▲ルッカ駅 駅舎前で朝日を見る
Lukka 645★ 650 815★ 815 915 1008★…(他計27便)
★direttissima
〇transit da fi nova
〇transit via valentini
marmi carrara montecatini pescia pisa prato viareggio grosseto
フィレンツェ駅東側,LAZZI社バスターミナルに掲示してあった時刻表の表記。
★印の「direttissima」ってのは直通便…だろな,語感からして。「transit via valentini」は経由地である。…雰囲気的に。
てことで6:45フィレンツェ発ルッカ行のバスに乗ったわけです。ちなみにリュックで最初のバス移動。
なお,バスの表示は「LUKKA DO」。DOは何の略か?…雰囲気的にも全然分からない。
トスカーナパンの残りを食って宿を出たのに,ターミナルそばのブリオッシュが上手そうだったんで,カッフェに加えて注文しちゃう。併せてЕ1.70。朝から血糖値高めです。
車内はほどほどに整然としてる。
ここからは,アウトするミラノまで大都市には寄らない予定。トーマスクック時刻表と昨日買ったイタリア全土の詳細地図で,昨夜初めてシュミレってみた(ようやく?)。ヴェネツィア方面を捨てて,ボローニャからロンバルディアをゆっくり北上しようと思う。その後ジェノバとアルバに足を伸ばすって行程かな…。まだ決めてないとこが流石にいい加減。
バスはフィレンツェ市内を西に向かう。ツェントロとは打って変わって新市街,アパートとかが並ぶ整然たる街並み。チェントロでは感じらんないほど大きな街だったんだな。
西郊外で広い道からfilenze nordってジャンクションへ出て,そこから高速に乗る。Aeroport filenzeってバス停を過ぎたから,すぐ向こうが空港なんだろう。
高速は基本2車線。料金ゲートはECTがメイン。Pisaまで続いてる表示有。
景観。広い!
山が見えてきた。単独峰が多い。どれも台地状。四国の屋島みたいな感じ。
台地の山頂部には,集落まや1軒家が目立つ。東アジアでは数年で壊れるの家屋配置だぞ。
なるほど…台風がないから可能なんだな。
そもそもこの台地群。死んでかなり経つ火山ってことか?
地中海そのものが,バンゲア大陸の裂け目たろうからな。それが避けた時代の古い変動の名残か?
遥か北側には,異なる山質の山地が見えている。あの向こうが,おそらくロンバルディア平原だ。
と思ってたら行く手方向,西側にも山並み立ちふさがってきた。北側の山地も迫ってくる。この山並みが,イタリア半島部の付け根にあたるのか?伊豆半島の箱根山塊みたいな。
赤屋根に淡い褐色の土壁の2階建ての家屋,雑然と現れては後方に消える。
キャンピングカーの村みたいな場所も見えてくる。どうもこの旅行法はイタリアじゃかなり普及してるらしい。町中にもかなり見かけた。
曙光が大地を照らし始めた。今日は快晴。天には筋雲のみ。
7時を過ぎる。道路が山並みを縫って蛇行し始めた。
山並みを越えると,また平原が続く。ただしフィレンツェ周辺ほど広くはなさそう。西の山並みが既に見えてる。
8時過ぎ。montecante termeを通過。
8時半。chiesina通過。
ほどなくルッカに入る。城壁が視界の片側を完全に遮ってる。小さな町だ。
駅前で下車。ついでに明日の鉄道チケットを購入して時刻表をチェック。第一目的地のピストリアまでの時刻しか確認できなかったけど,以下の通りメモ取ってます。
lukka505 pistoia550
lukka609 pistoia707
lukka650 pistoia730
lukka656 pistoia744
トーマスクックで見る限り,接続がいいのは2本目のみ。つまり明日は6時過ぎには列車に乗ってなきゃいかん。
さて。まず宿の確保です。リュックをしょって徒歩で城壁内部へ歩み入る。
