GM.(経路)
誰が何と呼ぼうと民享市場だ

▲再掲:民享市場(寺院前風景)
外伝06@(@_18_@) 素描・民享市場 (@_18_@)
「民享市場」と以前から勝手に呼んでるこの市場(一般に通りのいいのは「雙連朝市」又は「雙連菜市場」)の中心宮,文昌帝君。看板には「台北文昌宮」とあります。
特別編仕立てでお送りします。
公務員試験専用神
左聨「昌期應福禄權衡化作師君」
右聨「文徳垂陰[アルトウ+ノホ/馬]孝友源尊天地」
左殿は関帝っぽい。
右殿には「文魁夫子」とある。解説では「魁星爺」。
本殿と右殿の間には「文魁昌化」とあり,こちらがメイン,あるいは名前の元のように見える。何でこんな半端な位置にあるのかは不明。
取りつく島もない不思議な廟です。
文昌は文星を指し,学問,と言っても古くは科挙の神様で,現代は試験の願掛けに霊験あらたかと言う。魁星は,文星と同義に用いられることがあり,その場合は北斗七星の柄杓の先の第一星を指すという。
▲「三才図会」(1607(明万暦35)年に描かれる「魁星図」。踊りたい年頃の神様らしい。
魁星爺を熱く歌い上げる
この時はスルーしてるけれど,先に触れた演劇神・田都も祀られてるらしい。
何なんだろう,ここは。
官定の神様のいない,台湾民間信仰の集合団地のような,やはり不思議な廟です。
※ m102m第十波mm艋舺天后宮/■疑問点:劇団員は劇場神の為に闘う?/画像集:田都と西秦の並ぶ双連文昌宮
▲再掲:双連文昌宮福徳誕布袋戯
※ 中国祭祀演劇関係写真資料
後方は文昌広場という公園。やはり日本の奥山の御神体とかいうのと根本的に性格が異なる。カミの斎く場所というより,祀る建物,という性格になってます。
歌にもなってるみたい。「……爺」がついてる点も気になります。
そ
れはそれとして,民享市場はやはり好い!
これだけ訪れて,なおも7枚も撮っております。よく飽きんもんだ,と自分でも感心しますけど──この気だるい変化が,何というか,麻薬です。
なので,この7枚をもってひとまずのエンドロールとさせていただきます。
仕事が雑で好いじゃないか
この市場のラインは,地下鉄淡水信義線の地上部に伸びるパティオに沿います。
のどかな緑地で,ご老人やらなぜか暇な人やらの姿が常にある。
▲(民享市場2)1218この雑然とした,というか雑な仕事ぶりが途方もなく好い!
この南北のベルトが何の後なのか,どうも分からない。戦後の地下鉄工事の地上部の有効利用,いやそれは間違いないけれど,それだけなら,なぜ宮が集中するのか分からない。
かといって,これだけ再開発してるから,かつての町筋を推測もしにくい。
売るのも買うのもダレている
▲(民享市場3)1219 のわのわのわっと人だかりの暗がり。衣類の大安売りみたいな店らしい。
それはともかく,ここは客層がどうにもダレてて好い。
簡単に言えば,香港にはこの空気は,ありそうに見えて絶対にない。大陸中国にも記憶がない。
売り手も買い手もダレている。こういう市場ば,香港なら淘汰されるでしょう。
▲(民享市場4)1220 尻を並べて物色中……な女性軍の後ろを怪訝な目で遮る男性軍一人
空気の質からだけで予想,というか予感するなら──東南アジアの海辺の市場を彷彿とさせる。ここはかつて河畔だったのではないでしょうか。
正午を回って一段落のユルい時間。市場は大抵,朝か夕べがソレっぽいけれど,ここだけは昼過ぎのこの時間が好い。
寧夏市場 晴光市場 建成公園 永盛公園
▲(民享市場5)1234 奥は段ボールの何やら。手前は糸瓜一籠40元成。
目
立たないけれど,ここのちょっとした洋館の造りも捨てたものではない。市場の猥雑さを仮に剥ぎ取ったなら,トム・ソーヤに出てきそうな軒並みになる箇所もあると思います。
▲(民享市場6)1236 廟手前の,よく見るとアメリカンな洋風建築
西南に寧夏市場,北東に晴光市場。少しズレた南南西には建成公園,ほぼ真東に永盛公園の緑地。このベルトの北東延長には行天宮。
朧気な斜めの帯が見えるようにも思えますけど,この章はエンドロールです。微妙にハズれた漢人世界・台湾そして福建を,話は一度離脱します。