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新村でスジェビ,仁寺洞でチョングッチャンと,割と古めかしいコリアンを食べ歩き |
全然予定通りじゃないのに予期しない充実
すすっかり遅くなった。ただ,全然予定通りじゃないのに予期しない充実がある。
ホントに幸先のいい旅行運が来てます。
1153,市庁から緑線の地下鉄2号で西行。1204,新村に到着。
ここになぜハマるのか分かりませんけど,初回頃から入り浸り,しばらくご無沙汰してたのが前回(→ソウル二次5日目夕)は宿泊までしてしまいました。
その前回に逃したスジェビの店に来たんですけど──いざ調べてみたらGoogleマップにも記事にもヒットはない。
近くに新村スジェビというとこはありました。大行列。でも前回の店じゃない。韓国で人気だけで店を選んで失敗した経験だけは豊富です。さらに探す。
1207,発見。メニューしか書いてない無名店。間違いない!
これからも記憶と勘を頼りに歩くことにして,ここでも場所は特定しません。新村スジェビから北へ徒歩1分以内です。
新村:静謐のスジェビ
1208名も無き店
スジェビ4千w300
表からの見かけと違って奥が広い,という店はよくありますけど,ここは見かけそのまま。4人がけテーブル5つのみの店内。ただ縦に長い店です。
メニューはスジェビのほかカルクッスとキンパブのみ。注文はスジェビとカルクッスが3:1というとこ。
今は再び全テーブルが塞がってます。地元客ばかりらしい。この学生街で若い人間すら1組のみ。物好きそうなカップルです。
しかし何だ?周囲におりなす学生御用達店の喧騒の中にあって,この落ち着きは?
謎の味でした。
ウマいんである。確実に!
でも…出汁はスジェビの煮汁と殻付きアサリだけ。調味の感触がない。ニンニクすら感じられない。なのに?
スジェビそのものは凄く肉厚,芯までしっかりした歯応え。これを噛めば噛むほどに小麦粉そのものという木訥ながら重厚なボイスで主張してくる。でもこれ…前の仁寺洞の2店のような技巧や工夫はない。極めてシンプルなのに,素直に美味い!
野菊のような小麦味,とでも言うんでしょういか。実に小気味のいい粉モンの味覚なんでした。
韓国には,ひねりの効いた味は今やあまりあるほどです。今はこういう,実直な味を守り通してる店に感動する。そういう鼻で,つい探り当ててしまった名店でした。店名は知らんけど。
今日の新村は,何かのイベント中でした。
フリマと講演会と踊り会場が合体したような,どうも趣旨の分からないイベントです。
ちょっとググってみると,この2018年9月には,7日(金)~9日(日)に野外クラフトビール祭り。22 日(土)~23日(日)新村国際花市場が開かれてました。訪問した15日(土)のはヒットしませんでしたけど,新村は毎週何らかの華やぎを持った町になったらしい。
昔は駅北にあったモーテル街が今は完全に南しか残ってません。釜山の釜山大学界隈とともに,これから何の町になろうとしてるのやら見当もつかない場所です。今後も驚かせてほしい。
13時を回った。半端な時間になったなあ。
迷うけど…行くか!仁寺洞!てゆーか…チョングッチャン!
地下鉄2号で東へ折り返し,忠正路で乗り換えて鐘路3街へ向かう。
マップ表示を見かけただけですけど,忠正路の南側5番出口すぐには「Samsung Ciber Village」なる巨大施設が広がってる。
鐘路3街:時流を追わず チョングッチャン
思い出した,この駅のホームは物凄く地下深いとこにあるんだった。
1317,忠正路駅で2号から5号へ乗り換えながら想起したことです。ひょっとしてシェルターとしての機能でもあるんじゃないか?
気付いたと言えばもう一つ。何か歩きやすくなってきたと思ったら…今韓国の町,特に駅にはハングルの次に英語と並び,中国語が書いてあるのが増えてきてる。だからです。
1323,鐘路3ガ駅に着く。──帰って来た!
▲一味食堂 イルミシッタンのチョングッチャン定食…のチョングッチャン以外が揃ったお膳。
迷いは一切なかった。一直線に向かった先は
1332一味食堂 イルミシッタン
チョングッチャン7千w400
意外だったのは,昼時は外してるとは言え,客はわずかに数名,今はわし一人きりになってます。どうも流行が去った気配。──個人的にはシメシメですけど,潰れないではいてほしい。
メニューの2つ目はオジンオ・ポックム。3つ目にも何とかポックムとある。営業的には,メニューの幅を広げられずに困ってるというとこか。
でも安心したのは──食べてるうちにも客足は,押し掛けては来ないけど絶えることもない,という程に続いていきました。豆の臭み好きの人だけが来れば,そういう場所のままでいい。
さて3度目のお味は──健在の一言。
と言いながら,実はこの味はなかなか思い出せない。日本の味噌汁や納豆と似て否なるものだからです。
先味はやや似てる。異なるのは,後味に来るはずの安らいだ香りが来ず,それどころか辛さを感じるほどの硬質な臭みへたどり着くこと。──味噌汁に馴染んだ日本人の口には,知覚しやすい先味の大豆の丸い味わいがクイッと浮き,消失してしまったような喪失感として味わわれる。結果,後味の本質である臭みと苦味に,最初なかなか味わいの照準を絞れない。
絞れてからが至福です。
硬質なのに香りだけが立ち上がり,残る。この味の止まり方は,他では変えがたいチョングッチャンの魅力です。
前回はどうだったのか,副菜もいい味出してます。ハンペンみたいなのは日本なら名産に加えられそうな軽快なのに魚臭さを残す。小松菜のキムチみたいなのはパリポリと歯ごたえある不思議なキムチ。
これらをチョングッチャンの本体と交互に食す。臭→鮮→臭→鮮→…。臭を何度も洗った舌に驚きが何度も呼び覚まされる。キムタクが好むか好まざるか,ブームが来たのか去ったのかに関することなく,そんな体験を繰り返したくて,ここに通う客が一定数できている。
チョングッチャンは仏教徒の素食。それで十分だと思う。
何だ?この物凄い地下通路の長さは?
鐘路3街の地下鉄1号線プラットホームまで行こうとしたら,2つプラットホームを通過したぞ?
入ったのは5号入口から。よほど不便な場所から入ってしまったんでしょうか?
1・3・5号の3つの地下鉄が合流してはいるけれど,そうは言っても複雑過ぎる。いや,東京には時々あるか?出来合いで組み合わせて行ったらとんでもなく複雑になっちゃいました,という地下構造。