朝6時からやってるというので行ってみた。
真っ暗闇の中,晋州市場は既に入荷が始まってます。そのど真ん中,チェイルシッタンの扉を開く。
まさに町食堂。テーブル2つにカウンター,座席は15程度。
「ヘジャンクク・ジュセヨ」(ヘジャンククをください)と一応言ってみたら,まあ通じたらしい。メニューはないから朝はそれだけみたい。4500W。
来たのは2碗。ヘジャンククと大根スープのみ。
ただ…昨日に続いてこのヘジャンククも!!
好い!
唐辛子はほとんど入ってないらしい。「辛くないからお好みで青唐辛子を入れて食え」と解説してくれた(みたいなこと言われたと思う)。コリアンの代名詞みたいに言われる唐辛子が,最後に味を整えるだけの調味料って感覚。これがコリアン本来の味覚センス。
辛さが核じゃない。
高菜みたいな野菜のスープの淡いが膨らみある出汁に,牛の血ので,まったりと食わす味。
ふと気付く。これ,伝統的スタイルのコリアン朝食なんじゃない?食習慣としても栄養的にも――中華粥に匹敵する最高の内容の朝食!
最後にレジでやっと「イルボン?」(日本人?)と尋ねられた。やっぱ気づかれたか。まだまだ修行不足…ってゆうか,ハングルしゃべれずにここまで誤魔化せりゃ上等か?
早朝のバス停は魚市場。
晋州バスタミノルのパスの通行路以外のスペースには,魚がノベーと横たわってます。当然バスの土煙まみれだけど…あんまり気にならんみたい?
700晋州発,大邱行に乗れました。
晋州北部を経て高速に乗る。北部の山側郊外は大工業地帯になってる。川の西岸には,何本もの煙突から煙がもうもうと上がる。街中のロータリーにドデカい空気清浄度の電光表示があったが,少なくとも一時は大気汚染が問題化してた町なのか?
2時間以上と聞いてたが早かった。8時40分大邱西部市外バスターミナル着。おかげで尿意も持ちました…。
到着間近にバスから見た感じ,相当デカい町です。デカさ以上に印象的なのは,地勢が平坦で,道路がバカ広い。インフラの整備度がズバ抜けてる。味気ない感じもするけど,暮らし易い町っぽい。
バスタミノルから市内にどう行くのか情報がなかったけど,すぐそばってゆーか,着いたターミナルの直下が地下鉄駅でした。「聖堂モッ」って変な駅名。その「モッ」は何だ「モッ」は?
東大邱駅(トンテグヨク)まで移動。10駅。
ベンディングマシーンは画面タッチ式。日本語の選択が出来たんで楽勝で購入できた。チケットは電磁読み取り型のトークン。車体も新しいし,揺れも怖いほど少ない。韓国の地下鉄って,ソウルや釜山の方がかなり旧式?
にしても――車内には釜山と同じく韓国語-英語-中国語-日本語の順に外国語アナウンスが流れる。そんなにガイジン意識するよな町か,ここ?観光的にはマイナーだろ?
どうも違和感あるから調べてみたら,この大邱って町,観光じゃなく国際会議都市としての顔を持つらしい。
2005年,韓国文化観光部の国際会議産業育成委員会が大邱市を国際会議都市に決定。現在,韓国の国際会議都市は4つで,ソウル,釜山の他にここ大邱と西帰浦。国際会議誘致や財政支援で他市より有利になるらしい。コンベンションやエキシビションの産業で地域発展が期待されるという。
大邱市は大邱国際コンベンションセンターとコンベンションビューローなど会議産業インフラが揃っているという点が目立った。大邱市が国際会議都市に指定されるによってこれから各種政府支援を受ける。国際会議誘致において他の地域より有利になったし国際会議と係わった観光振興開発基金もまず支援される。
東大邱駅前のトンヤンジャンに宿を取る。35000W,またオンドルバン。少し高い気もするがまあ2千円でオンドルバンなら文句はない。
1階にDavinciコーヒーも入ってます。割と本格的なエスプレッソを出す韓国チェーン店。ワッフルも旨いとの定評あり。
さて行動開始。
地下鉄で中央路(チュアンノ)駅まで戻る。交差点すぐなんだが方向が分からなくなって,ひとしきり迷ってしまう。
サンジェシッタンっていうチュオタンの店を探すも見つからず,第二候補のクグイルタロへ。
すんごく大衆食堂です。ガラスの横戸を引いて工務店みたいなスペースに老若男女が出入りする。堂々の老舗なんだが気取りなし。全然ナウでもないけどカップルさんも皆無じゃなく,使い勝手もいい。
注文はガイドブック通り
特タロクッパブ 6500W
にした。
この店,タロクッパブの元祖として名高い。けどタロクッパブと普通のクッパブは,後者が汁にご飯が入ってるのに対し,前者は別々に出るって違いで,そんなん誰がご飯入れるかだけちゃうのん!?と大して期待せんかったけど。
!!?――嘘みたいに美味い!
