外伝17-022 あかあかと冥海に彼の息づかい/南大門

成り行きで食した絶品カンチジョリム(太刀魚)!

意外な路地裏,朝鮮人参そして…太刀魚!

▲南大門市場近く(おそらく南側)の路地裏

の路地はどこなんだろう?
 ぽつぽつと旅行者らしき人も見かけたからガイドには載ってるんでしょう。入口は分かりませんけど出口は南大門の「5GATE」の車道を隔てた対面辺り。
 路地に入ると,レンガの民家が突如広がり始めます。平屋建の古い家屋ばかり,道も程よく左右に,そして上下にうねりながら続いてます。

▲同路地裏からさらに曲がる細道

た場所だけからすると,仁寺洞の路地を考えればわざわざ見に来るほどじゃないかもですけど,南大門周辺にもこういうところがあり,おそらくは元々の風情を偲ぶという意味では貴重な界隈です。
 何より,路地奥がどれほど深いのか未確認のままです。
 ただ…どの通りだったものやら。
 1011,やっと市場が見えました。何と迷ったものよ。ゲートの場所は分かりませんけど会賢駅の南辺りです。

▲車道の対面に「5GATE」の見えてきた辺り

を持しての南大門市場突入!
──では全然ないですけれど,とにかく朝鮮人参系だけは購入する。
 保寧人参というお店にした。この品は高価だけにポイントが色々あるらしい。今回のは6※年根上80※-下20※。この「※」の数値で値段がかなり違う。まあ…お釣りが円で帰ってきたのはげんなりしましたけど。
 こんなんを例によって爆買いしてる中国人を横目に見ながら,とにかく飯!
──の前に,先立つ尿意を何とかせねば。でもこの市場,韓国の一般的状況と変わることなく,公衆トイレがひどく少ない!
 1029,南大門中央市場と漢字表記のあるビルでトイレを借りる。確か地下でした。(場所→この辺り:GM.)
 ここは覚えとこう。中の状況もどやどやした雑居ビル状態,ある意味では市場より市場っぽい。

▲昼時が迫り,臨戦体制に入る店舗の前で,ストレッチで身体をほぐし(てるように見え)てるアジュマたち。

刀魚の旨さを浙江で刷り込まれたばかりです。
 市場で昼飯,と決めた途端に思い浮かべたのはカンチジョリム!韓国太刀魚の並ぶ筋,その名もカンチジョリム通りです!
 と瞬時に決心したは良いものの,ここへ来たのは3年前に一度きり。南大門市場そのものが3回目位で,しかも真剣には歩いたことがない。つまり土地勘がないわけですけど,もちろん案内板に載ってる地名じゃない。慌ててスマホでググって探す。
 へえ,ナンデムン・カルチジョリム・コルモッってハングル名もあるってことは日本人より韓国人にウケてる通りなんですね。とりあえず見当はつきました。
※ 場所→(中央食堂(ジュンアンシッタン) )GM.

カンチジョリムはやっぱり凄いぞ!

▲洗面器 カンチジョリムの山の裾

タリさえつけてりゃ,この通りの空気はやはり覚えてました。
 飯時には客で満ちる各店も,この時間はまだ余裕で食べれる。いい時間に来れたな。…と思いきや,席がなくなりかけてる店もある。韓国人率の高いこちらを選びました。
1038ヒラカルチ
カンチジョリム8千w550
 選び抜いたはずなんですけど──店内の感じで思い出す。前回一度,混み混みの状態で入ったとこだな,ここ。あの時はまだ太刀魚に目覚めてない時分。その頃に既に感動した逸品,のはずです。
 カウンターの11番席。前回はすぐ後ろの団体席で相席にて食した記憶。
 メニューはないけど迷うまでもない。
「カンチジョリム?」と問うアジュマに「ネー,ハンゲ!」(1つね!)と答えてあとは待つ。
 すぐ横の洗面器にそのメインのお魚が山を成…してるのはどうも有り難み的にどうかと思うけど。

▲ヒラカルチのカンチジョリム定食

っ赤だ!
 着色料でも使ってるような真紅の太刀魚が,安そうなアルミの鍋に煮えたぎる。
 素晴らしかった…。
 まずは太刀魚そのもの。これがとんでもなくウマい!

▲パブの上で湯気を放つカンチジョリム

がプリプリというだけじゃなく,匂い立つ芳香をたたえてます。
 もちろん辛い!日本人的には激辛の類いでしょう。けれどその中から甘く香るこの味覚が,そのうち甘酸っぱさに感じられてきます。
 その激味の中だからはっきりとは感じ取れないけど,コチュジャンの発酵味が魚の外面と白身を引き締めるような効果もあるのかもしれません。
 脇役も,トッペギに入った卵,太刀魚の干物と,これも最高の取り合わせです。
 けるど決め手はやはりコレ,煮汁です。

