外伝06@明潭@(@_53_@) 第三日@ (@_53_@)

▲早餐屋の粉と豆[将/大]

 日月澤水社バスターミナル。
 これが正式名らしい。ということはこの街の名前が水社と考えていいのか?
 去り際になっていまさら惚けた事はともかく…大きなバス停じゃないから案の定,朝も屋台すら出てないし客も数人。
 だもんで7時20分,バスターミナルまでの間にあったトースト系の早餐屋で買い食いしてみた。
お好みの皮みたいな粉(餅)30元
豆[将/大]15元
 粉はソースをかけて食う形だけど,結構腹に応える。香港の…ぷにゅぷにゅな小麦豆腐みたいなのの粗い感じ。店頭の鉄板で作ってるらしい。
 しかし何よりだったのは豆ジャン。まだ暖かくて甘さも香もピカイチ。
 昨日の朝の永和が霞んでしまうような豆ジャンが,こんな風に街中にゴロゴロあるんだろうなあ。無名で人だかりのある早餐屋には注意しよう。
 さて,今朝は大半が車中だな。昨日の湖一周は全然楽勝だったんだけど,しばらくまったりと体を休めざるを得ない。大変残念である。

 7時40分,定刻開車(発車)。
 昨日自転車で走った道から魚池(ユーチー),九族方向へ湖を後にする。
 3分もしない辺り,左手に不吉な傾斜地が広がった。墳墓が数百も斜面を埋めてるんである。そう言えば台湾であんまり墓を見ないが?土葬のはずだからどこかにわんさか増えてるわけで,それがこういう大規模墳墓の形式を取りつつあるのか!?
 しかしだ。なおも謎は深まってしまう。この湖と下界を結ぶ道は,古来からずっとこのラインだったはずでは?死を忌む感覚だけならこの位置は変だ。むしろ来訪者に見せようとしてる位置に思える。つまり,対外的な魔除けを兼ねたロケーションなのか?

 やはり高速までは昨日と同じ道らしい。長いが…このバスにはトイレが有るから安心。
 どーでもいいが車内は3人。元国営の国光だから成立する路線か?(後日談:調べる中では,この路線,廃止されたり復活したりを繰り返してる模様)
 8時10分,[土補-ネ]里(ポーリー)で2人下車してついに車内はお一人様貸切状態。
 悪いね運ちゃん。ちなみにチケットは468元,約2千円。
 しかしこの街もかなり大きな街ですなあ。──と思ってたら,突如としてガンガン人が乗ってきた。一気にほぼ満席に。事実上の始発はここだったらしい。貸切状態は5分ほどの淡い夢と消えた。
 次の街は8時28分,崎下(チーシア)って表示になりましたけど…え!?どこだそれ?
 この辺から台湾の地図をいくら見ても全く分からない地名が続いた。どうも東側に大きく周りこんだ南北の道路を走ってるみたいだったけど,疲れてもいないのに爆睡してしまったこともあり,全然分かりません。
 で,11時半,台北西[立占]B棟に着きました。4時間かからんかった。
 ところでこのB棟,以前とはかなり変わってる。空港行きはA棟,場所は変わらないけど建物がまるで違っちゃってました。
 懐かしの天津大飯店にチェックイン。

▲阿桐阿賽四神湯の四神湯50元と焼売40元

 とりあえず四神湯だな。ってことで。
 焼売は初めてだったか?とにかくそこそこで,おばはんがかけてくれたレインボーカラーのソースが気持ち悪い味でした。
 でも四神湯は…惚れ直した。これはもう,絶妙としか言いようがない。
 平日の昼は,立地からかあんまり客は多くない。カウンター以外に初めて座れました。

▲老[サ/重]牛肉細粉面店の[サ/番][サ/加]牛肉面150元

 ここも定番になるけども,とりあえず牛肉麺を食いたくなったわけで。
 2年前の春節振りか?定期点検っぽくなってるけど,時間は平日とは言え1時,相変わらず満席ギリギリに滑りこめた。両サイドがいずれもフルスロットルにやんちゃな子連れで逃げるに逃げられん状態で食す。
 ここの麺は美味い!
 縮れや刀削じゃないけどいい伸ばし方です。日本感覚で言えば,ラーメンの味わいじゃなくやはりウドンの味わいがある。まさに「拉」麺なのです。
 牛肉もいい滷味を出しててここにトマトが絡まるとやはり素晴らしい。沖縄の牛汁のさらにハイブリッドな作り。
 小菜はやはり手を出しとくもんだ。コリコリの肉なのか?唐辛子が絡まって止められん味わいです。
 やれやれ。この2店で,ちょっと昼飯のつもりが…2時間以上も歩き回ってしまった。久しぶりの台北だからって,ちとはしゃぎ過ぎですね。