▲ルッカ 城壁上の道と城外緑地
小さいながらも活気ある城内の街並み。
この町,本気で城壁でぐるり囲まれてます。独自で完結してた造りの町。大陸にありながら孤島の相。中世当時に乱立した小国の在り様を偲ばせる。
城壁は高さ20m位,赤レンガ造り。中央にわずかな出っ張りがあり,丸みを帯びてるもんだから鳩が危なかっしげに止まってます。日本の平城と違い,モロ実戦仕様の城塞都市。
▲城内から蒼空を見る
家並みも古くて,際限なく重層化された石造り。城中の街路は徹底的に曲がりくねって湾曲して不規則な凹凸に満ち溢れてる。どーやっても迷える町。
ただ,後から見たら街並みの写真を1枚も撮ってない。よく考えたら当然。その位細く入り組んだ町で,絵にはなりにくいわけ。
ここは足で迷って楽しむ町。1日歩きまくることに決めた。
結局,宿は街を横切った一番北側,ユースホステルにした。城壁がすぐ目の前の庭のある建物。サン・フレディアーノ教会裏手…ってゆーか教会の一部が宿になってる。ドミになるけど,久しぶりにそれもよかろう。ε20。
▲長い人生,いつか役立つ知識。ルッカの城壁下は工作車両の格納庫に使われてます。
身軽になって,城壁上の歩道を時計回りに歩き始める。
城壁の上は幅20mほどとかなり広いアスファルトの道。朝はウォーキングとジョギングの絶好のコースになってて,すれ違う人たちは皆さん汗だく。
城壁外には一条の掘。かなり崩れた感じの今でも2mほどの深さだから,往時には5mはあったろうか。
しかし…思ったよりはかなり広いな!もう駅のある南側まで来たかなと思って城中に入ると,まだまだ西側のvia elisaでした。
かなり廃棄されて途切れ途切れにしか残ってないけど,外側の城壁とは別に内城壁があったらしい。この壁のラインを入ってすぐのバールでカッフェを一服。苦味がずんどこの深さでうまかった…。
どうやら内城の外側にも掘がある。via del Fossoって疎水がその名残。見比べると,この中と外は微妙に家屋の古さと土地の筆のくねり方が違うようです。
▲城内の疎水
▲橋の上から見る城内疎水
内城壁跡を辿って南へ歩いてみる。
掘が外城壁南側とぶつかる辺りで分からなくなった。けど,道の分離帯には僅かに城壁基部らしき石造りが残る。
Piazza S.mariaのcaffetteria colonnaで一休み。
このカッフェ…甘い!?苦味がなぜか最後甘い後味に変調して響き渡るぞ?
う~ん!凄い一杯。ゴチソーサマ!
▲ルッカのトラットリアのメニュー書き
同じくPiazza S.mariaのトラットリアでちょっと早い昼飯。
インサラータとラザニアでがっつり行ってみました。
▲トラットリアのインサラータ
やっぱりこのイタリアンサラダって──まじスゴい!
ここのはツナの入った日本人には分かりやすい味。ただ,だからこそ…ブラックオリーブとモッツアレラが入れるだけで,あの馴染み深いツナサラダがこんなにも弾んだ一皿に変貌させちゃうってのはやっぱりスゴい!葉野菜も何か知らない芳香を帯びたやつで,これもキイテたなあ。
ラザニアの方は,正直味はまあまあだった。舌が奢ってきたせいか?けど確実に日本のと違うのは──やっぱりラグ!ぶよぶよしたやや気持ち悪い歯ごたえなのに,静かに上品な柔らかい肉汁がチーズの後味をしっかり支配する。
酸味で煮込んだ肉の力!ほとほと感激しっ放しです。
▲トラットリアのラザニア・アル・ラグー
さて。ジェラテリアに混ざって目について,そのうち手を出したかったのがヨーグルテリア。
この朝もかなり歩いた!一度宿に帰って昼寝でもと,北側城壁のそばのピアッツァを通りかかった時──。
この広場はバスターミナルも兼ねてるらしく,正午過ぎのこの時間はバス待ちの学生がわんさか群れてた。
そのバス停後方に,ヨーグルテリアの看板を発見してしまった。店名は「ヨーグルトマニア」。バス待ちのイタリア人がジャンジャン利用してるみたいでレベル的にも期待できそう?
