外伝09♪~θ(^1^ )深[シ川]無聊編

▲包点先生軒先と旺角道バス停辺りを鳥瞰

 朝から飲茶!
 旺角地下鉄駅のすぐ南,ネイザンロード沿いの倫敦大酒楼。
 朝8時。3階の大空間は既に満席。隅っこの席に陣取りまして,たっぷり1時間,上海素菜飽と皮蛋痩肉粥,それともちろんポットの高級(多分)プーアル茶を満喫。最高の朝食で始まりました香港滞在4日目でありました。
【→File09飲茶参照】

 ちょっとマッタリし過ぎた。本日はとっとと深[シ川]に向かわにゃならんのよ。
 昨日散策してたら,旺角の地下鉄駅からの高架は東鉄線の旺角東駅に繋がってるらしい。この東鉄線って鉄道は,九龍から深[シ川]まで伸びる国際(中国国内だけど)鉄道でもある。
 何事も中途半端は良くないので,得意分野の大陸中国にはあえて足を伸ばさないと決め,ガイドブックも持って来なかったんだけど…なるほどそんなんなら仕方がないか。これも運命なので,逆らうのは人生観的に好ましくない。
 といった深い哲学的な思索の結果,ついでに深[土川]に行ってみることにしました。
 旺角東駅構内で国際列車的なチケット売り場を探したけど…ない?登録とかパスポートチェックとかはいーのか?試しに普通にオクトパスでピコッと改札を通過してみる。ホームに出て,列車に乗る。
 抵抗感がない。こんなんで国境越えていーのか?パキのクエッタとか中国のフンジュラブ峠とかを見習って,もうちょっとビシッと,しかめ面のオヤジの一人位登場してほしいものだ。
 と思ったら,列車を間違えてた。えらいすいてたわけだ。メジャーな国境の羅湖行じゃなくて落馬[シ州]行の列車だったらしい。こっちにもイミグレはあるけど…途中で降りて乗り換える。
 運命に従うんじゃなかったのか?という見解もあろうが,初心者マークなんで安全運転を志すのは適正なリスク・マネージメントの結果と言える。まして,単にビビったのでは?といった評価は極めて不本意である。
 降りたのは大[口>緯-糸](タイウェイ)という駅。全く知らない。
 30階建て位の高層アパートが立ち並ぶ。郊外住宅地の風情。香港文化博物館がある場所らしいけど全く知らない。
 自慢じゃないが香港滞在中,博物館にも美術館にもご縁はなし。ひたすら食ってた。
 5分ほどでやって来た羅湖行列車は…ゲッ!
 立ち客まで溢れるほどの満員御礼列車状態。ってゆうか何度かホントに押し出された。
 車窓は緑で溢れてきた。さすがに南国,単なる荒れ山って場所は少なくて植栽豊かな山と住宅地のビル群が代わる代わるに続いてく。
 羅湖の4駅前に「太和」という駅があった。かつて軍の工廠があった街で,最近「太和ミュージアム」がオープンして注文を集めているのは呉の話で全然関係ない。発音もTAIWOで全く違う。ただし,かつての植民地時代の名残かもしれん。
 さっきの乗換駅からケータイが圏外になった。電波的にはすでに大陸中国エリアに入ったらしい。
 一駅前の「上水」で,もう入らんだろっ!て位に乗客が詰め込まれる。週末は混むと聞いたから平日に来たつもりだったのに,それでもこんなに人の行き来があるのか?客層も老若男女バラバラ,服装もお出掛けムード,労働者チック,ビジネスマンスタイルと様々で,要は日常的な往来みたい。
 着いたらしいけど…車内も車外も人だらけ。外,全く見えん。やっぱ…早く出ればよかったよ~!

 人の波に押し流されて歩いてくと,深[シ川]イミグレに出てた。
 カウンターがズラリ。右から「内地旅客」「香港居民」「内地旅客以外」。一番左に並ぶ。外人は3列。人数比としては,90%が香港人,7%が大陸人で,外人は3%以下(テキトー)。
 香港人と内地人のゲートは無人化されてて,何か国民カードみたいなのをピコッとするだけらしい。
 カウンター前にオクトパスをピコッとするゲートがあった。何の表示もないが,出国税か施設使用料か何かだろう。
 イミグレの行列でケータイ開けてみたら,電波が復活してた。国表示は「香港」。中国だからダメかなのかと思ってたら?電波域的に…何か妙なことになってる。
 昨年北京に入る時,大連で同じ飛行機が国際便ナンバーから国内線ナンバーに変わった。この官僚主義国のボーダー,何かしら面白いことになってて好き。

