外伝14緬甸/ဟင်း 煮込(ヒン)We are confident that we can control this hatred.{4日目}

[前日累計]
支出1500/収入1550
負債 50/
[前日累計]
    /負債 488
§
12月31日(木)
1230英語名無き茶店
塩クリーム 170
コーヒー
1315緬甸名も無き露店
バナナのココナッツ漬け150
1345Lashion Daw LiLi Win(Shan Traditional Rice Noodle)
水餃(来ず)
滷面300
1420名も無き魚カレー屋台
小魚カレー
魚粉カレー500
1450英語名無きミタイ店
Mix Barafe Box250
1825 Shwe Bali Yoghrt
ラッシー(小)100
[前日累計]
支出1500/収入1470
    /負債 30
[前日累計]
    /負債 518
→§1月1日(金)

▲露店売りのバナナのココナッツ漬け?本文参照

 朝だ。4時半だ。弁当箱下げて──とかいう太古の唄があったけど,
 とにかく4時半には宿を出て,現在5時。Shwezedi St.の何とかExp.(2文字目が鮹みたいなの)のバス車内に座って…震えております。
 マジで寒い!昼間が白昼夢に思えるほどブルブルです!思わず温度計に目をやる──じゅ?16℃?
 昼間と20℃違うのか?内陸ったって川岸だぞ?行きの教訓から今回は思いっきり着込んで…日本出国時と同じ着方になってる,のに寒い!何がそこまでさせるのか,早朝のミャンマー!
 緬甸人の皆さんは余程なのか,と思えばそーではないらしい。頭巾まで付けてほとんど雪国モード。こんな光景にミャンマーで出くわすとは!
 冷えた闇中を走り出した帰り便のバスは,行きとは違って本格的に高速仕様。中2階で扉も回転式。日本の高速バスにやや近いけどトイレはない。
 幸いにして体調のほうは好調。昨夜突然に麗しのダイアレア姫にご来光を賜り,かえって腹がすっきりとした実感。嘔吐まであったからとりあえず本格派っぽかったんだけども,きちんと吐き切ったらしい。

 地平の雲間より曙光。6時51分。
 イラワディの大平原。この国には未来がある。でもその未来は,やはり少し遠いかもしれない。10年後か世界一周時かに再四来をやりたい。
 大地は熱を宿し始めていく。

 9時半,nawadi gardenという公園か別荘か分からないエリアを抜ける。
 続いてhyundaiの工業団地。
 ヤンゴンに入った。176,333番バスが多数行き交ってる。バスで市内というのは可能ではあるらしい。
 川を左手に見て併走。
 9時40分。左手にFMI CITYという施設を見る。これを過ぎてすぐ検問所「Oriental Highway Co.ltd.」の文字。川を渡る。この鉄橋のための金取りなら…セコいな。
 ターミナル到着,タクシーを捕まえて一路市内へ。
 Thamine jct.の方向表示。橋の東側の交差のことを言うらしい。右向き,南走に移る。
 9時50分。多くはないが34番バスはまだ併走してる。86も同じく。
 10時15分。g&g(grab&go)コンビニというチェーンはかなり数があるようだ。あとオモトという1800Kショップも2軒みかけた。
 市内着は11時を回ってしまった。
 予定通りメイシャンホテルに入る。45US$。中国名・梅県旅館,つまり華僑系ホテル,フロントでは中国語が通じた。木製の調度と壁,使い込まれた半螺旋の階段と,外面以上に風雅でしたが,設備(バスタブ,開水)も充実してます。幸先のいい宿選びでした。

▲名無き茶店で「ミャンマー風シュークリーム」とコーヒ

 では!ヤンゴンを再び歩き始めましょう。12時半。
 という直後に,また味のありそうな茶店を見つけてしまう。パテインであれだけなかった類いだけに,つい引き込まれました。
英語名無き茶店
塩クリーム 170
コーヒー
 ここの引力は,店頭のショーケースに並んでる菓子らしき商品群。これがどうにも旨そうなもんで。
 腰掛けると,頼んだののほかに8つも菓子が並んでる皿が出てきました。あ,これ,歩き方のどこかに書いてあったな。食べなきゃ請求されないけど,出てきたからって少しでもかじればその値段分が加算されてくってシステム。
 8つのうに4つは中華菓子っぽい品です。エッグタルトらしきものまであるぞ? 初発で手をつけたモノが旨けりゃイッてしまったかもです。
シュークリームか?と期待したのが運の尽き(季語:シュークリーム)
 これ何だ?ベトベトで…辛い?サワークリームのホイップに塩を混ぜたよな味。本格派とは言い難いのはもちろん,アレンジとして美味いとも言い難い。
 ただシューは妙によく出来てます。ほどよくクッキー質,ほろりと溶ける小麦の香。この外と中のレベルの差は?
 コーヒーは…インスタントなのはもちろん,やけに甘さだけは上品だなと思ったら,底にべっとり練乳層。だからと言ってベトナムコーヒーとも言い難い半端な濃さ。
 ちなみに茶はソーメイ。これは緬甸に入って共通してます。ただしこれだけはなぜか請求に載らない。そんなに安物なんだろか?ワシにはこれだけでもいーのに…。
 パテインのと同じで居心地は良いのであんまり辛口は言わないことにする。…とにかくあっちやこっちやで中途半端さやらショボさやらが吹き出てるカフェ。
 客の入り具合といい地元度といい,ここはきっとミャンマー風の標準的カフェなんだと思われます。そうすると発展段階の途上と見るべきなのか,ミャンマー的に一種の完成をみたものと捉えるべきか── どうにも頭を抱えてしまう茶店なんでした。
 想像ですけど。こいつら,「ここにしかないカフェを!」とか日本人的なストイックさは持ち合わせてない。「ま,とりあえず客も来てるしいーか」的にぼちぼちやってるうちに何となくこういう店になってます,みたいな変に素直な惰性を感じる。
 ヤンゴン入り直後からのこのミャンマー的妙チクリンさに,実はこの街を離れるまで苛まれ続けるのでありました。

