外伝17-085 租界跡赤煉瓦剥ぐ初秋かな/解放北路から帰着

本編の行程
~~~~~(m–)m~~~~~(m–)m~~~~~(m–)m本編の行程:Googleマップ(経路)~~~~~(m–)m~~~~~(m–)m~~~~~(m–)m

  • 旧租界地図

    ボローニャのような赤煉瓦

    ▲旧朝鮮銀行

    っ赤!
     とりあえずの目標にしてた朝鮮銀行旧址に着いた。1636漢口と違い来歴は全く表示ががない※。そこだけボローニャみたいな煉瓦の建物(→イタリア歓喜編/Ⅷotto-2‘rosso!!)。
    ※ プレートは一応出てるらしい。→維基百科/天津朝鲜银行大楼

    ▲側面

    918年創建。
     今の用途は看板がないけど中には共産党の標語が見えました。

    ▲旧フランス領事館

    天津グリンゴッツ銀行で預金する

    641,承徳路を北東へ向かう。
     1643,つたまみれの洋館が現れる。法国領事館旧址と記してある。破壊の爪痕は見えない。ただ単に放置されてる。
     合江路を北西へ。

    ▲ICBC玄関にて

    峰道に出る。1647。
     左折して南西へ行くとICBCが見えました。
    「原盐业銀行旧址」とプレートあり。読み方も分からないけれど,調べたところ戦前は北部中国の最大の銀行だったようです。
     100元を追加。分からなくて目立ってしまったから盗撮には失敗しましたが…グリンゴッツ銀行みたいな風格でした。

    ▲真っ赤な洋館前の寸景

    放北路に帰って北西へ向かう。
     え?ハルビン道?あ,そうなるのか。──どうもこの天津の微妙な道の方向は,迷いを生んでしまいます。
     1712,南西へ帰路につく。

    ▲も一つ真っ赤な洋館のある街角

     1718,黒龍江路。大陸銀行旧址。今は交通銀行。勇壮な建築です。特に色がくすんだグレーの壁面がさりげなく魅力的。
    ※ 維基百科/天津大陆银行大楼

    ▲グレーの洋館前をよぎる自転車

    ノーマークだった「津味」(天津中華)

    平路の奥,西側へ入ってみる。1735。
     ここにも凄い洋館が続く。天津のホントの凄さは,こういうポロリとした道に名もない洋風建築が出現することです。青島でもここまではなかった。
     1736,浜江路で左折南行。となるとここは…やはり昼間見つけた飯屋かなあ。

    ▲晩ごはん

    745(河北路)老津味
    何とか肉トン何とか餐30元550
    ①②
    ③④⑤⑥

    ①白米飯
    ②豆腐汁
    ③豚角煮
    ④セロリと豚肉の炒め
    ⑤もやしの煮物
    ⑥青瓜の卵炒め

    ▲どアップ

    まりにも他の地方の飯屋があふれてるから,地元の誇りを唯一打ち出してるここにした。定食らしい。品数も多い。中でもなるたけ老天津的なメニューを選んだつもりなんだけれど…何が来るものか?
    ①ライスは普通。炊き方に妙なところはない。
    ②豆腐を純粋に汁にしてる。出汁のような気配も感じるけど,豆腐味の濃さの方が強い。トロミも少しある。非常に魅力的な湯ですけどどうも正体が見えない。
    ③角煮。济南で食べたどれよりもさらりとしてる。八角も醤も効いてて,特に赤身には調味料が染み込んでるのに,最後にまた行儀悪く飯にかけるとサラサラのお茶漬けみたいになりました。
    ④セロリのあの独特の臭みが豚肉のわずかな細切れで妙に昇華されてる。いや豚肉だけでそんなはずはないから,何かの調味料の作用なんだけど。

    ▲「老天津」の店構え

    もやし──これは何の味だろう?わずかな酸味と辛味が効いてて,でもナムルにもなっておらずあくまで煮物なんだけど,豆味を損ないもせず見事に完成した料理です。
    ⑥青瓜。驚愕の旨さ。似たようなのを広州の自助で食べたと記憶するけど,素材の滋味を生かすというより,何か濃い調味が青瓜の青臭さと卵の甘やかさを地盤から押し上げているような豊かな味わいになってます。甘いとも濃いとも苦いとも言い現せない,未体験の旨味でした。
     全体として──分からない!
