《第八次初日in Pusan》マヌルチョンムチムの日
[前日日計]
支出1500/収入1200
/負債 300
[前日累計]
/負債 734
§
6月10日(金)
1124亀浦市場の店
ソメリクッパブ400
1204Cafe Dream
Americano 2KRW
1308ウォンジョ チョバンナクチ
ナクチボックム400
1845 ops
シュークリーム170
(持ち帰り)アップルパイ170
アメリカーノ
2300ウォンジョ ハルメクッパブ
ソコギクッパブ400
[前日日計]
支出1500/収入1540
負債 40/
[前日累計]
/負債 694
§
→6月11日(土)
釜山に2年行かなかったのって,いつぶりなんだろう?
昨年の韓国を何の迷いかソウルにしたからで,年一の韓国に変調はないんだけど,にしても釜山は無茶苦茶に懐かしい気がします。
釜山空港1番手荷物受取前。10時24分。ちなみにハングルではスハムルナヌンコス…?
この何年かで高速船ビートルはすっかりLCCに株を奪われてしまってます。釜山の新しい空港を契機としてるんでしょうか? ※福岡-釜山結ぶ高速船25年…ビートル、LCCに押されるも516万人利用
ということで今回はついに飛行機利用に転じました。
プサンエアは値段が信じがたいほど快適でそつがないし,荷物も2つ目で出てきてしまい,全てが順調過ぎる。体調もすこぶる整然。そういう意味では,ちょっと不満な釜山到着となりました。
空港駅ではハナロカードは買えないとのこと。
だもんでライトレイルでとりあえず3駅,大渚へ。緑豊かな眺望。
大渚でハナロ購入。これ買う時はどうしても駅員の世話になってしまう。ちゃんと操作できれば普通の券売機から買えるのですが…。デポジット2千KRW。
3号で徳川へ。 大きな河を渡ると山並みの麓に突然の都会風景。これが亀浦(くっぽ),徳川の一駅前にして市場名になってる場所。徳川の位置関係をやっと実感できた気がする。
亀浦市場の例の店にやってきたのは11時24分。
ソメリクッパブ400
ヤバい!これを第一食にするのは間違いです!
記憶以上に旨すぎる!ただただ,もうただただ旨いぞ!
キムチ3種に醤3種,パブに土鍋,青唐辛子・タマネギの薬味皿の9点構成。極めてシンプルなんですが…。
この悪魔のような肉は。
赤身のみの部分もあるかと思えば脂身もあり,かと思えば軟骨のコリコリ部位もある。明らかにソメリというのは肉の部位や種類を示してはいない。
未だに正体不明なんですが──そしてどの形状のも驚くほど旨い!赤身は茹であがって肉の味を韓国的に純化し切ってるし,脂身はコラーゲンのみを残したように意外に脂っこくない。そしてこれが最高なんですが──軟骨部分が実に味をわい深い。
汁の豚骨はこれら複雑な肉汁の複合したものと想像されるのですが──どうにも分からない。なぜこんな雑多な部位から,こんな純粋な豚骨スープが生まれる?
日本の全ての豚骨が下品に思えてしまうような上質さです。考えてもみられたい。日本の豚骨スープに白米を入れて食えるラーメン屋がどれだけあるでしょう?わしは数えるほどしか知りません。
キムチ。久し振りだからなのか死ぬほど旨かった!特に…これあんまり思ったことないんだけど,白菜・大根・韮のうち,韮のキムチが最高に気に入ってしまって箸が止まらない。
醤は,やっと食べこなすきっかけを掴めた気になってます。味噌・コチュジャンとあと一つは青唐辛子の漬けダレみたいなものでした。代わる代わるに肉を付けて口内に投ずれば,これらそれぞれに秀でたる滋味に打たれる。ここにアクセントとして青唐辛子とタマネギを一かじりすれば,そのバリエーションは一食では味わえないほどに広がる。
初めての韓国でビビンバブに感じたのと,同じ話に帰って来たことに気がつきました。韓国では──本当はどんな食にも多かれ少なかれ言えることですが──どんな美味でも自分が食べる前に完成してるのではない。食べる行為によって初めて完成していく。どう混ぜ,どの順を踏んで,どう噛み,どう飲み込むかによって,美食の完成度は雲泥の差となる。
Cafe Dream。12時4分。
Americano 2KRW
韓国ではアメリカーノを飲むべきだ。エスプレッソの湯割り,とはとても思えないこの完成度には刮目する。
再び3号で美南へ。2号乗り換えで東行。
ウォンジョ チョバンナクチ。ここに来るのは一体何度目なんでしょうか?
ナクチボックム400
→もうあんまり来すぎてしまってるし,既に「ナクチだらけ」頁も作成済なので,今回は反省してというか趣旨を変えてというかマゾ的にというかヒネクレ者の性というか・・・ナクチのない写真集にしてみました。
やっぱり大したシロモノです,これは!
このハーモニーは,まさにパーフェクト!──後ろの座敷ですっかり出来上がってる社内旅行らしい1ダースほどの日本人観光客一群の奇声,これさえなければもっと浸れたんですが。
忙しい昼時の最後にかかってたので,あんまり給仕のおばちゃんたちが構ってくれん。でも,お陰で最初から自前で火加減を見ていい煮詰め具合にすることができました。
ナクチの最初の状態は,灰透明の生タコでした。湯ダコでやるのとはかなりの味の差になると思います。特に,ここのはコチュジャンをアクセントとしたタコの幽玄な甘味が主役なわけですから──。
タコそのものもさることながら,やはり,これも何度も書いてきましたが…ポックムにした時のコチュジャンの徐々に押し寄せる深遠な辛味,それに絡み付くようなタコと春雨の朴とつな甘味。この複雑な濃厚さのパーフェクトさにはちょっと敵うものがない。
しかしこれだって…最初の鍋のセッティング以外は,今日は特にだけど…ほとんどわしが自分でやったぞ?