 深[シ川]側に出て,まっすぐ目指したのは駅前ビルの5階。
 ビルの構造が何かグチャグチャでうろうろしたけど,何とかたどり着けたのは丹桂軒。
 飲茶屋です。
 本日2軒目。ってゆうか,朝昼連発で飲茶。
 そんなんで国境越えるな!って?も…文句あるか!だって…断然安いんだぞ!
 レジもテーブルも物凄い人出。整理券出してる割に,全然順番にも何にもなってなくて,押し寄せた人が勝手に案内嬢と交渉して収拾がつかなくなってる。サービス投げやりな以上に,システムが全く機能してないとこが――おおッ共産中国に来たんやなあッて落差を実感できて有意義でした。
 食ったのは
沙[ロ父/多]牛柏葉 Steamed Ox Stomach with Satay Sause
五香[歯減]水角 Deepfried Glutinous Dumpling with Spicy Meat
【→File09飲茶参照】
 どっちもかなりのお味ではあったし,安かったし,かなり満足。
 帰りがけ,1時近くに案内嬢コーナーを通ると,も~スンゴイ混乱ぶり!怒鳴りあげて要求する客に,いつ呼ばれるか見当もつかず整理番号を手に待ち続ける客に…共産中国を味わうならあえてこの時間に来るのもベターかも?
 衣食足りて礼節を,というレベルとは違う。システムの運用スタンスそのものが全く違う。
 香港でも客はがなり立ててるけど,少なしシステムを絶えず効率化しようという発想があるから,袋小路に陥るとこまで行ってる例は少ない。

 さて食ったし帰るか――じゃあ,まるで飲茶食いにきたみたいなので(そうだけど),一応市内へ出てみる。
 ベンチで初めて深[シ川]の地図をチェックしてみる。老街って地名があって,どうも繁華街らしい。中国でこの名前は,一番最初に開けた場所ってケースが多い。
 まあ目指すならここかな?
 2駅,地下鉄に乗ってみる。
 トークン方式,片道2元。行き先表示は電光表示で分かりやすい。何より,北京語のアナウンスと発音表示だから大体理解できて有り難い。
 香港では列車内はケータイのアンテナが立たないんだけど,深[シ川]では3本とも立ってる。地下鉄内にちゃんと電波を入れてるらしい。てことはかなり最新のシステム。後発の利か。
 地下鉄には軍人がウジャウジャいて,乗り降りから改札から一々チェックしてる。さらに多量の監視カメラが,死角なく四方に向けられてる。このギスギス感は,自由主義の国にはない。うーん…経済発展しても大陸中国は本質的に大陸中国。嬉しくなってくる。

▲深[シ川]老街東門街付近の景観

 老街東門街を小一時間うろついてみた。
 どーも…ピンと来ないぞ?
 新興の街ってのはともかく,何かハリボテの匂いが鼻につく。人通りは確かに多いんだが,盛り場の温度が自然じゃない。若い人間もうおお~って盛り上がりがない。
 香港から来たから,よけいそう思えるんだろか?
 北京の王府鎮の嘘っぽさに磨きをかけた感じ。マックにスタバ,電気機器量販店にファッション店舗と要素は揃ってる。けど,しのぎを削る熱気がない。
 さらに,国境から感じてた人情の荒んだ感じがここはさらに濃い。地下鉄の列に並ばない,通路に平気でペットボトルを投げ捨てる,エスカレーターで一列にならない…。何より若い貧乏そうな連中の眼差しの非情さは,香港では見かけない類い。
 大抵,こーゆー街にはあんまり美味そうな感じの店もない。健全な食文化が育つはずがない。食文化の民主主義が構成されないから。
 事実,人だかりの出来てる店がない。豊かな層が少ないって以上に,有り体に言えば民度が歴然と低い。
 なんか…ツラくなってきたんで,早々と香港へ帰ることにした。
 香港と大陸中国の間は川で隔てられてる。その上にかかる橋状の通路を渡る格好になるんだけど,香港側にはまだトーチかみたいなのが残ってる。対照的に中国側には金網が貼ってあるだけ。
 賞味3時間。わし的にも最短の出入国でした。けど,東アジアでの香港の文化的な場所が,痛々しいほどリアルに感じられたショートドリップやったなあ。

▲深[シ川]イミグレ入口の「香港」表示

 帰路は国際バスもあるみたいだけど見つからないんで,また列車にしました。乗客は行きほど多くはなく,座って帰れた。
 九龍[土唐]で列車を下車。地下鉄に乗換え。
 気がついたこと。地下鉄には見事に皆無な公衆トイレが,なぜか鉄道駅には完全完備。確実性を求めるなら鉄道駅のトイレ!もしくは…大衆的飲茶店のトイレ!
 一般的にはどうでもいい情報に思えるが,商いは小さなことからコツコツとだ。