     沖縄のあじくーたーに似てる気もするけれど,甘い,酸味,辣,塩辛のどれにも当てはまらない。調和というか豊潤さというか,そういう未体験の味覚だったのです。

    ▲天津の黄昏は,普通の中国の街とも青島の本格欧米とも違い,その中間でもない独特の闇です。

    間にはそう人はいなかったので安心してたら,夜行くと数人の列が出来てました。
    1831栗記仙豆糕
    芋泥乳酸
    ロール350
     並びのスイーツ店と明らかに違う知名度らしい。
    ※ 每日頭條/2018天津點心界的網紅——栗記仙豆糕!奶香濃郁、軟糯可口
    「乳酸」というのは,サイコロ状の薄いカステラ記事の中に餡が入ってる形。この餡が,田芋そのものでは全くなくて,おそらく濾した上に何かを加えたんだと思うけど,独特の食感のものになってる。
     ロール──とてっきり思い込んでたので食べてビックリ!マヨネーズが入ってる?これがなければカステラ生地にクリームというよくあるロールケーキなんだけど,その取り合わせにマヨネーズ!
     これ旨いと言っていいのか,味覚の危険さを感じる迷品です。ただとにかく,初めて食べた味だったことは間違いありませんでした。

    ▲夜のロールケーキ…とどう見ても見えるのに!

    津で,とは思わなかった。
     ここの味覚は,全く知らない何物かです。
     百度で調べると確かにそういう見方はあるらしい。特に「各地风味开始涌入津门,逐步“津化”」(各地の風味が天津に持ち込まれると次々に「天津化」する)というくだりには,さもありなん,という印象です。何となくそういう磁場のようなもの,それがこの土地を特徴づけている予感がしたんでした。→巻末:小レポ
     迂闊でした──。
     そんなんを,あと一日でどこまで味わいきれるものなんだろか?

    ▲天津の夕闇の街角

    ■雑感:天津租界

     この朝鮮銀行,今から考えると謎が深い。
     天津租界ははっきりした地図がないんだけど,どうもイギリス租界ど真ん中。日帝の肝いりではない。当時は既に犬猿の仲だったはずのイギリス勢力下にわざわざ朝鮮銀行の経営拠点を設けた意図は何だったんだろう?
     文献を読んでみると,読めば読むほどよく分からない。中国の他の租界に比べて,天津租界は
    ①関わる国の数が最多
    ②住宅(一戸建て洋館)が多い。
    (上海の租界が高層で商業用途の施設が多いのに対して。「北京の四合院、天津の小洋館」)
    ③事情が複雑
    (日帝が無茶した度合が高いだけでなく,何度も拡張を経て,厳密な租界から租借地,租界予備地などが入り乱れていた。)
    といった特徴があるらしい。
     これに加えて,首都からの距離の近さや,そのために解放後の変貌も大きかったことが,異国情緒はあるけれど中国ナイズも進んだ「半端な異国感」を形成している,ような感触です。
     朝鮮銀行がこんな場所にぽつんとあるのも,租界関与する各国の力の押収の中で何か深読みできる事実があるように予感するんですけど──それ以上は近づけませんでした。

    ■資料リンク集:旧租界地図

    ※ y!プログ/天津の日本租界
    ※ yahoo/租界の周りの怪しい一角
     /1919年天津地図
     /天津の日本租界地図
    ※ mapio.net/原盐业银行内景 ほか地点毎の内景写真あり

    ■小レポ:天津料理

     どうもよく分からない。
     現代的で尖ってる,という雰囲気は感じるけれど,単に新奇だというだけでなく独特の技法もあるらしい。
     かといって顕著に辛いとか甘いとかという特徴はなく,複合味の丁度よさが天津独特の形になってるみたい。
     なお,日本人はどうしても「天津飯」を思い出してしまうけれど,あれは天津にはもちろん中国にない料理。
     街中で見るところで目につくのは,包子,麻花,炸糕(お好み焼きを丸めたみたいなもの)ですけど,どうもそれらとは別の,落ち着いた天津庶民の料理というのが存在するらしいんですが──。
    ※ 北京週報/『中国のグルメ・ガイド』 天津
    ※ 凤凰网资讯 > 滚动新闻/天津十大特色小吃
    「煎饼果子和锅巴菜天津独有,提起天津小吃,总是包子、麻花、炸糕这老“三绝”。」
