油煳干青∈5貴陽:貴陽夕刻5∋糟酸麻蒜

第一節 湘湘飯店・ザ・ゴージャス

電大楼まで戻る。1641。
 亡き常宿・七天の最寄りバス停。何度も乗降したここから,今回まだ行ってない火車站へ。
 降車すると,客引きがうろついてる。たまたま前を歩いてた日本人には「オニイサン」と誘ってるのに…おい,ワシは丸で無視かよ。代わりにまた道を訊かれたりして…現地慣れするのも悲しいものである。
 駅西のモーテルみたいな建物ががっぽり無くなってる。変な営業でもしてて摘発されたか?
 それはそうと…地下鉄はどこだろ?

▲貴陽的メニュー表示。怪噜飯??→巻末資料:怪噜飯

や違う。飯食いに来たんだった。
駅前の,日本の風呂屋みたいに類似店と協定でも結んでるのかどこも一律10元の自助の店舗群は,何とまだ健在でした。そうなると一番元気がよく縁起もかつぎたいこちらに。
1747湘湘飯店500
①飯②
③④⑤
①インゲン豆の酸っぱ辛煮
②大根桜漬け
③ニンニクの芽の唐辛子炒
④爆弾こんにゃく
⑤血液ゼリー辛煮

▲久方ぶりの駅の10元自助

回目の初食で酔いしれた十元自助!
──だからそれのどこがゴージャスなのか?と訊くなかれ。食べた者がゴージャスと思ってんだからゴージャスなんである。
 …こっから先を読んで貰えそうもないこと書いてしまったけど,まあ問題ない。今回は大体こんな調子である。
①インゲン豆の酸っぱ辛煮
 これはやはり激烈っス。次の一口を食べずに済まない軽やかな豆味と爽やかな酸っぱい辛味の合体。
 単に発酵唐辛子というだけでなく,豆そのものを酸っぱくしてるはずなんだけど,漬けてるんでしょうか?それと,僅かに入ってる肉のミンチがあれほど効いてるのは,あれどういう加工なんでしょう?
②大根桜漬け
 大根の辛さは激烈なんだけど,これは辛味の複合をあまり施してないので一番安心して食べられた。ほんのりついた赤みは,彩りを重視したものだろうか。だとしたら貴陽の食感覚としては結構珍しい。…何か知らない赤の着色料を混ぜてあるのか?という怖さもあったりする。

▲ニンニクの芽の唐辛子炒・どアップ

ンニクの芽の唐辛子炒
 ニンニクの芽を唐辛子で辛く仕上げてる。その意味,日本で自分でも作れると思う。ただ,そういう感覚がなかなか出てこないはず。
 調理の感覚が,和とも通常の中華とも,微妙に違うのである。ニンニクの芽にそれほど火を通しきってなくて,多分,生ニンニクのような硬質な辛味を意図的に残してる。つまり,ニンニクを香草としてじゃなくて,辛味の発生源として注意深く扱ってる。その上で唐辛子の辛味,おそらく焦がし唐辛子の短いパルスの辣を融合させてる。
 辛味の尊重と複合思想。これを恐れずズバリとやるのが,貴州です。
 結果として,通常の唐辛子辛さより全然辛味を感じないままに,いつしか口中が痺れてる。貴陽人には基本的な味覚なのかもしれないけど,外地人が真似るとするとなかなか絶妙さが求められる調理なんじゃないでしょうか。

▲この夜にウォルマートで買った,何かとても怖い娘印の瓶詰め

弾こんにゃく
 これの唐辛子は一味だと思う。日本の爆弾こんにゃくとレシピも思想も似てる。
 ただ驚くのは,このこんにゃく自体の味覚の深み。日本の名産地のでもこんな軽やかで奥深いのは珍しいと思う。
 重慶の後にやってきた今回は,非常に対照的で分かりやすい辛味使いでした。貴陽料理は唐辛子を使って味覚を軽快にスピードアップする。重慶のような重さを,ほとんど感じさせない。その姿勢を最も端的に現してる一品だと感じました。
⑤血液ゼリー辛煮
 血旺主体のこれも同じ。辛くしようとすれば韓国のヘジャンククのように,思いっきり出来る素材です。いや,もちろん辛いのだけれどサラリとした辛味,おそらく粒唐辛子でまとめてる。
 引き出しには持ってる発酵唐辛子を,あえて使ってないのです。結果,血液ゼリーの濃厚さが浮き立ち,辛味がこれを脇役として装飾してるような味になってる。
 総体として,実に細やかな辛味の使い方です。たった10元でというのは,こういう思想が生活レベルの,普通のものになってるからなのでしょう。
 ね?ゴージャスでしょ?

