[前日日計]
支出1500/収入1600
負債 100/
[前日累計]
/負債 901
§
→9月17日(土)
0945(華楼街)都谷包子舗
小龍
饅頭400 12元
1047凄家小厨[保/火][イ子]飯
秘制魯肉[保/火][イ子]飯500 20元
1646新楽恵大食堂
米飯 1元
玉禿魚 30元
素菜 8元
肉糸胡辣 6元 650
1803Costa Coffee
エスプレッソ 15元
(1550)
1850老婆大人 量販零食
順麦 黒桃片[米ソ/王/心]
散点世家 [ン水]皮月餅
津香 [ン水][米ソ/王/心]
上海老[酉+ノギヘン]餅200
[前日日計]
支出1500/収入1750
負債 250/
[前日累計]
/負債 651
§
→9月18日(日)
前日に悩み抜いた界隈を翌日に制覇するのは,旅行の快楽の一つと行ってよい。わはははは!
いや特に笑うとこじゃないが,こうすらすら行くとそんな気分にもなる。
朝イチで寧波站へ。サウスイーストコーストの最初の移動は「中国一美しい鉄道」を謳う中国新幹線の路。北広場側の売票処ですんなり購入できました。ただ今8時47分。
票は
「D3125 寧波站→福州南
2016年09月18日1125開
16車13F号
171.5元 二等座 」
「開」は出発。「D3125」は列車の号数です。「D」は「動車」Dong che(ドンチョ)の頭文字でしょう。
昨日迷った原因も分かってきました。北広場側は閑散としてて,おそらく最近開発がおわったとこ。少し前までこの辺りに南汽車站他の古い施設があったのを移して少し経つも,おそらくまだ街人の肌には馴染んでいない,という段階と思われる。現代都市の衣にはにかんでいる,という風情でしょうか。
さて。では本来の寧波を見よう。地鉄の確認も兼ねて寧波[火占]の地下の乗り場から,2号線で鼓楼を目指してみる。
鼓楼は古い街の「時計台」。だから大体,この名称のエリアを目指せば老街(旧市街)の真ん中に出るはずです。
昨夜びくびくしながら歩いた寧波[火占]の地下ホールに,寧波地鉄(地下鉄)の概念図がレリーフっぽく掲げられてました。
現在は2路線。鼓楼で交わる十字を成してて,東西が1号,南北が最近できた2号。北は10駅で清水浦站,南は11駅で[木楽]社国際机場站。うち2駅目がここ寧波火車站。西は9駅で高橋西,東は19駅と深く霞浦站。
動いてて感じるのは,この感覚は少し前の韓国南西部の各都市を回ってった時に近似してます。都市の機能を,短時間で読み解いて旅行をぎりぎり成立させる。そういう方法で旅行できるほど,中国の中小都市が機能化されてきてるということです。
※ この点は,この年末に訪れた韓国全羅道の各都市で認識を新たにしました。鉄道とバスのコアが一体的だった韓国の中小都市は,続々と次の段階,つまり分極化と超集約化(ex.光州ユースクエア)に入ってます。
鼓楼までの間の城[コザトヘン+黄]廟駅の位置が知りたいな。馬園路に近い辺りだと予想されるんだけど…よく分からん。
車内はこちらは赤で統一されてる。広島と姉妹都市を結ぶか,カープの合宿地にしてはどうでしょうか?
しかし!今は差し迫った問題に迫られております!──対面の席の親父,胸を張って堂々とたる威風。そこまではいい。シャツは着てるんだけどボタンを全部外して両乳首から臍まで見せつけてる。そ,それはファッションか?それとも病気か?
