外伝14緬甸/အမြစ် 根Fear is rooted in insecurity and insecurity is rooted in lack of metta[loving-kindness].{2日目}

[前日累計]
支出1500/収入1500
負債 0
[前日累計]
    /負債 438
§
12月29日(火)
1100KHA KHA GYI Myanmar Food
魚の子,じゃがいもカリー500
1230 Shwe Myin Pyan(Merchant St.)
Pathein Halawa 300
1330 道端露店
緬甸風ラッシー? 100
1400 Moe Parel(Merchant St.)
マトンビリヤーニ 500
[前日累計]
支出1500/収入1400
    /負債 100
[前日累計]
    /負債 538
→12月30日(水)

▲パテインの裏道の軒先に時々ぶら下がってるソーセージみたいな物体。

さらはれるために亀の子波を待つ

 早暁4時,前夜に手配したタクシーにてホテル発,一路,といっても西の彼方というだけでどこだか分からないダゴンエヤーBTを目指す。
 もちろんまだ真っ暗なのでどこがどこだか皆目ですが,とにかく走りに走り,巨大な橋を渡って着いたところは──BTというより民間バス会社の溜まり場に近い。官側が用意してるのは敷地と門だけかも?ここの役人ってホント役に立ってない。
 5時前だったか?タクシーが止まったカウンターに見せたチケットの表記は「Shwe Pyi Lwin(これが会社名らしい) Exp.8000K」
 掲げてあった地図を見ると,Pathein経由でChaung Thatへ行くバスらしい。AirCon。
 他にNgwe Saung,Thar Paungへもダイリクトバスのある会社みたい。
 5時50分。「ちゃうんだー,ちゃうんだー」と叫んでるバスがある。誰かが浮気の言い訳でもしてるのかと思いきや,どうやら「Chaung That」のことらしい。乗車。
 水のペットも配られた。
 5時55分。 もう出発?人数確認もしてたし意外に管理はちゃんとしてるみたいだけど。
 何はともあれ,無事に車上の人になれました。地平が,白むというより紅く染まってます。

 6時45分。曙光。
 道の脇には見渡す限りの水田と水面。水路も不規則だけれど細かく伸びてるように見える。
 水の網をなぞる陽光が伸び拡がっていくイラワジ(エーヤワディー川)下流の大平原。ミャンマー南東部の穀倉地帯。
 美しい!
 朝駆け後だ。この美景を目蓋に止めつつ,つかの間の吉夢を──
 見たいなあと思ったんですけど。無理。車道は相変わらず2車線のガタゴト道。三大悪路クラスではないが,普通にはとても眠れない揺れです。
 それはまあ覚悟してた。油断してたのは…朝の爽やかに冷えた空気。爽やかだったのは最初だけで…ムチャクチャ寒いがな!
 が,皆さんのバーンと開け放った窓から車内を清らかに舐めて,爽やかで切っ先鋭い冷気が吹き過ぎていきます。
 これは…本格的に寒いがな!既に用意した長袖は装着したけどこれはジャンバーが要るぞ!
 なんでこんなに窓開けるんだ?隣に座った美形の女性が,前の席に声をかける。「すみません,窓を…」とでも注意してくれたようです。前席のご夫婦,すまなさそうに窓を…。
 ぜっ?全開かよ!?
 その理由がしばし後に判明。半時もしたころ,美形のお姉様,妙に「グエッ」と喉を鳴らしてると思ったら,備え付けの黒き袋をぐいっと抱きかかえるや…。
 ゲロかよ!?
 気付くとあちこち同じ諸行に及ぶ姿。どうも緬甸人の皆さん,揃って車に弱いみたい。
 風吹けば寒気肌を貫く。風止めば酢ゆい腐臭。とても印象的なパテインの道行きです。

 3時間半で到着。震えと酸味から開放されたのは10時。
 高層の建築は見えません。のっぺりと平屋が連なる単調な道が延びる田舎街,というのが第一印象でした。ここで2泊?とややビビったのも確かですね。そういう意味では,結構久しぶりのアジアの本格的な田舎です。
 歩きでラヴィオン LA PYAE WUN HOTEL入居。ガイド通りの20US$,3階建ての,リゾートホテルと勘違いしようとすれば辛うじてできそうな解放感ある建物。屋上もある。ホテルのお姉さんもフレンドリーでまあいい雰囲気。2日目はバスタブ付きに部屋を移してもらうことにもなりました。