▲1712今回もゴージャスだった湘湘飯店の並び

第二節 貴陽地下鉄の長い旅路

下鉄はどこなんだ?
 鉄道駅から接続する企図のはずなんだから,どこかに表示があるはず──と思いきや,どこにもない。
 共産主義国の交通機関である。利用者の利便とか細かいことは考慮されておらず,それは利用者が考慮することらしい。
 でもこの駅は北側しかないんだから…とあてどなくうろついてたら,駅前広場のど真ん中に妙な,緑の縁取りの角柱が立ってる。「貴陽火車站」(鉄道駅)と書いてある…のが地下鉄なの?
 わかんねーよ!

▲1724貴陽站地鉄入口

りてみる。
 やっぱりこれらしい。地下3階の深さまで潜ってく。以前なら間違った時を恐れて入らなかったと思うけど…ようやく改札を発見。

▲おお~!ホントに出来てるよ!地下鉄が!

し!こうなったら…乗ろう!
 料金2元,バスと同じです。ホームはさらに1階下。
 1725,地鉄乗車。
 初回にバスを必死で乗りこなしてた頃を思い出します。おおおっ,ホントに出来たんじゃのう!

▲貴陽地鉄ホーム

かしこれ…。
 人,いないよ?
 感動の余り目に入ってなかったけど,さっきの改札の写真もホームのにも,人間の姿がないよ?
 時は夕刻真っ盛り。世界のどんな地下鉄も通勤客でごった返す時間ではないのか?

▲貴陽地鉄車両内

内。ようやく人間の写ってる写真です。
 でも空いてる!
 こりゃあ…通すラインを完全に間違ったな。
 旧城から考えたらちょうど西外縁を走らしてる路線です。今工事してるラインもそう。東西の延安路は北縁に当たる。旧城を文化的に保護する発想でもあったか,それとも岩盤が厚いのか。
 にしても,東外縁を走るBRTに続き,あれだけの大工事で掘りくり返してこれでは──市民感情的にどうなんだろ?…とか細かいことは気にしないのかな?
 北に18駅,南に6駅,既に全線開通してこれです。白の車体にライトグリーンの座席が,余りに目に痛い。

▲監視カメラは四方を睨む。しかしこのオバハンのファッションは何だ?と訊けそうもない怖い面構え。

第三節 ウォルマートで楽しいお買い物

駅で降りてA出口から出る。1740。
「長い旅路」はどこへ行ったのか,という細かい事は気にしないでよろしい。この章はこんなんでお送りしてます。
 さて,毎回通ってしまってるあのウォルマートの公園は,筑城広場という名でした。今さらだけど。南明河がS字に流れて取り巻いてる。

▲ウォルマートの中華ハム売り場

くこんな写真撮ったもんですけど…スーパーのハム売り場です。
 とぐろを巻いてます。
 一見,キチャない。
 誰が買うんだこんなもん──と撮ったんだけど,相当な名産らしい。特に香港やシンガポールでは垂涎の品だとか。
※ 百度百科/宣威火腿
「云南省著名地方特产之一,因产于宣威而得名。」
「其品质优良,足以代表云南火腿,故常称“云腿”。」
「其产品于1923年参加广州等地赛会受到各界的好评。孙中山先生为其题词“饮和食德”,从此名声大著,远销香港、新加坡等地。」

▲続きましてウォルマートのハム売り場

れ,どっかで見た光景だぞ?
 そうだ,エイリアンじゃ!
 この肉塊のどこかがむっくりと動き出して,絶対,エイリアンの雛が孵ると思うぞ。

▲筑城広場の公園。ウォルマートの真上の構造物

う考えると合点がいく。
 この公園の地上にある,この宇宙船じみた構造物。これは,エイリアンが宇宙に帰る時のために用意されている。間違いない。そうに決まった。

第四節 博愛路喰い倒れ編

▲博愛路の夜のフルーツ店

ォルマート北の橋から,郵政大楼前の七天へ右折するのが常でしたけど,今回の七天は方向が違うので,左折してみる。
 すると博愛路という道でした(→GM.)。
 もちろん来たことはあったけど,ここ,南端はいかにも寂れた雰囲気。でも,中程から北,都司路側がえらく賑わってる,という事に今回初めて気付きました。
 しかも半数以上が飯屋。なんでここに?とは問うても無駄,いずれかの有名店に引きずられて出店が増えたのでしょう。
 良さそうな店で時間を訊くと,夜だけ開けてるとのこと。なるほど,だから夕方までは静かなのね。

▲百度地図の博愛路最大拡大

の通りでありながら,けれどメニューや客の振舞いを見てると…酒の店ばかりでもないようです。
 今回はもう食べれないけれど──え?喰い倒れじゃないのかって?いやそれは勢いというか願望というか。
 なお,都司路はdusiluと読む。ドゥシロである。日本語読みの「トーシロ」にも近い。
 だからどーしたって?いやだから,この章はこんなタッチなんですって。

第五節 驚嘆の美味に酔え!甘く危険な夜スイーツ

▲1858蛋糕屋さん店頭

華路に出来てた蛋糕屋さんが,まだ開いてました。
 この辺り,小店があまりないのもあってか,かなり盛況です。
 ただ,今日は中山西路で買ったあの謎の餅があるからなあ。試食で味見だけしてみたけどまあ普通なんで…謎餅に賭けることにする!

