って変なタイトルでゴメンナサイ…。
ほんだけどよー(どこの言葉じゃ?)。ホントに何か分からんグロいもんに,大陸中国や台湾以上にやたらに出くわしたんだばよー,香港。
簡単に言えば健康志向なんだろう。始皇帝が長寿薬を求めたって類の大陸中国の上流層にあった志向の流れ。つまり,世界最古の健康志向が残ってて,経済的にみんなが上流化した現在,みんな健康志向になっちゃっとるんでしょう。
も一つの側面として,香港食文化の危うさってのも見逃せないけど…。台湾はもちろん,大陸中国と比べても朝食【→File07参照】の充実度を始め,これだけの経済水準だからカロリーは高いのに,美味の追求の方向がバランスを欠いてるのは否めない。統計を取ったら大陸中国と同レベルだろう。――ってのをある程度自覚してんのかも?
香港街角で目立つ店があって,結構客もいるみたいたから冷やかしに商品を手に取ってみたら,500HK$とかバカ高い。ツバメの巣のアンプル専門店なんである。あんなんがバカバカ売れてるらしい。
そんなんよりは日常食に野菜を入れろよ,と言いたいけど,それが故にこんだけヘンな食い物が溢れてるのは旅行者としては嬉しいんで,とりあえずアレコレ口にしてみました。
▲許海留のツバメの巣入りスイーツ。香港で一番安くツバメの巣が食えるのはコレらしい。ちょびっと乗ってるだけだけど…。【→File05参照】
マカオでも香港でも,やたら目についてた街角の一杯漢方茶屋さん。
軒先に何本も並んだポットが目印。高いのは30HK$近くするけど,大抵皆さん飲んでるのは5HK$位の奴みたい。
マカオの萬家安中薬茶って屋台で初めて一杯やってみたら。
五花茶 5パタカ
見た目真っ黒なんだけど,見た目ほどグロい味じゃない。確かに中華漢方の味。けど甘く香って素晴らしいフラグランスで…かなり苦旨い!
この店には,他にも咳止め茶みたいのが8種類ほどあった。
割と拍子抜けして立ち去る。宿への道を辿ってたら。
あら?あららら!?
こみ上げて来る!発信源は,明らかにさっきのんだ漢方茶。ポコッと泡が上がるみたいに込み上げてくる…げっぷ。
これが…凄まじく漢方臭い!
口腔より胃腸に染みるブツらしい。胃の底が熱く熱を持ったみたいな状態になってきた。体にいいのか悪いのかは不明なんで限りなく不気味だけど,とにかくパワーはあるらしい。
何にせよ少し理解した――香港漢方,恐るべし!
香港の地下鉄店舗の常連に,東林堂のパン屋さんとこの健康工房がある。
500mlペットがずらっと並んだ棚から,試しに1本選んでみる。
銀杏五味子紅棗茶18HK$
薬効は補血・益気とされてる。
値段はやや高いけど…確かに!
薬品めいた添加物や砂糖か何かでごまかした味じゃないっぽい。程よい程度で飲みやすい漢方味。率直に,美味い。
クオリティの方も高そう。街角漢方茶みたいなカッと熱くなる暴力的なパワーはないけど,ふんわり浮遊するような,臓器に染み渡る成分みたい。
ちょっとオシャレにグロい味。センスのいい漢方茶ってこの感覚は,何か気に入りました。
別の日,ここの「有機大豆豆乳」を朝飯がわりに頂いた。
有機玄米発芽豆乳13HK$
かなりいい。
豆の香りが強い。やや甘いがいい豆乳。広島仏通寺や島根しろうさぎの豆乳を思い起こさせる密度の豆乳,高いだけあって目が覚める味です。
豆乳はかなり飲み慣れてきたし,台湾で早飯としてもスイーツとしても美味いのを経験してきたつもりだったけど――これが駅買いできるのは幸せだぞ香港人!
「亀[サ/令]膏」の看板,これも街角のあちこちに見かけます。
いわゆる亀ゼリー。今では割と有名になってますよね?
わしはまだ未体験でした。だもんで海天堂って有名どこで初トライ。
鮮製亀[サ/令]膏 50HK$
割と高い。しかもなぜか女性客が多い。狭い店内のとこがほとんどだから,妙に入り辛い。
店内壁面には「排毒」とか「血行促進」とか薬効が表示されてるから,更年期障害対策みたいな感覚の人も多いのか?
来る。
量はコーヒーカップ一杯ほど。日本で言えばプリンの陶器カップとか茶碗蒸の器みたいな
色は救いようもなく真っ黒。透明な黒じゃない,黒の粒子でドロドロってのでもない。墨のよに黒い液体が固まってる感じで…底知れない黒。
かなりビビりつつ口にする。
…生臭!