鼓楼站総合資訊図。車内ストーリキング爺から逃れ,動悸のおさまるのを待ちがてら,地下鉄出口にあったこの図をさっきから睨んでる。
南西に月湖。馬園路はこの西。対して城[コザトヘン+黄]廟は東,解放南路にあたる。
北東には川。名は余[女兆]江。
道の形から見るに,十字の南東が老街っぽい。ここを歩きのメインとすべきだろう。
対する北西,ここは下町っぽい。アパートの多い居住区と見るべきだろう。北東には官庁街と公園。ちなみに南西は月湖公園が大面積を占めて,その向こうが宿のある馬園路。つまり泊まってるのは新市街にあたるんだろう。
ということで,南東,J出口,老実巷より地上に出る。
階段を上がったエリアは,落ち着いてはいたけれど老街ってほどの佇まいではない。
歩くには楽しい風情なので,老街中心とおぼしき南をおおまかに目指しつつ街を行きながら,こんな雰囲気なら,と朝飯にありつけるとこを探すと──おっ,いい感じ。粉モンが売りらしき店です。
華楼街。都谷包子舗。9時45分。
小龍
饅頭400 12元
小龍。
具も包も絶妙。強くも弱くもない,この程よさは上海料理のものです。しかも肉汁でじんわり甘やかに食わせる。湯(スープ)で押すこのスタンスも北京や東北のものとは少し違う。それに調味はシンプルで,広東の技巧や素材から込み上げる滋味を待つわけでもなくて,分かりやすい。
大昔に,上海老街の名もなき店でガッついた一龍の包子を思い出します。ありきたりだけど,やっぱりこの小龍って原点だなあ。上海近辺では一度は口にしとくのが正解。
饅頭。ここのはワンタンの湯でした。→写真
ほう,台湾のと非常に近いぞ!上に乗っかってるのは海苔と…これは,しらすか?
台湾との相似を一番強く出してたのは,汁が,香りだけで味付けられてることでした。日本人の馴染んだ出汁,つまり乾物のスープが使われてない。──後日の振り返りになりますが,この点は福州の味覚に近い。そう,台湾のワンタン湯のあの調味は明らかに福州の味覚だったのです。
ただこの当時は、ひたすらこの点に感激しておりました。
海老のワンタンが…絶味!──ふわりと浮くような味付けは,広東のそれとわずかながら筋を異にしてます。この甘みとも言える肉の味わいは。
このエリアを好みにまかせて散策。大要,南西に向かったところで,10時18分。開明街という広い車道に出ました。なるほど,これがメインストリートになるか。
道は広いんですが落ち着いた佇まいです。おっ,スタバ発見。 暮らしやすさというか,全てに程よい賑わいで,歩く人の数も俄然増し,何より歩行者のホットさが…いーじゃん寧波!
10時半,十字路の地下通路に潜ったとこで暫時迷う。東には城[コザトヘン+皇]廟商場,南には亜細亜商城があるとの表示。Googleマップを見てもどうもどこの建物を指してるのか見当もつかない。結局,人の数が多い南を選びましたが,まあ複数の商業域があるわけですね。
で,城[コザトヘン+皇]廟という方に上がったんですが…これ,字義通り読むと皇居とも解せる。寧波は都になった経緯はない。クグッてみると,皇帝の別荘,というだけらしい(為明太祖朱元璋於明洪武四年)。ただ現存するこの種の廟では最大規模かもしれんそうです。
※ ただ面倒なんで以下「城皇廟」と書く。
少し歩くと間違えようのない大きな木造建築が見えて来ました。パティオを巡る回廊が上に3層連なった豪勢な建物。ただその中は,何を考えてるのか商店だらけ,しかも観光用とかじゃなく一般向けの店ばかりで,要はアウトレットモールみたいな使われ方をしてます。こういうポップな歴史建造物も珍しいぞ!何かぶっ飛んでていいぞ,寧波!
この城皇廟南の南側の外縁に路地があって,観光客狙いのような普通の食道街のような半端な店が並んでました。
こーゆーとこはどうかなて…と思いつつ,メニューの文字の引力で立ち寄ってしまったのであります。
10時47分。凄家小厨[保/火][イ子]飯
秘制魯肉[保/火][イ子]飯400 20元
軒先の掲示にこのメニューの文字を視認してしまった。──さっきの都谷包子で台湾の息吹に鼻孔をかすめられたとこです。それで,魯肉飯!しかも秘制だとお!