    ※ 百度百科/天津菜
    「津菜可归纳为五大特点:擅烹两鲜、讲究时令、精于调味、技法独特、适应面广。
    中文名 天津菜
    英文名 Tianjin cuisine
    分类 津菜,天津菜
    口味 咸鲜,酸甜,微麻
    全称 天津菜」
    「特别是津菜中的清真菜和素席菜,有了很大的发展。同时,各地风味开始涌入津门,逐步“津化”,使津菜形成多元的风格,由简便、实惠、质朴的民间本色发展成为以咸鲜为主、酸甜为辅、小辣微麻、复合烹调、风格独特的地方菜系,成为北方大都市、大商埠之时尚。」
    「津菜特色
    1、技法全面且独特,擅长勺扒。“津菜”除见长炸、烹、爆、烧、熬、煎、靠、烩等技法外,勺扒、软溜、清炒、清蒸等技法最为独特,尤以“勺扒”堪称津门烹调之绝技。
    2、用料广泛,擅烹河海两鲜及野禽。津门物产丰富,更盛产鱼、虾、蟹,因此“津菜”厨师对烹制河海水产品极为讲究。各类原料均按季节选取,数十种烹调技法无所不用。
    3、口味多变,以咸鲜清淡为主。“津菜”口味不拘一格,富于变化,较常的味型有酸甜、酸甜咸、酸辣、咸甜、咸甜辣、酸咸辣、甜咸辣等数十味,尤以咸鲜清淡为主。」

    [前日日計]
    支出1500/収入2070
    負債 570/
    [前日累計]
         /負債 769
    §
    →九月二十一日(五)
    0523稲禾永和豆浆
    早飯(シーファン,菜包,シエン蛋,小菜)370
    [81天津ハルビン路まで]⇒[82ハルビン路熱干面]
    1249熱干面20元400
    [83天津鼓楼]
    1507華明牧場 伝統凝固型酸奶100
    [84解放北路まで][85解放北路から帰着]
    1745(河北路)老津味
    何とか肉トン何とか餐30元550
    1831栗記仙豆糕
    芋泥乳酸
    ロール350

    [前日日計]
    支出1500/収入1770
    負債 270/
    [前日累計]
         /負債 499
    §
    →九月二十二日(六)
    ■ 目次・リンク集 ■

    0914博多→ソウル(泊):1初泊


    0915仁川→(泊):1 市場まで ⇒ 2 南大門 ⇒ 3 新村・仁寺洞 ⇒ 4 Happy Hanjoong Ferry


    0916→烟台→青島(泊):1 烟台 2 青島初泊


    0917青島(泊):1 青島駅 2 海水浴場 3 金口路 4 龍華路 5 平原路 6 黄島路 7 観海山 8 中山路 9 河北路


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    0919青州→済南(泊):1 南陽河渡る 2 昭徳街目指す 3 昭徳街~青州離脱 4 济南入り東関大街行き 5 泉城まで南西行 6 世茂国際広場の造形 ⇒7 素食,济南駅帰宿


    (間奏)金盾胡同


    0920済南(泊):1 西門~省府 2 起風橋街~曲水亭街 3 后宰門街~県西街手前 4 県西街~省府再び 5 省府~将軍廟街 6 启明街~西城根街 7 周公祠街~楽安街 8 济南駅~j4w7 9 J4w10からの帰還


    0921済南→天津(泊):1 天津ハルビン路まで ⇒ 2 ハルビン路熱干面 3 天津鼓楼 4 解放北路まで 5 解放北路から帰着


    0922天津(泊):1 八里台回顧行 2 天津駅,鞍山路 3 鞍山路からハルビン路まで 4 四平東道を南行 ⇒ 5 万全路黄昏行


    0923天津→北京(泊):1 天津発北京東四行 ⇒ 2 胡同1/10=瑠璃厂街へ南行 3 胡同1/10=瑠璃厂街前迷走 4 胡同1/10=瑠璃厂街を南へ 5 胡同2/10=八大胡同清真寺 6 胡同2/10=八大胡同実験小学 7 胡同3/10=西交民巷 8 胡同4/10=東交民巷と教会 9 胡同からの帰還


    0924北京(泊):1 胡同5/10=烟袋斜街火神廟 2 胡同6/10=帽儿胡同 3 胡同7&8/10=南锣鼓巷&菊儿胡同() 4 胡同9/10=国子监街 ⇒ 5 胡同10/10=金魚胡同&王府井 6 胡同真=東四四条,柳芳行


    0925北京→関西:帰国行