外伝06@再訪@(@_21_@) 再訪・ブレンド茶 (@_21_@)

▲士林夜市の露店の家族連れ
ランタン灯る寺院前にて。お子さん,やたらはしゃぎまくり。

 初日,中山国中の公園にてコンビニ買いのペットで一服。
 各牌食品股[イ分]有限公司の五穀健康茶。前回気に入ってしまった街歩きの友。今回も毎日飲んだな。
 韓国の17茶や日本の十六茶より数こそ少ないけど,数の多さが旨さってもんじゃない!黄金比的には5つありゃ十分納得です。
 麦茶みたいでちょっと違う。微妙に奥深いのに爽やかな味わいで,気軽にぐいぐいイケる日常の味です。
 五穀として表示されてるのは──
南投[サ/意]仁
[シ奧][シ州]大麦
屏東黒豆
雲林[米造]米
嘉義決明子
 [サ/意]仁は台湾なら四神湯,ダイならスイーツにも入ってる奴で,はと麦の部類らしい。
 決明子は日本語でそのまま「けつめいし」。エビスグサの種子の生薬名でメジャーな生薬。日本では漢方薬より民間薬または健康食品として用いる。別名,夷草(えびすぐさ)。ハブ茶として流通することが多いけど,正確にはハブ茶はハブソウの種子(望江南(ぼうこうなん))で別種。
 韓国の17茶と日本の十六茶にともに入ってるのは,鳩麦,大麦,玄米,桑の葉,霊芝,陳皮の6つ。
 アサヒの十六茶には,はぶ茶も黒豆も入ってる。
 つまり,五穀健康茶の5つの成分は全て十六茶には入ってる。17茶にも3つは混入済。
 これはある意味恐ろしい事実で──つまり,わしの舌が正しければ。台湾の健康茶は,品質と比率で勝負し,そして互角以上の品を出してるわけです。
 例えば雲林[米造]米の[米造]米が何かは分からんけど,雲林ってのはこんな地域でした。
 台中と台南の間の台湾高鉄の駅も置かれなかった過疎県。全県の大半が沖積平原。台湾の穀倉地帯。農産品は多様。斗六の文旦,濁水溪の米,西螺の醤油,刺桐のニンニクなど数多い。
 全く知らなかった濁水溪の米ってのをさらに追ってみる。
 中心集落は二水ってとこらしい。濁水渓ってんだから谷合の村なんでしょう。ミネラル豊かな水に育まれた濁水米の産地として高名。お茶やトウモロコシでも知られる。渓頭は観光地で,そこへの中継地になってる。
 濁水米について記述した日本語Webは少ないようです。ただ台湾のWebには──第一好米雲林濁水(獻納米),雲林濁水溪含有豐富有機質,和四季如春的天氣所生孕育濁水米特。別香,Q好吃,日據時代西螺,桐所生濁水米還因米質優越日皇欽點為「天皇五百甲御用米」。
 つまり,日本的には開山ばっか有名だけど,現地では濁水溪の米はかなりナンバーワン評価。香りが良くてモチモチ。日本統治時代には御用米になったことも──と日本的な関わりも。
 ちなみにこの地域,鯉農法って技術を実践してるんだって。錦鯉を水田へ放流してお米を育ててる。つまり農薬を使わず,「錦鯉たちと力を合わせて作ったおいしいお米です」ってプログにはあったけど,要はお魚のウンチで育つ米。
 何か…調べれば調べるほど,台湾って日本よりはるかに田舎が元気な感じです。
 それと,地名+品名の表示って単に習慣かと思ってたら,法的に位置付けられてるみたい。それっぽく和訳された名称では「商品に地名を付加する標示及び公平交易法」ってのがあるんですと。これ…田舎ブランド力をスゴく強化するはず。そしてこれは,内容的に台湾の大統領独裁色から出た制度とは思えない。
 単に品名のブレンドである17茶と十六茶と,産地まで限定して厳選された五穀健康茶。味の違いは,市民の食感覚のレベルの違いに裏打ちされてる。
 何度でも言おう。食文化は完全無欠の民主主義。つまり結局は──市民の食感覚の合わせ鏡。
 わしの街の飯がマズけりゃ,それはわしらのせいでしかない。

