外伝09♪~θ(^2^ )九龍城脚下編 第六日

▲看板だらけのセントラルの裏町

 車内,この時間から既に混んでます。
 6時半佐敦発,香港島のセントラル行きの地下鉄。
 ただ,ほとんどが金鐘で降りる。乗換駅だから,やや早朝出勤する地下鉄利用者は大多数が湾[イ子]方面の勤務者だってわけです。中環を仕事場にする香港人の方がかなり多そうなのに。
 湾[イ子]側はブルーワーカーが多そうなのに対し,ホワイトカラーの比率が高いセントラル。地下鉄通勤者が少ないのか,あるいは出勤時間がもう少し遅いのか?
 さて。今朝は私も出撃モード!!!…って旅行中ですみません。
 前回のトラウマ,蓋付き茶碗の茶漉しテク。昨夜みっちり練習したから,今朝は少し自信があるぞ,。
 7時前。予定通り,今回二度目の蓮香園へ突入。
ポーレイ茶(プアール茶)
蝦の水餅巻き
カステラ
 計39HK$。加えてお土産に
蓮[サ/容]棋子餅 4.5HK$
小皮蛋ス 8HK$
を購入。
 お茶は茶碗で出て,確かにこっちは上手く出来たけど…やっぱ全然シロウトやなあ。
 茶碗テクなんて初歩の初歩。この伝統店で皆さんが普通にやってる飲茶の作法,まだまだ奥深い。
 くつろいだ朝飯を…と朝飯食ったばっかだけど2軒目,蘇杭街の宝蓮苑素食へ。
点心2つ(斉焼売と芋饅頭)+豆ジャン 15HK$+粥=18HK$
 宗教的に厳かでリラックスには程遠かったけど…あんまり満足感高かったから,ちょっと…3軒目の生記に入る気にはなれんぞ?既に満席みたいだし…出直しますか?

▲セントラルの坂道にて
 うろついてたらエスカレーター下で喜利餅店ってパン屋を見かける。通りすがりがかなり頻繁に立ち寄ってくぞ!?
 で,ちょっとだけ試し買い。
鶏尾包 3HK$
蛋白椰達 6HK$
 食には容赦ない香港人,生活圏や通勤ルートごとに必ずある「いつものあの店」にも純粋な味覚で選別してるみたい。便利とか人柄とかオシャレだとかじゃなく。尖沙[ロ且]とかの観光エリアだとそれが海外のガイドブックにも載るんだろうけど,他のエリアのは載らない。そういう構造が,やっと実感できてきました。
 ガイドブックに載ってるかどうかより,地元の客足を見た方が美味にありつける。香港ではその手法が他よりさらに有効なんだと思う。
 クリーニングを取りに一旦佐敦へ帰る。
 預ける時レシートに漢字名を書いてた。洗濯物を手渡しながら,おばちゃん珍しそうに音読してる。聞き取ったとこでは,わしの氏名の広東語読みは「an-pon-xin-hau」なんだそうです。前半はアンポンタンみたいだし,後半の「シンハウ」も何か吹けば飛ぶような軽さを帯びてて――何かすごく嫌。

