外伝06@再訪@(@_24_@) 中華の米使い (@_24_@)

 抽化街みたいなもろ観光地にはしばらく足を運んで来なかった。
 けどここの4階建ての質素なビルには,そー言えば入ったことなかったんです。
 かなり庶民的な市場。野菜も肉も穀物も満載の店がところ狭しと立ち並び本格的に猥雑な中国市場でした。やはり中国はコレ!嬉しくなってくる。
 朝一で行ったから,品出し真っ最中の最中の店がほとんど。その中に,既に!わんさか人だかりのできた店がありまして。
▲抽化街の彌月油飯

 何だコレ?
 彌月油飯って名前も初めて見た。もちみたいな品らしいけど,焦げ茶の色がついてて柔らかい感じ。
 飛ぶよーに売れてるけど,いくら観察しても購入単位とか買い方がどーもよく分からん。でもウマソ…ええいこーなったら!
 両手の間隔を示して,このくらいチョーダイ…って伝えてみる。必殺の!イタリアのパン屋さん方式!!(こんなんじゃ誰も死にません)
 物好きな観光客…と確実に侮られたけど,ボラれてる率もやや高めですけど…まあとにかく購入。
 さて,宿で包みを開けて…また悩む。
 どー喰うんだ?
 切り分けてケーキみたく食うもんかなと思えたけど包丁はない。仕方ないから韓国風にハサミで小口にして口へ。
 ケーキのイメージを一度作ったもんだから,なお困惑しちゃう味覚でした。
 食感はカッテージチーズなのに味はお餅…いやよく蒸した粽に近い。けど胡椒と豚肉が十分に溶け合わさってて,ハムと餅を足して割ったような…とにかくワケ分かんない未知の食材。味付けは中華粽のさらに濃い感じになってるんで,そのまんま十分に食える。
 完全に不可知の味でしたんで,とてもそれ以上評価なんて出来ません。カテゴリー的にも…主食なのかおかずなのか,菓子なのか飯なのか,中華なのか東南アジア系なのか全く不明。
 とにかく感じたのは──米の使い方の自由さ。コレです。
 米の旨さが理解できてきて,韓国で忠羅道の米を味わってみて,今回の台湾では米が一つの楽しみだったんだけど,普通に炊いた米も確かに旨かった。香りが先に来る東南アジア系。なもんでこーゆーのにも手を出してみたんだけど。
 米をチーズとして食う。この後触れるように,米をスイーツとして食う。
 日本人の米食が衰退してる原因の一つは,「米,食わなあかん!」って義務的に言うだけで,食文化の方にこの自由度とかチャレンジ度が低いってことがあるんじゃないか?
 その意味で,最近の米粉パンとかの動きは画期的なんだなと再認識するわけです。

▲老[舟孟][舟甲]シエン粥店 シエン粥

 あんまりマニアックなのもアレなんで,イメージ通りのお粥に戻ってみました。
 見かけは,少なくとも。
 老[舟孟][舟甲]シエン粥店で赤焼肉と一緒に食ったお粥。
シエン粥 20元
 日本円にして60円!ちなみに赤焼肉は40元だからトータル200円を切ってます。
 でも…こんな満足できる一食もなかった。
 最近つくづく思う。──食材のレアさとか味覚の末節を除けば,大衆に支持された味が旨いのは当然!安さはその一つの証明です。
 さてこの粥。シエン豆ジャンと同じで,「シエン」ってのは単に塩味ってことじゃなくて塩気のみの,つまり薄味の具材のお粥ってほどの意味みたい。
 入ってんのは──赤焼肉が一塊,後は菜っ葉みたいな葉野菜が少し漂ってるだけ。
 だけなんだけど!
 台湾米の香り。菜っ葉の野菜味。ハムの醸す,それ自体は珍妙匂い。これらが渾然一体となって,ごく薄くふんわりと鼻孔を刺しながら,喉を落ちてく感じ…これは絶妙!
 店の名前からして元々は,この粥がメインの店なんでしょう。場所によっては日本並みの物価の台湾にあって,トータル200円以下でこんな一食を頂けるとは…台北って,一体どーゆーとこなんでしょうか?

▲均合素食で八宝[舌甘]飯を求める人だかり

 忠孝新生の南辺りに市場みたいな風情になってる一角がある。
 買い物客でごった返すこの界隈を通りかかった際,こんな感じで一際スゴい人だかりになってるお店がありました。
 売ってんのは,丸いお餅?みたいに見えたけど…何かちょっと違う?カラフルな彩りが,少なし上面にまぶしてあって,いわばドデカいイガ餅って第一印象。
 とにかく買ってみようか?
 聞くと結構高い。180元でした!ひええ~老[舟孟][舟甲]シエン粥9杯分!
 まあ,日本円で500円ちょっとなんですけどね。

▲均合素食の八宝[舌甘]飯

 均合素食。八宝[舌甘]飯。
 レシートを見て初めて店名と商品名を知る。(ちなみに値段は印刷されてたからボリではないらしい)
 へええ…これも素食のカテゴリーなんだ。高いしカラフルだし,とても「素」って感じじゃないけど。宿で包みを解いて,改めてその感を強めました。
 棗や小豆,その他フルーツで飾り立てた餅米。米の部分は餅にはなってなくて,でっかい山賊お結びみたいな感じ。ただ…米が硬い!イガ餅と言えば,あの餅に付いてる米粒くらいの硬さ。昔の干飯に似てる。そんでこの米,そーゆー形だからだと思うけど,日本米みたいな噛み締めた先のふんわり澱粉味はない代わり,口に入れた途端にパッと広がる香りがより強められてる。十分過ぎるほどスイーツなわけ。
 食い進むと,内部にはさらに棗や小豆の層がありまして,見た目以上に凝った造り。
 米の硬さとこの多層ぶりで,チョビチョビ食ってもその都度味が違う。甘味の中核はあくまで米の香り。これが素晴らしいから量以上に長~く楽しめる。
 こりゃ確かに──ちょっとした祝いの宴で,卓の中心に置いてみんなでつつくには最高でしょね。
 にしても。お米を,しかもこのガチガチの状態でスイーツとして頂く感覚…なぜかこーゆー米食いのバリエーション,日本にない。なんでだろ?炊いて食う米の味覚が旨いのは今やかなり同感ですけど,あのホンワカ澱粉味にあまりに固執し過ぎてるのかも?
 例えば,焼き米の和風サラダとか,米使いってもっと進化できるんじゃないだろか?
▲おまけ 台湾PEACE
「タバコを吸うと口が臭くなって口腔の病気に」…もうハッキリ「吸うな」って書いてくれ!
ちなみに台湾は喫煙所以外での喫煙は罰金6千元,室内は禁煙。喫煙者には生き地獄のよーな国になってます。
その証拠に…街のちょっとした裏道には,常にこそこそと煙を吐くアンダースモーカーの姿が。