▲三角補仙草の原味仙草凍飲

 買ったのは小春園の近くだったかな?まあかなり店舗展開してる三角補仙草。
 数あるドリンクバーのチェーンの一つ。今回は最初に立ち寄った店になりました。
原味仙草凍飲 30元
 歩きつつ飲む。台湾のこの種のチェーン,ビニール袋入りのに蓋付きパックにストロー付けてくれるから,多少がんがん歩きながらでもこぼれない。
 甘ったるいのに漢方臭い。ゼリーよりところてんに近い奇妙なゲル状の物体が混ざってて,これが微かに苦い。
 外から見たら色は真っ黒。
 カップに書いてあった「3gupu」──「三角補」の読みのアルファベット表記みたい──で検索するとHPもありました。
 今日本でこれ書いてて…いかん,結構この仙草,習慣性があるらしくて…今すぐ飲みたくてたまらなくなってきた!

 師大夜市にて。
 橘菓子とゆーやっぱりチェーン店。でも少しマイナーか?「健康鮮菓茶専売」ってフレーズが店名に付してある。
鮮百香×××緑 35元
 ×××は漢字でもアルファベットでもない文字。これ台湾版のピンイン(音読用文字),つまり台湾版カタカナらしいとだけは知ってるけど,読みはサッパリなんで…漢字の方が嬉しい。
 「×××」部分が2種類あってチョイスできたらしいが適当にウンウン言ってたら,呉れました。
 色はオレンジの透明。何だか普通にオレンジジュース?と油断してゴクリ。
 …あれだ!あの苦茶之家で食った,あの百合だよ,やっぱ。ホクホクしてて静かな味覚なのに,ふっと漂う漢方臭。爽やか一辺倒のオレンジとの全くの異質さに頭を抱えつつ,これはこれで上質で旨くって,何だかんだでいつしか魅せられてしまってました。

 奉茶。
 これも変なドリンク専門のチェーン店。師大前,前回ウエェとなった記憶が鮮烈で,やっぱり立ち寄ってしまった。
 ちなみに,「来[任/心]兜」って文字が付いてたが。分からん!
楊桃緑茶湯40元
 あッこの味だ…この麻薬的にこそばゆい,中途半端な青臭い甘酸っぱさ。しかも緑茶が混ざって,訳の分からん味になってて…旨いのよ。旨いんだけど,何て味か理解も分析も不能な困った味…。

▲黒面祭前のアーケードにて

 特に行くつもりなかったんですが…なんか店も広告もやたら増えてるんで,今回も買ってしまった怪しさナンバーワンの黒面[サ/祭]。
 忠孝東路四段216巷にて。ここの店,1m位の間口の店だから,ふと振り向けばそこに黒面祭って感じで出現してくる。油断も隙もあったもんじゃない(?)。
 本日は──
黒面[サ/祭]楊桃醸飲(小)40元
 って,しまった!またヤナギモモ?
 ただ,同じ楊桃でも。これ黒面[サ/祭]特有の薬臭さで…あれ!奇妙に旨いじゃないか!!
 結局,この「楊桃」って一体何だったんだ?
 気に入っちゃいないんだけど,妙に舌が味を覚えてしまった。そんで調べてみると──
 柳桃,俗にスターフルーツ。正式名称はゴレイシ。ラテン名はAverrhoa carambola。カタバミ科ゴレイシ属。
 五菱の形なんで輪切りにすると五ぼう星になる。だからスターフルーツ。
 ゴレイシは漢字なら五霊脂。
 原産はマレー地方、モロッコ、ジャワ島などの東南アジア。一番北では石垣島や西表島で採れるそうです。つまり日本でも食える。
 未熟な時には緑色。完熟すると黄色,オレンジになる。ビタミンCとβカロチンが豊富。
 さて,肝心の味については「さっぱりとした甘味」とか色々評されてるみたいだけど…掛け値なしで表現するなら「癖のある甘味」ってとこ。飲めない人もいると思う。わしだって…「グエエ」と「ひょっとして旨いかも?」の中間辺り。換言すれば,総合評価としては──不味い。
 でも不味めのギリギリの食材がヒョイと出てくる,この軽~い危険度に…ついつい知らない品を頼んじゃう台湾ブレンド茶です。

▲夜の台北の路地裏

※後日談:2019年には大陸でもちらほら出店してきた「黒面蔡」チェーン,その早創期の頃の記録です。最初のおどろおどろしい色彩は,今は消えてフレンドリーなカフェチェーンになってきました。