外伝06@再訪@(@_20_@) 再訪・もう少しだけ臭豆腐 (@_20_@)

▲台湾美食 揚一碗の臭豆腐と香Q魯肉飯

 あら?
 前回あんなハマった臭豆腐,カウントしてみたら2回しか食ってないど?
 そんだけさらに新たな食材に出会ってしまったわけです…。
 でも今回の台湾第一食目はやはり臭豆腐でした。そんな気はなかったんですが,つい…。
 台北捷運(MRT)中山国中駅。木柵線の終点だったこの駅から,最近さらに北へと路線が伸び,今はマイナーな途中下車駅になってた感じ。
 台湾でも珍しい,中華世界的には奇跡的と言えそーな中華のマクロビオティック店があると聞いて来てみましたが…その店,どーも客の入りは全然っぽい。まあね…変な流行りに乗らなくたって中華は十分ナチュラルヘルシー,って事は中華世界の住民は知ってるからなあ。
 入るのは止めて,折角だから通りをうろつく。ドヤドヤしてていー雰囲気の街です。食いもの屋もゴタゴタと並んでて──。
 ん?中に,明らかにそこだけ客足がスゴい店がある。もう3時近いのに,軒先のカウンターにまで溢れて座ってる。しかも,一品20とか30元?安!
 看板には「台湾美食 揚一碗」って文字。どれが店名なのかすら分からん。
 第一食目から行き当たりばったりやなあ…。って感じだけど,とにかく入ってみる。
 赤肉湯ってのがよく出てるみたい。後日この赤肉に別の店で感動したから,今となってはちょい悔しいけど…だけど,台湾第一食!記憶の中の美食の魅力に勝てませんで…。
臭豆腐 40元
香Q魯肉飯 25元
 旨~!!
 臭豆腐は素揚げタイプ。鍋ものタイプもがっつり腹に来るけど,食材を味わうなら素揚げだと思う。つまり,あの危険な臭さに正面衝突したいなら!
 余談ですが。他の店で臭豆腐の冷や奴を出すとこがあんだって!うおお…わしはそこまで勇気はない。昨年,神戸で買った臭豆腐の瓶詰めを空けた時に立ち上った緑色のおぞましい臭気と,その後たっぷり一週間,部屋に帰りたくなくなるほど染み付いて抜けなかった異臭の記憶。
 あれをどうやってこの旨さに仕立ててるんだろ?
 舌に来るピリピリ感とこの臭いは,確かにあのおぞましい記憶と重なる味なんよ。そー分かってるのに…旨い。パーフェクトに美味なんよ!
 全く。とんでもなくヤンチャな食材であります。
 これと滷肉飯です。この2品が日本の食堂で並んで出て来たら,素直に「旨かった」と反応する日本人は1割いないと思う。
 わしの舌も困ったとこまで台湾化しちまったもんでありますが,特にこの店の滷肉飯,コラーゲン300%充填のプルプルした脂身の小粒がかかってる。
 黒面祭の飲み物の名前にもあった「Q」って文字が気になって,後で調べてみたら。
 これ,台湾のスラングみたいな文字らしい。
 料理を煮過ぎると「不Q了」(Qじゃなくなる)」,「太Q了」(Q過ぎ!)みたいに漢文内に入れこんで普通に使うらしい。発音はそのまま「キュー」,イントネーションは知らないが多分第一声。

▲台湾名物の変な日本酒 麦の田
田と書いて「はたけ」と読ますなんて枠…じゃなくて恐らく間違い。しかも麦が繁体字。その実体は!?──パン屋さんでした。

 西門の店舗型の小さな店。「伝統美食」って看板出してます。
 素食の店は大抵シックで簡素な何か違う風情があるけど,この店もそう。「素食」の表示もいくつかある。
 なるほど…臭豆腐って素食の一品だったの?
 韓国のチョングッチャンも仏教動機のヴェジメニューだったことを考えると頷ける。
 ヴェジ食には,低カロゆえに刺激に欠けるって短所が全般にある。肉じゃない品から作れる刺激的な食材として,コリアンはチョングッチャンを,中華は臭豆腐を創造してきたのか?
 そう考えてみたら,日本の糠漬けなんかもそうなのかも。外人からすりゃ──あんなウンコ臭いの嬉しげに食っちゃって,何考えてんだグエエッって感じだろし。
 東日本ではこの位置を納豆やくさやが占めるんでしょう。沖縄ならゴーヤか?
 そーゆー意味じゃブルーチーズとかもそう?東洋人からすりゃ,わざわざカビ生えさせやがって何考えてんねん!ですよね。
 広く取れば。インドのマサラなんかまさにそーゆーのの複合。グローヴにしてもコリアンダーにしても,それ単独じゃとても食えたもんじゃない。
 でも,どれを取っても低カロで強いアクセントを出せる食材。的確に用いれば凄い料理の味の核になっちゃう。高カロ食材に強く反応するように出来てるはずの人間の味覚を,鮮やかに騙くらかしてくれる食文化の知恵の結晶。
 臭豆腐は,インパクトとしても味覚の創造度としてもそのアプローチの際たるもんだと…えーい,能書きが長い!早う食わんかい!!
 では参る。

▲伝統美食の臭豆腐

 臭豆腐ワンパック45元なり。
 これは!?臭みがまだ残ってる感じやど?大丈夫か?──グエエとなりそうな旨いよな…絶妙なバランス感覚がうま~く保たれてます。
 辣子(唐辛子味噌)がタルみなく,細く鋭くビシリとキマッてて,これが臭みを旨味に昇華させてるようです。
 そう言えば。未だに食えない豚血餅も辣子のバランス感の味覚かもしれん。血液そのものの生臭さを,抑えこむんじゃなくて旨味に転化させるアプローチ。
 このバランス感にハマっていくと,あの豚血餅も旨いと感じるよーになっちゃうんだろか?そーなりたいよな御遠慮したいよな…。

▲西門に新しく出来てた「りんご」
カジャアルファッションの店みたい。で?何がどー林檎なの?