本伝08章[Step79]やがて親になる子どものために

 285日目 
▲59.6kg(半減+9.4kg)
▲60kg目前!

学校は何が出来るだろ?ってのが今回のお題です。
 何でそんな急に?だけど実は仕事です。訳あってそういうビジョンを書かなきゃいけなくて…これはその下書きね。
 親の子育て力が低下してる。その原因の一つに,今の親自身が子どもの頃,同年代の子ども集団内で揉まれたり地域と関わる機会が減ってることがある。主に地域コミュニティーの崩壊と核家族化の進行によってだけど,今後は少子化がさらにこの傾向を加速させるでしょう。そこんとこの機能を代替補完できるとしたら,学校教育が最後の砦!って図式のお題ね。
 そんなんまで学校がやるんかい?!ってのが常識的な考えだけど,事態はそこまで来てんのも確か。ほんでその対策の柱は食育でしょう?ってお話です。

 教育の目的は大きく2種に分かれます。──社会化と自己実現ね。
 社会化ってのは,現代日本で社会的存在たるための素養を身に付けること。自由社会で唯一許されないのは無知である自由。最低限,読み書き計算と法令遵守の知識を持つことは強制される。
 それに対して自己実現ってのは,専門知識や創造力・調整力・情報処理力など。相当数の構成員がこれを持たなければ現代社会は機能しない。個人にとっても,そうした機動力とサバイバル力がなけりゃポスト消費社会は魔性だらけのバビロン。自己実現の力は社会の活力の根源。
 このどちらも,家庭教育と学校教育の守備範囲だけど,どちらかと言えば社会化が学校,自己実現が家庭。
 学校に限って話そう。教科としては,子どもの社会化のために主要なのは国語・英語・算数(数学)。技術・家庭や保健・体育もこっち。それらを支える基礎力としていわゆることばの教育も含まれるだろう。
 自己実現力に繋がるのは理科と社会。根本的には原素記号や幕府成立の年を覚える教科じゃなくて,「リンゴが落ちるのをどう説明するか?」「ローマの滅亡は何に因果付けできるか?」といった仮説力・説明力・論理構築力などを得る場だから。
 これらをより自己実現に直接繋げるのがいわゆるキャリア教育。実現させるべき自己像をイメージし,自身の進路を考えてキャリアアップとしての学習を設計する。
 当然ながらキャリアアップの内容としての国語力ってのもある。自己実現力としてのことばの教育(例えばパフォーマンス力)もある。これはあくまで主な性格づけ。
 では食育は?一次的には自己実現。自身を食生活リスクから防衛する術だから。しかし,親としての適性獲得と見れば,社会化の手法という性格も持つ。自身の防衛力は即,防衛力のない子どもの食事力の育成に直結するからです。

 ではこれらのうち,親になってから獲得できないのは何か?つまり,学校段階でのみ獲得できるのは?
 教科内容の暗記は,極言すると大人でも可能。子どもの時期に獲得しといた方が楽なだけ。
 ことばの力もそう。欧米の学校が卒業までに叩き込む論理的文章を書く能力を,大抵の日本人は就職直後に叩き込まれる。あまり効率的じゃないだけ。
 これに対しキャリア教育は少し違う。能力獲得の早い時期にキャリアアップを意識して基礎的学習を進めた成功体験は,社会に出てから持ちえない。もっと専門的な能力獲得は求められるけど。
 つまり学習の初期段階でのキャリアアップの成功体験。漫然と大学出た後,子どもに語れる主体的なキャリアアップ体験は持てない。
 食育でも同様に成功体験がモノを言う。妙なダイエットマニアな隠れ肥満の親に子どもの食育はできんよね。
 けど食育の場合はもっと直接的。技術・家庭にも言えるけど,こんなのを体系的に学べる機会は学校しかあり得ない。──スローフード運動や地産地消はあくまで運動で学習じゃない。ましてこれほどのガセ健康情報の荒海です。
 ちゃんと衣食住してく力。コミュニティーの崩壊が不可逆な限り,社会を維持するデッド・ラインがそこ。それは政策的に学校が死守するに十分な理由です。

 いやしかしもっと精神的な面は?同年代集団やコミュニティー活動がやってた倫理育成を道徳教育でなぜやらん?
 ハッキリ言うよ──そんな事言う人は現代の子どもが晒されてる,そして今後数百年はさらに激化するであろう精神文明的危機に対し認識甘過ぎまっせ。
 そんなん学校単独で出来るか!全ての人間が今後数百年苦しんで築いていくしかない!人間がポスト現代に何をすべきかを。
 今はまず足元を固める段階。キチンと生活を築く力が普遍的センスになるよに。