外伝09♪~θ(^7^ )第十日日(帰国日)七度訪港して底を見ず@第7次香港

[前日日計]
支出1500/収入1700
負債 176/
利益 24/
[前日累計]
利益 24/
§
5月8日(日)
0705蓮香楼
ソーメイ
叉焼包
馬来カオ 250
0840花園酒店
ポーレイ
鳳爪排骨飯16HK$
鮮蝦翠玉餃(大) 250
1055 Main Street Cafe
Espresso(D)(ママ)22HK$
1400機内食250
1600機内食500
2300チェロコフ 乾包250
[前日日計]
支出1500/収入1500
負債 /
[前日累計]
利益 24/
§

 もはや今回のテーマになってしまった「ちょっと変なローカル飲茶」が,最終日の朝まで呼んでいるのである。
 滞在時間の残り6時間を切ってますが──ほとんど不屈の精神で狙うは油麻地の花園酒店。これも宿から徒歩圏内,完全に見逃してた店です。
 店の前にいろいろ書いてあって…何か複雑なシステムらしい。けど要は,8時かららしい。ならばその間に,と上還に転進。
 やや眠いが,んなこと言っとれん。飛行機で眠れ!

 昨夜はメインファーストカフェでまたまったりしようとしたら,店主のオヤジが済まなさそうに「9時半LO」。
 やむ無く夜の佐敦をうろついてたら…やっぱりこの中途半端なロケーションの街は面白いですね。通り通りの色があって飽きなくて,結局小一時間徘徊してしまった。
 帰って帰国の荷造りしてると──簡単に零時を回ってしまいました。困った街です。
 しかし今向かってるのは,この困った街でも最も困った店,蓮香楼なわけで。

▲蓮香楼のソーメイと叉焼包

 7時半をほんの少し回った辺りで坂を上りきり,さらに蓮香楼の二階へとゴールする。
ソーメイ
叉焼包
馬来カオ 250
 おや?思ったより混んでません。割と優雅な状態で常連らしき人々に──挟まれてます。

 ソーメイ。
 ここの茶の特徴でしょうか?早くに苦味が来るような気がする。あるいは開水の温度設定なのだろうか?

 叉焼包。
 チャーシューが深々と甘い!包も歯応えを持ちつつ蕩ける旨味を持ってて…上質というわけじゃないんだけど日常の味わいとして好く出来た一品です。今次のアガリの品としては佳き包かと。
 さあもう一品ですが──ああっ!両隣のオッサンがどちらも排骨飯を頼んだぞ?発作的に出そうになった手をグッと堪えて待つ。
 へえ?左隣のオッサンは,大体わしがしてるように排骨と飯の上から醤を回し入れて,丼っぽく食べてます。けど右側の爺さんは,排骨を一度全部小椀に出してから醤をかけて,クチャクチャに混ぜこんだ後に,排骨を戻してオカズ的に食べてます。鰻丼と鰻重の違いに似てますが,洗茶と同じで,何が正統なのかどうも判りかねるとこです。

▲蓮香楼のソーメイと馬来カオ

「まーらいかお!」
と蓮華楼のワゴンのオバハンがあげる声は,ほとんど雄叫びです。来た!反射的に席を立ち,とととっと駆け寄ると?
 あれ?菜包の蒸し器しかないじゃん?何で?と席に引き上げるけど,やっぱり言ってるよな「マーライカオ」って?あ,黄色いのを配ってるじゃないか!
 どうやら蒸し器が二段重ねになってて,菜包の客があればその段を,マーライカオの時は別の段を開けてるらしい。やっと突き出した売単にオバハンの判子をポチッと戴いた時には最後の2つが残るのみでした。危ない危ない。
 余談ながら昔の夏休みのラジオ体操みたいで,この判子も宜しい。
 さてさて,待ちに待ったる馬来カオ。
 …。
 うんうん,これがマーライカオ!何度も書いてるからもういいと思うけど,黒糖の香りが蜃気楼のように匂い立ってます。繰り返しになりますが,生地はカスカスしつつも,ある一瞬にするりと口に溶けて。冗長になるからもう書かんけど,実に儚な気な甘味の残り香を留めつつ喉に落ちて行き,次の一口を誘います。
 何とかかんとか言いつつ幾度も書いてホント申し訳ない。もう,淫靡と言ってもいい品です。

 上還[立占]台,8時。残り3時間半。
 油麻地まで折り返す。おい,8時半になっちゃったぞ?花園酒店入店。
 まずトイレに駆け込むにしくはなし。──ついでですが,香港のトイレ探し,飲茶店は大抵混んでるんで,席を探す振りしてトイレに行くのもこれまた洒達の一手かと──なんて言ってる場合じゃない!

