▲プラハの写真
また雨が振り始めております。それは見れば分かるが。
どこだったかは完全に忘れましたんです。
13時55分,Zbiroh発。…ずぶろふ?
久しぶりに複数ホームの駅を見る。地図で見るとプラハまで20km強というところ。クルムロフから結局3時間かかったな。
モルダウ川の扇状地。はっきりと,そういう地勢になってきた。川沿いに続く家屋の列の幅が,進むにつれ刻々太くなっていく。
チェスキーからこのモルダウ川に沿って下ってきたことになる。言わんでも分かるけどスメタナの「モルダウ」である!あの勇壮なメロディーが頭には響くんだが,この中流域に至っても…まあ太田川位のもんか。地形の緩いヨーロッパ内陸では際立つ自然物なのかもしれんが。
家屋の形式が異なってきた。スキー場にあるような尖り帽子の家屋が増えた。単に裕福ゆえの遊び心か,実はむしろチェスキーより雪深いとかなのか?
14時28分,Prahaの地名駅を初めて通過。また例によって幾つもあるんだろう。
で?わしの降りる本駅は何て名前だっけ?…既に忘れてたんで慌ててマップを確認する。
フラベニ・ナドラジ…?
インド人か?
ナドラジ氏の顔まで浮かんできた14時37分,件の駅に到着してしまった。
「のだめ」の街として今や引きも切らない観光地,プラハです。24時間も滞在しませんけど…。
当たり前だがかなりデカい駅。構造も機能的過ぎて複雑に出来てる。
えーと。とりあえずコンビニっぽいとこでワンデイチケットを購入…と。
地下に潜る。少し迷ったが,C線の地下鉄を探し当てる。「I.P.Pavlova」なる2駅目で下車。もうツッコミ疲れたが…IPパブ老婆?インターネットプロトコル?
歩き方に乗ってた「Pension Erezika」では予想通り堂々の満室宣言を食らう。こういう時に取るべき態度は…実際以上にガックリとうなだれて,絵に描いたように肩を落として見せる。
心優しいお姉さん,道の裏手辺りに安ホテルが沢山あるよ,と御示唆をして頂けました。
ブロックを回った裏通りに,確かにホテルが並んでる通りを見つける。雰囲気で目星を付けた「Brixen」なるホテルに飛び込むと,一泊50εの空室有。
少し高めだけど…時間の確保を優先すべき現状では,まあ許せる範囲か?部屋の内容も日本のビジホと変わらない。
宿問題,あっさりクリア。
さて。街へ出よう。
▲プラハの写真
ちょっと裏路地であります。それもまた見れば分かるが。
どこだったかは…確か宿から中心部へ歩く途中だったが…まあ忘れました。
閑静です。
プラハの街並みは,年期の入った10階建くらいの建物が平然と並んでて,その谷間を緩く蛇行した石畳の道が伸びてく。ウィーンやブダペストに似てるけど,ミラノやローマほどは歴史にまみれてない,生活し易い丁度よさがありました。
その意外な感触――プラハって何となく中世の街みたいに思ってた――に,歴史をチェックしてみたら,この街って19世紀に爆発的に発展した近代前期の建設都市なんですね。
地図を見ても,基本は方形のブロックだけど,微妙にくねった区画が多くて結構あちこちいい加減です。やや乱開発された雰囲気が残る。構造として整然と設計されてるっぽいのはメインストリートの「ヴァーツラフ広場」だけか?
30分も歩くとこの広場に出た。長方形の広場…と言えば言えなくもないが,通り過ぎていくわしら観光客は,博物館の荘厳な建物から緩く下る大通りと言った方が理解しやすい。
ただし生活者たるチェコ人にとっては,ここはあくまで広場らしい。民主主義の戦場としてのヨーロッパの「広場」です。ここは近現代チェコ史の節目で,市民が結集して雄叫びをあげてきた場所。
そもそもここにヴァーツラフ広場の名が冠されたのは,1848年にここで民族的英雄ヴァーツラフの像の下に集まった民族独立を叫ぶ人々が,当時の支配者だったハプスブルク王国の軍隊と衝突したことに由来する。
1918年には像の前でチェコスロバキア独立宣言が高らかに読み上げられてます。
19世紀にこの広場辺りから始まった再開発で,ほとんどの建築物が建てられていったらしい。つまり19世紀後半から20世紀初頭築の建物が多い。つまり日本の神戸や門司港,近隣では上海や香港くらいの――心地よいレトロさと生活感なんでした。
けれど…?ふと自分の違和感に気付く。今例に挙げたような街に共通する,かしましいエネルギーみたいなものが――このプラハにはまるでない。今いる広場にしても,とても血で血を洗う闘争の舞台とは想像できないゆったりとした空間。
チェコ人の作り出す,不思議な閑静さです。
このヴァーツラフ広場をどん詰まりまで行って,路地に入った辺りが当面の目的地でした。
Havelska korura。
「1コルラ」という意味の店名らしい。「安食堂」というほどの語感?
