FASE63-3@deflag.utina3103#普天間権現発祥之地,加良川\美ら瘡ぬうとぅじ 遊ぶ嬉しや

~(m–)m 本編の行程 m(–m)~
GM.(経路)

首里から普天間へと駆けた美女

川交差点へより北行。これで首里城周回の行程も残りわずか。儀保駅方向を目指す。
 1256。その途上,歩道を塞ぐように立つ巨木が現れました。山川二丁目バス停すぐの位置です。
 東向きに祭壇。
 名称・解説は全くありません。→巻末小レポ参照

▲1258山川二丁目バス停すぐのガジュマル

天間権現発祥之地。1303。
 メチャクチャにキレイな社です。だけど拝まれてる形跡はほぼない。
 なのに副題にまでしてしまってるのは──どこまでも謎だからです。
 ここから逃げた美人を祀る普天間宮があれほど信者を集めてるのに,なぜその逃げ元を,信者も少ない中で祀り続けるのか?
 なぜ普天間まで逃げるのか。そもそもなぜ籠っていたのか。
 プロットが天岩戸を微かに連想させるのはなぜか。
 ※ 沖縄散歩/普天間権現発祥の地

からがーへの道がない

良川
〔日本名〕沖縄県那覇市首里儀保町2丁目
〔沖縄名〕からがー
〔米軍名〕-

▲1312溝を覗く。

313,桃原。左手道路下を川が通ってるのを見つける。
 ガジュマルの向こうの闇に祠らしきもの。でも,どうしてもそこへ降りる道が見つからない。

▲1316東からの野道

「聖劇」玉城朝薫

めて通り過ぎかけた。
 ㈱メグビーのビルの東側に……これ私道なのか?野道らしきものが伸びてました。ダメ元で入ると西へ折れた。
 行けるのか?

▲1317沢。正面,南側の上が道路。

けた。これか?
 まさに典型的な首里台地の崖と井戸です。首里の琉球石灰岩の円環のエッジを覗いてる。
 そしてこれは……明らかに旧遺構です。

▲1319道路下へ消える水脈

劇 玉城朝薫生誕之地」という碑。俳優の碑だろうか。
※ 国立劇場おきなわ/玉城朝薫
 川の上流方向にプレートのはまった石の祭壇。東側のガジュマルの根元に井戸。小さな祭壇。その左手に方形の箱のような祠。いずれも供え物なし。

▲1325メインらしき井戸と絡まるガジュマルの気根

濃い闇からもう一つの闇へ

レートには「加良川」(カラガー)とある。
 井戸の前庭は4m×2m程度。大きい。共同井戸だったようです。
 南側,金城の井戸とはまるで風情が違う。御嶽っぽいというか,闇の色彩が濃い。
※ 那覇市観光資源データベース/加良川(取付道路も含む)

▲1328南へ続く藪と花,微かに家並み

うせここまで降りたんだ。1327,そのまま下流へ川沿いを進む。
 沢への入口よりさらに消え入りそうな野道ですけど……何とかなりました。儀保交差点に出てこれを越え,本日のもう一つの目的地へ──。

▲1343北森への入口看板。どこへの入口なのか看板が欠けてるとこが……また怖い。

▲層の図式

■雑感:「層」または「分からないものの分類」について

中沢▼甲州から信州,諏訪にかけては,いろいろな歴史的ないきさつのおかげで,文化的地層が順当に時間の順番に重なってくるのではなくて,新しい層,古い層,ものすごく古い層が混在して,時々,ものすごく古い層が表面に出てきたりしているという土地です(左図)。

※中澤新一,小澤實「俳句の海に潜る」角川学術出版,2016
 ①西原-中城の海岸沿,②具志-宮城エリア,③小禄駅東側のそれぞれで似たような知覚体験をしたと感じてます。
 点としてのXを凝視する知覚が積み重なると,Xの①パターンとか②構造とか③ベクトルのようなものが感知されるという体験です。
 少なくとも,沖縄で触れるXが,全て同質のものとは思えなくなってきた。
 ①では集落奥の高台の崖下でした。②では現代の行政が手伝ってグスクを取り巻く配置でした。③では東南東から西北西に点在する方向性がありました。
「Xなのに属性があるのか?」という疑問は本質的じゃない。X=無属性というのが,作業的に行ってる「あり得ない記号」図式なのだし,理論物理学がXを3分類して難問を乗り越えたとか先例もある。
 何だか分からない古層が属性を帯びるのは不思議ではないし,その一部を人間が読めても非科学的と断定できない。そこで「むむむ…読めるぞう!」とか力んじゃうとスピリッチュアルになっちゃうだけです。
 定義しないままデータを蓄積し,その傾向を読んで,理解できる段階で情報化する。情報になる前のデータをうまく扱う技術又は作法,のようなもの。
 ここで大事なアプローチは,客観データレベルの相似で配列を仮定していくこと。相手がXの場合,自前の思考力を当てにすると危険です。個々の存在理由などの情報化,いわゆる「理解」に類するものは,時期が来るまでひとまずエポケーすること。