…と,発作的に入ってしまう。もちろん浙江がこの謎の料理の発祥とは聞いたことはない。ただ東ポ肉の里である以上,私見としては浙江発を疑う。「秘制」とあるからには少なくともこの土地で工夫したもののはず。であるからこの浙江で魯肉にトライしてみるのは一分の理なきにしもあらず──とゆーのはほとんど後付けの整合でありまして。
机6卓の小さな店ながらこの時間に5卓が塞がってる!地元的には本当に人気がある店らしくて客足は絶えない。途中わしも相席になったけど…まだ11時前の一番半端な時間だぞ?
炊き上がりは20分ほどと言う。それなりに一つ一つ時間はかけてる。まあ期待できる店のタイプ!
とか何とかでグイグイ高まる期待の中,件の[イ子]が目の前に鎮座いたします。
▲凄家小厨[保/火][イ子]飯(城[コザトヘン+皇]廟南の路地)の秘制魯肉[保/火][イ子]飯
結果,いろいろと微妙だけどこもごもに興味深く頂きました。
[保/火][イ子]そのものとしてははっきり言っていろいろと中途半端です。広東的には炊き急ぎ過ぎてて香りを出せておらず,ということはインディカの味が十分引き出せてはいません。もちろん,日本の釜飯と並べたら十分いいんですが。
韓国的に焦げ味の香ばしさを味わうには,この土鍋では熱が足りてない。焦げができるにはできてますが,色付く程度でカリカリにはならないから焦げ香を出すには至らない。
ところが,そこにこの鍋の中身です。秘制の滷味というのは流石に本当で,東ポ肉としても,非の打ち所のない輝かしい味わいです。この滷味が,半端ではあれ焦げ香を纏ったご飯に染み出していくと──
そうか,よく考えたら滷味×お焦げって初めてじゃないか?台湾×韓国。あるいは台湾×香港。
こーゆータイプの釜飯,慣れてないから戸惑いましたが…旨い…んだと思います。とりあえずは面白い,と言っておきましょう。台湾が先祖帰りした結果なのか何なのかはともかく,非常に興奮するというか頭に「?」が出まくるというか,魔境的な食体験だったんでした。
城皇廟からは概ね宿方向の西へ進路を取りました。
街の規模が規模だけに,廟より南はやや閑散としてきます。ただ落ち着いた居住区でもあるらしく,やはり歩きに飽きを感じさせません。
柳汀街という優雅な名の通りを西行。川の近くまで来た。馬園路へはこのまま橋を渡ればすぐという場所。11時51分。
この裏道に,なせか最初に入ったバイキング形式の飯屋が数軒密集してた。だもんでこの道だけ物凄い活況で往来が絶えません。ただ,あんまり人が多くて入店しにくい。それに残念ながらもう腹に入らん。
小雨がパラついてきました。残念といえば,例の左肩が抜けるように痛い。ショルダーバッグとして持ってきてたカバンが元々ウェストポーチのタイプだったんで,以後これを本来の腰巻きに変えました。それでも,ただ前後に振るだけでギシギシ痛む。
正午を回った。長春路を渡って今から2つ目の河を越えます。
中国の町歩きはやはり疲れる。肩のせいか体力まで尽きてきた。
よたりよたりと歩く道の交通量は意外なほどに多い。されど見渡す川岸の緑は濃く,遠く北方へ続いていました。
漢族名物…ではもう最近はなくなってきたんだろうか?午睡(お昼寝)で左腕を癒した15時,再出撃。
15時半,馬衛街の界隈を通りかかる。天一閣博物館という建物を巡って垂れ柳が縁取る池がありました。川の淀みで出来た池でしょうか?釣り堀にもなってるようで,竿を垂らす人,垂らさずにただたたずむ人,和やかな風情が広がります。
16時には先ほど通ったバイキング街・県学街まで戻り着きました。さすがにこの時間には客足も少なくなってます。
例えば昼飯時に一番活況を呈してた好地方食堂。「昼飯1100~1330,晩飯1830~ 6折 」とあり,この時間に値引きってだけじゃなくて,要は開店時間ということらしい。県月大食堂,新楽恵大食堂と良さそうな店が続いてますが,今の時間もやってそうなとこは──。
16時46分。新楽恵大食堂を選択。
米飯 1元
玉禿魚 30元
素菜 8元
肉糸胡辣 6元 650 ※料理名はレシート記載のもの
魚のせいでえらく高くついてますが,魚以外だと物凄い安さ!