 どどどっと街を歩いて大分ヘバッてきた13時過ぎ,英語表記はもちろん緬甸名も無き露店で変な物体に皆さんが群れているのに出くわしました。
バナナのココナッツ漬け(→前掲写真)150
 路上に椅子がばらまかれ,そこに三々五々に腰かけた有象無象がこの物体の椀を口に運んでるのは,どうにも不可思議な風景でした。なのでその中にわしも溶けてしまって一口。
 やはりバナナだ。紅がかった白のこの柔らかい固形物は確かにバナナ。昨日の記憶があるだけに一瞬警戒したけど痛んだ感じはない。けどこの変な色合いと,ほんのりあっさりとしたミルキーさは…何?
 味わっていくと,徐々に旨味が理されてきた。このミルキーさと,それによって何らかの変質を遂げたらしきバナナの素朴ながら淡白な甘み,この二重奏が──◎!
 非常に繊細なバランスです。
「漬け」と書いたがもちろん製法は完全に不明。だけど想像するに,ココナッツか羊のミルクかにバナナの何か変わった品種を浅目に漬け込んだ,バナナ・ミルク・ジャムのようなものじゃないでしょうか?
 カフェもバナナもここでしかなかったから,ミャンマー一般のものじゃあ多分ないと思います。思うんだけど,このヘンテコだけどそれなりに完成されてるというスタンスみたいなものは,何ともミャンマー的なものに思えたわけです。

▲Lashion Daw LiLi Winの滷面

 Lashion Daw LiLi Win(Shan Traditional Rice Noodle)という,これはきちんと店舗とメニューのある店に入ってみました。13時45分。
水餃(来ず)
滷面300
 シャン料理と英語表示で書かれてて,それに惹かれて上がり込んでしまいました。
 味覚や料理の形式は中華風に思える。なんだけど調味料はレモンやナッツの香が突出する,個人感覚で言えばラオス風。何回か食べたことのある,中華っぽい出汁とレモンシードらしき柑橘味のきいた味。懐かしさも感じるのに東南アジアローカルな,やるせない味わいにしばし酔ったのでした。

 おっ?あるじゃん!
 14時,中華街で中国タバコのお気に入り,紅塔山 をゲッ~ト!!!1800K。
 これがもし空港にもあったらラッキーだな!(後日談:流石になかった…)

▲名も無き魚カレー屋台の魚粉カレー

 14時20分。やはり名も無き屋台をふと見つけ,ふらりと入る。
 小さな露地にある木製の,というか掘っ立て小屋のような厨房のまわりの路上に,数卓のおもちゃのような座席がならべてある。
 魚料理がやたらに多い。名も無き魚カレー屋台と名付けよう。
小魚カレー
魚粉カレー500,1000K
 何と!安いからこれが庶民モノなんだろか?
 ムチャクチャ美味い!特にジャコラー(小魚丸ごと食いのマニア:勝手に作った)にはたまらないイギイギしさに,うまくスパイシーさが乗った味わいに仕上がってる。
 インド風カレーだと西原風鯖カレーになるだけ。緬甸風のスパイス使い,あるいは脂使いでしか実現できないコラボみたいです。
 すごい店を見つけた!しかしここ,どこだと記録すればいーんだろ?

▲名も無き魚カレー屋台の小魚カレー・どアップ

 夕方から再度,夜のヤンゴンをひとしきり歩いてみました。
 と出発してすぐ,宿のブロックの裏道にものすごく盛況な飲み物屋を発見。あれは…ラッシーに見えるけど…またまた「もどき」かもしれんが,しかしこの人の入りは,やはり一度は飲んどく?
 18時25分。店名はShwe Bali Yoghrt。
ラッシー(小)100→写真
 オヤジは馴れ馴れしい…というか外人いじりすぎだけど──自家製の作りたてでしか出ない乳酸味の勢い
ラッシー屋でここまで客がたかってて,ネオンまで出てるのは本国も含め初めて見ます。
 確かに!一口飲んで合点。これはなかなか本格派。というより,ミャンマー的に爽やかな酸味が効いてて,ここじゃないと飲めない味なんじゃないか?
 高いのにはイチゴが入るらしい。それとパンを付けて食べる人もいるようです。緬甸風の進化型か?
 いい店です。オヤジは馴れ馴れしいけど。

 ヤンゴンの夜は,規模の割に静かです。
 そもそも通りの多くには外灯がない。あれは住民が勝手にやってるのか,道路の上を跨いで宙吊りになった電灯がいくつも光を連ねる様は,この国独特な夜景だと思います。つまり盛り場を形勢するほどにもインフラが整備されてない。
 ただ,場所による。かなり西の…これはどの辺なのか,市場が道路の半分位まで占拠してる界隈は,呑み屋も兼ねるような通りがいくつかあって,西欧人も加わって賑わっております。
 ただこれはこれでなかなか参加できない濃密な呑み屋っぽくて…歩き回っただけで引き上げて来たってのが正直なとこだったヤンゴンの夜でした。
 でもリンゴだけは旨かったな。

▲ヤンゴン中心部マップ