▲2041…何だこれ?──と一度は書いた禾心把把匠の热糍粑

粑である!
 軟らかいんで,散々歩いたのが祟って,こんなクチャクチャな形になってます。
 でも食べてみると──確かに未知の味。何と言うのか,雑穀が粉々しい歯触りを作って,木訥な鈍い甘味として味覚される一方で,米の慣れ親しんだ餅味もある。小豆あんは,量も僅かだしあくまで味を整える脇役。雑多な穀物味が複雑なスイーツです。
 飛び上がるほど旨いわけじゃないけど(だから驚嘆はどこ?),じんわりと満足できる一品でありました。

第六節 中国語で味わう「君の名は」に号泣

▲「你的名子」──「君の名は」を5元にて初見

はこの糍粑と成都茶をアテに,アニメ「你的名子」が5元だったので見てしまう。テレビに出たQRコードを読み取って微信払いする仕組み。
 初見でした。日本語も消さずについてたので助かりました。
「君の名は」です。
 で──うーん。何に感動すりゃいいのか?
 ただまあ,「何かを誰かを探してるような気がする」という対象のない喪失感みたいなのに現代日本人が共鳴してしまうのは分かるような。でもそれ,中国人が見て理解できるものかね?
 という複雑な後味を覚えた名作観賞です。

第七節 ついに成功!金盾下でのネットアクセス

▲au-SIMでの接続は,いろいろ試した挙げ句,SNSからのリンクが一番繋がりやすい。Chromeのプラウザに入らなければいいんだろう。

昨日からついにネット接続にこぎつけた聯通SIMですけど…宿の予約にはやはりC-TRIPとの比較上,アゴダを使いたいので,夜には一度auSIMに戻す。
 この時,APNをオンにしても,それでもやはりchromeは繋がりにくい。世界定額の一日使用すら弾かれ続けることがある。
 この時,金盾の警戒度が薄いのか,完全にGoogle系列のchromeよりは,operaやNaterとかのプラウザの方が幾らか接続しやすいみたいです。実体験上でしかないし,金盾の設定が変われば流動的だとは思いますけど…。
 金盾との辛い駆け引きは,今後もかくして続くのでしょうな。

▲ということは「NatorHD」プラウザで入ればいいのかな…とやってみる。万全ではないけどChromeよりは繋がるようです。

上,本章はスポーツ新聞的な「誇大広告」をテーマにお届けしました。いや,威勢のいいこと言っても,なかなか世の中うまくいかないもので,だから旅行は面白いわけで(それで誤魔化せると思うのか?)。

■資料:台湾に卤肉飯有り,貴陽に怪噜飯有り

 またもや食い逃しレポートとなります。
 隠れた貴陽名物らしい。現物写真を見ると,オムライスの中のトマトライスみたいなもんであまりパッとしない。
 でも,まず,名前が怪奇。「噜」は「卤味」の「卤」とは違って「くどい」「ワケわからん」という意味で,この場合「怪」と同意反復に近い。
 百度の表現も凄い。「麻辣酸咸什么味都有」──痺れ辛さ,唐辛子辛さ,酸っぱさ,塩辛さのどの味も有る。
 ドクダミのチャーハンと訳してある表現もあるけれど,広島の安芸太田町名物・漬物焼き飯のように古漬物も入ってて,名店ではその臭みと酸味,それにもちろん貴陽だから八種の辛味が渾然としてるらしく…四度目にして未だ未知の味ってのに地団駄を踏む思いであります。
※ 新北京。おいしい生活。/【貴州黔西南駐京弁餐廳「布依人家」】怪噜飯
「ドクダミチャーハン
怪噜飯(guai4lu1fan4)」
「怪(guai4)は「おかしい、奇妙、変、不思議」といった意味で、噜(lu1)は「噜蘇(lu1su1)」で「くどくどしく言う」、「哩噜(li1lu1)」で「わけのわからないことをしゃべる」という意味。ヘンテコでわけのわからないご飯??」
※ 百度百科/怪噜飯「“怪噜”缘为这种炒饭加的调料品种较多,麻辣酸咸什么味都有」
▼▲

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です