▲旺角道バス停近くの人和豆品第八分店の店内。香港風ファーストフード店はこんなもん。

 旺角に出て前回も一度行った九龍城を目指してみる。
 亜皆老街から乗ってみよう…と乗り場を探すが,バス停もバス待ち客も沢山あるのにどうしても見つからない。15分ほどうろついてから,地図のバスルート表示をよくよく見たら――どうやらこの道は,九龍城からの帰りの便だけが通るみたい。
 で,結局前回と同じ一つ北の旺角道でバスを待つ。5路線ほどはあるようなんで,自慢じゃないけど3桁以上は記憶できないわし,数字を暗唱しながら通り過ぎる何十本もの路線のバスをチェックし続けて――
 そんなこんなで30分以上バス乗車に費やしてたら,尿意がレッドゾーンのスクランブル態勢に突入してきて,すぐ近くの人和豆品第八分店で意味もなく豆腐花(18HK$)食う素振りでトイレに飛び込んだり,そんな事情で口に運ぶ豆花の向こうにまさに停まった目当てのバスを,地団駄踏みつつお見送り申し上げたり…まあ人生色々難しいもので。
 豆花店を出てさらに待つが…バスが来ない。さっき乗り過ごした1便があるから,まあいつかは来るんだろけど…10人ほど待ってんのに15~20分程度の間隔みたい。
 14時25分にやっと乗車。27番往順天,経:九龍城,彩雲,順利。
 今回初めての二階建てバス。えーと…八達通は乗車時だけピコッとするんだっけ?とにかくタッチパネルの横を通る時にはピコッとしとこう。
 旺角道が線路をくぐると,高層マンションが道路両脇をズラリと固める。
 道の脇で,ポリスがスピードガンを備えて獲物を狙ってました。確かにアメリカみたいなだだっ広い直線道,ぶっ放したくなる道路でしょう。旺角から東の海岸エリアへ突き抜ける大動脈。
 この道路が海岸道路と立体交差して枝分かれする場所を北側へ過ぎた辺りで降りると,そこが九龍城。
 さて。今回の目的は今やグルメエリアとして名を馳せる九龍城にあると聞いた九龍城街市大樓。 「街市」は香港では公設市場を意味する。2文字目の「市」は市場の略なんだろう。場所は衙前囲道100号。
 ネットで調べたら「香港の美食家,蔡瀾(チャイラン)氏が『香港で いちばん質のよい食材がそろう』と断言する街市」とあった。へえ…そんなに香港の誰もが認める市場なのかあ…と,わしの情報源のグルメガイドを見たら,著者は蔡瀾とある。
 もしや…この人が個人的にお気に入りなだけじゃないのか!?
 あるいは極めて中国人的に…市場側から売り出しを頼まれたとか!?
 てな疑惑を抱いたのは帰国後の話。この日のわしはごく客観的に市場を徘徊してました。
 ちょっと大きめではあるけど…いや蔡瀾様がのたまうんだから100%私の見誤りなんだけど…食材は買ってないからこれをプロが選べば「うほーっ」なクオリティに違いないんだが…まあ,香港のどこにでもある市場やね。
 ただし!ガイド本も紹介してた上階の食堂は素晴らしかった!他の市場食堂と遜色なし!(その場合は「ただし」でも何でもないかも?)
 5軒ほど入ってるだけだけど,まず楽園にてお飲み物を注文。
インヤン(熱) 11HK$
 お食事は馬[イ子]粉麺で注文。
鮮蝦雲呑(麺) 17HK$
 素晴らしい!さすがはチャラチャラ!じゃなくてチャンラン先生!
 さすがなんだけど,何か地元っぽい人はみんなカレー食ってる。右隣に座ったお姉さんがシャバシャバ口に運んでんのが物凄く羨ましかったのは…間違いなくわしの気の迷いに違いない。
 市場を出ると既に昼時。この人を含めてグルメエリアとして評価の高い九龍城,どこもかしこも客が満杯です。
 少し待機しよう。市街北の九龍城公園へ。悪名高かった九龍城の違法建築だけど文句あんのかスラムビルの跡地と聞くが,今は閑静な緑地です。かなり広く,フェンスもなくて開放的なのに,複雑な傾斜をそのまま残してて落ち着ける公園です。ベンチで小一時間ほどひと寝入り。
 さて。
 市場の食事が何となく前菜みたいなことになったんで,メインのお食事…みたいな気分になって新源記茶餐ティンへ。
 名前は全く存じ上げないお店。九龍城の通りをブラブラしてたら何か人気ありそうで安そうな大衆店なんで――どうも反動的に入りたくなってました。
快餐B
猪頚内火良炒反 29HK$
例湯と[女乃]茶付き
 ウメエ!
 これまでんとこ,こーゆーとこは2,3軒入ったことはある。結構いいかな,と感じた位で感動はなかったんだけど――これを皮切りに,最終日までハマりまくることになります(香港人常[口乞]的参照)。
 意外な満足に,デザートも口にしたくなってきた。合成糖水へ。
腐竹雪耳柿餅 25HK$
 デザートは食ったが,シメの[女乃]茶がまだなんで鶏尾包を前回買い食いした順興茶餐ティンに,今度はイートインしてみた。
[女乃]茶 13HK$
鶏尾包 3HK$
 何だかんだ言って,やっぱり九龍城,いい!レベルが高いってより,何かセンスが違う。

▲市場の街頭。これはカバン屋だけど,閉店時によく片付けられるもんだ…と感心する。

 栄泰隆餅家でお土産買ってようやく帰路につく。
潮州葱餅 12HK$
低[舌甘]紫薯干 7HK$
 95番で帰路につく。
 アパート抜けて線路をくぐって洗衣街を越えたからもうすぐ旺角…。
 あらら?
 全然見慣れない光景ですけど?
 慌てて道路名表示を幾つか拾って地図をチェックする。なぜか一つ北の太子道を走るバスに乗っちゃってたらしい。地下鉄が近そうなとこで下車。
 既に夕方のラッシュの走り。ここもものすごい人並みが渦巻いてます。ただ,どうもピンと来るポイントがなくて立ち寄ってなかったが…。
 でもついでだからブラブラしてたら――えらく売れてるパン屋を見つける。もの凄くイー匂いが漂ってるし。
 店名は…車[ガンダレ+里][歌-欠]夫って?英語名「cherikoff」?ああ,スラブ系の語を無理やり漢字に落としてんのか。
鶏尾飽
新[弓一/田/一/田/一]合桃飽(なぜか英訳でチベッタン・ウォールナッツ・パン表示)
 これが,良かった!気をよくして,なぜかあえてラッシュに揉まれながら,セントラルまで移動。朝スルーした生記粥品専家に入ってしまってました。
魚[月南]猪潤粥 36HK$
 うう…疲れた!昨夜,岡本太郎にのめり込み過ぎて睡眠時間を削ってしまったのが祟ってる。
 足知楽で50分,脚底(足裏)按摩&爆睡。

 少し回復した体で,昨夜に続いて油麻地へ。
 昼飯の新源記で,あの部類を深堀りしたくなった。
 ガイドにはほとんどない。手がかりになるのは,普通の香港ピープル向けの「快餐」表示だと思う。
 あちこちにはないが,観光地を含めて中規模以上の街の雑踏にはあるみたい。昨夜幾つか見かけた中から,雰囲気で選んでみます。
 栄華で蓮蓉棋子を3つ買ってから,ようやく決めた。
 店名は栄発餐ティン。漢字からは程遠い気安い雰囲気,でもボックス席でかなり広くて大衆店よりわずかに高級,値段もちょっと高め。
晩餐
家郷[石本][イ子][火局]魚腸
中湯 老黄爪猪骨湯
油菜,白飯,[女乃]茶が付いて50HK$
 もちろんガイドブックには一切載ってない店だけど――メインの味,膳のバランスとも大満足で。
 確信とともに帰路につく。ガイドに掲載されてるのは,たまたまメディアに触れて名の売れた店だ。「いつものあの店」的な無名の良店は,巷に無数にある。

▲街灯の灯り始めた油麻地