けど──イタリアだからって何もかも旨いわけがない!ジェラートには確かにグルッてしもたけどヨーグルテリアはそこそこだろ…と思いつつ一度だけ確かめといたろかフフン!って軽いスタンスで入ってみたんである。
店内に入る。ジェラテリアのコーナーも手前にあったけど,奥手正面にあるヨーグルテリアのコーナーがあくまでメイン。けど…フルーツ系と飾り物系,あとソース系が併せて30はあるぞ?まるでタイの甘味屋台じゃ…ひいいん何が何なんだあ?
それでも玄人っぽく「クエスト…エ・クエスト」ともったいつけて選んでみたけど,完全に適当。ヨーグルトって日本人的意識から,ベリーとオレンジみたいなのを選んでました。
一番小さいカップでε1.70。ちなみに「ウノ・セッサンタ」と値段を読まなくても「ピッコロ・コッペッタ」(小さいカップ)って指差して言えば通じるとやっと分かってきました。
完成品が差し出されてきた。店頭に座って──さあどんな味だ?
▲ルッカ北側バス停 ヨーグルトマニアのヨーグルト
ええ~?
一口で動揺してしまった。
ヨーグルトでもジェラートでもない,何だこれ?甘さはほとんどない,酸っぱくもないのに滑らかさで食わせるヨーグルト!
韓国のRed mangoのヨーグルトに似てる。チーズになりかけのヨーグルト。いや…本質的にはイランや中国西域のが近い?牛じゃなく山羊のヨーグルトかも?──後日食べた蒜山高原のフロマージュ・プランって山羊のチーズが共通する味覚だったから,山羊ヨーグルトの可能性は高いか。
オーナーの陽気なオヤジが,バス停にたまったジャリたれをもてあそんでる。
▲買い食いのサラミ入りフォカッチャ。ただのハムサンドがこれだけ美味い!
少し休んでからまた歩く。
街中で「voldostana」ってパンを見かける。トスカーナパンだと思ってたものはコレか?
晩飯はまた安いトラットリアにした。
Fagiori bianci ε3.50
Tagliatelle al ragu ε5.80
▲トラットリアの卓上調味料
アツェト(酢):L’ARENTINO Aceto di vino Rossi
ヴァージンオイル:OLIO DI OLIVA
▲トラットリアの白豆スープ:Fagiori bianci
何と完全に汁粉!やや塩がかってるけど,胡椒も唐辛子も入ってない,ほぼ豆味そのもの!自然な豆の甘味だけで食わせる。
ミラノでも出たから,こーゆー豆スープの食文化ってあるのね。メキシコとかのビーンズ食の源泉なんでしょう。
▲トラットリアのTagliatelle al ragu。やっぱりラグって…。
via del fossoの疎水に沿って北へ。via della frattaの道の下をくぐる交差点に至る。夕暮れ。バールで落ち着く。交差点の共同水汲み場に行き来する人たちの影。庶民的ないい雰囲気の場所でした。
水路は北側から城壁下へ。城壁上から外側を見ると,河が流れ込んでる形になってる。
南側のcorso giuseppe ganbaldiの通りの下は暗渠になってるらしく,時々水路が顔を出してた。北側から入った川が内城の掘を流れて南城外に流れ出しているわけだな。
たった1日の滞在だったけど──イタリアの小さな町ってイイ!あくまで一応の自己完結の形を保った形で生きてる空気が漲ってる。時間に洗われた美しさを自然なプライドで歌いあげてる逞しさ。このナチュラルさがイイ!
明日はボローニャ。観光圏内を出る。どんなイタリアが見えるか?
▲残照の城壁上の道。自転車のシルエットが行き交う。