▲KHA KHA GYI Myanmar Foodの魚の子,じゃがいもカリー

 11時,とりあえず朝飯としよう。歩き方に載ってるKHA KHA GYI Myanmar Foodへ。
 パテインのメインストリートはパゴダロード。これが東西に走ってて,これに南北の道路のマーチャントストリートが交差してます。十字の西はすぐにパテイン河。ホテルは東に少し入った辺りでした。南西角が市場,北西角がパヤー。このパヤーのすぐ近くだったんであまり迷いもしませんでした。→パテインの地図
魚の子,じゃがいもカリー5000K 500
 ご飯はおかわり用のおひつ付き,たんまり乗った野菜盆は食べ放題。でもってカリーはむちゃ旨と来たら…確かにこれはたまらん!
 席は70席はあろうか?ヒンは15種ほどから選べました。
 魚の子は焼きタラコみたいな食感だけど──だけどタラコのはずはないよな?でも…この脂の効いたスパイシーさがタラコ(じゃないけど)に奇妙に染みてるのは…醤油や,出汁じゃない味覚や,もちろん魚子自体もミャンマーにあっておかしくはないわけで,それならば料理に取り込むこともありうるわけで,これを中華やインドやフレンチが試してないのが不思議だけど(イタリアンにはタラコスパはある…のか?),そういった諸々な意味で興奮する美味でした。
 さて対するジャガイモですが…この土臭さは何だ?緬甸の変化球的なスパイス使いが引き出してるのか,トレトレの旨味なのか,こんなパンチの効いた芋カレーは初めてです。辛いとか小手先の技巧じゃなく,重量感を感じるパンチ力!
 以上はメインのお味ですが,実は,これらヒンの美味さの合間に味わう野菜にもハマってしまってました。レタス,もやし,バクチー,ニンジン,胡瓜,玉ねぎ,おくら,アスパラ,きぬさや豆,それと何か切り口が星形の知らない野菜の計10種。最後の4種は下茹でしてあります。これを中央の辛酸っぱいのとコチュジャンみたいなタレに付けて食べるみたいなんだけど…何だこの野菜の旨さは!?特にアスパラとオクラの味の濃さは,これは驚嘆の域に達する。──それとも日本の野菜が「薄い」んでしょうか?
 そもそも…こんな食べ方って緬甸一般なのか?(後日談:この点は,カレー屋では大小の違いはあれ普通みたいでした。昔から生野菜食の習慣があるとは思えないから新しい風習なんでしょうが…)
 凄まじい満足感。これは凄い!

流星を待つや宇宙は成長す

 ギラギラと陽光が真上から降り始めると,パテインの空間は異様な陽気をはらんでいきました。それとも単に,腹にモノが入ったからだろか?
 街の中心の金の塔はシュエモードー・パヤーShwemokehtaw Payaというのが正式名。これを時計回りに抜ける。南は公設市場,ここが街一番の繁華街なんだろうけど,一昔前のセピア色の写真のような繁華街です。
 パヤーを左に見てパテイン川河畔に出る。
 ベトナムによくあった河岸のカフェを期待したけど,まあそこはさすがに軍事社会主義国,どうにも人気のない,失敗作の公共施設の展示会のような通り(Strand Rd.)でした。ものすごく立派な建物が見えたから近づいてみた。門番のおばちゃんが3人もいる。しかし人の出入りは皆無。この建物って──いわゆる公衆便所じゃんか!まさに古き悪き軍国社会主義,もう笑うしかなかったっす。
 どうやらスーパーとかも見当たらない。雑貨屋くらいはあるけど,カフェらしいものも乏しい。だけど風光的に底抜けて明るい。そんな街みたい──と諦め半分,期待半分で河畔を離れて東へ折れる。

 正午を回る。天空は蒼が多い尽くす。蒼過ぎて暗さを感じるほどに蒼い。
 かなり北まで来たぞ。えーとこの目の前のパヤーは──Shwe Zigon Pagoda?何て読むんだ?シェー,ジオン?変なところでガンダムか?
 暑くなってきて,この街の独特の陽気に頭跳んじゃってます。何かひどくいい街に思えて来たぞ?
 折角来たんでパヤーに入る。ミャンマー初パヤーです。靴を脱ぐのが礼儀だったよな?裸足でぺたぺた歩み入る。
 おお!初ミャンマー仏像じゃ!しかしこの人──喉に深々と,3本もためらい傷のある漫画顔。スッ惚けたような,これはこれでブッ飛び過ぎて逆に有り難いような。この仏様の突き抜け方,タイ以上です。
 だんだん思い出してきたぞ。確かこの緬甸の仏像って──タマキングご満悦のだったですよね。
(仏様は,この後の頁に大勢お出ましです。とりあえずリンク集を御案内→仏様特集)

