外伝02-6구포:《第六次初日》ネジャン&ソメリの日

※ 구포:亀浦

亀浦は洛東江(ナクトンガン)沿いに位置しており、朝鮮時代は水運に使われた渡し場があった。(略)
亀浦(クポ)は豊臣軍の朝鮮出兵のときに作られた亀浦倭城の跡があり、この丘を亀の形に例えたのが亀浦の地名の由来にもなっている。亀浦市場では、果物や野菜、生鮮、衣類などが売られており、一角には犬や鶏を売る商人が集まっている。亀浦ククスとよばれる素麺も知られ、釜山の庶民的な市場の風景が感じられる。

亀浦(クポ)・徳川(トクチョン) | 釜山の観光・旅行 | 韓国&韓国旅行 | トム・ハングル

[前期繰越]
    /負債1623

7月11日(金)
1230 チャリンブ?
ネジャンクッパブ 500

パッピンス150
ドルゴレ
ナッチポックム500(1150)
1920 クボヘンジョソマケイクッパブ
ソメリクッパブ500(1650)
2145 caffe bene(温泉場)
アメリカーノ
2200 トック2種(国際市場,徳川市場)
150*2=300
[今期計]
消費1800/収益1950
負債 150/
[次期繰越]
    /負債1473

 正午。
 国際埠頭から徒歩にて至った中央駅で,コインロッカー(1300W)にリュックサックを入れまして,とりあえずチャガルチを目指す…というこの行動パターン,我が韓国旅行歴でも初めて採用いたしました。
 尻ポケットから取り出したSDカードで地下鉄改札をくぐりましてチャガルチへ。チャガルチ駅から地上に出て北へ動きます。
 国際市場西北角の,何回か前に一度訪れた,あの汚い店が気になってきてたんである。名前も覚えてないけども,場所の記憶は足と肌が覚えてる。
 ちなみに今回,お店の新ネタ情報は,ない。古い「ぐるプサ」を持ってきてるだけ。ただ本に載ってるよな店には,今回はまず行かないと思います。
 ブピョン市場のアーケードに至る。ええと…?たしかこの最北…の一本西の角だったような?──あ,ここだここだ!

▲チャリンブ?のネジャンクッパブ

 チャリンブ?…と店名は読める。ハングルの読みが,どうにかではあるけど自然に出てくる恐ろしさ。
「ネジャンクッパブ,ジュセヨ」という注文言葉が,たどたどしくも,やっぱり自然に口から突いて出る恐ろしさ。
 すぐに出る。というか,こういう店はあらかじめセットした総菜と,店頭の巨大な釜からすくい上げた汁を汲めばオシマイですから時間がかかるはずはない。
 記憶以上に…エグい臓物のごちゃ混ぜ煮。
 アミ塩漬けとテンジャン味噌が添えられてて,どうもスンデクッパブみたいに肉だけを取り出してこれらを付けて食すのも想定してるらしい。
 しかしながらクッパブとしてもスンデ的です。デジやソルロンタンとはっきり一線を画してます。内臓好きのわしは好みだけど,日本人の評価は分かれそうだな,やっぱこれ。
 出汁の味も,滋味というにはやや遠くて,ひたすら香りを出してる。ただ,そうにも関わらずなかなかに止められない複雑で奥深い香りの汁で,思わず飯粒が露出するほど飲んでしまってました。
 箸休めらしき青唐辛子,玉ねぎ,ニンニクの生。疲れの残る初日だし…とニンニクを全部平らげてるうちに舌が痺れてきた。青唐辛子のせいかと思ってたが,どうやらニンニクです。生のニンニクって調理後のそれとは比較にならない凶暴さであることを忘れてました。
 色んな意味でこれはまさに市場飯。全ての素材が生きて働いていないと,こうはなかなかなんないよな。
▲ドルゴレのナクチポックム

 釜山の街の南側傾斜面を,一面にぬぼーと埋める市場の店舗群(→プサンナビ/シジャン)。バラック街の空気を今も醸すこの市場エリアは,歩いて楽しいと言うより,飲み込まれるような商魂の塊に一種怖さを感じさせるような街です。
 これを東西に突破しようとすると,どうしてもこの店のある市場エリア中央部を通る。一度通り過ぎて,やはり食いたくなって戻ってきてしまった。
 ドルゴレ。まさに市場の店というチープなたたずまいを変わらず纏い続けるこの店は,やはり通り過ぎるには魅力的すぎる。
 あえて名物のスンドゥブじゃなく,久しぶりにナクチを試してみるか。
 6千W。これがこの店で一番高いメニューです。市場メシだなあ。
 さてこの店の香り豊かなニョンナムで今回のナクチ初回を,と思って今回味わい直すと──ここのは,辛いかどうかはともかくとして,記憶とは違えて…かなり甘いニョンナムだと感じました。だからスンドゥブにも合うということだったのか?
 少なくともハサミで切らされるキムチは,辛さを抑えて白菜のシャキシャキさをサポートしてるように感じました。
 さて,これがナクチの場合,春雨が非常に有効に働いてます。春雨が穀物として持ってる甘やかさが,このドルゴレのニョンナム甘さに補強された甘苦いトロミを帯びまして,再びご飯(というか元々同材料なわけですが)と混ぜ合わせることで醸すハイグレードな甘やかさ。
 そういう意味では,本来の主役であるはずのナクチも甘さで寄与してる。
 つまり,ご飯とポックム(まぜご飯)されるメインのお相手は,実は春雨なんじゃないか?ナクチは,メインボーカルのライスの脇で甘やかなサブに徹してる。そんな風に感じられた,意外なナクチだったんでした。