台湾のカエル寒天ジュースを思わせる,生臭くてグロい味覚な上に,何か奇妙な,うっすらと胸焼けのするような苦味が後から後からとめどなくこみ上げてくる。
素直にマズいって言えよ!って突っ込まれそうだけど…実は…結構気に入っちゃいました。今のはプラスの評価。分解すると何かエラい味覚なんですけど,総合すると上手~くバランス取れた旨味。どーも,生臭さと苦みが絶妙に均衡してるみたい。
台湾の滷味や京都の川魚以降,何かこの「苦さ」一般にハマりつつあって…この亀ゼリーにも,テーブル脇にシロップみたいなのがあって,かけて食ったけど,これを少し垂らすと不気味な苦味と生臭さがより強調されてですね…もうグロ苦くて爬虫類臭くて…とても美味しく頂いてしまいました。
高い!とか試しにちょっと…って場合は,亀[サ/令]茶ってのが18HK$でありました。これなら,いざとなればグイッと飲み干して,後は記憶を抹消することも出来て便利。
にしても台湾のカエル,香港の亀。漢民族にとって,爬虫類の生臭さってのも一つの美食世界なんでしょうか!?
その入り口まで来てしまったらしいわし…行くか戻るか迷ってます。
▲牛[イ十]【→File04参照】。これは旺角女人街のだけど,盛り場の小食の定番。牛の臓物の漢方煮で真っ黒な汁にどっぷり浸かってます。まかり間違っても健康志向じゃーない。
「一碗!!」
小粋に一言告げて席につく。すると,黒い液体が来た。
九龍城の龍[山/岡]道,陳[イ子]という店にて。亀ゼリーの看板が出てたから,それ目当てで入ったのに~!!
正宗葛菜水6HK$
ええ~亀ゼリーが28HK$だったからそっち頼んだつもりだったのに~!!亀は「碗」じゃなく別の単位を使うらしい。小粋なのも大概にしないとこーゆーことになる。
まあいい。これも旅の醍醐味だ。醍醐味であって失敗ではないのだ。
ごくり。
漢方ドロドロなんだけど,なぜか苦味や臭みが感じられない。ただ奥の方に野菜系のエグミが残る。亀プラス薬草みたいなもんらしい。
かなり飲みやすい。拍子抜けした感じ。むしろ,野菜味のところが気に入ったくらいだけど…。日本人一般的にはやっぱスゴい味かな?
さあご想像ください。漢方野菜ジュースに亀の生臭さをトッピングって味覚。昼間食ったものを思わず戻したくなっても,当方では一切責任を負いません。
ここまで来たら,行くとこまで行ったれや!
もう一つ,香港の街角でよく見かける爬虫類食がある。
蛇です。
湾仔の路地裏にある蛇羹[火敦]湯 蛇王二なる店へ。蛇の王がニつだ。危険だ。見るからに危ない。
ホントは蛇羹が有名らしいんだが…店に入ると,あんまりそれっぽいもん食ってる人いませんし,メニューに何とか蛇羹が載ってませんし,だから指差し注文できませんし,何より店の厨房の雰囲気がやたらおどろおどろしいですし…とか理由は色々つけてみましたが,要は弱気になっちゃいまして…とりあえず蛇の漢字の入ってるのを頼んでみました。
蛇汁浸鶏飯 32HK$
すると!?おおっ,こ,これは!?
▲(初回は怖くて写真撮れなかった……)蛇羹!←次回:HK-File17:其他中式之三
来たのはただのチキンライスと湯である。
いや,きっと何がしか「蛇」なはず!
しかし!!…食っても食ってもチキンの味しかしない。湯も他の例湯と同じ牛骨スープ。
あっけにとられた展開のまま店を出る。
すると!?5分も経ってから,うっとゲップがこみ上げてくる?胃の底の方から何かに取り憑かれたよに立ち上がってくる,この無気味な生臭い,いや個性的なイヤ~な感じは!?
蛇なのか?きっとこれが蛇なんだな?そうだ,そうに決まった。なんだ蛇,ここにいたんじゃんか!
とゆーわけで…何かよく理解できませんでした。
うーむ,蛇,恐るべし!!
香港島の中還,威霊頓街の[金雇]記酒家で購入した皮蛋。
2つで15HK$(=7.5HK$×2)。
軽く買ったんである。ただ,香港で一番旨いピータンと聞いてたし,ピータンは割と好きだし…ほどの勢いで。
で,何でピータンなんかを「グロいもの」の章に書いてるかってゆーとだ。
宿で食った。
旨い。さすが香港ナンバーワン指名じゃ。よろしーんじゃないでしょーか?
▲続くパニックからもちろん写真は撮ってないので……この時のイメージに近い写真です。こんな鈍い色彩を覚えてます……。
と,ちょうど買ってたマントウのアテにしてチビチビ食ってしまった後で…異変に気づいたんである。
ふっ!腐乱臭!
胃腸からヌオオ~と吹き上がるような,腐乱臭が!!
フカの刺身から漂うのと同じアンモニアじみた酸っぱい気体が,あろうことか自分の体内からとめどなく溢れ出てきてる…。
見かけの味覚以上に,このピータンには時限爆弾みたいな臭気がセットされてて,それが一種の旨味になってるみたいで。
ナメてた…。本場のピータンってあんなに凶暴な味覚だったんやね。…あれは怖かった!
その後,こいつをどうしたのかすら記録してません。発酵モノもどうやら大陸の領域を凌ぐらしい。いやホントに怖かった!!