外伝09♪~θ(^2^ )長州島酔夢編 第九日

▲薄暮の銅鑼湾の街角にて

 今朝の早茶(朝飲茶)は銅鑼湾。
 前回一度伺った程良く落ち着き,程良く老舗臭い鳳城酒家さん。
黄金流沙球 10.8HK$
潮式[青見]粉果 8.8HK$
ポーレイ茶
 昼間はショッピング客でごった返すこの街,朝早くにはガラッガラに空虚な空間です。朝の新宿歌舞伎町に似た覚醒感がある。
 この感覚は,昼間もやや賑わいから外れる海側のエリアに入るとさらに強まる。地下鉄駅の北,加寧街へ。
 こっちのガイドに載ってた喜喜[ニ水]室に入ってみる。
香[サ/焦]克○鶏批浮台(青豆青忌廉湯)
[女乃]茶 計42HK$
 老舗の[ニ水]室の意外な独創性に驚いた後,香港島トラムで一つ西の湾[イ子]へ。
 やはりこの乗り物はいい。
 圧巻は二階席。こんなのびやかな空間ってそうはない。一種,浮き世離れした空気がある。眠気を誘う。ムチャクチャとろいんだが,これがまたいい。
 昨年より,駅名表示もわずかに増えたかも。
 前を行くトラムの2階後部窓に座った髭面のインド人が,さっきからえらくこっちを睨んでます。
 車窓に「漫書Cafe」の看板。「無限上網,無限任飲」の文字。マンガ喫茶なんだろう。「上網」はインターネットだから,ネット接続もジュース飲むのもし放題って意味。
 湾[イ子]駅を過ぎた頃合いで下車,今回最後になるであろう快楽餅店へ。前回から通算すると5回は来てるな。
鶏尾包 2.5HK$
三文治 8HK$
 何度行っても…いい店です。正しい香港のパン屋さん。

▲海上より遠望する曇天の九龍

 再びトラム乗車。中還,フェリー乗り場前まで。
 地下鉄の中還から昨日は地下を歩いたが,今朝は歩行者専用の高架を見つけたんでそっちを歩いてみた。セントラルのビル街から海へと伸びる広い歩道。気持ちいい道行きだし結局これが一番早いみたい。
 右手海岸沿いに,中国籍らしき建築会社が大工事を施工中。この辺,どうも新しい香港の玄関口にするヴィジョンがあるらしく,バスターミナルも大規模なのが出来てる。上海みたいな空気です。エアポート・エクスプレスの駅名「香港」は,「ここが大陸中国の香港のセンターですよ」という共産中国政府のメッセージが感じられる。
 昨日の衝撃に引きずられて,本日も香港の島を目指してます。
 乗った船は,昨日とは違い大衆フェリーな雰囲気。高速じゃなく一般船だからだろう。地元観光客っぽい集団や家族連れ多数。座席500人ほど,うち乗客は200ほどか。
 所要1時間。目的の長州島着。
 

☆次章:外伝09♪~θ(^2^ )長州島神之道編 第九日之ニ に特別編としてまとめてます。


 香港の島歩き,美味にはありつけなかったけどこの美景はそれを補って余りある素晴らしさ!ネイザンロードや香港島で見せる彼らね生活臭が,一度自然の雄大さに抱かれると…こんなに美しくなるとは。
 と言うより――ワイでイメージした阿片戦争以前の香港って,一方ではこんな平穏さだったのかも。一方というのは,おそらく海側,つまり水上自由民にとっては。
 瀬戸内海や沖縄でかつて自由を謳歌した人々と同じく…いやひょっとしたら彼らそのものかも知れない。彼らを,陸の定住民は「海賊」と呼ぶわけだけど。

▲電停にて
 やっぱり思う。ムショーにカッコ良い香港トラム!

