外伝08〓’Ⅷotto’Prosciutto crudo!! 生ハム


▲パルマ街中バールで頂いた生ハムのパニーノ

 パルマと言えば生ハムですよ生ハム!
 …とか言えるほど,実は目的意識はっきり持って行ったわけじゃなかったんですけどね。
 以前出向してた某ドメ官庁の某局長が,宴会で生ハムしか食わないってんで毎度幹事を悩ませてたけど──そんなに旨いモンかあ?何か変にカッコいいって思い込みが過剰なだけちゃうのん?
 …って本音の私でございましたので,その朝パルマに向かったのも生ハム目的じゃ全然なかったんですよ局長。
 けど。一休みで入ったパルマのバールで,カッフェのついでに「そーいえば名物だし」と最初の写真の生ハム入りパニーノを摘んでみたら…。
 この日は3食,全部生ハムがメインでした!


▲ついでに。翌日,まだ尾を引いてボローニャ駅前で食ったカプチーノ&生ハム入りブリオッシュ。これも…!


▲ウゴ・バッシのバス停電光表示

 Ugo Bossiからの25番バスでチェントラル駅へ。──切符は近くのタバッキで買えた。1枚ε20。5枚まとめ買いしとく。
 駅で意外に迷う。…どの列車だ?途中駅までの切符は初めて買うし。
 10分ほど電光掲示板に目を泳がしても訳分かんないから有人のチケット売り場へ。チケットは買えたけど「クアーレ・ビナーレ?」(何番ホーム?)って尋ねたら…お姉様,チラッと掲示板を見上げてはくれたけど「I don’t know!とにかくPiacenza行き!」との丁寧な対応…ってゆうかそんな職分なんだろな。
 改めて掲示板でPiacenza行きを探す。確かに1時間でパルマらしい。


▲ボローニャ・チェントラル駅の電光掲示

 8時30分,Bologna centrale駅発。Piacenzaへ向かうR列車。
 明日はこの列車でPiacenza乗り換えクレモナ行きって予定。
 9時15分。Reggio Emilia駅通過。「エミリア街道の〇〇」って語感の名前だと思う。この地方が平原ど真ん中って感じ(想像)?食材的にも最も豊かなエリア?(もっと想像)
 見渡す限り山は見えない。ロンバルディアは広大です。
 少し霞んでるけど本日も晴天。
 今回の旅行も,折り返し点を過ぎて8日目。

 チェントラル駅で少し待ち時間があったんで,駅前Barで朝食をとりました。
 カッフェに加え,やたらチョコレートべっちょりのブリオッシュを頂く。甘いことは甘いけど腹にズシンと来る。ただ,朝は皆さん,何もかかってない一番安いシンプルなブリオッシュがお好きみたい。それと,半分以上の人はカプチーノを頼んでる。この辺のルールはすごく厳格に生活されてます。
 ただ…それは軽く見えてカロリー高いぞ?ブリオッシュは意外に300kcal以上だし,カプチーノに砂糖でも入れたら100kcal近いから計400kcal。にしては満足感的に貧しくね?
 でも今度,一度だけカプチーノも試してみたい。味覚的には確かにブリオッシュと合いそうだし。
 駅前で号外みたいな配り方の売り子がいたんで,とにかく受け取ってみる。なぜか月面写真がトップだけど当然チンプンカンプン。皆さんこれを読んでるらしい。広告だらけでもないのにどう商売になってんの?


▲パルマのドゥオーモにて 軽く万歳するキリスト像

 9時32分パルマ着。
 今日のターゲットはこのパルマと,すぐ隣のモデナ。どっちも元々小さいながら独立勢力の中心都市だった歴史を持つ町。んでもってどっちも食の都。パルマの生ハム,モデナのパルサミコ酢。動機的には生ハムはどーでもって感じだったけど,そーゆー独自っぽい匂いに惹かれた。
 んでやっと最初の話に戻って…生ハムの味に魅せられて,今度は通りがかりの安めのトラットリアに入ってみたわけです。


▲パルマ Cluny barの生ハムのインサラータ

 Cluny barって店のオープン席に居座る。「Menu Easy ε10」って看板が出てて,チョイスに「Insalata mista con prosciutto crudo e parmigiano」があったからって選択でした。
 パンと水付きだけどサラダのみで1500円ってどうよ?とは思うけど,まあ…もうそれは諦めよう。それに来たのはドーンとホール一杯の生ハムサラダだったし!


