油煳干青∈外伝12∈辣辣∋貴州編@初日:貴陽に入りて奇妙に惑う 貴陽Ⅰ∋糟酸麻蒜

 貴州に行くと言ったが
誰も知らない。
――ああ,さんまの出身地?
それは紀州じゃ!!

貴陽に行くと言っても
誰も知らない。
――まあ,あんたも少しは上手に世渡りせんとなあ。
それは器用じゃ!!!

中国で 最も辛い 貴州メシ

 
 貴州という地名は中国の地図で一応知ってた。
 けれど,まあ一生行かんだろなと思ってました。少数民族の多数住む雲南には興味あるけど,貴州なんて…ちょい中途半端じゃね?
 今年になって知ったのは――どうやら貴州料理というのが美味いらしい…ってこと。8大料理では四川料理の一分派とされるけど,何かちょっと他にない味だという。北京や上海,近年は東京にも店が出来てきてて,どうもえらく人気と聞く。プログでもベタ誉め。
 そういうことなら,どうしても一度行ってみんわけにいかんじゃないか!!
 11日間。夏休みを使った久々の,それなりに長期の中国旅行と相成ったわけであります。
 ちなみに今年(2013年)の中秋の名月,9月19日(木)を挟む期間です。どこで迎えることになることやら──って他人事みたいですが,とりあえず貴陽へ入って,後は成り行きというのが今回の企画です。

(9月14号星期六)
[期末]
利益 150/積立 150
積立1164/負債1164
(星期天)
香港累計/300
機内食 鶏肉包/300(残1200)
筑[サシ/平]快餐店 /550
恵城餅屋 月餅 /200(1750)

 ケータイが 使えるなんて!? 貴陽着
 auの海外戦略,ホントに頭を傾げる。どこをどう攻める気ならこの奥地で繋がるんだ?
 14時35分,貴陽のイミグレで列に並びつつ。アメリカとかなら,イミグレでケータイ打ってたら共犯者への情報提供が疑われるけど──皆さん大声で会話しとるから,まあ大丈夫だなここは。
 しかし…山が変だ。
 何がって,何てゆーか…みんな「おむすび山」なんである。香川にこういうエリアがあるけど,斜面の雄大さが違う。緩い渓谷が連なってる感じで,これほど緑がなければアメリカ西部に似てるのかもしれない。
 これは,交通網とかインフラの整備にはしんどい土地だろうな。でも,歩くには楽しめそうです。
 国内線専用らしいターミナル2前からエアポートバスが発車してるらしい。15時10分,乗車。料金10元。
 空港は,それほどとんでもない郊外でもなさそうな雰囲気。ただ,それなら飛行機からコンクリートジャングルめいたものが見えなかったのは…都市域が小さいか低層傾向かのどちらかか?いずれにせよ,沿岸部を覆うとめどない乱開発の嵐はまだ吹いてなさそう。
 ただ,「生活先進区」とかの標語が掲げられてるから振興開発エリアもあるみたい。中関村という地名の場所。
 15時20分,長いトンネルに入る。
 15時25分,市南路という道を走る。
 記念塔なるバス停を通過。周囲はビルだらけになってきました。
 15時半,もう瑞金南路に至ってる。このあたりが中心部のはず。かなり店はあるけど,日曜日としては人の出はまずまず。
 貴陽広電なる新し目のビルディングが現れる。[シンニョウ+尊]叉路というメインっぽい南北道をまたいで。
 15時34分,民航オフィス前下車。終点らしい。

▲リムジンの着いた民航オフィスから中心部へ向かう歩道にて。想像以上に,かなり大きな町で,人も多いことにまず驚いたんでした。

 繁華街の中心部は北だと思う。とりあえず歩いてみよう。
 バス219路,29路,南行。ともに火車[立占]行き。──バスマップがないからメモっとこう。
 15時42分,交差点地下くぐる。
 1路,18路北行。
 左手に人民公園,右手に右手を掲げた毛沢東像のいる文化宮。
 15時47分,幅20mほどの川を渡る。橋の名は朝陽橋。
 15時50分,シェラトン前。歩道いっぱいに社交ダンスしとるジジババがいます。
 ここのバス停は行き先が分かりやすい。1路で噴水池まで2駅でした。
 15時55分,ちょうどバスが来たから乗ってみよう。前のオバサンに倣って乗車時に一元払う。手続きはこれだけらしい。
 席は満席。窓外をチェックできる位置に立ち場所を確保。
 何と二階建てバスです。香港以外で見るのは初めてだなあ。ただし電光表示はないから,下車場所は分かりにくい。
 三叉路から中華南路に入った。大渋滞になる。これは…速さだけなら歩いても変わらんなあ。
 26,44,59路併走して北行。21路逆走して南行。
 16時07分,噴水が見えたから慌てて降りてしまったけど…やはり一駅手前らしい。ワンプロック歩こう。いずれにせよこの辺りが中心部だと思うし,土地勘を作っておこう。
 9路も北行,噴水池を通る行程表示。
 2路南行,火車[立占]まで。
 16時17分,延安中路。ここがバス表示の噴水池らしいが,さっきの噴水よりずっとチャチいな。