ソコギタンのクッパブでした。ソコギは汁の中にたっぷり脂ぎってるのに肉はアッサリ,しかもホロホロに崩れてく。牛の血のゼリーが入ってるのが「特」なのか?こっちもこっちで絶妙で,一口一口の味覚の複雑さはスゴい!
生臭くないわけじゃなく,生臭さも含めてコスモスを形作ってる。
唐辛子はかなりキイてる。でも例の高菜みたいな野菜とネギとニンニクが柔らかくとろけて,ある種の甘味を同時に出して来てて…スゴい完成度なんである。
さらにさらに…昨日から感じてるんだけど,やたらカクトゥギが美味い!これ旬だからか!?辛さから入って,軽妙な甘味に転じてく。二度美味しいってだけじゃなくて,この味覚の変幻自在ぶりに惚れ惚れ。
昼前だが3食目に突入。
クムコクサムゲタン
サムゲタン 11000W
フレンチ並みに紳士淑女な上品な広い空間で,純白のテーブルクロスにビシッとタイしめた黒服給仕…こんな薄汚いツーリストが入っていいのかドギマギしてたら,韓国人は皆さん普段使いで堂々と座ってきてた。
久方ぶりのサムゲタンにご対面。
白濁スープはごく淡い上品な味わい。
よくよく注意してくと,朝鮮人参の薬っぽい甘さと杏の複雑な酸味に彩られたチキンに,どこまでも丸い出汁が充填されてる。
一度この味覚を捉えると,かつてあんなに味気なかった汁の底知れない芳醇さにガツンと酔ってしまう。
最後に杏と酢のジュースみたいなのが付いた。これも,訳分からん味ながらウメー!
午前中に韓国汁飯を3食は,当たり前だけどキツい。Coffea coffeeって繁華街の角の店で一休み。
Esspresso 2900W
好い!
酸味は程よく,苦味はくっきり冴え,コクもあって…。
2階席。飾り立てない落ち着いたいいカフェ。ただ禁煙…。
大邱のこの中央路から南のエリア,華やかな盛り場が広がってます。光州にもこーゆーとこがあったけど,広さならナンポドンに負けない規模の町は地方都市にも当たり前にあるらしい。ただ,土曜日の昼時にしては人出は少ないか?
いかん,朝が早過ぎた…。眠くなってきた。
にしても――と回想。サムゲタンって美味いんだけどムチャクチャ食い辛いんだよな。
小さな骨まみれの鶏肉の中に餅米が入ってるから,しょっちゅう小骨を噛むし,鶏肉かと思ったら餅米だったり…。
その上今回は,初めて(これまで気にしなかっただけかもしれんが)大中小の白い皿が重なって出てきた。あれ,どーすりゃよかったんだ?見当つかんので中の深い椀にすくい入れて食ってたんだけど…!?
あれ?
ひょっとして――香港飲茶みたく,何か作法とか便利な食い方とかあんじゃね?
て,ケータイからヒットしたSeoul naviを見て勉強してみたら…眠気が覚めた。
「グツグツ煮立ったサムゲタンのスープの味見をしてみましょう。お店によってスープが薄かったり,油っこかったり,朝鮮人参の味が強かったりとさまざま。だから必ず一度飲んで見て下さい。」
そりゃそーだろ?当たり前さ!…って?味見した後,何かすんの?
「その後,塩,胡椒で自分好みにします。」
あ…味付けすんの?そのまま最後まで味見してた…。
「箸とスプーンを使って若鶏を崩してから,受け皿に移します。若鶏もスープの味付けに使った塩をつけて食べます。」
まず鶏を食うんかい!!あの大き目の浅い皿は…肉を食べる専用の皿なのかあ~!!
全く使ってなかった。椀の上で汁まみれにして崩してた…どーりで…骨が取りにくかったわけだ!!
「食堂でサムゲタンを食べる時,取り皿が用意されていない場合があります。(高級店には用意されています。)」
な…なるほど,わし初めて高級店に行ったから!…かなり恥ずかしくなってきたぞ!?
「鶏肉の中に詰まっているモチ米や朝鮮人参やニンニク,ナツメ,生姜等をスープと混ぜながら食べます。テーブルに出てくるキムチやカクテキなどと一緒に食べると美味しいですよ。」
最初から単にクッパとして食べちゃってたぞ…。勿体ねえ~!!
「ご飯とスープが別々という習慣が身についている日本人にとっては,崩したサムゲタンの具を分けて食べる人が多いけれど,その行動はここではアウト。
やはりエキスたっぷりのスープが染み込んでいるご飯をアツアツのうちに食べるのが韓国式なんですね。女性も男性も子供(?!)から大人までそのスタイルで食べています。」
ああ~サムゲタンの餅米ってそのまんまで味わうもんなのかあ~!そう言われりゃあウマソウじゃないかあ~!!全部汁に溶いて食っちゃったじゃないかあ~!!!