 中環辺りからトラムに乗って,初めて西へ向かってみた。目的地は水街。
 東邊街,正街,西邊街と続く一画。おそらく城市形式と思われるが,今は乾物屋と漢方薬屋が並ぶ。
 なぜか白人や日本人らしき姿も多い。足裏マッサージの店やクリーニング屋が目立つ。意外に観光エリアなのか,それとも外国人の定住者が多いのか?
 大舞台という古い建物をわざわざ迂回してトラムの路線は敷かれてるようです。よほど由緒ある建物なのか?この辺はトラムが直角に曲がる地点が多く,トラムマニアにはたまらないかと。
 水街には,例によって目当ての店もあったんだけど見つからずに空振り。海からまっすぐ山側に駆け上るこの通りを含めた何本もの坂道が,神戸を思わせる。セントラルにも九龍の田舎にもなかった,奇妙に鄙びた落ち着きを帯びた町です。
 結局何も食わなかったけど…飲茶もかなりあるようです。行列の出来てる店多し。特に上還近くに相当数あるようだ。観光客用じゃない店は当然まだまだあるわけで。
 にしても…暑い!
 今回最高の暑さになってきました。帰りのトラムに乗るころには汗が吹き出てきました。今年初めての暑気を味わう。
 今日の長州でさらに日焼けした。こりゃあ,明日帰国したらムチャクチャ目立つぞ!?ヒューヒューである。
 九龍へ戻ろう。とりあえず,昨日の感動を再び――佐敦だ。
 ちなみに香港の地名,ケータイの変換機能じゃ非常に打ち辛い。
 佐敦は,「佐藤敦」という人名を一文字消して打ってます。日本のどこかにいるであろう佐藤敦さん,お世話になっております。

▲単なる雑居ビルだけど海岸の貝殻の堆積みたいにどことなくデコボコした壁面。これで一階にスーパーまで入ってるという雑多さ。佐敦にて。

 道行く皆さん,小さい花を手にぶら下げてます。母の日らしい。そういえば町中のそこここにも母の日セールの広告が出ております。
 さて,昨日に続いてやって参りましたのは,夕刻の佐敦交差点の南西角辺り。
 このエリアの小店の面白さをもっと味わってみたくて,まず心思思 麺包西餅店 第五分店というパン屋に寄ってみました。
椰糸[イ条] 3HK$
ブルーベリータルト 6HK$
 続いて大本命,昨日の角の店へ。壁面に書かれた霞んだ文字,「全新」というのが店の名だと思う。相変わらず混んでる。
 あたふたしながら何とか購入した品を,トートバックにしまい込む。
 にしてもいい界隈です。注意してないと何気なく通り過ぎる感じのエリアなんだけど,この時間には雑多な露店も出るし,先日利用したクリーニング屋もこの辺り。何より至近に庶民的な飲食店もずらり。点心では大良八記義順牛[女乃],定食屋なら順徳人その他ずらりと軒を連ねる。全然ガイドブックにないのに,まだまだ入りたい未開拓のお店もいっぱいありまして…。
 また絶対立ち寄るエリアだと思います。

▲陳記の地下入り口の仏壇。香港人の信仰心は篤く,かつ俗っぽい。

 後から振り返ると信じがたいが――この夜はあと2軒回って晩飯を2度食べてます。
 香港最終夜の焦燥と,最後になって気付いた定食屋の凄さに浮かされて…といったとこでしょう。
 しかもどっちも2回目。
 まずは尖沙[ロ且]の裏通りの地下,陳誠記茶餐ティン
時菜北茹滑鶏飯
例湯:章点蓮覇猪骨湯
33HK$
 ここでは持ち帰りで,陳誠記入り口で気のいいお婆ちゃんが売ってた鶏尾包まで買っちゃいました。ちなみにこの店には翌日の朝にも行ってます。
 続いて油麻地に移動。ネイザンロード沿い,営発餐ティン
3醤爆茄子猪頚肉[保/火]
中式:青紅羅白猪骨湯
 どちらも満喫!もちろん満腹!もう思い残すことはない…というか,本音は…もうちょい早く気付いてればなあ,香港常[口乞]的(日常飯)の凄み!
 さあ明日は最終日。