ただ実際は175kcで以下のメシを食いました。屋台形式で店内に入ってる店の複合体なんで,ちょっと欲張り過ぎて頼んでますが。
豚肉の香辛料煮込み
ポテト
スープ(ボルシチ)
ビール
→写真
店内は少しシャレたファミレスって感じ。もう4時近い時間だから広々座れたけど,それでもかなりの客足です。
香辛料…これ何使ってんだろ?インドとも中国とも違う,肉の旨味を存分に引き出す薬草的な臭みと香り。おそらく使い方にも独特なものがある…未知の味覚でした。
ボルシチもスゴい!やはり薬草が効いてるんだろけど…深みが日本のと全く違う!サラサラしてるのに食い応え十分。
おまけにビール…うッ旨い!何でや?ドイツじゃないんやど?何でこんなに馬鹿旨!!?
迂闊にも…全く知らなかった…。後々聞いてたら,チェコビールってとんでもない!ヨーロッパでは何世紀にも渡る最高級品。 手摘みのボヘミアホップから来る風味が独特なものになってるらしい。
チェコ共和国はドイツを抜く世界最大のビール消費国で,その量は一人当たり年間153.6リットル!!!つまり成人全員が1日当たり平均1リットルを飲む民族。
プラハ産ビールは主にラガー。ブドヴァル(ブドヴァイゼル)(Budvar (Budweis))とかピルズナー・ウルケル(Pilsner Urquell)と言えばわしも聞いたことがある。醸造所としてはウ・フレクー(U Fleku)。1499年から醸造されてる。
チェコ人の好みはライトビール。ただしパブでは,甘いダークやミックスビールも注文できるそうです。
うーん。全然知らなかった…。
コルラで飲んだのは…きっとライトビールだったと…思うんだが。
▲プラハの写真
雨が上がりかけております。それも見れば分かりますけど。
肝心のどこだったかは…やっぱり完全に忘れとりますなあ,おほほ。
プラハの観光地はモルダウ川の向こう側に集中してますが,観光しとる時間はないんでバス。
とはいえ一応カレル橋は見といたろか…と少し手前から望見したら,とにかく人がミシミシにギッシリ。
橋自体がすごい観光地なんですね。歩き方には柱の一本一本の小難しいいわれとか大特集状態みたいですけど…まあ見たから終わり。
路面電車で引き返して,再びヴァーツラフ広場辺りからコンプレックスの中に入る。
Ovocny svetozor
おぼくにい…すべとぞる?「覚えにくい全てそう」みたいなチェコ語の印象を代弁するが如き名前のこのお店,歩き方曰くプラハ一番人気のケーキ屋さん。
実際行くと…5時過ぎってお茶の時間なのか?テーブルは愚か,ショーケースに近づけない人の渦。
しかしこうなりゃ意地や!!2つをチョイス,計72kcでゲット。
ちなみに,こういうとこで孤高めいたチェコ人気質が出てた。売り子のお姉さんたち,客一人一人に実に丁寧に対応してく。日本なら職人気質というか,職業的パニック状態か,あるいは老舗的高慢姿勢がありがちな状況なのに,ここではひたすら落ち着いた態度をキープ。けどその分,処理速度はややトロい。
さて購入したのは。→写真
Medovnic
Oriando dort
「メドヴニック」は,後で調べてたら結構当たりだったらしい。「蜂蜜黒糖ケーキ」みたいな感じ。両甘味の自然な甘味が素朴に絡まって,砂糖系の普通の西洋菓子と一線を画する。胡桃も隠し味か?松の実とも思える何か豆系の香りも仄かにある。それと,この生地自体,パサパサの蒸しパンめいてて,突飛だけど中華マントウに通ずる旨さ。
クーネドリキってチェコ独自のパンを今日ついに探し当て得なかったけど,これに似た根源的な違いがあるっぽい。
「オリアンドタルト」も,やはり甘味のタイプが異なる。砂糖をメインに据えるのを控える精神と言うのか…フルーツの酸味や,ミントの香りをチャンと主役にして盛り立ててくる。
チェコが,なのかドイツもなのか,あるいはこの店だけか…分からないが。ドイツでもチャンとスイーツしなきゃな。
にしても寒い。
Jungmannova通りに中国系の看板が3軒並ぶ界隈を見つけた。中国製の衣類屋があったんで…パジャマ代わりにできて,かつかさばらないのを選ぶ。長袖シャツとパッチ,しめて219kc。
店名,Cinsky obchod odivani pro mlade i seniory。最初の「チンスキイ」は「中国人の」みたいな意味か?
