外伝14緬甸/ကျွန်တော်မစားနိုင်ဘူး 食べられないIf there’s a lack of metta,it may be a lack in yourself.{3日目}

▲巻末記載の事情によりほぼ食べずにヤンゴンに持ち越したパテイン・ハーワラー

[前日累計]
支出1500/収入1400
    /負債 100
[前日累計]
    /負債 538
§
12月30日(水)
0900 KHA KHA GYI Myanmar Food
マトン,じゃがいもカリー500
1145 Mya Mander
Patein Halawa300
1230 Mingyi Rd.の露店
マトンカリーと野菜煮
1300 Mac Coffee
1700 Moe Parel
チキンビリヤーニ(バック)
Mingyi Rd.の露店
チキンカリー500
(嘔吐)▲250
[前日累計]
支出1500/収入1550
負債 50/
[前日累計]
    /負債 488
→12月31日(木)

▲KHA KHA GYI Myanmar Food(2回目)のマトン,じゃがいもカリー

 朝一で,とにかく昨日の美味が忘れ難くここへ来ました。 KHA KHA GYI Myanmar Food。9時。
マトン,じゃがいもカリー500,3000K
 朝3人目の客だったらしい。座席を広々と取ってのモーニングカレー。
 ジャガイモなんかは,まさに蒸かしたて,土の匂いのしそうなホクホク芋です。
 野菜盆には,今日は小ナスも付いてる。玉ねぎがないから10種という数を忠実に確保する意図か?──でもってこれも美味い!ナスの独特の青臭さが小ぶりの柔らかな甘味と合わさってクリームのようです。大げさだと思うでしょうが,書いててもヨダレが出てくるほど,これだけは鉄板の美味。
 マトンは角煮タイプ。おそらく緬甸料理的には基本の品なんでしょうが,だからこその激ウマ。
 カレーに豚肉が入ってるというより,豚肉の味をカレーでシメてるという調理感覚です。赤身,脂身ともに,豚肉の柔らかな甘い味わいがカリーと調理油とで見事にクッキリと浮き立ってるのです。──と書いてもなかなか伝わりにくいよなあ。
 どうやらミャンマーの典型的な料理法・油戻し煮という技法,これが一番キレイにキマるカリーが,このマトン角煮のカリーみたいですね。
 野菜系はこれしかなかったので再度選択したジャガイモでしたが,やはり衝撃の旨さです。塊を割ると半ばまでカリーが染みて半ばは素の芋色。このバランスも一つの素材でここまでアクセントを作れとる理由なのでしょう。
 それから昨日書き忘れてたんですが──おまけで付いてくる小椀に入ったモヒンガーが凄い!このカスカスの穀物スープへ絡まるサテソースというバランスは芸術的です!!
 このカ・カ・ギの真っ当な舌。イラワジの恵みを湛えるこの土地の,それが心動であるように臓腑に活写されたのでした。

 歩き方の記述に沿ってパテイン川脇でタンチーダウン行きのピックアップが見つからない。
 郊外の山の上にパヤーがある場所でしたが,うろうろしてるうち,まあ別にどうしてもってわけじゃなし…という気になってきました。暑いと移り気というか物憂げというか,こりゃこりゃ。
 徒歩で北東のパヤーを目指すプランに切り替える。
 一苦労するかと思いきや…というのはアジアの郊外地って土まみれで距離がかせげないの経験が多々あったのですが,ミャンマーの道路は意外に整備されてまして,あっけないほどの軽さで歩けました。家並みもほどほどに続いてて不自由を感じさせません。これも歩き方通りですが,三叉路を過ぎて,老夫婦の像を左に入って…ああこれね。
 10時20分に到着しましたのはセットーヤ・パヤー(写真:極楽編地獄編)。窃盗屋パゴダと覚えよう。
 傍目はパゴダですが実体は…遊園地だなこりゃ。
 極楽パゴダと地獄パゴダ(勝手に命名)に分かれてる構造で,それぞれしっかり楽しめました。緬甸人はこれを何で金を投じて作る気になるのか,その辺りは誠に不思議ですが──確かに手応えはある。手応えというか,もう笑えていけません。人も少ないのを幸いに結構時間をかけて見てしまいました。
 裏道からネッチェーシースーパヤー(熱中死すパゴダと覚えよう)を目指しましたが,これははまあ普通でした。 笑えるパヤーは精選しないといかんらしい。
 それはそうと,行きの道行きですっかり油断してしまった。裏道に入ると家並みが入りくんでる入りくんでる。手持ちの歩き方と宿でもらった簡単な地図ではとても太刀打ちできない。太陽の方向もはぼ真上で使えない。時々出現するミャンマー人の親切さと,最終兵器の方位磁針(でもこれが小さくて頼りにならん)がなければ今もあのエリアをさ迷っているに違いない(大げさ)。
 ただこの住居区。スラムとかじゃ全くなくて元々の村の雰囲気を残す極めて穏やかな場所でした。村が段々過密になって残った空地が自然に道になった,という風情。藁葺きの屋根と,古ぼけてはいるけれどコンクリートのボックス状の家屋が入り交じる軒先に,ロンジー姿のなめし革のような皮膚のオッサンが立ち尽くし,爆音をあげて通り抜けるバイクの青年に冷やかしの声をかけている。そんな帰りの,振り返れば幸せな道行きだったのでした。

