外伝07(≧∇≦)きゃらぶきの6月

 朝市の彩りは,毎月劇的に変わるわけじゃないらしい。
 4月からこの6月までは,それほど大きな変化があるわけじゃなさそう。ただし,出荷量はどんどん増えてて,要は春モノがハシリから本格的な旬に移ってきた感じです。

 仁淀川の天然鮎のあゆを出す店は,296番と298番の間の臨時ナンバーってことになってるみたいでした。臨時にしては毎回出てますけどね。
仁淀川の天然鮎のあゆ飯(350円)
 前回までは鮎の塩焼きでしたが,あんまり旨いんで今回は初めてあゆ飯にも手を出してみました。


▲鮎飯

 川魚特有の泥臭いのと鮎独特の高貴な味わいが飯に染み出してます。朝からコレは贅沢過ぎ!
 あと川エビが3匹400円で出てた。これは初めてだと思う。
 玉子10個400円ってのにも惹かれたけど。きっと美味いんだろな~。でも生で食いにくいし,持ち帰るのもリュックの中で割れ割れになっちゃうだろしな~。

 311番(5丁目南)にはいつもお茶の葉が山になってる。
 横山さん経営。
 番茶,煎茶,健康茶などなど。
 「キャッチコピー」は「土佐茶健康茶」って,だからそれは品名だっつーの!
 さらに「店の紹介」。「大正12年,帯屋町にて開店して以来,日曜市に出店。80年の歴史があります。」…終わり!?それはそれでスンゴイ店の歴史。だけど…店の紹介にはなってないかも!?
 びわ茶(500円)を買ってみた。
 まいちゃづる茶(800円)にも惹かれたが初めてなんで。
 「四国の奥に麦茶の日本一の会社があるの。ここのはそこの製品だから確実よお!」とは亭主の言葉。後で飲むと,確かに宜しい。よもぎやハブほど個性ギラギラじゃない穏やかさが,ブレンド茶の核にするのに重宝してます。
 高知,特に四万十川流域が隠れた茶どころってのは知ってる人は知ってるはず。自分の舌で確かめる限り──悪いけど,静岡は東京に近いだけだし,京都は宇治茶は別格として基本的には緑茶のブレンド力で秀でてるだけ。質なら九州の知覧や八女,四国の四万十のもんだと思ってますが…知らないだけでしょか?
 あと,日曜市じゃないけどはりまや橋のアーケードにあるふるさと産品屋さんで,試しに買った高知の地場産紅茶の味に驚いてる。
 インド産とかの端正な味わいもいいけど,高知のは風味に迫力がある別の飲み物。ジャワティーに似てるけど,さらに重いバイブレーションがある。普通の紅茶はハーブティーとか香り系のお茶じゃないとブレンドしたら味が死ぬけど,高知のは穀物茶系と合わせても十分ハモれる力強さ。

 326番,5丁目南。西野さんのお店。
 HP上は販売品は鉢花ってことになってるから間違えたか?でも住所は万々になってるし?
 ちなみに万々はJR高知駅から3km位のほん近郊。池谷みたいなトマトだけ有名なとこじゃないけどセロリのほか野菜全般がイケるみたい。
 万々産の完熟とまとを購入。300円1袋数個入だったけど,形の悪い奴なら100円になってた。
 「取った時期は一緒よ~」って不条理そうにおばちゃん言うから,100円のにした。
 プチトマトではなく普通の大きさ。新鮮だからかかなりよろしかったッス。

 412番は5丁目北の西本さん。
 うこん,どくだみ,げんのしょうこ,柿の葉のほか8種ブレンド健康茶を売ってる。
 よもぎ茶1袋,500円で買ったけど綿菓子くらいの大きさ。小口がないのと尋ねると「スミマセン…小さいのないです」くらいの低姿勢で頭下げられた。
 沖縄でハマった後,博多で買ったよもぎ茶が切れてたんで思わず購入。自然なよもぎで長く愛飲いたしました。

 428番。5丁目北の日比さんの出店。生姜,きゅうり,なす,ほうれん草,小松菜など野菜の店です。
 キャッチコピーは「新鮮野菜」って…やっぱりこの高知朝市の人全員を集めてキャッチコピーの意味を講習したほーがいいと思うんですけど。
 きゅうりの漬け物1本50円。なすの漬け物も同じだったんで,1品ずつ味見の積もりで100円玉を渡す。…しかしこんなんでホントに商売になるんだろか?こっちが心配になってくる。
 「全て自家製」との看板。シソ漬け500円が看板商品らしい。200円と値がはるけど(完全に金銭感覚マヒ)粕漬けにも惹かれた。
 味は素朴で素直においしかった。こーゆー当たり前の漬け物が食える幸せが,珍しくなってるって方がおかしいのかもしれんけど。

