GM.(位置)
目録
キシリア・ザビwithサングラス
▲「No1人気おいしいのパン」……「の」は要るか?「の」は?
師大夜市に行くのは何度目なのか,と自分に問うのはもう愚問の類です。台北に来る度,ここを外すことはありません。
初めてになると思いますけど,台北ナビが地図を載せていたので転載いたします。
ここの歴史は,前回やや深堀りしました。ポツンと建っていたころの古亭庄発電所と,開校したての台北高等学校校門の古写真はこちらでご覧ください。
という訳で……1925,MRT台電大楼駅からまた地上に上がってきてしまいました。
▲1935店舗店頭──の青マスク,キシリアか?キシリアなのか?
▲1937ふとした影が美しい師大夜市の衣類売り場だけど,「新歓」コンパの広告?新歓なのか? ※「秋冬新款」∶秋冬ものセール
正月の平日だからか,やや人出は少ない。エリアの拡大も止まった感じがします。クオリティの変化に特化する段階に入った,というところでしょうか?
心霊も急ぐ街角夜市
▲1939各々個性を発揮しすぎて両側を撮ると……左手の暗がりにぶら下がるのは宇宙人?ETなのか?
▲1940ファッショナブルな横の空間に「徴」?定員募集は台湾では一文字「徴」なのか?
ただ,そのクオリティの進化はどうやら止む気配を見せません。同じ店でもどんどん変化していく。それが,一昔前の香港みたいに単に派手になるのじゃなくて,シックに,柔らかく新しいデザインを創造していく。それが凄いのです。
▲1944学生たちそれぞれ急ぐ道ですけど,学生じゃない顔が左下に一つ。心霊か?心霊写真なのか?
山本山風タピオカ
▲1948柔らかい薄闇の洋服屋さん
※ツッコミは?ツッコミはないのか?
▲1952「珍珠」(タピオカ)があんまり日本で売れるから何となく山本山みたいな波のイメージになっとる。日本か?日本なのか?
この何回か,ほぼ同じ行程をとってます。東側の夜市奥を気ままに,店が尽きる辺りまでうろついてから,北側の中心エリアを過ぎて,西側の住居アパート付近へ。
20時を回った。ここのスタバで美式珈琲(アメリカーノ)。これも毎回,このメニューです。
後で調べると,丁度この脇道,アパートの路地が「異国美食街」としてホットになりつつあるらしい。巻末参照。
クリスピー北海道ドーナツ
▲1952パン屋さん。路地を勝手にアートしてる。……けど左手の女は,嫌い?嫌いなのか?
▲「クリスピー北海道ドーナツ」って北海道?北海道なのか?
MRT構内。2034。日本人の爺さんがイヤホンの音楽に合わせて踊ってる。周りに音楽は聞こえないから,傍目には意味もなく身をくねらしてる感じで,怖い。
台電大楼より乗車,西門へ帰る。
▲1954人気のない街角もまた美しい師大夜市。売れてる?売れてるのか?
■メモ:未知なる台北異国美食街
師大夜市から車道を跨いで西側にある上記のエリア,通称「異国街」が知ってる人は知ってる場所になりつつあるらしい。
パスタやバーガーが並ぶ中に「犬カフェ」があったりして謎の異国感ではあるけれど,ワシ的にはインドとタイがあるのはソソラれる。何より韓国料理屋屋が2軒!
──と俄然,次は行くぞモードでメモを書き始めたところ……
え?ナムルと白飯だけ?韓国人の感覚だとパンとワインたけ,日本で言うところの日の丸ご飯に近くないか?韓国にありそうで,実は絶対にないお膳でしょコレは!
なのでついでに,ガイドブック的な目からは「師大と並び立つ」台大エリアの異国街を見ると──
「街」じゃねーぞ?MRT古亭の近くに外国料理屋がちらほらし始めてる,というように見えるけれど……まあ行ってみないと実力は見極め難い。
何より,誰も書いてくれてないけれど,日本の東京の大久保とかと違ってどうも学生相手に,おそらく留学生がチープに始めた飯場が発端ではないか?と疑われる。規模じゃなくクオリティが,東京や大阪と違うような気がする……勘ですけど。
コロナが去ったら行きたいものである。う〜。
と苦悶してるうちに考えが及んだのが次のレポでございます。
■レポ:今更ながら──台湾料理とは?