 茶市集 茶飲販売所林森店なる台湾ドリンクチェーンで一服。──今や大陸本土はもちろん香港や日本にも上陸してる台湾ドリンク,ここは初めてだけど,どのくらいのチェーン系列があるんだろ?
元気鮮[女乃][女束文]仙草 40元
 江戸っ子的なハッピを着た元気いっぱいな台湾女子が,江戸っ子的な口上ぶりで台湾語にてマニュアルの解説をまくしたてる。
 静岡何とか茶とか少しだけ日本を想像させる品も一部あるものの,ほとんどが購入した「元気鮮…」みたいな無国籍台湾飲料。
 お味の方は。ミルクが勝ってる紅茶の中に沈んだ仙草ゼリーが,ミルクを飲んでると安心させといてブルッとストローを登ってくる。そうかと思うと,飲んだミルクの後味に紅茶の味覚が残ってきたりと…安心して飲んでられない厄介なドリンクです。
 新光三越裏でもう一件,これはもうメジャーの最右翼,渇脚亭へ。
鮮芋[女乃]緑(熱) 55元
 Green MilkTea with Taroと英訳が添えてある。グリーンのミティーってだけでも分からんのに芋?しかも「Taro」とは…タロ芋?
 ミルクのふくよかな味わいに紅茶と抹茶の渋い香が絡まった後,底の方からタロ芋のゆったりした甘味が立ち上ってきます。

▲猪肝炒麺の同名焼そば

 景美夜市。
 これまで全く知らなかった夜市です。台中で買ったグルメ本で見つけた場所。
 17時過ぎ,地下鉄景美[立占]よりすぐ。この駅自体,初めて降りました。
 腹減った。ガイドで気になった店のうち,とりあえずガツンと来そうなのを選ぶ。
猪肝炒麺70元(店名も同じ)
 市場の共同建物みたいなとこの角地にある雑多な印象の鉄板屋でした。
 炒めてない。麺はスパゲティみたいな状態で,その代わりに豚肝が炒めてとろけた茶色のソースになってしまったものが麺に絡まってる。ある意味イタリアンで中華離れしてるんだけど,麻辣は十分にきいてて調理は明らかに中華…という珍妙な位置関係。
 この並びにはいくつか似たり寄ったりの鉄板屋が煙を上げてる。[王加][王利]豚肉炒麺ってのもメニュー筆頭でよく出てる。これは確かにインド系スパイスとも合うだろう。ただそうなるともう…。
 いかにも典型的な中華小[口乞]と見せてるとこが始末悪い。見た目と異なり完全無欠の無国籍料理です。いいね!!

▲[魚土][魚毛]魚[火夷]の米粉と魯肉飯

 ネタにしたガイド本は夜市の小[ロ乞]別のページ構成になってた。例えば前掲の「猪肝炒麺」は「麺」の章に掲載されてた。
 その種類名の中に「[火夷]」という文字があったんである。
 ???????
 想像不能。見当すらつかない。ガイドの画像も上記のわしの写真と同じく…ぶよぷよした汁モノとしか確認でけへんがな。
 漢字としても「火」の「夷」(エビス)?──あ,昔NHKの大河ドラマで渡辺謙主演の「炎(ほむら)立つ」っていう前九年・後三年の役,つまり東北人がヤマト朝廷と全面戦争するのがあった!!!(本編に全く無関係)
 こういう謎の食い物は口に入れないと気が済まない。で伺ったのが店名「[魚土][魚毛]魚[火夷]」。 ???????????
 魚偏3つ続いて炎立つ(五七五)。ますます気が済まなくなって来たけど…当面の問題は何て発音すれば注文できるんだろう?
 注文取りのおばちゃんが忙しそうにやって来た。ダメ元で,だけど精一杯に常連っぽく,3文字目まで旁(つくり)だけを読んで言ってみた。四声(イントネーション)も当然ながら適当です。
「ドゥーマオユーxxxx…イーガ!」(xxxxは自分でも何を言ってるか分からん的な音声)
 一瞬「はあ!?」てな顔を見せたおばちゃんだったが,何となく分かったような気配で帰って行く。しばし待って来たのはちゃんと
米粉60元
魯肉飯25元
らしい。よく通じたなあ…。
 魯肉飯の滷味は,豚角煮程度の甘さだけど,角煮としては美味いか?
 さて問題の魚[火夷]だが──要するに白身魚の天ぷららしい。少しカリカリに揚げてある以外は,それだけ食べると日本の魚天と何ら変わりはない。おそらく和食の現地化したものなんでしょう。
 しかし,この甘酸っぱいトロミスープに投入されると…今まで考えたこともないパターンだったけど,スープに天ぷらの焼き香が移ってるらしい。インパクトが全然違ってくるんである。
 これまで揚げものは避けてきた傾向があるけど,台湾の揚げものの活用形はバカにできないみたい。
 ただ,今度から米粉は入れないようにしよう。スープをいっぱい吸い込んで美味いんだけど…腹が…もうパンパン。こりゃ持たんわ。
 題字の下に「[ロ乞]魚的[子亥]子 頭脳聡明」と解説あり。「魚魚魚 頭が良くなる!!」(マルナカの魚屋音楽)は中華圏でも信じられてんのか?