 438番の隣。番号表示が隠れてて確認できなかったけど,とにかく
ソムダム(一盛350円)
を購入。形崩れは250円だったけど,初体験の果物なんで自信がなくて高い方を買いました。
 タイの「ソムタム」(青パパイヤのサラダ)に似た名称だなあ…と思いつつ買ったけど,Webで検索しても果物の名前はヒットしない。ひょっとして同じものなの?タイで青パパイヤそのものは見たことないし,歯応えは少し堅いし味覚は酸味が強いけど似てると言えば否定しきれん?未だにわかんないよ~!
 やまもももももも…もとい,「やまもも」も美味そだったけど,ソムダムは今月からたくさん出てるっぽいんで今日はそっちだけにした。程よい青臭さがいかにも野趣って感じで,グッドでした。
 ちなみにやまももは,「かめぞうやまもも」ってのが高知で一番美味いらしい。


▲ソムダム

 店番634,7丁目の池澤さんは吾川郡いの町枝から出店。かぼちゃ,さつまイモ,とうもろこし,新高梨など。
 茹でキビ(200円)が上手そうだったんで手を出してみる。今朝もぎただって。
 確かに!屋台のトウモロコシとは全然違うコリコリ感。その朝の主食になってしまいました。
 春キャベツもプリプリでイケそ。ゆず味噌で食う手はあったな。

 ここは朝市登録店じゃなく普通の店舗。でも岡村文具店の店頭に出てたから,やはり出店なんでしょう。帯屋町に入る直前。
 四万十町産と表示された野菜が連なる軒先。中でもフルーツトマトは山になって売られてる。その脇から,黒豆(300円)をチョイスする。
 京都で丹波の黒豆は見てきたけど,四万十町でこんなんも作ってんやな。
 丹波のみたいにドス黒くなくて,いかにもやんわりした豆。ただ,黒豆茶にするとあまりいい味は出なかった。煮物にすると田舎っぽいええ味わいに。
 四万十川流域って,平地が狭いから生産量は多くないんかもしれんが,日本の古い食材がたくさんありそうな気配ね。

 野村さんのお店は193番,3丁目北の漬け物屋。今月も来てしまいました。
 ここのぬかの強烈な匂い,夏場はひときわプンプンで間違えることがない。今月は
なすの葉入り1年もの(300円)
を購入。いつもながらウマかったけど,いつもながら広島までが臭い。新聞紙でくるんだ上にビニールで括ってさらに新聞紙で…と3重位にして,やっと周囲に気付かれない匂いレベルに。
 臭い話はともかく,ナスの葉を混ぜて漬ける方法は,かなり全国区なのね。呼び名も養老漬,いなか沢庵,伊勢沢庵と色々あるみたいだけど,要はナスの葉の他,柿の皮や昆布を加えてぬか床に漬け込むと自然な甘さが出て来るんだって。

 147番。3丁目南の久さんが売ってんのは,ゆず酢,寿司,蒸しパンだけど──キャッチコピーは「いなかすし」。店の紹介は「ボリューム満点味田舎一度食べたらアンコール」。…何だあそりゃあ!訳分かんねー!
 ここでは
文旦大福(200円)
を購入してみた。文旦入りのアンコが入った大福餅でした。
 まあ美味い。美味い以上に面白い。他の季節に何出してくるか楽しみなお店。
 後日調べてみたら。この大福,ラジオで紹介されて以来一部にファンも出来てる人気商品。一日200個限定販売ですぐに品切れになるそうだから,割とラッキーだったんでしょう。

 281番(4丁目北)の尾崎さん。販売品種は徳谷トマト,小夏,土佐文旦,水晶文旦,山北みかん。
 キャッチコピーは「味本意の店土佐のいごっそう」。店の紹介は「フルーツショップオザキの店へ来てみて下さい」と,キャッチコピーとかカテゴリーの意味を理解している朝市のページでは稀有なお店。
すいか(200円)
 南中国や東南アジア,インドみたいに細切れに切ったスイカを売ってたんでつい購入。これにスパイスや唐辛子をまぶしたらまさにタイのフルーツ売りです。
 氷抱えてマンザイしてる3人組がいつも目立ってます。こいつら年中このテンションなんだろな。