▲同 生ハムのインサラータ アップ

 うん…うん!コレは…イイ!イイぞ!
 生ハムの高貴な芳香がプウンとふくよかに鼻をくすぐる。この生ハムって…やっぱ日本のと完全に別物だぞ!?本物の紅茶みたいだ!香り立ち方が全く違う!鼻孔に満ちた芳香自体が最高の料理なのじゃ!
 これを,インサラータで食ったわけだからアンタ──レタスとこれだけで十分じゃ!美味い!十分過ぎるぞ!
 局長,ゴメンナサイ!僕が間違っておりましたです…。


▲タパチェリアの上で何か怒ってる人

 パルマの町はまとまってて見応えあった。ボローニャ,パルマ,モデナのエミリア街道の町の景観は別にまとめてみましたんでよろしく。
 駅に帰ってきてパルマまでの切符を購入。…って思ったら有人窓口にエラい列が出来てたんで自販機にトライ。
 あれ?あれれ?
 Reg.のチケットは買えないのか?何か上手く買えないくてキャンセルを繰り返す。後ろのお姉様がムッチャいらついてんですけど…ε4.30が普通だったのかどうかも分からんけど,とにかく紙は2枚出て来てしまった。モデナとは書いてあるし?いーんだろコレで?改札がないからスッゴく不安なまんま移動してしまいました。
 ちゃんと指定を取る時以外は,素人は時間を惜しまず有人窓口で買いましょう。
 13時30分にパルマ発。2時にはモデナに着くはず。


▲モデナ 着物姿の混じってるPeople展ポスター 白人の日本人観を垣間見る思いです。

 ふうあ~!!迷った迷った迷ったがや!
 実は昨日のフィレンツェのインサラータ食ったチェントロの通りでもエラく時間がかかったのね。一本の通りにいただけなのに──ちょっと店に入る度に方向をなぜか間違えて,同じ道を引き返しては「あ?この景色はさっき見たみたいな!?」。一度なら失敗失敗で済むけど,数回繰り返し間違えると…何か呪縛的なものを感じて怖くなりました。
 イタリアのこれら古い愛憎にまみれた町々には,特定個人と共鳴する呪縛めいたスポットがあるんじゃなかろか?
 ──ワシは…ここから永久に抜け出せないんちゃうか!?
 あるいは…地縛霊か何か得体の知れないものに命じられてるような──己は今ここに居ることになっている。逃がさんぞ…みたいな!?
 モデナでは,これがさらに大掛かりでした。
 一応歩き方のモデナの市街地を見ながら行ったはずなのに?古い街並みはかなり見れたから全然OKじゃああるんだけど?
 後でマップを見返しても──どこをどう歩いたのかさっぱりピーマン。地図上は30分ほどで回れそうなこの小さな古都,丸々2時間もどう歩けてしまったのか?トンでもない大工場にぶつかり,学校やアパート群だらけのベットタウンっぽいエリアを横切り,何とか古都っぽい街並みに行き着いたものの方角がまるで分からない。駅方向の表示を見つけて歩き出したらいつの間にかデカい大学の構内にいて,その向こう側で自動車工場のあるサビれた大通りに出た時には…流石に絶望的になってきた。
 途中,道を聴くにもシエスタの時間帯で人影まばら。度に「ディリット,シニストゥラ」(まっすぐ行って左)と同じセリフが返る。だって同じ場所に返っちゃうじゃん!?本気で怖くなってきます。
 そんで…ある瞬間,ふっと気づくとそこはもう駅前広場。
 えッ?何で!?…って探求する気力もなく,駅舎へと駆けた。やっと見逃してくれた魔力的な何者かの気が変わらないうちに。
 ひょっとしてこの古い国…京都みたいな呪術スポットだらけの地場なんじゃないの?
 てことでパルサミコ酢どころじゃなかったです…ハイ。
 16時定刻,モデナ脱出。夕方になっちゅうで…。


