外伝14緬甸/ပရဒိသု (極楽){3日目}極楽パコダ

▲茶に濁る池の向こうに如来様。
 おおっ仏教観だなあ,とか感心しようかと思っても,これどう見たって単に整備不足だよなあ。

▲ふっふ,このイチゴはワシのものだ。誰にも分けてなどやるものか。
 ──とか,彼の邪悪な瞳と真っ赤な唇はそう物語っている。

▲はっは,地球は私のものだ!
 ──とか絶対思ってるおすまし顔だけど,この普通のオッサン顔から考えて,パッと目覚めて夢だった,トホホ・・・的な安っぽさがたまらない。

▲どうぞこのパイナップルをお受け取りください。その代わり息子の受験は…
 ──でなくてもどうも贈収賄めいた疑惑を臭わせる。この世渡り上手っぽい顔つきは。

▲お経,早く終わんないかなあ…
 ──とか間違いなく思ってる。この何にも考えてない,弛みきった表情筋は。

 これが極楽編である。何か有り難いものを想像しておられたのなら申し訳ない。何かスッ惚けた非現実感に溢れた極楽観である。
 ところがこれが地獄になると,俄然リアリティーを帯びる。→地獄編
 この両者は別の塔になってて,簡素な回廊で結ばれてます。さすがに同じ建物には入れられなかったらしい,ビルマ人の発想でも。