そう思ってしまうと,次にはこう問いたくなる。──これ料理って言うんだろか?
それとも調理側のやるのは具材のセットだけでいい,みたいな割りきりが,韓国の場合はあるんだろか?
発想においてもここのナクチは郡を抜いてるである。つくづく素晴らしい。
後ろからますます高まる日本人観光客一群の奇声以外は。──海を越えてまで来て,こやつらの話は部長やら課長の悪口やら飲み屋のネーチャンやらの話ばっかし。地元のお客さんから完全に異質な空間を固く固く閉ざしながら,しかもそのことに本人たちは全く気づいてない。──それでもって…こいつらどうやら…えっ?ひ,広島から来てるのか?あ~恥ずかしい!
1号で2駅,ヨンサンへ。再度3号で4駅,水営。さらに2号で遠く海雲台へ。
18時45分。ops。
シュークリーム170
アメリカーノ
今回調べてて,「釜山3大パン屋」 というのを発見してしまいまして…既に見知ってたこの海雲台OPSに加え,南浦洞B&C,中央洞ペックダン。こちら二店を訪問することとなります。
で一軒目なんでありますが…これは──微妙!
若い人の発言的にビミョーなんじゃなくて,この旨さは何の旨さだ?というクエスチョンが頭に浮かぶ。という意味で。
本場的なシューではないし,クッキー質でもない。クシュッとした何かひ弱な生地。かといってふわりと口溶けるという儚さもない。そういう独自のシューになってる。
クリームもやや下品にも感じられるカスタード。しかも食べる時はこれが最重要ですが,流体で食べてるうちに垂れてくるからオチオチ味わってられない。
うーん。これは旨いのか出来損ないなのか?
でもここでしか食べれないのは確かですので…まあやはり韓国な迷品ではあるわけで。 でもって韓国のパンってのは,この迷走振りこそが本領と申し上げてもいいわけで。
海雲台温泉センターへ初めて入る。
4階受付で男湯は5階。閉鎖された海雲台温泉と似た間取りを感じるのは思い込みか?7千KRW,まずまずくつろげる。湯質は…塩辛い。博多の八百に似てるけど…だからなのか,湯の成分的にもわしにはいい湯に感じられました。
ここもナクチよりもっと前から通いつめてる店です。ウォンジョ ハルメクッパブ。23時。
ソコギクッパブ400
変わらぬお値段4千KRW,変わらぬ味,そして変わらぬマヌルチョンムチム(ニンニクの芽のキムチ)!
深夜のこの店を,久し振りに訪ねて見たくなったのです。ここは24時間営業,有名店だけど外人観光客には会ったことがない庶民の店。その証拠なのかどうか,未だにヤクルトが付いてきます。
この絶対的な完成度のソコギの味ももう舌に染み付いてます。
好い!
調味はほとんど胡椒だけなのに,底味の肉と…これはやはりくたくたにしたモヤシとほとんど溶けた大根から出てる野菜スープなんでしょう,この汁がたまらない。
しかしまたそれにも増して──マヌルチョンムチム!前からだけど種の取り放題のキムチの中で(わしにとってだけなのか?)一際秀でたる絶品がここの品。
深緑の茎が鮮やかに赤黒いコチュジャンにまみれたこの逸品,ニンニクの緩い香りが底味となり,コチュジャンの先味の確かな基部になってる。それだけではあるんだけど…この2年の間に知った黒ニンニクと舌の上で並べるならば,これは芽の中で発酵ニンニクが出来てる状態なんだろうか?この芽ニンニクの臭いの緩さはそれを暗示してないか?つまり,よくあるニンニクの球根部分だけではなく,芽の部分までをも発酵させてるのがこの品ではないか?
ただしこのマヌルチョンムチム,レシピを調べると──ニンニクの芽の和え物と訳してある日本サイトがある。要は浅漬け状態らしい。それで黒ニンニク的な変化が起こるものなのかどうか,葉野菜状態だから発酵させやすいのか,その辺りはよく分からない。
分かるのは,ここの,今回もそっとお代わりしまくった結果,取り放題の容器を空にしてしまってアジュマに睨まれた逸品の味が,もうわしには忘れられないってことなんでした。
ops アップルパイ
こいつを宿で食す。
この宿はお湯がないから黒豆ミロ(これも美味でした)で食べたんでしたが,それにも関わらず震えてくるよな逸品でありました。わし自身がかなりアップルパイフリークになってきたこともあって,実力拝見的に買っただけなんですが。
パイ生地はもう言うまでもない。なんせopsの品です。ここの品揃えを見るとパイ系が一番いい値段(7~8千KRW)になってましたが…安定感あるいいパイを焼くものです。
最重要点は,この,餡になってるリンゴです。ここの,リンゴの薄切りを円を描くように重ね並べたパイもかなりのレベルだった記憶があるけど──食べたことのない深みでした。
キムチ的に漬け込む時間が長いんでしょうか?色もほとんど琥珀のような鈍い輝きを見せるこの餡,酸味なのか甘味なのか分からなくなったような,独特に深遠で,しかしあくまで瑞々しい味わい。これがopsの軽快なパイ生地の食感に素晴らしくマッチするのです。
「王様とサーカス」を持ってきてしまった。
ということは予想できる展開だったけど,結構遅くまでのめり込んだ後,解決編までたどり着けないまま,いつしか謎の中に倒れるように爆睡してしまった初日の宵と相成ったのでした。