とっ…ともかくだ!いやあっ!サムゲタンはやっぱり美味しかったなあ!!(大赤面)
薬令市を一応歩く。
途中で見つけた人だかりのあった屋台にて
ケラントースト 1000W
を購入。
他は1600前後なのにこれだけ千か?言っちゃあ悪いが…汚そーなコップで卵と薬味を溶いて,それを方形のカタにはめてトーストと並べて焼いて組み合わせてるだけ?
あら?ケランって「鶏卵」かあ?つまり単なる安物タマゴサンド?
とゆー嘲りに,後で思いきり後悔するが…この時はそのまんま西門(セオムン)市場へ。
店より人が多くて疲れる市場でした。
どこの市場でも見るあの芋虫の焼死体みたいな茶色いの,ハングルを読むと「ベクデギ」ってもんらしい。升一杯で2000Wと安い。――紙幣を握るとこまで行ったけど,やっぱり買う勇気無し。む…虫はなあ…。
代わりにトウモロコシ茶の基らしきものを購入。ナイロン袋一杯で5千W。
高いのか?ボラれてんのか?でも専門屋台っぽいし…。
半月堂(バロンダン)まで地下鉄で戻る。
結婚売れてた本家マッチュクって粥屋に入ってみる。メニューを覗くが…全く分からん。
サッチュク 7000W
何じゃそりゃあ?
と自分でツッコミたくなるが,まあメニューの上の方で安いし,店名と何となく似てそうだし…いーや何でも!!
何か…ミキサーの音が響き始めたぞ?
出てきたのはミルク粥でした…。
何が悲しゅーて韓国でミルク粥食っとんねん?…とか思ったけど,待てよ?日本にコレって有り得ないゲテモノメニューだよな?
味わい直すと…面白い粥。広東粥みたいなまろやかな出汁でも,北京みたいな米の旨味を引き出すでもなく,ひたすらに実直な味わい。コレ恐らく…米とミルクそのまんまだぞ?それが何でこんなに食えるんだ?
ホワイトソースじゃない。小麦の味はない。グレイビーでもない。玉ねぎや胡椒味もない。塩か何かのシンプルな味で整えてある。
分からん。
韓国粥って何で食わしてんだ?
同じ地下パティオのスペースに,前回ちょっとたまげたIsak。
タッカルビトースト 2400W
昼時に混んでたから夕方にと思ってまた寄ったら,やっぱり混んでたんで持ち帰りにした。
近くのカフェでエスプレッソを一杯。
Cafeとんげれす…と読むのか?ハングルだけの店名表示だが店の作りは本格的に――ナイトバー。
昼間にくつろぐ雰囲気じゃないぞ?店名の不気味さも残るが,「Handdrip&Espresso」を謳ってるみたいだし
Estresso 3000W
を注文。普通のハンドドリップにしてみよかと思ったけど,どれも5000以上する。
この辺り――何か日本と感覚が違う。エスプレッソの位置が日本よりはるかに庶民的。ここのが高い位だ。量が少ないからか?韓国人の性格からすると…そんな気がする。対して,手製のコーヒーはとんでもなくオシャレらしい。
にしては!このエスプレッソが…またビックリするほど美味でした!渋い苦味でワンパンチするタイプ。
何で?マシンの回転数がそんなに違うのか?
エスプレッソは,その名の通り,元々「早煎れコーヒーマシン」として普及したもので,つまりファーストフード的な感覚で作ってみたら旨かったってモノだろう。韓国人のセンスには,日本人以上にそれがマッチしたのかもしれない。
だとすれば――韓国人って今の世界でかなりポスト現代人で…対して日本人は今やノスタルジックな感性の国民なのかも?
夕闇迫る。東大邱駅へ戻る。
明日の釜山行きはKTXを予定してるんで,一応線路の方の東大邱駅を散歩しとく。
空港みたいな閑散とした巨大建築。都市機能の分散政策のワンピースか?
駅構内の店も申し訳程度。だけど,なぜか個性的な店が多い。
チェンソングクという幟を掲げた仮設屋台が出てた。店名って言うより地名らしく,地域の特産物売り場みたいな企画と思われる。
リンゴの産地で,果実そのものからスイーツまで色々あった。メジャーらしく,リンゴの詰め合わせをどっさり買ってく客が多数ある。手頃なとこで
アップルワイン(小瓶) 3000W
を購入してみた。
あとチャチャチャってゆう,きっと韓国センスでもフザけた店名のとこで
カキマンドゥ 4000W
を購入し,これで晩飯(つーか何食目だ?)のアテが揃ったってことで宿へ引き上げ。
引き上げたんだけど,30分後には,どうも気になってたまらない宿対面の珈琲屋へ再突撃してました。
どうも日本のコーヒー屋を真似た内装。
ハンドドリップカヒ(ブラジル) 3500W
確かに豆から挽いて一杯発てなんだが…素人だ。実際見てたら「ペーパーってこれでいーよね?」みたいな仕草で煎れてる。味も…まあ推して知るべし。コクも苦味も上手くない。
この店,単純なエスプレッソはないが…何で他の店のエスプレッソよりこのハンドドリップの方が高いのか…全く分からん!
やはり韓国コーヒー,エスプレッソだけが秀でてるみたい。