▲?(国際市場の真ん中辺り)の安いパッピンス(≒しろくま)。この市場では,真冬でない限り必ず食わんと気が済まなくなってきた一品です。

 18時半!あかん,寝過ごした!
 東莱温泉の宿に入ると日本での疲れがどっと出た…のか?あるいはオンドルの居心地よさからか,とにかく昼寝のつもりが午後寝になってしまいまして,スッ飛ぶように地下鉄改札を潜り抜けまして──。
 1号,4号,3号。地下鉄をどんどん乗り換えて徳川に入った頃には,時計は7時を回りかけ,夜空は星を浮かべ始めておりました。
 ターゲットは前回ハマってしまった亀浦(gupo)市場です。──でも…市場って基本,夜は閉まるんじゃね?もうダメじゃね!?…ってことで焦ってるわけです。
 地上に上がってからは慌てて全く勘で歩くしかなかったが──ここのマップは未だにないので──,自分の足の記憶に恐れをなす。ちゃんと見つかった。ってゆーか,足が連れてってくれました。間違いなく同じ店です。
「ソメリ ハンゲ ジュセヨ!」(ソメリを1つ)

▲クボヘンジョソマケイクッパブのソメリクッパブ(アップ)

▲クボヘンジョソマケイクッパブのソメリクッパブ(お膳)

 市場はまだまだこれからって雰囲気。してみると,業者のための純粋な市場ってより,地域の台所みたいな前近代的な意味の市場なんでしょうか。
 店名はおそらく(ハングルをそのまま読めば)クボヘンジョソマケイクッパブ。地下鉄出口から横断歩道を渡ったL字の広場の突き当たりから細い階段を降りて,市場のアーケードを右に進んだ2本目の十字路を右に折れた路地の左手3軒目…と自分用に書き留めてますが,これじゃあ誰もたどり着けんな。うひひ。
ソメリクッパブ500(1650)
 隣席もおばちゃんたちもハッキリ「ソメリ」と発音してるから,この日本語表記にそれほど間違いはないはずです。
 今回の韓国,実はほとんどこれをも一度食いたくて来たんだが…そんなに客で満席でもなく,半分は酒を飲んでるんですけど?
 でも!?なぜだ?これ,やっぱりハッキリと,疑うべくもなく美味いんですけど?
 牛肉には間違いないと思う。サバサバとした歯応えの肉質と,コリコリするくらいのスジ肉とが半々で入ってます。時々,小骨,それも軟骨みたいなコリコリした食感が歯に絡んで来ることから考えても…別の部位じゃなくて,恐らくこの二つの肉質があるような,どこか一つの部位だと思う。
 このどちらもが,驚くほどに良い。何かが飛び出てる訳じゃないんだけど,普通にするりと喉を楽しませる美味さ。
 記憶ほど脂っこいわけでもなかった。脂がニクいというのか,歯応えが珍妙というのか,赤身と脂のバランスが独特というのか,とにかく確実に牛肉の他の部位で味わったことのない軽妙な味わいなんです。
 この絶妙な柔らかな味を保とうとしてか,肉もだけど,汁にも胡椒など強い調味料は全く使ってない。じゃあ何が使ってあるのかと聴かれても…答えに窮するほどに,微妙な使い方しかされてない。
 つまりこのソメリって部位は,完全に一人芝居が出来るほど評価されてしかるべき食材のはずなんだけど…未だにこれが何なのかは分からない。
 今,帰路の地下鉄内でこの手記を整理してますが,このソメリ,後味も素晴らしく満足感を与えてくれるんであります。食べてる時にはあまり感じなかった脂が口にまったりと残る反面,赤身の食べ応えも臓腑からこみ上げて来ます。
 結果,赤身好きも臓物好きも脂身好きも誰もが満足できる稀有なお肉。例えば赤身食いの高級ステーキとかでは味わえない,何とも韓国的な肉飯を食った!!!という感覚を満喫させてくれるわけなんですが…だからソメリは何なんだ?

 ──おばちゃんに聴く手もあるかな?でもまあ…説明が理解できる可能性は0.02%以下と積算されております。
 それでケータイで「ソメリ」を検索してみますと,また出た!「☆ガリナナ王道化企画☆ こちらは”ソメリ”管理人まふせと、 ”†風月林†”管理人蜜嗄を 主犯とした ガリナナを多く皆様に普及しようと…」
 何のこっちゃ?てゆーか,何のサイトかすら分からん。
 そんな収穫のない検索をしながら過ごしております夕闇の亀浦市場。
 前回も買い物してしまったんだけど,この市場,ちょっと買い食い品も衣料品もお得かつ多彩に揃います。国際市場とかとそういうチープな意味のクオリティ(?)が違うわけです。ミョルチチョッカルの小瓶(3000W)も購入できました。
 という風にかなり宜しい歩きだったんですが,ふと時計を見てビックリ!20時40分…になってしまっとるやないか!
 帰路で確認する機会があったんですが,この徳川という町の地勢は,釜山市街地域の西側を分かつ川の湾曲部に当たる。つまり川筋のL字と徳川市街のL字が逆向きにくっ付いてるような構造。東南アジアの小さな町ならともかく,東アジアのこの規模の町には珍しい。
 とか,はしゃいでる疲れがドッと出てきた。そのせいなのか何なのか,2号に乗ってしまってた。終点のヤンサンが,3号と1号のジャンクションのヨンサンに似てるから間違えたみたい。
 爆睡!