 さてホテルに凱旋だけど,ちょっと肉けたものも欲しいかなと283番(4丁目北)の池田さんの店へ。
 焼き鳥,鰻蒲焼き,ウィンナー,土佐和牛串焼きとかの店。店頭でモウモウと煙を上げて炭火焼きしてる。この手の店には他に天ぷら屋とかがあって,観光客には一番人気のカテゴリーです。
 キャッチコピーは「総て高知産の新鮮な品物。炭火で焼き上げる。」とコピーとしてはとってもいい加減。
うな肝(300円3本)
を注文すると,その場で焼いて紙コップに入れたのをくれます。紙コップは野菜スティックみたいにオシャレにって意味じゃなく,串の根元のタレが指に付かないようにとゆー工夫。つまりヘコませた紙コップで串を掴んで食うわけ。これが高知スタイルの串なのかあ…どうかは知らない。おそらくニッポンでこの店だけだろな。

 127番(2丁目北)種田さんとこでは山菜,
梅,柿,餅,栗を打ってます。
 既に買い過ぎだ!!でもきゃらぶき
蕗の薹の佃煮
の黒光りを見てたらついヨダレが出てきて購入しちまいました。各200円ほどだったかな?
 …良い!
 独特な渋みと苦みがムンムンに生きた漬けたばかりのフキが,こんなに絶妙だとは!飯持って来い!!いやこりゃあ日本酒だ!!わはははは…!
 さて少し冷静になって,勉強してみよう。フキは蕗,苳,款冬,菜蕗と呼び名が多い。呼称が色々ってのは永く親しまれてるってこと。ちなみに津軽弁では「ばっけ」。秋田弁では「ばんけ」とも言うんだって。
 学名:Petasites japonicusと紛れもない日本原産食材。植物としてもキク科フキ属って独立の属を構成する多年草。
 国内は北海道から沖縄まで全島に分布し,樺太や朝鮮・中国にも自生する。ただ,上海の東北料理店「東北人」で東北名菜として出てきたから西は満州までだろう。
 有名どころでは,北海道足寄町の螺湾川(らわんがわ)に沿って自生するラワンブキ。高さ3m,北海道遺産指定の植物。昔は高さ4mのもあって,騎乗のままその下をくぐった話が残るらしい。
 秋田県にも2mに伸長する秋田蕗というものも。江戸時代に「秋田のフキは傘の代わりになる」と秋田藩主の佐竹義和が江戸で自慢したら,ほら吹き男爵呼ばわりされたんですと(江戸時代に男爵はいねえよ)。
 季語としては,蕗の薹や蕗の芽,蕗の花は春だけど,旬の蕗,蕗の葉,伽羅蕗,秋田蕗は夏の季語に使われる。
 フキの蕾みの状態がふきのとう。天ぷら,煮物,味噌汁の他に,細かく刻んで油味噌に絡めた「ふきのとう味噌」にするパターンもあるそうで,ヨダレは止まらない。
 さて今回購入した「きゃらぶき」(伽羅蕗)ってのは何なのか?
 充分に伸びた蕗の薹から葉や花を取り除いて茎の部分だけにしたものの佃煮を,その色が香料の伽羅の色だってことからそう呼ぶらしい。伽羅なんて高級品は見たことはないけど,濃い茶色ってことのよーだ。
 フキの葉(柄)は春から秋まで生えてるけど,食材に使えるのは4月下旬から6月まで。7月過ぎると,それこそトウが立って固く,苦味も一気に強くなっちゃってとても食えなくなるとゆー微妙な食材らしい。
 へえ~。ここまで来たら調理法まで見ちゃいましょう。
【材料】
ふきの軸 500g
赤唐辛子 1~2本(細かい輪切り状態)
醤油 100~150cc
砂糖 大さじ3~4
酒 50~100cc
【レシピ】
1)大ぶりの鍋で軽くふきを茹でる。そのままでは鍋に入らんので,切ってから煮る。ただし,皮剥きの作業上,短くし過ぎない方がいい。
2)茹でたふきを冷水であく抜きする。1~2時間程度。
3)薄皮をむく。
4)鍋に昆布だしと醤油,酒,砂糖を入れてふきを煮る。30分経過後,さらにみりんを加えて照りを出す。
5)鍋から下ろして2~3時間煮しませる。
6)その後弱火にかけて,醤油で味を整えながら10分煮詰めたら完成。
 …っていうか結構メンドクセー料理なのね。要は普通の和食の煮込みだけど,皮剥きとあく抜きがある分手間が倍増してる感じ。
 種田さん,ありがとうね!!