最初にこの問題を考え始めたのは,台湾で滷味を知った時でした。
あの濃く複雑な,初見者には,いやワシ自身が台湾に通い始めた頃には悪臭としか感じられなかった香りは,大陸中国でもついに味わえていません。
従って,単純に考えれば,滷味は台湾発祥で,かつ台湾人の味覚にしか受け入れられなかったと考えるのが順当なのですが……そういう発想はあり得ないはずでした。誰もそんなことは言ってない。だからワシ自身,それを認める気にはなりませんでした。今までは。
【kexword-1】「混」の食文化
台湾独自の融合が起こり,それが他の漢族居住地区で起こらなかったとすれば,その要素に台湾独自の要素があったとしか考えるられず,それは原住民の食文化しか考えられません。
台湾では元々の郷土料理に厦門、泉州、漳州に由来する福建料理が混ざったものが伝統的に作られており(例えば料理に芋粥が添えられる点を福建系の人々の食習慣の反映として指摘している資料がある)、一般にはこれらの様式の料理を指して「台湾料理(台菜)」と呼ぶ場合が多い。〔後掲THE RYUGAKU〕※原典∶Wilipedia 台湾料理 ただし,現在wiki同項目には,中国語版(維基)を含めこの文章はない。
後掲沈は美食評論家・高琹雯の言として,台湾独自の味覚を表現する語である「滋味」について,「混」の食文化と定義付けています。
專屬台灣風土的滋味又是什麼模樣?(略)台灣菜最有名的「江山樓」老闆曾登報著述「什麼是台灣料理」給日本人看,他寫下「融合中國大江南北的精華,如烤鴨、廣東菜、北京菜等」的字句(略)「過去台灣在1980年代有四大族群之說,是要破除當時本省、外省的區隔,包括原住民、福佬、客家及外省」,她眼中的台灣,向來是擅長包容、吸收外來文化、靈活自由的地方,無論是文化還是菜餚,本來就是很「混」的。〔後掲沈〕
──「何が台湾料理か?」という問題を日本人が見た表現として「中国の揚子江の北と南の(食文化の)精華,北京ダックのように広東料理と北京料理などが融合したものである。」とある。──
──「過去,台湾で1980年代に『四大族群』という言い方があった。本省と外省の区別をするのではなく,原住民-福佬(福建祖籍者)-客家-外省(その他大陸中国人)という区分である。」彼女が捉える台湾とは,そもそも外来文化を理解し,包容し,吸收するフレキシブル(靈活)さと自由度を持つ地方なのである。無論,それは料理(菜餚)においてもしかり,即ち本来的にとても「混」なものなのである。──
柔らかい意見に聞こえるけれど,固有の本質を持つ八大料理に分ける中国料理の区分法からは極めて逸脱した発想です。
それは,沖縄の文化の本質を「チャンプルー」だと捉える見方と通じ合うものがあります。硬質なコアがどこにあるか,という文化論ではなく,流動性そのものを本質とする文化,という発想なのです。
【kexword-2】台菜=滋味
大陸漢族が台湾料理を語る時,よく登場するのが「滋味」です。
台東で原住民料理を提供するレストランの広告では「素材や調理法は部族によって異なるが,共通するのは素材の滋味を引き出すシンプルな味つけ」というように表現してる〔後掲madameFIGARO〕。原住民が好むスパイスとして,台湾山山椒(ザンショウ)や馬告(マカウ)が挙げられるけれど,それらは原住民料理の脇役で,中核にあるのは「食材が醸す豊かな味わい」なのだといいます。
うまみ,とか,味わいがある,という意味で特定の調味料の作用を意味しない。日本人が「発見」したと言ってる「旨味」に似てるけれど,漢族の食文化でもそういう味覚が存在することは,認知の深さはともかく文字化されてはいたのかもしれない。
けれど,それが台湾菜の特色──つまり大陸にない味覚の次元だとするなら,やはり前述の原住民食文化かそこからの発展形態に由緒を求めるしかありません。
なお,発音(ピンイン)はzi1wei4。直接の味覚だけでなく「不是滋味」で「つらい」の意味になる〔後掲中国語教室〕。「いい気持ちはしない」といった語感だと思います。
例文 听了他的话,我心里感到不是滋味。──彼の話を聞いて、内心つらかった。
【kexword-3】台湾へ帰ると味がしない
この滋味との関係で言うと,「味の薄さ」と一般に──露骨に言えば東京人が表現する尺度,これとの関連が想像されます。
あるSNSのつぶやきについて紹介している。それは、「日本の食事に慣れてしまうと台湾に帰ってから料理の味がしない・・・」というもの。記事は、このつぶやきを紹介しつつ「たしかに、自分も日本から台湾に帰ると、台湾の料理は全体に味が薄いと感じてしまう」と同意している〔後掲メディア-サーチナ〕
西日本の住民としては,これには首をひねるのです。
一般に薄味文化と言われる関西に比べ,西日本は出汁が濃い味と言われる。博多・熊本・鹿児島の食文化が典型的です。これが沖縄になると「あじくーたー」として自認する出汁の濃厚が際立ちます。
上記の台湾人が言う「日本の味」というのは,塩辛く醤油を多様する東日本,特に関東や東海の味覚ではないでしょうか?