 佐敦の百楽酒店を最終夜の宿にキープ。1泊280HK$と少しリッチ。
 通りで恭城柿餅を購入。毎傍10HK$。
【→File08その他参照】
 空振りしてた[シ奥]州牛[女乃]公司に寄って休息。
西冷紅茶 14HK$
鮮[女乃]麦皮 18HK$
【→File06[女乃]茶参照】
 一つ筋違いの義順牛[女乃]公司も,今日は開いてた。マカオで食った牛乳プリンでさらに休息。
馳名隻皮[火敦][女乃] 21HK$
【→File05香港スイーツ参照】
 おお,夜になってきたぞ?ちょっと休息し過ぎたぞ。
 再び地下鉄観[土唐]線に乗り換えて東の観[土唐]を目指してみる。

 街は完全にベッドタウン。北のアパートを縫って,綴れ織りに道が山裾を登っている。
 目指したapmは,その核になる場所らしい。駅の南東角の新興ショッピングプレース。
 早速,トイレを探した。…え!?いきなりか?またか?
 仕方ない。本日は飲茶の梯子で2軒ともポットのお茶を飲み干してしまったんで,行動時間中半分くらいはトイレを探してる。目標が出来て非常にちょこまか歩けて有意義である。
 ふう。出した出した。出したら口に入れたくなった。入居してる西貢満記[舌甘]品へ。
芝麻糊配黒[米需]米 19HK$
[サ/亡]果班[朝-月+矛] 19HK$
【→File05香港スイーツ参照】
 しかしまあ,とにかく入居店が多彩。タイ料理の屋台まであった。ただ複数人用なのかソムタム大き過ぎ。
 ベッパーランチまであるぞ!

 地下鉄で大回りして帰る。
 観[土唐]前号の3駅ほどだけ列車は高架上を走る。油[土唐]で将軍[シ奥]線に乗換。終点北角まで。
 海中トンネル通過。車内閑散。
 港島線で中環へ。段々混んでくる。天后辺りから立客出る。銅鑼湾で立ち場所が半分埋まり,湾[イ子]でほぼスペース消滅。白人の姿が見え始める。
 金鐘で[サ全]湾線乗換客が下車し,再び車内はすいてくる。中環で下車。

 エスカレーター脇の知足楽足底保健中心 中環店で足底按摩(足裏マッサージ)。50分198HK$。高いが腕は確か。
 不純物を出したらやはり口に入れたくなる(?)。中環の威霊頓街,麦[不/大]雲呑麺世家で
雲呑水餃麺 38HK$
【→File02広東麺参照】
 旺角に帰る。
 旺角道のバス停そば,包点先生に寄る。
シエン饅頭 3.5HK$
芋頭饅頭 4.0HK$
【→File01パン参照】

▲旺角女人街の小食屋台の軒先にて

 今日の部屋,いーじゃん!
 中信賓館。予約がいっぱいだから部屋を変われと言われた。昨日までの7号室から隣の6号室へ。
 出来るだけ香港人的な部屋に住み,心も体も香港化計画を推進する私ですが──7号室はヒドい。窓なし,縦長,空気の流れ悪し。あれじゃ…軍隊の懲罰房じゃん?
 ただ,重慶の恵康ホテルの受付兼洗濯姉さんの寝起き部屋は,まさにこんなんだったよな。
 6号室は,窓付き,湯沸かしポット付き。試しに「この部屋,連泊できんの?」と尋ねてみたらプラス40HK$でOKが出る。即決確保。
 連泊しないと洗濯物が乾かんのよ。香港は汗かく。湿気もあるから2日同じTシャツ着ると…臭い。

 夜遅く,ふと思い立って4楼へ。エレベーターの表示で4楼にカフェが2つあるようだったんで偵察。
 この先達広場ビル,外部解放されてる3楼(4階)までは電脳だらけ。それより上へは,守衛のいる1階エレベーター乗り口から各階へのみ移動できる仕組み。つまり各階間の行き来は不可。公式にはそうだけど,階段と業務用エレベーター使えば各階間を行き来できる。つまりセキュリティシステムが一見客撃退レベル。
 4楼のカフェは,一つは固く扉を閉ざしてた。ひょっとして暴力バー的な危険な香り?
 も一つはエラい盛り上がって宴会してる。──香港にないもの,飲み物だけを静かに飲めるカフェ。普通のカフェで飲み物だけ飲むと,かなり浮く。
 仕方ない。同じ階のボクシングジムをすり抜け,部屋へ引き上げる。