▲とか言いながら…こんなのだけは見逃しません!
モデナ旧宇市街あたりの「Bar GEGE」。客がみんなゲーゲーやるから便所はとっても酸っぱい香ほり(想像)。


▲DueTurriの外観

 ボローニャに帰り着く。明朝はこの町を去ると思うと,自然に足が向いたのが斜塔東のDue trre!!
 昨日の昼時にすっごい人だかりが出来てたピザ屋。場所的に見てたかってたのはボローニャ大の大学生だと思われる。
 ストレンジャーが大多数の学生集団に指示される店は,いずこの国でも正解!時間帯を外して再度訪れてみたら──


▲DueTurri(1食目) フンギとオリーブ

 ピッツァの切り売り専門店。1/12切れがε1.50。コーラとセットでε2で売る。どーもチェーン店ではないみたい。
 ピザの種類を書いたメニューはあるけど,実質焼き上がり次第店頭に出てはガンガン売れてく3種類程から選ぶ。初心者的にも…つまり指差して金払う2アクションだけだからトラブル無。
 店内にも数席イートインのコーナーはあるけど大抵満席。昼時の学生たちに習って,2度とも対面の屋根付き歩道の段に座って頬張りました。
 運命~!じゃなくてウンメー!!
 ローマのみたいに決して上品じゃない。けど単にB級なだけとも違う。力の入ってない,恐らくイタリア人の体温通りの自然な美味。
 ブラックオリーブの香が鐘の音のように誇り高く鳴り響いた後,安らぎに満ちたフンギ色の静寂が訪れる。ピザ生地は油絵的ながっつりさだけど粉モノの繊細なタッチは失ってない。つまりその全体の絵画がナチュラルに美しいんだわ。
 そんな印象だったからこそ2日目は,しかし敢えてハード目のサラミを選んでみた。
 何と!コレもグッドなのじゃ!
 オリーブの前にサラミの粗暴な脂味がガツンと来る。絵画ならダリとか原色ギラギラの抽象画チックなんだけど…それがまた妙に統一感ある後味を残す。
 そして最後はやはり!フォカッチャ生地のナチュラルに荘厳な小麦味が締め括ってくれるんである。


▲DueTurri(2回目) サラミ

 う~む…恐るべしイタリアンピザ!
 DueTurriに味をしめて,ウゴ・バッシでも客が寄せてるピザ屋があったんで,ついつい手を出してみた。
 Angeloって何てことない店。同じく切り売り専門店だけど,こちらはさらに安くε1.40。コーラ付きセットはε3を切ってた。
 見た目ピザに胡瓜の輪切りが乗ってる不思議な絵柄。こんなピザ食えるのかあ??的な疑いに満ちつつ口へ運ぶ。
 へえ~!?これズッキーニだな。胡瓜と微妙に違って青臭さがまろやか。その青臭さが控えめなモッツァレラチーズと意外にばっちしコラボ。清涼さに転じて小気味いい。フォカッチャ生地もまたほくほくで量のバランスもばっちしキマってんの。
 こいつは夕暮れのバス停そばで立ち食い。こーゆーシチュエーション,好きなんだよな。中国じゃ有りがちだったけどイタリアじゃ初めて!


▲Ugo bossiのAngelo ズッキーニのピッツア

 コープに今日も立ち寄ってしまった。
 何かホント…ここへ来るとトラットリアでε10を超える上品飯を食う気が失せちゃいます。
 今日はインサラータのセットを見つけた。野菜にパルサミコ酢とヴァージンオリーブオイルのチューブパックが付いたプラスチックのセット。
 買ってはみたけど。実はまだ我が家に使わずに置いたまんまです…。何となく,やっぱりこれはイタリアンとして邪道な気がして。
 つまり,サラダにドレッシング,この日本でメジャーな形態が,イタリアでは探してやっと見つかるほどマイナーなわけで。
 モデナで買えなかったパルサミコ酢を瓶でこの日購入し,これで食いました。細かいことは後日考えてくとして──
 野菜はもっと自由に食えばええのじゃ!


▲コープのInsalataセット