外伝01-1ಬೆಂಗಳೂರು【出国当日】寒さと暑さと

飢えとかつえと
風と太陽の熱と
アブと蛇と──
これら全てのものに
打ち克って
サイの角のように
唯だ独り歩め。
(ブッダ「スッタニバータ」)
 初海外初インドの時の「歩き方」に載ってた真言だったかな?とにかく,インドへ行くならコレ唱えなきゃ始まんないのさっフッ…とか書きながら,博多「正福食堂」で「銀だらみりん定食」を貪ってるわしであるのです。
 やっぱマイ・ランキング的に,ここの定食は博多で一二を争ってる(争ってるのは王丸食堂)!美味いのなんの…って違~う!インドじゃないんか?何でまた博多?いやあ…フライトが昼過ぎって昨夜気づいて,時間が余ったもんで,つい…
 全くこの男,出国フライトの時間すら覚えてない!(フライトスケジュールまでプログにアップしてんのに)実は何も準備なんかしてない。航空券とビザ取って,いつもの装備をとりあえず整えて,後は1泊目までの行程をイメージしてる位のもん。
 とにかくベンガルールまで行く。後はベンガルールで考える。凄い計画性!

 13時,福岡国際空港55番ゲート前の喫煙室。
 相変わらず日本の税関ときたらアホなもん取り上げるのがとってもお好き。
 オロナイン軟こうとライターと日焼け止めを没収された。これはひょっとしたらプラスチック爆弾じゃないのでは?って時には気付いてほしい。自分のちっちゃな権限を最大限に振り回さないとご満足できん役人の悪趣味ここにありだ。
 装備と言えば,やっぱインドだから…ってことで嗚呼懐かしのバックパックでやってきた。40近いパッカーっつうのもな~とは思うけど…映画「クライマーズ・ハイ」で初老の主人公も背負って電車に乗ってたし,山男だと勘違いして見逃してクレヨン。
 足元は松山で見つけた各所のサイズが調整できるスポーツ・サンダル。
 けど今回画期的なのは何っつってもパスポート・ベルト。10年振りじゃ。ここしばらく首掛けタイプだったのが,今回は腹巻きタイプなの。
 ──何がそんなに珍しいかって?これだから2桁人は…体重が3桁昇格すると,パスポート・ベルトがよく外れるよになった。立った状態と座った状態の腹回りのプニッの増大率が大きくなるのじゃ。さらに…1/8トン越えるとそもそも長さが足らなくなった。2桁とは違うのだよ,2桁とは!(byランバ・ラル)

 そーゆー人類史的に画期的なパスポートベルト復活!余りの嬉しさに舞い上がっちゃって「歩き方」特別製作のパスポート・ベルトを購入しちゃったわん。

 17時半,香港国際空港E2カウンター前のスターバックス。
 香港はAU携帯のウェブサービスはないらしい。台湾でもタイでも通じるのに?なんで,この文章はとりあえず携帯のメモ帳に打ってる。
 22:55発のチェンナイ行きフライトまで5時間弱あんぞ!
 こーゆー時は2時間位のトランジット客用のシティツアーに限るんだけど,インフォメで情報探ると参加条件はトランジットが6時間以上。シンガは4時間だったぞ!
 ノービザで行けるターミナル2には大きなショッピングモールがあるけど,今買い物して荷物増やしてもねえ…。
 しょーがねーから,財布の底にいつか釣り銭でもらった20HK$札が残ってたんで,いずこも美味いスタバのエスプレッソをダブルでゲットしてすすっております。

 しかし──最近は全然「異国感」ないのよね~。
 海外最初の頃は脳髄に違和感がのた打ってたんだけど,海外5年目位から単なる「別の土地」感覚になっちゃって,さらに今は…海外にいた方が落ち着く。
 この感覚はちょい怖いくらい。何事も自力で切り抜けなきゃいけないグローバルな空間に魂の底が共鳴して,思い切り笑い出し,充実感が満ちてくのね。
 日本語を話さない最初の一人との会話はぎごちない。けど,二人目からは普通に朗らかに英語で話してる自分に驚く。

 突然だけど,先日書いた世界のフラット化について補足。
 こういう超デカい変化が訪れてる限り,古い食材の供給システムはいずれにせよ崩れ去っていくんだろなってこと。
 食文化で言えば。伊勢神宮の御園や京野菜のよなシステムを「復活」させるなんて不可能。市民農園なんかの新しいシステムを新たに作っていくしかない。これから,わしらがです。
 その時の市場やノウハウの形成に,フラット化による個人の意識革新は決定的な意味を持つだろう。でも,これは食文化に限らないけど,フラット化で古いものが復活することは恐らくもうない。この変化は個人を途方もなくパワフルに,かつ自由にする。古い形態の延命なんちゅう保守的な立場は,いずれにせよ吹き飛ばされちゃうのよ。それらのメリットを再解釈してルネッサンス的に活用するとしても,それも本質的に新しいシステム。
 繰り返そう。わしらがフラット化する世界に何を望むにせよ,それは新たに創り出すしかない。

 22時,香港国際空港63番ゲートの列に並んでる。係員の動きが慌ただしさを増してきた。数分後にはチェンナイ行きの機内。
 インドに還る時が来た。