この段差を象徴する事象として,よく持ち出されるのが「赤いきつね」の東西差です。
ネット上のほとんどの記述は東京vs大阪の味覚差に焦点を当ててる。関西以西でも,狭義の関西と西日本の「きつね」出汁が異なる点に触れている記事はほぼないけれど──ちゃんと食べ比べてる人もいました。その方の主観ですけど──
赤いきつね 西
だしの風味 4
つゆのうまみ 4.5
つゆの塩気 3.5
味の濃さ 3.5赤いきつね 関西
だしの風味 4
つゆのうまみ 4
つゆの塩気 4
味の濃さ 3.5〔後掲価格.comマガジン〕
体感される味の濃さが同程度でも,それが塩気なのか出汁なのかという点を調整してあり,少なくとも会社側はその方が売れると判断しているのです。
通常商品の関西向け(西日本向け)は昆布ベースの出汁に塩味を利かせた仕上がりでしたが、大阪のコンビニで購入した商品のほうは、昆布よりもかつおの風味を強く感じました。〔後掲価格.comマガジン〕
最後の比較も面白い。出汁としても関西は魚肉,西日本は海産植物のそれと思われるのです。
近世だけを考えると,「昆布ロード」沿いに「西日本」の味覚がある,という見方も出来るでしょう。その延長上に,琉球・台湾があると考えると──
【kexword-4】最も濃厚な台菜=素食
「大陸・中国の各地方の料理がある」台湾ではない料理が,台湾料理にはいくつかあります。
一つは台湾素食。一般に仏教の影響でヴェジタリアンの食文化があると言われるけれど〔後掲wiki/台湾素食〕,台湾に特段仏教徒が多いわけではありません。この点は以前から不思議でした。
台湾国民の10%が菜食主義者[4]。アジアでもインド(31%)に次ぐ高率です。※原典 wiki/[4] 吳秀英編著、『素食飲食指南-手冊』行政院衛生署食品藥物管理局、2012年、2頁
ただ,台湾素食を実食する限り,味の薄さを認識したことはありません。むしろ──
日本の素朴的な精進料理と大きく異なり、台湾では油豆腐・グルテン・唐辛子などを用い、台湾料理の中でも特に濃厚だと言われている。〔後掲台湾料理〕
西日本人的には,素食は濃厚な味覚,沖縄に通ずる味と感じるのです。
この料理の形式も,一般には大陸由来とされるけれど,現実の見聞としては,大陸で台湾ほどの本格的かつ大衆的なヴェジタリアンの店を見かけたことはありません。
【kexword-5】まるで非中華な清粥小菜
今一つの部類は,現在の台湾ではなぜかやや高級な店舗になります。一度だけ台北の忠孝新生辺りで食べたことがあるけれど,何でこれがそんなに高いのか,よく分からなかった。伝統料理=リッチorヘルシーという位置付けらしいのです。
「清粥」はお粥を一品,あるいは一鍋選んで,後は小皿料理を好きに取るタイプのお食事。──武漢や長沙の小皿蒸し料理に,形式は似てますけど,主食が粥というところが台湾独特です。
由来としては
料理にお粥が添えられるという点は福建料理と客家料理が混ざったものの、昔の台湾人の食習慣の反映する資料だと挙げられる。〔後掲wiki/台湾料理〕※やや日本語離れした表現ですけど,原文ママ。
つまり移民初期の台湾人第一世代の伝統食の形態だと,自認されてもおり,実際にもそう推定されているものなのです。
さてそのお味はというと,素食とはまた対照的です。
小菜は白粥のお米の味を引き立たせるためか、どれも控えめな味付けで脂っこい台湾料理に疲れた胃が休まる優しいお味でした。〔後掲台北ナビ/清粥小菜〕
というのが日本人の典型的な感想。素食と逆転しているのが面白い。この味覚の評価を,もう少し国際的で権威あるものから採ってみます。
ミシュランの清粥紹介∶飯軟汁稠恰到好處
上記八語がミシュラン評価の凝縮です。──飯やわらかく汁は濃厚,バランスの取れた味覚である。
飯軟汁稠 恰到好處