▲花園酒店のポーレイと鳳爪排骨飯

 8時40分。花園酒店にて啜るポーレイ茶。
鳳爪排骨飯16HK$
鮮蝦翠玉餃(大) 250
 おおっスゲエ!
 これは味じゃなくて店員さん。絵に描いたような愛想悪さです。立地と席は最高で,ネイザンを見下ろしてます。対面に救世軍。でも給仕のオバハンにキビキビしてるのが誰一人いません。なかなか期待できそうだねえ。こういうとこで菜まで不味いってのにはまだ遭ったことがないし。
 その予想通りでした。
 いずれも素材はごく普通なのに後味の伸びが冴えてる。技巧的に見せずにハイレベルを保ってる。 香港でまだ出会ったことのなかった不思議に謙虚なスタンスです。

 鮮蝦翠玉餃(大)。
 ちなみに「大」というのは量の多さじゃなくて品のクオリティ。
 品名の「翠玉」はエメラルドの意味だから比喩表現だろう。しかし何の比喩?
 生地はモチモチで箸にくっついて食べにくいほどですが,一口ではっきり分かる駿逸さ。歯応えのねっとり感に加えて腸のような小麦香がたまりません。
 中味は極めて普通に茹でた蝦と葱のようです。
 けれど,これらがテラテラと汁で輝いているのが分かります。僅かですが汁気があって小龍包のように生地から滴ります。慌てて包のようにチュッと吸ってみると,脂気はありますが肉汁ではなく汁です。
 しかし何でこの汁だけでこれほど素直な味付けがここまでキラキラになるのか?ちょっと理解を絶するぞ?見逃してたこの店,どうも物凄いみたいだぞ?

▲花園酒店のポーレイと鮮蝦翠玉餃(大)

 鳳爪排骨飯。
 うっ!美味い!
 ふっくら炊いてあるタイプなのですが,香りは留めてあるほどの炊き方にしてあります。米はあくまで脇役に回ってて,主役は排骨。爪もでしたが,後味の肉汁がぐんと伸びてくる。それに米がスゴく好く絡み付いていきます。
 炭水化物食文化園の広東で,こういう御飯が脇に回ってて,でも主従のパートナーシップが完成されてる,
 こういうタイプの仔飯は初めて食べた気がします。──主従関係で言えばコレ,欧米の感覚だよな。
 どういうタイプの人が作ってるんだろ?

 ゆっくり時間をかけて2店飲茶しちゃうともう10時55分。
 Main Street Cafeでラストを飾ることに。
Espresso(D)(ママ)22HK$
 30分前。
 隣に九竜地図[金肖]売處という小屋みたいなとこが見えます。
 対面の煉瓦色の雑居ビル半ばには「自由行賓館 City Break Inn」という縁起の好さそうな名の宿看板が見えてます。

▲太子の(my)名店・チェロコフの前に立ち尽くす影

 11時25分。宿を出立。
 11時28分。佐敦[立占]台。
 荷物を抱えていたからか,本当に爺さんに見られたか…カップルのお姉さんに席を譲られる。いーですよと固辞するも笑って取り合わない。喜んでいーのか悲しむべきか?
 う~ん。ちょっともう一食という時間でも胃腸でもないなあ…。
 11時35分。香港島に入る。金鐘着。宿から11分で中還か?
 11時44分。機場快速に座す。宿から19分!自分的に最高速ですが,時間的に最悪の情況。
 12時6分。助清の入江を通過。
 チェックインすると,「お前の台北接続は時間がなくて危険だから,一本前の便で香港を出ろ」ということにされる。何で?でも間に合うならまあいいか…。
 12時36分。イミグレ 。宿から70分──は調子良すぎるぞ?そのうち痛い目に遭うぞ?
※次の回に遭いました…。
 しかし良く食った。舌がグイグイと感度を増して行ったのが実感できる旅行でした。獅子洋口一周,ルート的には物凄く狭かったんですが,中国を周回したような重い満足感です。