▲ついにパブへアルミ鍋に残った煮汁を注いだ段階へ。

囲を見てると,最後にこの汁をパブにかけるのはメジャーなのかどうか微妙ですけど──これはやらずにいられない。ナッチポックムの要領で思いっきりブッカけます。
 実はアルミ鍋の内容物は半分以上が大根。これは一種の底上げ?と批難するのも惜しいほど,この大根の地味が煮汁に溶けた甘さと辛さに酔いしれる。辛味が,大根本来の青臭い辛さとコチュジャンの唐辛子辛さの混合体になって,パブの甘さに染み込んでいく。
 そして韓国のパブというのは,ここのも同じ。焦げ味をまとったハードな炊き具合。
 参った!
 おそらく,それは共通してる。寧波でもこのソウルでも,太刀魚そのものが美味いとか味付けが良いとかじゃなく,融合したその先で身に隠してた芳香で吼える。落ちた先がどこでもそこで花を咲かせる,という感じの奥ゆかしい強かさがこの太刀魚という食材にはあるみたいです。

[回想]ここまでの太刀魚感動食記

※ 紹興再訪編/第一天(寧波)/じゅくじゅく太刀魚
※ 同/第二天-2(寧波)/干物系太刀魚
※ 同/第二天-4(紹興)/塩煮系太刀魚

▲この度はやたら縁があった崇禮門

地下鉄の緑ラインの市庁駅に出よう。
 出ようとしたら,またこの門かよ。今度は東側にいるらしい。
 Tiger Open Topと車体に書かれたオープンバスから,どやどやと観光客が降りてくる。
 この門ってそんな観光地なの?知らんなあ。
 でも調べたら意外でした。特に逸話が面白過ぎる。→文末:ミニレポ

▲市庁前の交差点にて

000と書かれた市内バスを見る。4桁番号のバスって初めて見るかも。しかもゾロ目かよ?と思ってたら次は2000?
 間を飛ばすならもっと地道な番号にしろ。
「ICBC首尔分行」というデカい看板を掲げた豪勢な建物を発見。中国と韓国の経済界ってどうなんでしょう。政治的には明らかな仇敵ですけど,お互い実利的だから実質かなりガンガン札が飛び交ってそうな気がします。



■ミニレポ:崇礼門

【読み】숭례문 スンネムン。日本語では一般に「すうれいもん」

【概史】
1392年 李氏朝鮮が漢城遷都(太祖・李成桂の治世)
1398年 都城建築の要として建設した門の一つとして崇礼門完成
・ソウル最古の木造建築として,日帝時代に国宝第一号に指定。韓国成立後,改めて国宝第一号に指定。
・国家の象徴として,かつては500ウォン紙幣に印刷されていた。
2008年2月 石造の城門を除く大部分が焼失
2013年4月 復元工事終了
2013年12月 手抜き工事の発覚による立入禁止措置
2013年5月 再び一般公開開始
2016年6月 崇礼門把守儀式再開(8年ぶり)

【焼失顛末】
・原因は今も議論の渦中にある。真相解明が政治的にぼかされているとの見方も多い。
・一度消したはずの火が再度燃え上がって全勝に至るなど,火災そのものの経緯も奇妙に不可解又は不始末な点が多い。
・焼け跡からライター2本発見され,これにより放火だったとするのが定説になっている。
・主に責任を問われたのは消防と文化財庁。韓国メディアから責任のなすり合いも含め批判された。双方の主張は
(消防)文化財庁から「慎重に消火しろ」との指示があったため鎮火に遅れが出た。
(文化財庁)そのような指示はしていない。
・2008年4月,別件の昌慶宮文政殿放火犯の男性が,崇礼門放火容疑で逮捕。犯行動機は,都市再開発事業による家の立退き補償額への不満だったと供述したという。この男性に,同月中にソウル中央地裁が懲役10年を判決,事件は解決を見た,とされる。

【復元】※百度百科ではこの辺が完全に削除されている。
・丹青(彩色)に使う顔料の調達が国際問題になる。伝統的な接着剤(膠又は漆)は,韓国では製作技法が失われ,技法復元にも失敗したため,日本製を使用することとなったが,この点が韓国国内で批判された。
・2013年4月復元終了,同5月に復元記念式典開催。しかし同10月頃以降,丹青に亀裂や退色,さらに木材の一部に亀裂が生じ,復元工事に問題があったとの疑惑がとりだたされる。
・一部韓国メディアは,この原因が日本の塗料や接着剤の使用にあると報道。
・木材の調査過程で,次の点が判明。
①丹青の膠に,本来仕様の天然のものでなく,化学顔料を用いたものが使用されている。
②乾燥不十分な木材を使用
③一部に,本来仕様の韓国産金剛松ではなく,価格約100分の1のロシア産材が使用されている。(確認されたものは32本の柱中3~4本。実際は7~8本がそうではないかとの予測が出る。)
④仕様と異なる燃えやすい油が使われている。
・これを受け,
(警察)金剛松の横流しと費用着服を捜索開始
(監査院)手抜き工事の事実と,④による火災の危険から,再工事が必要と意見表明

※ wiki/崇礼門
※ 百度百科/崇禮門
・ KONEST/崇礼門(南大門)