①台灣白粥與廣東粥不同,廣東粥會加腐皮或白果同煮,台灣白粥則是甚麼也不加;廣東粥要煮到米花開為止,白粥講究的是飯粒與粥汁的稠度:②使用在地的蓬萊米,以生米下鍋,粥剛煮好時飯芯還有些粗硬,飯粒與粥汁各自分開,熄火靜燜半分鐘,飯粒漸軟、③粥汁漸稠,兩者逐漸水乳交融,在飯粒上形成一層晶瑩的薄膜,這時才是品嚐的最佳時機。〔後掲MICHELIN〕※丸付数字は引用者
まず,見かけが非常に近い①広東粥とは違う,と評しています。──ワシの場合,広東粥にイカれてた時分に伺ったので,「何かマズい広東粥!」としか感じられなかったらしい。
──煮る際の混ぜもの(広東粥の腐皮(ゆば)や白果(銀杏))が,台湾白粥では無い。けれどより本質的なのは,広東が「米花が開く」まで煮るのに対し,台湾は米粒と粥汁がバランスのよい状態を理想とする(飯粒與粥汁的稠度)。──
このバランスをさらに解説してる。──②在地の蓬萊米(台湾米)を使い,生米を鍋に入れる(前もって煎る?)から,粥は剛く煮られ米粒の芯がやや粗い硬さを残す。飯粒は粥汁の中で自ら開いていき,火を止めた後で30分間,静かに煮込まれる(靜燜)ことでゆっくりと軟かくなる。──
広東粥が米をスープにするとすれば,台湾粥は米粒の形を保ったまま軟かくする。
──③粥と汁のバランスが次第に丁度よくなり,両者が水乳のように溶け合う(交融)と,飯粒の上に薄く輝くような薄膜が出来る。この段階がまさに味覚が最良の時期である。──
十分味わえなかったワシには,この完成状態はちょっと想像し難い。薄膜という意味ではピラフを想起するけれど,それを鍋の中でやってしまうのでしょうか?
清粥小菜∶回味 不忘本 鎮店之寶
この清粥と取り合わせを成すおかず(小菜)もまた,いわゆる中華と対照的なものです。
多數仍保留清粥小菜的原貌供老客人回味,一方面象徵不忘本,一方面也是鎮店之寶,因白粥對牙口不好的老人與小孩也是討喜的食物,此外,由於口味清淡,也很受到日本觀光客的歡迎。〔後掲MICHELIN〕
噛む力の弱い老人や子どもに合わせた,軟かく薄味(清淡)の「つまみ」が多い。
──多くの小菜が昔ながらの,老人が懐かしく思うような味わいを留めている。一方で本来の味覚を忘れず象徵しており,一方で田舎料理(鎮店)の宝でもある。──
漢文的な表現で少し分かり辛いけれど,懐かしく,滋味に溢れ,かつ古くから尊ばれてきた味覚,というところでしょうか。
【kexword-6】台湾料理の日本演出説
というわけで──台湾料理が朧気に放つその特異性を列挙してきたわけですけど……全体としてどうしても焦点を結びません。
塩気に着目すれば淡いのに,出汁や旨味の尺度だとこんなに濃い料理もない。それが原住民由来とも,開拓民のものとも決めつけにくい。
ここに紹介した以外にも,日本統治下で経済力のある日本人の舌や「宴会」スタイルに合わせて発展した部分(酒家菜)がある,という言説もあります〔後掲陳〕。
陳によると,台湾料理というカテゴリーそのものが日帝による創造物だという。
「台湾料理」というのは台湾に来た日本人が、日本と違う食べ物として付けた名称なんです。〔後掲陳〕
日帝側の戦略は,「台湾料理」を中国料理や日本料理と区別することで,近代最初の植民地たる台湾の異国情緒ポイントをより高めていくというものだった,とします。
だから,ワシはもちろん今後も「台湾料理とは?」と考え続けていきたいけれど,そこにはそもそも「台湾料理は存在するか?」という視点も合わせ持たざるを得ないのです。
高琹雯の言い方を採れば,そうした存在不確実性こそが台湾料理の未来性と表裏一体なのかもしれません。全くもって不思議な国です。
I have read your article carefully and I agree with you very much. This has provided a great help for my thesis writing, and I will seriously improve it. However, I don’t know much about a certain place. Can you help me?