▲貴陽繁華街。デパートはかなり出来てるけど,スーパーは見当たらない。外資もあまり入ってなくてカフェする場所がない,という段階。

 貴陽城 瑞獣出ずる でも羊
 16時50分,瑞[羊-,]賓館にチェックイン。銀海大[ガンダレ+夏]公司楼4階。130元/天,ディポジット200元。──瑞獣にして羊とはこれ如何に?
 目当てのチェーン店,錦星には空室はあったけど「外賓不可以」(外人宿泊不可)という懐かしきお言葉を聞く。こんな規制がまだあるのか!?途方に暮れてすぐ近くのこの瑞羊にダメ元で当たるとすんなり取れた。つまり全くの通りすがり。
 割と普通に小汚い雑居ビルの4階フロア半分を占める気さくそうな宿でした。喫煙も没問題。湯沸かし,液晶テレビ付き。
 何となく中国人料金みたいな気がする…。何でだ?
 唯一の難点は──ここでは飛机票(エアチケット)は取れそうもないから…どうしよう?
 まあそれは他日の問題としよう。
 さあ食わねば!

▲筑[サシ/平]快餐店の[口乞]飽到のお膳

 一店目は,前筑[サシ/平]快餐店という店に入った。
14元[口乞]飽到
 どこにでもある[口乞]飽到(食い放題)の店なんじゃね?バカなことしたかもと一種の賭けだったけど,生活臭と人の入り,木桶で炊かれた3種の飯を見て賭けにノッた。
 これに先立ち有名な合群路を回ってみるも,どうも宴会めいた高くてスゴい量の店ばかりに見えた。で,他の脇道をうろついてるうちに見つけた全くの無名店だったんだけど──。
 大正解。

┏       ┓
 ①(②) ③④
 ⑤ ⑥⑦⑧ ⑨
┗       ┛

①玉子豆腐
 うっすら淡白で甘みを抑えた形態は日本にはないものだけど,まあ想像は及ぶ。
②2種の瓜の汁
 人参の甘みだけを強くしたような,筋の残る瓜が二種入ってる。汁は甘い。サトウキビみたいなほのぼのした甘さで,辛みや出汁は感じられない。けどその甘みも勝ってなくて,ちゃんとお食事になる。
③ひえ
④タイ米
 どちらも元々好きだけど,桶ゆえか,これが…考えられないくらい美味い。
 香り立つというんだろか?品種も違う?
 貴州はひえ食を結構食うんだろか?度合いは?…など疑念の広がる美味でした。
⑤酸辣豆腐
 麻婆の「麻」の代わりに「酸」が平然と居座ってる。この奇妙さ!キュッと来る辛さというんだろか?
 酸辣というのはこんな魅力的な味覚だったんだろか?
 しかも豆腐はやや柔らかい豆花状態。この甘さが,こんな力強い酸辣ときちんと棲み分けてく。他の淡味をこれほど大切に,押しつぶさないでコラボしていく辣。これ,どうやって創ってる味なんだ?
⑥胡瓜の変な浅漬け
 塩みたいなジャリジャリ以外は本当に日本の浅漬け類似。でもヌカも臭みも酸味もなくて…こんなにシャキシャキじゃなかったら腐ってるのを疑うとこです。
⑦カリフラワーのズバ辛煮
 これは…。
 他の他を引き立てる辣と異なり,直線的かつ暴力的な辛さでした。長沙での辛さに似てたと思う。
 これがラー油の辛さということか?
⑧河の焦げ辛ソース
 焦げ辛い。昨夜と今朝食った広東の河と,モノ自体は同じだと思えるのに。
 ソースだけで苦く渋辛い。重量感のある味覚を形成してます。
⑨黄色い饅頭
 これだけは普通。あんまり売れ行きはよくなかったみたいだから,好まれてないのか?

▲夕暮れ,筑[サシ/平]快餐店前の屋台通り

 確信。これは想像以上に変な味です。
 うっかりすると「不味い?」と思ってしまうくらい…本当に変な味です。
 けれど,7時が近づいて益々増えてく客の数が物語ってます。これがこの土地の味覚だと。
 ただ,この夜は結局二店目に巡り会えずに宿に引き上げてます。どうも勝手が違う。後から考えたらもったいないことしてるけど,どうしても見つからんかった。
 緩い傾斜地に広がるテヘランみたいな町でした。明日は歩きたくるぞ!
▲ニワトリの露天売り場。一昔前には沿岸部の大都市にもあった中国らしいドナドナな風物が,まだちゃんとありました。