中国系の個人商店ってのは,やっぱ東欧のより遥かに使い勝手がいい。この隣の酒屋兼スーパーでもお買い物。
BECHEROVKA original
歩き方に載ってたチェコ特有の薬草酒。日本に持って帰ったが…これはスゴかった!どんな風邪も一杯で吹っ飛ぶ!!気分もぶっちぎれて絶好調!!!魔性の液体!!!!――だと思うんだが,実はまだ飲んでないことに今気づきました。
▲プラハの写真
雨模様,路面電車の駅近くであります。それもやっぱり見れば分かるが。
どこだったか,これは少し覚えてるが,どこって言えばいーのか分からんので,まあ忘れたんと同じです。
Zabka a.s.というスーパーが,少なくとも市内何カ所かにあるみたい。小規模なとこはコンビニみたいな佇まい。
チェコではスーパーマーケットを割とよく見かける。イタリアとは比較にならんし,アウグスブルクよりも数があります。個別営業も多いみたいだけど,ここはやや大資本っぽい。
試しに買い物してみる。
kofola original
(コーラ。URL:www.kofola-dobronozky.cz)
MADETA JIHOCESKY EIDAM uzeny platky
(スモークチーズ)
PALMETA Zelny’s jogurtem Salat
(ヨーグルトサラダ)
SKVELA CENA Kozel
(ビール)▲Zabka a.s.で買ったMADETA JIHOCESKY EIDAM uzeny platkyとSKVELA CENA Kozel
コーラは生姜汁で割ったような奴。体にはこっちの方がいいかもしれんし,冷やし生姜と考えたら飲めないこともない。個人的には好みの味なんだけど…何より「こふぉら」って,いかにもパチもん臭いネーミングが一発で気に入った!!
クルムロフで感じたチェコの「暴走する個性」みたいな面白さは,国際観光都市なだけあって,プラハでは漂白されてる気がする。もう一つ,チェコの地方都市を歩いてみたいが…そういうのが,何となく凝縮されてる場所みたいな気がしたんであります。
パンを買いそびれたのもあって,宿近くの同支店に再度入る。
売り場からして予想を裏切られた。
てっきり流通用に袋入りと予期したんだが,10近いバスケットに生地剥き出しのまま入ってる。しかも,ピックでナイロン袋に入れてびっくり。もう夜7時を回った時点だったのに――まだ暖かい!見てるとどんどん焼きたてを補充して来てる。一軒目でえらく沢山購入してる人は見たけども,しかしこんなコンビニのパンが旨いはずが…と疑いつつ,2種を購入,宿で食う。アテは一軒目で買ったチーズ,ヨーグルト。
▲Zabka a.s.で買ったブロートフェンとサラダ
え!?…旨い!!
ドイツのゼンメル的な奴は,ドイツになかった強い香ばしさがあった。もう一つの菱形の堅い皮のは,意外にもパケットの焦げっぽい香りがムッと漂う。焼きたてのパンの旨さって以上の気がした。
なぜだ?
これもチェコの知らない味覚センスなんだろか?この国,どうも「のだめ」とか観光とかとは全く別の,何やら不気味な香ばしさがありそうなんだが…。
ドイツやチェコの宿では,タンスの下辺りを探すと予備毛布が備えてあるみたい。
今日は購入したパジャマとこの毛布で暖かい眠りを味わえそうです。
ケータイ充電のためにコンセントに変圧器と充電器を指すと,接触不良らしく充電ができない。奥へ押さえればいいらしいので何か一塊の布はないかと探してたら…毛布の中から肌色の物件がポロリと。
ブラジャーである。
しかも,可愛ゆいとか勝負の赤とか寄せ上げとか,何の工夫もないポッテリおばちゃんブラ。
唐突な登場にうろたえつつも,とりあえず目的のストッパー代わりに使ってますが…これも部屋の備品か?何のため?
混乱しつつ,地下鉄で見つけた「古城街道」なるタイトルの日本語パンフをめくる。タイの「都会の旅」と違って一見するすると読めるんだが…何か変。微妙に論旨がズレてる。センス的な違いか…。
これはかなり,手強い!
チェコの謎は,思った以上に深く濃ゆい…のか?
▲プラハの写真
道端の小店であります。それも見たまんまですが。
どこだったかは愚か,何でこんな写真撮ったのかも忘れました。
以上,プラハの風景でした。お楽しみ頂けましたでしょうか?(頂けるか!!)
§SixWord:街路,くたびれた靴,そして詩。