■小レポ:山川二丁目バス停すぐのガジュマルについての推定

 この場所はGM.の航空写真でも確認できました。シャトー城間のビルを挟んで西に「さくの川」がある地点です。
 さくの川は,寄ってません。でも行かれた方のプログによると,樋川形式の古井戸です。
 バス停すぐのガジュマル下には柵があり,覗きこむとこの下の水脈に通ずると思われます。つまり,さくの川の水脈の一部でしょう。
 この二つの地点はビルを挟む緑地帯に見えます。ビルが出来る前は,一体の森だったのではないか。

1 首里城を円周する緑地ベルト

 そういう目で緑地帯を見ると,さくの川の「森」はそこで途絶えていません。
 北へは宝口樋川へ。南には美連嶽から玉陵,首里森御嶽へ。
 東の伊江殿内を合わせれば,首里城を南端に置く円環を成しているように見えます。
 そしてその東南端にはこんな名がある。──「天水竜大神」。

▲首里森御嶽-玉陵-美連嶽-さくの川-宝口樋川-加良川-伊江殿内-天水竜大神と続く円環状緑地帯

2「円環」はなぜあるのか?

 中国の風水思想が相当入ってた王朝時代の状況を考えると,これは何かの呪術的な配置ではないか──とも思いましたけど,これだけ大がかりで自然の森を伴うとなると,もう少し科学的なものが背景にありそうです。
 後掲の神谷論文(1999)によると,沖縄の遺跡の分布は琉球石灰岩の分布域と重なる。それは,①石灰岩上だから残りやすい,というだけでなく,②土台や建材として石灰岩が加工しやすいこと,③崖を形成しやすいため見晴らしがよく防御陣地として適すこと,そして④石灰岩層の下に泥土層がある場合に地下水が容易にとれることがあるという。

▲琉球石灰岩と遺跡の分布の相関マップ

琉球石灰岩は,新しい岩石であることと,鍾乳洞やフィツシャー(割れ目)が多いことから,岩石中に空隙が多く,代表的な透水層である。従って,石灰岩の下に不透水層があると,典型的な帯水層を形成する。つまり,その境目からは地下水が湧き出て泉を形成し,昔からとージヤーとして人々に豊富な飲料水を提供してきた。琉球石灰岩分布地域の集落はこのような地に発達していった。また,琉球石灰岩は急崖を形成することが多く,その上は見晴らしがよく,近づきガたい地形を作っている。そのためにグスクがつくられていることが多い。だから,グスク時代の遺跡も琉球石灰岩分布地域に多いわけである。

※ 神谷厚昭(沖縄県立博物館)「石材と人間の民俗的・歴史的関わり」1999,沖縄県立博物館紀要第25号

 上図に中には,円環状になった首里高地がはっきりプロットされてます。
 首里地域を地質学的に見ると,泥土の上に琉球石灰岩が形成された地層が隆起し,石灰岩が上部にない周辺部が侵食されて首里の丘陵が出来たものらしい。
 問題の首里水脈は,この琉球石灰岩層と泥土層の間にあり,それを樋川で導いて利用している。
 つまり,首里城を南端とする円環は,円状の琉球石灰岩分布域のエッジを意味します。そこに染み出した地下水が形成する緑地だから,円環を成してる。
 だから厄介な読みが必要になります。地上の川ではなく,地下水脈を読まないとその地域の水利が理解できない。

3 うちなんちゅは「円環」をどう見つけたのか?

 しかし……前掲の遺跡と琉球石灰岩の地図を見ると,驚愕します。地質マップを持たない古代うちなんちゅが,どうしてこんな石灰岩の飛び地を的確に王城に指定し得たのか?
 一つには,沖縄における井戸の重要性があるのでしょう。生活用水を地下水に求めるしかない石灰岩域の生活者は,ことさらに地下水脈への鋭敏な感覚を持っていた。
 もう一つは,かつては水脈が今より遥かに力強かったことが考えられます。雨水がアスファルトから側道に流される現代より,王朝時代の地下水量ははるかに大きかった。
「天水竜大神」という名称は,かつての生活者たちが如何にこの水脈を神秘的な目で見つめていたかを映し出しているように思えます。
※ 沖縄県立図書館/貴重資料デジタル書庫/首里古地図

「FASE63-3@deflag.utina3103#普天間権現発祥之地,加良川\美ら瘡ぬうとぅじ 遊ぶ嬉しや」への4件のフィードバック

  1. Reading your article helped me a lot and I agree with you. But I still have some doubts, can you clarify for me? I’ll keep an eye out for your answers.

  2. Very nice post. I just stumbled upon your blog and wanted to say that I’ve really enjoyed browsing your blog posts. In any case I’ll be subscribing to your feed and I hope you write again soon!

  3. I am an investor of gate io, I have consulted a lot of information, I hope to upgrade my investment strategy with a new model. Your article creation ideas have given me a lot of inspiration, but I still have some doubts. I wonder if you can help me? Thanks.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です