外伝09♪~θ(^1^ )マカオ縦断編

 マカオで一泊目の眠りを貪った後。翌朝7時前,早朝から行動開始!
 明早朝にはいよいよ香港への船に乗る予定。本日は1日マカオ歩きに終始したい。
 コロアネ(漢字名:路還市区)を目指す。
 マカオは南北に連なる3つの島。一番北がマカオ市街地のある都市の島。ここから中間のタイパという島に長い橋が3本かかってる。タイパと一番南のコロアネは,間が埋め立てられて今はほぼ一つの島状態。埋め立て部分には大規模なリゾートホテルが建設されつつある。
 この3つの島を,とりあえず南北に縦断して概観してみたろって目論見。
 ホテルリスボアの前からバスが出てると聞いたけど,どうも分からん。ターミナル風になっててAからEの5つの乗り場があるようだけど…どこやねん!?案内人らしきおばちゃんに聞いても「コロアネ」も漢語読みの「ルーグアン」でも通じない。とにかく25番なんスけど,と聞くと,きっとEじゃない?といー加減な指示を頂いたんで,E乗り場でしばらく待つとバスには乗れた。後は地図とにらめっこするしかない。
 3つの大橋の真ん中の橋を渡り,タイパの街を通過する。中心部はかなりのビル街。新市街を作る気らしい。
 タイパとその南の埋立地エリアを過ぎたら,けれど一気に車窓はのんびりしてくる。椰子やガジュマロの多い南国風の植生を縫ってたどりついたコロアネは,沖縄の下町みたいな風情の街。
 バスを降りたのはロータリーの停留所。ここがコロアネの交通の中心だろう。乗り入れてくるバスに常に2,3人が乗降してる。
 ロータリーから南へ,閑静なヨーロッパの裏通りって感じの短い道がメインストリートだろう。すぐに目についたのが雰囲気のよさそうな安徳魯餅店のカフェだったけど,コロアネ訪問の目的はパン屋の方の安徳魯餅店本店。ロータリーから西側,海へ向かってすぐでした。【→File01参照】
 波止場にしばし佇み,エッグタルトとヨーグルトを満喫してから町を散策。
 ロータリーから南へのメインストリートの裏通りへ迷い込む。人静かな細道が迷路のようにくねる。廟やテニスコートが唐突に現れ出る。時折,小さな八百屋やリアカー屋台に数人が群がる。
 いい野菜だ。いい田舎町だ。
 ロータリーからのバスに乗る。橋を北へ戻ってマカオ本島へ。
 朝霞の向こうに,中心部のビル群が幻のように浮かび上がり,ゆっくりと近づいてくる。

▲セナド広場を行き交う人々

 セナド広場脇で2回目の朝食。とは言え今度は中華早飯の定番,広東粥(だからいーのか?)。明苑粥麺の皮蛋痩肉粥(21パタカ)【→File08その他参照】。
 大分乗り方の分かってきた市内バスで北へ向かってみる。
 本島市街地の南側はカジノホテルと世界遺産の観光客エリア。だけど当然マカオ市民の居住エリアもあるわけで,それは北側らしい。市場が広がる界隈があるみたいだけど…?
 西側の海にぶち当たって北に向きを変えた新馬路は,次第に左右に古いアパートの軒を纏いながら,猥雑な色合いを強めてく。港の辺りで北東へ折れた辺りから,左右のアパートは7階から10階ほどの高さになり,通りは陰影を増す。物干し竿と看板をニョキニョキ生やし,アパート壁面ははためく衣類でカラフルに彩られる。
 危険なほどの治安の悪さは感じない。コンビニや商店が多数。スラムの空気はない。南側エリアにはない生活臭。マカオで初めて中国人の町に出会った気がする。

▲マカオ本島北部の街並み

 中国風の禅宗寺院の西側すぐ,フローラベラ(漢語名:雅豪[女乃])という店に入る。歩き方にあったポルトガル料理の店です。
免治猪肉 26パタカ
(ライス,フライドエッグ付き)
エスプレッソ 12パタカ
【→File08その他参照】
 ちょっと小洒落た雰囲気。この旅行唯一のナイフとフォークを使った食事になりました。