 この流れで「好[ロ乞]塩水鶏」という店にも寄ってみた。
 なんやかんやで100元。
 以前から気になってたけどまるで分からなかったこの屋台形式。丁度買ってる人がいたからその仕草を真似てみた。
 まず鶏肉の部位と薬味を数種類選び,置いてあるボールに入れて渡す。すると,おばちゃんが何か混ぜてサラダみたいに和えてくれる。
「×××要不要辣?」みたいなのを3つ位聞かれた。こういう時は必殺技がある。何か自信あり気に「まあそうだな」みたいに頷いときゃ,勝手に何かの意味に取ってくれてごまかせるだろうよ的な作戦(でも何でもなくて単にワケ分かってないガイジンだけど)で,購入までクリア(?)できた。我ながら素晴らしい技だ。
 宿で食う。要は唐揚げサラダらしい。日本の唐揚げより衣だらけで,サクサクとしたクリスピー感と衣に染みた出汁で頂く感覚。
 これは…どこの料理がどうなってこうなったのか見当もつかんけど,揚げた魚にアンをかけて「ジュワー」と派手に音を立てる中華があるが,あのチープなバリエーションなんだろか?

 3軒目,陳記 潤餅巻。
 これも見た目はお好み焼き,ありきたりに見える。ただし口に入れると──5種ほどの具のほか,汁をぎゅっと絞ったキャベツと,茹で上げたばかりのもやしが口に溢れて来る。
 ほう!?見た目より繊細に作ってある食い物みたいです。
 キャベツの甘味,もやしの豆味。そういう素朴な淡味が,皮に閉じ込められてより際立ってきてる。方法論は広島風お好み焼きと同じだろう。つまり軽く自然に蒸すことで甘味を引き出すタイプ。
 ところで,この夜市最大のメジャー商品は駅から上がってすぐの上海生煎包らしい。残念ながら常に行列が途絶えることがなく未購入。角地の小さな,まあ小汚い店なんだけど,まさに飛ぶように売れてます。
 並びかけたが…止めた。とにかく知らない料理をまだまだ発掘したい。臭豆腐さえ封印したくなってきてました。台湾や香港が持つこの創造力と懐の広さを味わいたい。
 この夜市,観光客めいた姿は全くなかった。それほど賑わいはないけれど生活臭はたっぷり。下町っぽい,いいバザールです。
 バス停でタバコを手に見てると,台北車[立占]から烏来行きのバスがひっきりなしに発着していきます。その車体に,仕事帰りや学校帰りの通行人を面白いように吸い込みながら。

 台湾夜市の面白みを噛み締め過ぎて,ついつい士林夜市までハシゴしてしまいました。
 前回の記憶に導かれて今回もまず向かったのは安平街,辛発亭。
楓糖粉園雪片 70元

 夜8時前,真冬の前回と違い満席ギリギリで席を確保。
 全く想像できんのを頼んでみたくなったので,コレを選ぶ。けど楓の糖って何よ?・・・後日談:メープルシュガーだろうがよ!!!広島人なら知っとけコラ!!
 他,迷ったのに「雪山悦恋」がある。雪山で恋を悦ぶ?
 中華スイーツでツッコミだすと終わらないから味の話へ移る。これ,何か絶妙な淡さになってます。ここの雪片の繊細さとよくマッチする淡麗な甘味に思えたけど…これはもう少し楓糖ってのを知らないと語れないな。少なしかなりの逸材みたいです。

 2店名,麻辣臭豆腐 大南店。そうは言っても臭豆腐を食っときたくなった。
 士林夜市を奥へ抜けた辺り。HP:hotdouhu.com
招牌腸旺臭豆腐 130元
 座ってから気付いたけど黄色い「水牛精神」と書いたTシャツを皆さん来てはる。思いっきりチェーン店らしい。残念な味を予想してたら──。
 来て食ってビックリ。割と食える…どころかかなり美味いぞ!きちんとエグいというか,まさに台湾といった滷味です。

 天津街に戻る。
 台湾で最も日本色の強いこのエリアの夜,久しぶりです。とすると日本めいたケーキ屋も?と探すと…ありました。
米塔手感[火共]焙
[員力]章馬[上/下]
フルチョコレートケーキ
法式謳爵起士
チーズケーキウィズオレオクッキー
 ミタと言う名が日本人経営っぽいけどどうも違う?ポロポロ崩れて食べにくいけど,そこも含めてアメリカンケーキ。チョコ使いも潔くてチマチマしてない。

 この並びに「[ロ/巴]Coffee」という店があった。ここで,
濾泡式掛耳包(ドリップ式紙フィルター)黄金濃縮30cc 30元
と表示されてるのを一杯引っかけてシメにしました。
 うーん。
 当たり前だけど,濃縮(エスプレッソ)はドリップじゃなく機械で淹れるのが普通。それをドリップで淹れるってどういう意味?と興味を惹かれたわけだけど…機械淹れでした。
 いや,エスプレッソの機械じゃなくて,単なるコーヒーメーカー。日本でエスプレッソ式と書いてあるアレですね。それをどうも「ドリップ式エスプレッソ」と直訳して理解しちゃってるらしい。要は,あのマシンを一機手に入れました,どうだスゴいだろう,みたいな店だったらしく…やはり中華圏でコーヒーは無理っぽい。