▲Shwe Myin Pyan(Merchant St.)のPathein Halawa

 パテイン中心部は闊歩すれば結構狭いものでした。北のシェー!ジオンから市場の南まで一気に歩く。
 12時半。日射はいよいよ,ゲラゲラ笑いこけるように苛烈になっておりまして,こんな中を闊歩しちゃうとなかなかにへとへとです。
 えーと?目的の店らしきものが見当たらん。この南郊外辺りって,どうもとりとめのない家並みが続いてく感じで。
 ただ?該当の場所で食べ物売ってて,時折わざわざ買いに来たモードの人が出入りするのは…ここしかないけど?変な外人が間違えて入ってきやがった…モードで乱入してみると当たりでした。
 英語表示は一切なし!!Shwe Myin Pyan(Merchant St.)
Pathein Halawa 300
 パテインの名を冠する銘菓です。一番小さい生タイプのプラスチック瓶が2000K。
 かなりヘロヘロ状態に陥ったので一時,宿に撤退したついでに,昨日ヤンゴンのスーパーで試し買いした緬甸ブラックティーのアテにして頂く。開水のポットは宿で無料配給して頂けました。
 瓶を開くと,どろどろの水飴状というか,どろどろさから言えばピーナッツクリームかシンガポールのカヤジャムみたいな緑色がかった不気味なものが見えてきました。
 一瞬躊躇するも口に運ぶ。
 おお!味は,流石に美味!
 ココナッツの水飴って感じなので土産にするのは諦めたほうがいいけど…爽やかなミルキーさの中にザラッとした皮の食感がある。ココナッツの身だけじゃなくて…これは糯米だろか?だとしたら沖縄の「みき」にも通ずるが…いずれにせよ甘さの奥行きが尋常じゃない。
 しかしこれ…皆さんどうやって食卓に供するんだろ?みんなで棒とか突っ込んで食べるんだろか?

▲道端露店の緬甸風ラッシー

 この南区画の道端で,妙な飲み物屋台を見つける。妙なんだけど,見かけはまさにインドの街角のラッスィーだったので,とりあえず飲んでみました。13時半。
緬甸風ラッシー? 100
 実は,あそこまでして入手したハーワラーをこの店に置き忘れてしまった。半時もしてから戻ると,眼鏡のおばちゃんが「あんた,アレアレ!」みたいな嬉し顔で,わざわざ自転車籠から出して来てくれました(何でソコ?とは思ったが,とにかく彼女なりにきちんと保管してくれたんでしょう)。
 道端の鉄釜が気になってたんだけど…やはり手製ヨーグルト!氷と皮付きで出てくるその素朴でミルキーさを残す香味は…好い意味で出来損ないのラッシーという感じ。
 これはいいっす!!いいっすけど,何て言うものなんですか?
※ 後でネット検索しても,単にラッシーとしか書いてない。インドのラッシーがここにもあるというだけ,ということに仮にしときましょう。

▲Moe Parel(Merchant St.)だと思う店のマトンビリヤーニ

「1400 Moe Parel(Merchant St.)だと思う店」と記録してるから,歩き方か何かで前もって調べてた店だったと思われる。
マトンビリヤーニ 500
 チキンもあったけどあえてマトンを選んでみる。
 カリーとスープはセットで付いてきた。
 うーん。緬甸風の味覚じゃなくてインド風に近い。ただインド料理だとすれば,マトンの肉汁をビリヤーニに吸わせる感覚は珍しいと思う。
 スパイシーさも緩い。皆さんを見てると,テーブルの青唐辛子を自分で入れてるらしい。そうか,そうやって自分で調整するのね。
 小さい青唐辛子を手で千切って投入。
 辛ッ!
 不覚ながら,こいつのパワーをつい忘れてた。いや,このミャンマーの青唐辛子,韓国を超える辛い種らしい。
 おいおい,これはもう──カリーでなくなったがな。 ならば何かと言えば…料理というより罰ゲームやがな。
 辛れえ~!

 こんな感じで初日のパテインは過ごしておりました。
 結構本格的に疲労してしまったので,先述のように早めに帰宿。そんで一眠りして再出撃したはずなんですが──なぜかその節の記録も記憶もありません。あんまパッとしなかったか,熟睡しちゃって起きれなかったか…そんなところだろうと推測されます。

▲パテイン中心部のマップ(2020段階)