米飯。
なかなか几帳面に炊けてます。上海料理で米を大事にしないってことじゃ決してないみたい。
さて玉禿魚。
白身魚です。言葉のとおり「はげ」なのかは自信がない。味はヒラメに感じられたが。身を生かしたなめらかな醤。生姜と葱が効いてる。それより何より,この嘗めとりたくなるほど絶妙な魚出汁が溢れ出てる旨い汁は何だ?
素菜。
大根の漢方煮。滷味とも言えないほど薄い漢方使いながら,カレーとも見紛うほどの濃い色。確かに味わいは,カレーとも誤るほどの濃さ。しかしながら,そんな気で食べてると,ふとクミンもターメリックも香らないことに気づかされる。では,このスパイスは何なのか?…結局,その実体は味わい抜けられませんでした。
肉糸胡辣。
ただの白菜と豚肉の煮物です。それだけなんだけども,それがこれだけ深々と揺さぶってくる旨みを持つ理由を,箸を置いた後もまだ理解し損ねて戸惑ってるところです。
トロミはある,けれど箸を止める程には強くない。豚肉の肉汁は染みてる,なのにあくまで脇役に徹してる。辛味どころか,塩味すらほとんど感じられない。となると白菜の地の旨みが何かの中華スパイスで200%に引き出されてる,そういうことしか考えられない。八角か?それが何かは分からない。
分からないけれど──後から振り替えるに,うま味の定義に明らかに当てはまらないサウスイーストコースト独自の味覚に遭遇した,これが最初の記録です。
この衝撃を含意させた語として,以後「SEC」という隠語を使っていきたいと思います。(今の時点でも,それが何を意味するのか理解しきれていないからです。)
とにかく,考えられないほど爆発してる野菜の甘さに酔いしれたSEC最初の訪問地となったんでした。
中心部の華やかな辺り,おそらく昼間に表示を見た亜細亜商城だろうと思いますが,一回りしてみました。
18時。Costa Coffeeでエスプレッソを一服。コスタはイギリス系ですが,このエリアは外資が多い。城皇廟と違って古い風情はまるでない。ただお陰でカフェはできます。
18時半が近づいて,そろそろ引き上げる気になってきた。昼間のトボトボの苦諦が思い出されたのもあって,薬行街からバスに乗ってみる。
えーと?何番に乗ろうかね?あ,7路が来た!
電光表示はある。一律2元。まあ乗りやすい体系やね。自転車システムと違って成功してるみたい。
昨夜,宿の前のコンビニが大当りだったんで,その隣の店にお茶請けを求めてみました。
19時前,老婆大人 量販零食。
えらく可愛い雰囲気の店です。棚に並んだ箱型の区分けにそれぞれお菓子が入ってて,種類でいうと百は越すんじゃないでしょうか?
順麦 黒桃片[米ソ/王/心]
散点世家 [ン水]皮月餅
津香 [ン水][米ソ/王/心]
上海老[酉+ノギヘン]餅200
半分も食べなかったっす。月餅は中秋だからか(というか買う人が多く回転がよかったのか) まずまずだったんですが,老ス餅はどうも古いみたいで明らかにすえた味がする。[米ソ/王/心]は乾きものですが,食感はちょうど和三盆みたい。でもこれ…味がしないただの粉だぞ?
お茶には間に合いましたが,以後この零食屋の類いには入ってません。ああ~これならバイキングにもう一軒行きたかったぞよ~!
明朝は11時25分,寧波発。ホントに手触り確認だけになった気がして悔やまれる街でした。