▲Mingyi Rd.の露店のマトンカリーと野菜煮

 12時半。
 結構早く帰ってきてしまった。
 昨日から気になってたミンギーロード Mingyi Rd.の道端の露店群へやってきました。
マトンカリーと野菜煮
 マトンはやはりいい。カカチーほど端正ではないけれど,こちらは荒々しく削り取った豚肉塊の味という感じが…衛生的にはともかく(ここに注意!)美味い美味いとガンガン行ってしまう。
 野菜の大盛はここでも出た。この形式は緬甸一般なんでしょう。しかしこの野菜,煮てるのではなくて蒸してあるようなんだけど,カカチと同じに蒸し器らしきものがない。作りおきの味でもないようだけど,どこでどう作ってるの?
 男女と牛馬と車輛との往来に,真っ逆さまに落ちてくる日射が映えさせる色彩に目を奪われつつ,口に運ぶヒンのスパイス。この土地は好い。

▲Mac Coffeeのインスタントコーヒー

 宿から東側へ進むと,道は小さな水路を渡る。ひとしきり南郊外を散策したあと,この川の岸にある茶店のようなスペースに腰を下ろしてみた。
 店,ではあるらしいと想像されたのは,机に一応メニューが置いてあるからです。
Mac Coffee 1300
 一番コーヒーらしい名前,と思って選んだこれが,来てみると──魔法瓶と空のカップ,それに小さな袋。魔法瓶に入ってるのはただの湯で,袋の英語表記を読めばインスタントコーヒー。つまり,インスタントコーヒーをお好きに飲んでいいわよ,うふん。というスペースらしい。
 確かに1300Kで何分でもくつろげるけど…それだけの場所。いや,日射を避けれるというだけでこの土地では有り難いと思うべきなのかなあ。ベトナムみたいなのを期待したんだけどなあ。
 街を振り返ってみる。昨日のパヤーSwdzigan Payaは,街中央のパヤーShwemokehtaw Payaの北へまっすぐに位置づけられている模様。南はTagaung Paya?西には川に面したゲート,東だけに何もない。駅はあるんだけど,どうもあまり賑やかな気配はない。
 好い街です。のびやかさだけが支配する街です。

 明日のヤンゴン行きのバスチケットを買ったので,夕暮れのシュウェモクトー(聖黙祷)パゴダ Shwemokehtaw Payaでひとしきりゆったり過ごす。
 内部的にはこのパゴダも意外にアタリでした(写真集:☆注☆一部放送禁止画像有)。
 17時になった。名残惜しく市場から南郊外をぶらついてると,Moe Parelでビリヤーニの売り出しをやってたので(深い考えもなく)買ってしまう。
チキンビリヤーニ(バック)
 それならもしかしてこっちも?と昼のMingyi Rd.の露店に寄ってみると…こちらでも持ち帰りをやってました!
チキンカリー500
 チキンが正解!でもあえてマトンもあるのは緬甸人に合わせてるのか?
 期せずして味覚の違いがよく見えるジョイントになりました。

 ──と,食べた時には思ってたんですが,2時間ほどでモーレツな嘔吐と下痢。どっちかがイッちゃってたみたいなので…チキンビリヤーニの旨さ以外はあまり参考にしないことにします。
 実は,ミンギーの店の前に寄った一軒で,何かモゴモゴと言って売ってくれない店がありました。どうやら,この夕方の売り出し品は,あまりの安さといい,危険なのを承知で貧民向けに売り出してるものらしい。考えてみりゃ当たり前で,あれだけの炎天下で一日晒されたカレーなわけで──。
 つまりあのモゴモゴはこういう意味だったと推測されるのです。
「文明クズレしたあんたらには食べらんないよ」

▲Moe Parelの爆弾チキンビリヤーニ