マッサージしてもらったら,正午を回ってた。
 トラムで銅鑼湾まで。
 今や香港では乗らずに居られぬ乗り物であります。必ず二階席であります。この直方体と直方体がすれ違ってくこのガタゴト感覚は香港トラムにしかないバイブレーションであります。
 曇天。
 山並み。
 歪なハイウェイ。
 摩天楼。
 曲がりくねってのた打つ金鐘道の線路。

 銅鑼湾,謝[非/文]道506号連成商業中心2103室。 三思堂茶芸。12時45分。
雲天紅(鉄観音:「長時間煎った鉄観音のエスプレッソ」)100HK$
白牡丹60HK$
 この都市のエアポケットのような静寂の小店。移転後しばらく見失ってたんですが,何のこたあない,亜[土申](500号維安商業大厦2階)の隣のビルでした。→備忘用:入口&場所

▲蛇王二の菊花会五蛇羹

  蛇王二。14時02分。
菊花会五蛇羹62HK$,200
 また蛇を食ってしまった。
 臭い!漢方臭い!菊花ってのがこれなのか,むうんと香る漢方臭。
 だからと言って噛み締めていけば,本来菊花で消そうとした生臭い蛇肉味が湧き出て来て…。
 困った食いモノです。困った困った本当に困った。と言いつつ再来…どころか何度目なんでしょうか,ここ?

 亜[土申]。14時半。
珈琲O20
[ロ加]椰牛油吐司18
250
 とうとう入ってしまった。
 カリカリに焦げたトースト,冷たいバター,淡く香るカヤジャム…カヤがやや少なめに感じるのは震源地から離れたが故のケチか?
 確かにカヤトースト。コーヒーはOがブラックだったっけ?これがベストチョイスでした。
 ただ,皆さんトーストを全然食べてないんですけど?なぜかカヤとは関係ないマカロニとかの定食を有り難げに召されておりまして…。香港とシンガポール,そんなに志向が違うもんなのか?確かにあんまり流行ってはいないようですが。

▲ 亜[土申]の珈琲O20[ロ加]椰牛油吐司

 北角から将軍[シ奥]線で油[土唐],観[土唐]線で観[土唐]。
 この郊外のベットタウン,意外に面白いのです。普段着というか,全然てらいがないというか。前回割とハマってしまったのでついつい再来です…。「クンタン」という発音も何かかわゆい。
 さすがに観[土唐]規模の町になると,荒い造りながら小店は結構出てる。面白いのは,そのくせ大資本が戦略的に狙うほど成長に安定感を持たれてない点でしょう。
 何か美味そうなうろついてたら,ここだ!という店が見つからない代わりに妙な傾向に思い当たりました。
 茶餐庁めいた店がどこでも出してる,しかし変に浮いたメニューがある。──[ロ加][ロガンダレ+里]飯。カレーライス。
 前回,ハズレでしたが話題店に行ってみて,流行ってるのは認識してました。それ以前にも,流行ってはないけど本場的な実力店にも行きました。けども,この街の,この定着ぶりは何でしょうか?
 この店には,元々[保/火][イ子]狙いで入ったんですが,6時開始とギリギリ駄目だったんで開き直ってみました。メニューでも2面,普通のと[火局](壷焼き?)とが10種類ほどありました。
1740 連豊粉麺茶餐庁(牛頭角道)
[ロ加][ロガンダレ+里]牛[月南]飯58HK$,600→写真
 あれれ?こんなだったけか?それとも正月(マドゥライ編参照)にカリーを食い漁ったから気づけるのか?
 戦前辺りのいわばコピーに失敗したような和風カレー,植民地土産としての英国カレーという流れははっきりとありますが──これはいずれでもない。香港カリーです。
 まず,唐辛子辛い。そこだけ取るとスリランカ並みです。
 ではスパイスはと言えば,クミン(自然)とターメリック(鬱金)だけは中華スパイスの一環としてか使われてますが,他のがない。だからスパイス使いとしては非常に甘い。けれど日本や英国ほど勝手な解釈はされてなくて,中途半端なところで止まってる。──インド人シェフが口にすれば中学生の宿題かとか笑うかもしれません。
 あと,小麦粉は日英よりは少なめ。ただし,牛より豚の方が安い中華圏らしく,牛肉はどでかい塊がゴロゴロ。
 で,うまかったかどうかと言えば…やっぱり何か中学生みたいでしたけど,決して売ってはならんレベルじゃないし,素材的には日本人的に豪華だし,辛さも肉汁もくっきりだし…となかなか評価にとまどうのですが,確かなのは少なし今の香港でしか食えないカレーかなあと思うわけでした。
 しかし何で?なぜこんなもんがここで?──という謎は深まるばかりなのでしたが…。

 鶏[イ子]餅大王。18時05分。
鶏[イ子]餅25HK$,200
 →写真
 夕暮れの観[土唐]の市場で飛ぶように売れていた一品。思わず買って帰ってしまった。
 ホテルで食して「?」マークで頭が埋まる。文字通りなんである。つまりチキン入りの中華餅。月餅とかで親しんだあのカスカススイーツの生地の中に,肉である。

 しかし!先入観さえ振りほどければ…イケる。うん,かなりイケるぞ!いわば角煮の甘いタレの代わりにカスカス生地が付いてるような感覚です。淡く複雑な甘味ならば,肉にも合う!
 台湾の胡椒餅の洗礼は受けてたけど,カレーパンや惣菜パンと同じであれはパンとおかずを合わせた,いわばサンドイッチ。しかしこれはまさにスイーツです。スイーツの素材として肉が,それもチキンが割と堂々と使われてます。
 後に飲茶で豚肉入りの中華餅と出会い,心酔することになりますが,これはその前哨になりました。繊細な攻め口でありさえすれば,スイーツに出来ない素材なんてない。そんな広東中華世界への。

 華姐清湯[月南]に久しぶりに立ち寄りました。天后,19時前。
清湯牛[月南]麺(加雲呑)35HK$,300→写真
 3回目くらいか?
 汁は確実にうまい。麺で食うと,日本で言う「牛汁ラーメン」としても一流と言えます。朝も早くからやってますし…
 ただ,正直このために食いに来るほどじゃないから,つい通りすがりになってしまうんだよなあ…。