▲マカオ本島北部の市場風景

 昼過ぎ,タイパへ向かう。
 リスボアホテル前から今度は33番バスに乗り,再び橋を渡る。
 このバスのルートは,タイパの街並みの中へ分け入ってます。コロアネ行きの途中で通り過ぎたビル街とは違う落ち着いた街並みが車窓に現れて…。
 官也街のバス停で下車。
 どこだここ?
 ポルトガルチックな南欧風の石畳,白壁の光溢れる街並みなのに,沖縄と同じくガジュマロの大樹が道を塞ぎ,関廟とか孔廟から中華線香の煙が昇るむこうに巨大なホテルと人民解放軍駐屯地のビルが聳えたつ。地元臭い飲食店が軒を連ねる街路から一筋入ると,珈琲の美味そうな本格派カフェやマック,セブンイレブンが並ぶ通りに出る。スパゲティが売り物の白人だらけのタベルナ。たこ焼き,焼き鳥,串焼きの暖簾の出てる奇妙な日本料理屋。インドカリーの専門店。その辺りには近代的な集合住宅も顔を見せてたりして。
 訳が分からない!
 無国籍ではない。無国籍なものはないのだ。中国であったりポルトガルであったりするものが,際どいバランスでせめぎ合うこともなく隣あってる。こんな風に異なる文化がモザイク状に並立してる空間って…あり得るのか?
 それとも,これが香港圏の独自性なのか?
 ちなみにこの辺の通りの標識。告利雅施利華街。並記してあるポルトガル語名,Rua Correia Da Silva。「告利雅」が北京語で「カオリオ」,「施利華」が「シリフア」だから無理くり似せてはあるけど,それは辛いだろ?
 でもです。とにかく素直に音訳しようとしてる。大陸中国なら間違いなく意訳か冒頭だけの音訳で済ます。アイスランドは「[ニスイ+水]島」。日本だってマッカーサーは「マ元帥」だった。
 この異文化に対する素直さ!この香港圏の美徳が,ここの奇妙なモザイク空間を創り出してるみたいです。

 日曜日。増して昨日から中国は労働節(メーデー)の祝日らしく,段々人出でごった返してきてます。
 莫義記大菜[米羊/心]榴蓮雪[米羊/心]って店のゼリーを入手。広場で食いながらしばし放心しました。
三色大菜 9パタカ
【→File05香港スイーツ参照】

▲タイパの広場にて

 さらにここへ来た目的大利来記珈琲室へ。ハンバーガーが売り出されるのが15時ってことだったんで…。
 2つ購入。1つ16パタカ。【→File04肉料理参照】
 陽光降り注ぐ南国の午後。いい土地だ。
 15時40分,帰りのバスに乗車。
 乗り場が分からずちょっと手間取る。マカオの市内バス,行きと帰りのルートが違う。
 けどその上に――それでなくても方向感覚を無くしやすいロータリーの多い街並みをグニャグニャに曲がってくねって進む。もう外来者を迷わそうとしてるとしか思えん。
 この帰り道なんかは。一旦コロアネの方へ進みだすから慌ててたら,数分走ってから折り返す。折り返しはもう一度あったし,もう外来者の神経すり減らそうとしてるとしか思えん。
 ちなみにこのタイパ,漢字では[乙氷][イ子]と書く。何だその漢字は?何て読むんやねん?普通に北京語で読んだら「ビンズ」っぽいけど,タイパと発音全然違うし!

▲タイパの裏道の小景

 大橋を渡る。
 4度目です。朝は海霧の中にあったマカオ市街が,夕暮れにくっきり映えてる。
 本島西側の山の上,教会の尖塔が美しい。

 既に食い過ぎだけど,新馬路の裏道にあった[ネ羊]記麺家へ。
招牌蝦子[テヘン+労]麺 20パタカ【→File02広東麺参照】
 さらにさらに,これも昨日ごった返してた店。義順牛[女乃]へ。
凍馳名隻皮[火敦][女乃] 17パタカ【→File08広東粥その他参照】
 どっちも最高!
 って何だかんだと既に6食食ってるんだけど…2日目からこんなんです。9日間も滞在して大丈夫か?わし!
 とにかくマカオ,満腹,じゃなく満喫いたしました。さて明日からついに本丸,香港である!!